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株式会社WASARA

会社概要

  • 社名:株式会社WASARA
  • 本社所在地:〒111-0036 東京都台東区松が谷1-7-1
  • Tel. 03-6383-2631 Fax. 03-6383-2632
  • 代表者:代表取締役 伊藤景一郎
  • 設立:2008年4月
  • 資本金:1,500万円
  • 事業概要:紙の器「WASARA」の企画、製造、販売等

会社HP

本事例についての問い合わせ先

  • 担当: 島 梓無子(連絡先は上記をご参照ください。)


 

今回は、紙の器「WASARA」を企画、製造、販売されている株式会社WASARAのゼネラルマネージャー島様にお話しをお伺いします。まず、御社が設立された経緯について教えてください。

 当社(株式会社WASARA)は、主にスイーツ・デザート&デリのパッケージの企画・製造・販売等を行っている伊藤景パック産業株式会社(以下、伊藤景)の子会社として、08年4月に設立されました。当社は、親会社である伊藤景の企業価値を高めることを目的として設立されましたが、アイデアは社内から出てきたのではなく、会社外部からの提案でした。
 伊藤景代表の伊藤が、人を通じて、現在「WASARA」のプロデューサーをしている田辺三千代氏(※1)に出会い、そこで、100年の歴史を有する伊藤景が、次の50年、100年を見据えて、どのような事業を行うことが、パッケージメーカーとして企業価値を創造することになるか、という問いを投げかけました。
 それに対して、田辺氏は長年ファッション業界を中心に活躍してきたことを背景に、よくパーティが行われていることに着眼し、世界中どこに行っても、デザインが美しく、かつ、使い捨てられる食器はないので、そのようなものを時代の要請に合わせて持続可能な形で作ることが、企業にとって意味のあることだ、と答えました。
 それがアイデアの基となり、日本の伝統を現在の生活スタイルにモダンに取り入れることを念頭に、特に日本の食を取り巻く環境をデザインしてきた緒方慎一郎氏(※2)をお招きして、プロジェクトが開始されました。
 そのように、全く異なる分野を歩んできた3者が集まり、今までにない新しいことを行おうとすることにも、会社として意味があったのだと思います。
 

WASARA 商品ラインナップ
 

商品の発案時点から、世界を念頭に置いていたのでしょうか。

 最初から世界で売ることを考えていました。商品の開発が始まった06年から、市場として国内だけをターゲットとしていては、とても利益が出ないと考えていました。
 

新しいプロジェクトについて、社内の反応はいかがでしたでしょうか。また、事業の推進体制はどのように整えられていったのでしょうか。

 プロジェクトの初期は、代表の伊藤、常務の伊藤、田辺氏、緒方氏の4名のみで、社内的には極秘のものとして進められていました。したがって、会社としての意思決定としては最も素早く、果断になされたのだと思います。
 当社の設立当初は親会社である伊藤景から出向の人材がおりましたが、現時点の人員4名は全て外部から採用された人材になっております。親会社で取り扱っている商品とは、コンセプト、ブランディング、販路、営業方法等の全てが異なりますので親会社でのノウハウが直接は活かせませんし、新しく規模の小さい会社ですので語学やコミュニケーションの能力がある即戦力の人材が必要です。
 

商品の開発はどのように行われたのでしょうか。

 伊藤景は今までBtoBの取引がほとんどであり、取引先のニーズに対して商品を企画開発してきましたので、エンドユーザーに訴求できる付加価値を持った商品の開発、すなわち自らで価値を創出し、判断し、値段を付ける、という経験はありませんでした。
 また、高度な技術を用いた商品ですので、原価は高くならざるを得ませんでした。常にそれを前提として、販売価格の決定やブランド作りを行ってきました。
 したがって、田辺氏と緒方氏からの提案に対して、当社が都度確認し、決定していく、という作業を繰り返し行っていました。
 

高価格だけれども使い捨ての商品というのは、一見すると売りにくいと思われるのですが、どのようにターゲットを設定していますか。

 使い捨ての食器が使われる基本的な場面は、多数の人が集まり、そこで食事をする、という場面です。そのような場には、必ずもてなす側となる主催者がおり、場所や料理、食器などを選択しています。
 例えば、アパレルブランドの新作発表のアフターパーティで、500名の方々を招いたとします。ブランドのイメージを構築する大事な場ですので食器の選択は重要ですが、大人数なので陶器の食器は使えません。そこで、従来は通常の紙皿を使っていましたが、それは、それ以外の選択肢がなかったためだと考えられます。そのため、かなりの業種の方々が待ち望んでいた商品であると思います。
 その潜在的なニーズから、デザイン性が高く、丈夫で、機能性を有するものがあれば、使いたいと思う方々、場面は多いと考え、そこを当社のターゲットとして設定しました。
 ですので、使い捨てだから安いモノが良いという発想は、当社がターゲットとしている方々にはありません。
 

Kinfolk Magazine Gatheringの様子
 

セレクトショップなどの小売店でも商品が取り扱われています。そこにはどのような意味がありますか。

 当社は、環境に配慮し、自社の企業イメージやブランドイメージを大事にして、おもてなしをしたい企業の方々を、規模の大小や業種に関わらず、ターゲットとしています。営業対象に限りはないと思います。
 一方、小売店で取り扱っていただくことで、ホームパーティなどの用途で、個人のお客様にもお使いいただくことができますし、そこからまた商品の認知が広がっていきます。販売目的のためだけではなく、店舗内の一定の場所にディスプレイされ、多くの方にご覧いただけるということは、とても大きな広告効果があると考えています。特に、セレクトショップなどの感度の高い方が訪れるような店舗においては、より大きな効果が期待できます。
 

商品の価値を伝える工夫について教えてください。

 商品のコンセプトはいくつかありますが、環境への配慮(主にバガスというさとうきびの搾りかすを利用していること)と、使い心地を考慮したデザイン性の高さが、2つの大きなポイントです。バガスを用いている商品は他にもありますが、デザイン性が高く、かつ、品数を18種類も揃えているものはありません。「WASARA」はデザイン性が高く、品数が揃っているがゆえに、テーブルセッティングをしても、陶器の食器に比べて遜色ない、ということが特徴です。
 また、その特徴、商品価値を伝えるために、当社が発信する情報の質にはこだわっています。ウェブサイト、リーフレット等において、どんなイベントでお使いいただいたか、どんなお料理がサーブされたか、どんな料理家やフォトグラファーとプロジェクトを行っているかといった内容を盛り込むことが、商品の付加価値に繋がっていくと考えています。
 ブランドのイメージをつかさどるウェブサイトやコンセプトブック、リーフレットなどは全て緒方氏がデザイン・制作しており、日本の美意識や価値観を原点に、イメージの統一化を図っています。商品写真も、商品そのものの美しさが際立つような写真や、実際に料理を盛りつけて、料理の引き立て役としての写真などを、シーンによっては、専門のフォトグラファーに撮影していただいています。
 選択され、使い続けられないと、真に環境に配慮した商品とは言えないと考えています。成熟社会ですので、消費者の選択肢は1つではありません。環境に配慮しているという要素だけでは1回は手にとっていただけても、リピートしていただくことは難しいです。やはり、商品を繰り返し選択していただくためには、使い心地の良さ、デザインの良さ、商品使用時にステータスを感じた経験、といった数々の要素が備わっていることが必要ですし、それを伝えるためのツールにこだわることはとても重要だと考えています。
 

クリエイティブディレクター緒方が経営するレストランHIGASHI-YAMA Tokyoで撮影されたWASARAのイメージ写真
 

海外での取引が始まったきっかけは何でしょうか。

 「WASARA」の商品の発表は、08年5月に日本国内で行い、販売は、同年10月に開始しましたが、発売直後から海外からのお問い合わせが非常に多かったです。実際に最初の2年ほどは売上の大部分を輸出が占めていました。当初から英語版のウェブサイトを用意していたので、それを見てお問い合わせいただいた方がほとんどでした。おそらく影響力のあるブログ等に紹介されたのだと予想しています。また、09年にパリのメルシーで取り扱われるようになってから、更に海外からのお問い合わせが増えました。現在でもほぼ毎日、海外からお問い合わせをいただいています。
 国内でもそうですが、如何に影響力のある方やお店、プレスから発信してもらうか、ということは、販路開拓において大事な戦略の一つだと思います。


WASARA発表の展示会 「こころを潤す “紙の器” 展」
 

発表当初から、国内よりも早く海外に受け入れられたのはなぜでしょうか。

 海外では日本に比べて圧倒的にケータリングの産業が発達しており、そのために使い捨ての商材も多種多様なものがありますが、「WASARA」ほどデザインにこだわったものはありません。ですので、海外の方が国内よりも遙かに潜在的な需要があったのだと思います。ブランドイメージを大事にしたいと考えている海外の企業やイベントでは、「WASARA」を使っていただいています。
 田辺氏も緒方氏も、海外でのパーティに参加している今までの経験から、そのような海外の使い捨て食器の状況は肌で感じており、商品の構想の段階から海外でのニーズを意識していました。海外の膨大な潜在的ニーズに対して、「WASARA」が丁度良い回答を示した、ということが根底にあると考えています。
 

御社にとっての営業とは何でしょうか。

 ご提案、だと考えています。現在、多くのお問い合わせを日々いただいておりますので、まずはそれに対して誠実にお応えすることです。ご相談によっては、パーティの料理の内容をうかがい、配膳に最適な商品をアドバイスさせていただくなど、お客様と深いところまで協業する場合もあります。
 また、パーティやイベント以外にも、個人のお客様に配布する、企業やブランドのノベルティとしてWASARAを採用いただくこともあります。こちらもお客様のキャンペーンのコンセプトや、配布形態などのニーズによって、ご提案をしております。
 

ポートランドでのイメージ写真の撮影風景
 

今後、さらに販路を開拓していくにあたり、心がけていることはありますでしょうか。

 今はハイエンドの方々をメインターゲットとしていますが、今後、企業として成長していくためには、裾野を広げていくための積極的な営業が必要だと考えています。
 ただし、そのような場合でも、ハイエンドの方々に対するアプローチは、引き続き、最も大事にしなければなりませんし、当社から発信される情報、すなわちPR・マーケティングの素材や内容、お客様へのご提案内容に関する質は、高いまま維持しなければなりません。お客様が「WASARA」について知りたいと思われた時に触れる接点の管理は、ブランドの維持、及び、この値段でお客様が「納得感」を得るためには非常に大事だと考えています。
 
 
※1 プロデューサー 田辺三千代
静岡県生まれ。文化服装学院デザイン科卒業後パリ遊学。
アパレル会社プレスを経て、1984年よりデザイナー菊池武夫と共にTAKEO KIKUCHIブランドをチーフプレスとして支える。1991年独立。スタイリスト、カメラマンオフィスM16設立。1999年、山梨県西湖にCAFÉ Mをオープンさせ、それまでマイナーなイメージだった西湖を内外から認知してもらう。2002年、(株)JUNのPR室顧問及びMONTOAK(表参道カフェラウンジ)の広報ディレクターを兼務。2005年、既存の紙皿には和食は似合わないという想いからWASARAブランドを発案、プロデュース。2012年、木をテーマにブレンドした香りのブランドM treeをプロデュース。2012年5月、マガジンハウスから出版された「菊池武夫の本」に深く関わる。2012年11月より、菊池武夫の旗艦店オープンに伴いキュレーターとして参加。(株)ワールドと契約。
 
※2 クリエイティブディレクター 緒方慎一郎
長崎県生まれ。「現代における日本の文化創造」というコンセプトのもと、1998年にSIMPLICITY設立。自社ブランドとして和菓子店、和食料理店、プロダクトブランドを展開するほか、建築、インテリア、プロダクト、グラフィックなど多岐に渡るデザインやディレクションを行う。2006年より、WASARAのクリエイティブディレクターとして、デザイン・開発を手がける。2011年10月、東京大学総合研究博物館 特任准教授に就任。HYATTグループによる、2014年6月開業のホテル「Andaz Tokyo」のインテリア設計を担当。空間デザインを手がけたJPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」が、JCDデザインアワード金賞、DSA空間デザイン賞2013大賞を受賞。

お問合せ先

商務情報政策局 日用品室
電話:03-3501-1705(直通)
FAX:03-3501-6974

(伝統的工芸品産業について)
商務情報政策局 伝統的工芸品産業室
電話:03-3501-3544(直通)
FAX:03-3501-6974

最終更新日:2015年1月13日
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