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株式会社ワイス・ワイス

会社概要

  • 社名:株式会社ワイス・ワイス
  • 本社所在地:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-12-7
  • TEL 03-5467-7001 FAX 03-5467-7002
  • 代表者:佐藤 岳利
  • 設立:1996年12月13日
  • 資本金:3,960万円
  • 事業概要:オリジナル家具の企画・製造・販売、インテリアショップ・生活雑貨専門店の運営等

会社HP

本事例についての問い合わせ先

(上記連絡先まで)

今回は、オリジナル家具の製造・販売、都内で直営インテリアショップ【写真①】の運営等を行っている株式会社ワイス・ワイスの佐藤岳利社長にお話しをお伺いします。御社の様々なご活動にはとてもこだわりがあるようとお見受けします。まず、どのような想いから起業されたのか、その経緯について教えてください。

 私(佐藤岳利氏)は、20代の頃、米国、香港、シンガポール、タイなどの海外にいました。当時勤めていた会社では海外勤務をしており、シンガポールを中心に、東南アジア各国で仕事をしていました。しかしながら、仕事の忙しさや、業務上のトラブルなどで、精神的に追い詰められることが多々ありました。
 一方で、私は旅好きで、敢えて東南アジア諸国の少数民族【写真②】を訪ねることがありました。そこで目の当たりにしたのは、電気やガス、貨幣経済が全く無い場所でも、人々は互いに協力し合い、森からの恩恵を最大限に享受して、楽しそうに生活している場面でした。
 都会で不自由なく生活しているはずなのに体調を崩して自分と、一見して不便な環境にあるが楽しく生活している少数民族の人々を比べてみたときに、一体どちらが本当に豊かな生活を送っているのだろうか、と疑問を持つようになりました。
 また、東南アジアは赤道近辺なので、常に夏の気候です。したがって、季節によって食事が変わる、ということもありません。また、食事が変わらないので、食器や調理器具などはあまり種類がありません。
 そのような東南アジアの状況から日本に立ち戻った時に、日本はなんと繊細な国なんだろうか、と気付きました。日本には四季がありますので、季節ごとに食べ物が変わります。食べ物が変われば食べ方が変わりますので食器も変わります。
 このような海外での経験から、将来的には「豊かさ」をテーマにした事業を行いたい、と強く思うようになりました。具体的には、生活に密接したインテリアブランドを、日本から発信していきたいと思いました。インテリアブランドというとよく欧州のブランドの名前が挙がりますが、生活文化の面では日本は欧州以上に蓄積があります。日本には自信を持って世界に発信できる資源がたくさんあると考えました。
 そのように考えていたところ、当時勤めていた会社の社内ベンチャー制度があり、そこに企画を応募して採用されたことが、当社の設立のきっかけとなりました。


【写真①】


【写真②】

インテリアの中で、最初に家具に目を付けたのは何故でしょうか。

 「豊かさ」が事業のテーマですので、どのような分野から始めても良かったのですが、家具の製造・販売から始めようと考えたのは、創業メンバーに家具のデザイナーが参画していたからです。
 しかし、実際に家具のブランドを作ろうとするのは、大変だということに気付きました。通常、家具のブランドとして認知されるまでには数十年という長い時間が必要です。そして、商品開発、設備投資、認知度向上といったことを考えると、資金力も必要です。実際に手を付けてから、とんでもないところから始めてしまったと思いました。

最初の商品作り、販路の開拓はどのようにされたのでしょうか。

 最初は、ラタン材(籐)を用いた家具【写真③】の企画から始めました。ラタン材は竹と並ぶ、究極のエコ素材です。ラタンは東南アジアを中心に熱帯雨林地域のジャングルに自生するヤシ科のつる性植物ですが、生育期間がとても短く3年で成木になります。永遠に使えるエコマテリアルというわけです。
 当初、国内の工場で製造を始めるべく事業企画を持って、国内の家具工場を回り、実際に製造してくれるところを探しました。しかし、どの工場でも「どうやって売るんですか?」と聞かれました。「これから販路を作ります。」と答えたところで、「販路ができてから来て下さい。」と断られるばかりでした。
 一方、私の過去の人脈を通じて、海外の工場と出会いがありました。それがインドネシアのラタン製家具工場だったのです。当社が企画した家具をインドネシアで製造し、日本国内そして世界市場で販売するという体制です。製品は97年から販売開始したのですが、初っ端にシンガポールで開催されているIFFS(インターナショナル・ファニチャー・フェアー・シンガポール)という展示会に出展したところ、アワードでグランプリを受賞しました。それ以降、欧州のインテリア雑誌に掲載されることもあり、海外からの受注がちらほら舞い込むようになりました。リピートの発注はあまりありませんでしたが。
 しかし、そのような積み重ねがあり、2000年前後に日本にアジアブームが訪れます。アジアのインテリアや雑貨がありとあらゆる女性誌で取り上げられ、当社製品も認知度が急激に増しました。日本全国から受注が入るようになり、国内の販路が広がりました。
 そこでやっと、最初に企画を持って訪ね歩いた国内の家具工場も、製造を引き受けてくれるようになりました。ラタン製家具以外も製造するようになり、オリジナルアイテムが400点以上に増えていきました。


【写真③】

 
アジアブームが去った後、やはり需要の落ち込みがあったと思います。御社ではどのような変化があったのでしょうか。

 アジアブームが去った後、長引くデフレの影響で、今度はどんどん売れなくなっていきました。また、価格の安さが強みであるファストファニチャーが台頭してきました。家具の分野でも、どんどん価格競争が激しくなってきたのです。同業他社は工場を国内から中国に切り替え、低価格の製品を国内市場に投入してきました。
 しかし、当社は、当社の製品を作るために生産ラインに投資をしてくれた国内工場との関係を重視し、安易に海外生産に切り替えることはしませんでした。そのため、飲食店やホテルといったコントラクト向けの特注家具の分野で受注を取らざるを得ない状況に陥りました。一般消費者向けの商いに比べ、取引額が大きく、利益をつくり易かったからです。しかし、その分野でも価格競争の波が押し寄せ、当社も最終的には中国での生産に移行するようになりました。
 その頃になり、当社が当時行っていた利益を追求する手法はおかしいのではないか、という強い思いを抱くようになりました。さらに08年のリーマンショックが起こり、当社の経営を圧迫します。そのような外部的な要因もあり、このままではいけないと、行動を起こしました。
  中国製品が安いのには理由があります。労働条件が厳しい中で賃金の安い労働者を雇用していること、違法伐採された可能性のある木材【写真④】を使っていることなどの理由があります。創業当時、「豊かさ」を伝えるライフスタイルブランドを作ろうと考えていたのに対して、今の会社の状況は全くそれに反するようなことを行っている。もう一度、創業当時の想いに立ち返らないと、会社に、自分の人生に意味をなさない、と思いました。
 全世界的に環境問題に取り組むNGO団体のFoEジャパンに協力を依頼し、当社の理念、行動方針を再設定し、グリーンカンパニーとして再出発することを役員に説明、理解を求めました。役員には大反対され、衝突しましたが、最終的には取引銀行や株主の賛同も得られ、09年に当社はグリーンカンパニー宣言【写真⑤】を行うことができました。


【写真④】
 
 
【写真⑤】  

グリーンカンパニーとなって、具体的にどのような行動をしたのでしょうか。

 まず取り組んだのは、原材料のトレーサビリティです。違法伐採が自然環境に与える影響は深刻です。ですので、当社では森を壊さない木材の調達をしようと考えました。フェアウッドという考え方です。
 違法伐採された木材ではなく、森林を適切に管理する観点から環境に配慮しながら伐採された木材のみを扱う、というのは予想以上に難しいことです。しかし、複雑な木材の流通過程を一つずつ追いかけ、確認しました。場合によっては、工場にお願いして、調達する木材を変えてもらいました。このような地道な活動によって、現在ではフェアウッド100%、国産材を使用する比率が7割になっています。この作業に4年間かかりました。
 「豊かさ」をテーマに事業を行っているのに、会社だけが儲かって、労働者が疲れて、製品も長く使われなくて、森が荒れていく、というのは本末転倒です。表層的なデザインが注目されるばかりですが、そうではなく、問題となっている背景を踏まえて、新たな仕組みや人の行動の変化まで考えて全体を作り上げるのが本当のデザインだと思っています。

御社ではメーカーでありながら直営店をお持ちです。どのように直営店を持つに至ったのでしょうか。

 創業時から、直営店を出そうと考えていました。やはり、実際に当社の製品をお客様に体感していただく場所は必要です。「豊かさ」をテーマにして、ブランドを全国に世界に発信していく観点からは、やはり日本のデザインの中心である青山という立地は必然です。現在の本店がある表参道の物件は、4年間探して行き着いたところです。私たちの考えや行動を理解してくれて、私たちが居ることで価値を感じていただける土地、建物のオーナーを探しました。

今は雑貨専門店も運営されていますが、雑貨の分野に取り組まれたのはきっかけがあったのでしょうか。

 インテリアブランドですから、家具だけではなく、最初から雑貨も取り扱っていました。当初はラタン家具を扱っていた流れで、インドネシアにてオリジナル製品を作っていました。しかし、当時は自ら製造し、在庫を持ち、大きなリスクを抱えて行っていたと思います。
 現在では、日本国内の伝統工芸の職人、工房とコミュニケーションを取りながら、企画、製造、販売を行っています【写真⑥】。当社では直営店の運営を行っているので、どのような商品が売れるのか、ノウハウが蓄積されています。それを基に、各地の職人と一緒にもの作りを行っています。売れるモノを、売れるタイミングで、売れる量を作っていく、共同作業です。
 特に、伝統工芸に関しては、一度に大量に生産できないことがネックです。しかし、それでも作り続けていないと、技術は繋がって行きません。ですので、少ない量を安定的に販売していく仕組みを如何に作るか、ということが大事です。そのための機能として、当社はお役に立ちたいと思っています。販路という出口を作ることで、伝統工芸のサポートをしたいのです。

【写真⑥】

各地の製造事業者との共同作業において、大事にしていることはありますか。

 製造事業者の方々の、進化、発展させていく想いがあるかどうか、という点を重視しています。製造事業者自身が将来どのようになっていきたいのか、という想いを持っていないとコミュニケーションが難しいです。また、次の世代にバトンを渡していく、という意識も大切です。そのためにはまず自らの生活を成り立たせること、次に後継者を雇えるくらいの収入を得ること、といったように目標が明確になります。
 製品開発を行うにあたっては、お客様が日常で、毎日毎日手にとって使えるモノを作る、ということを常に念頭においています。したがって、高過ぎるものや用途が限られているものは、そこから外れます。お客様は、国産だから、伝統だから、という理由で商品をご購入されません。まずは良いなと思われて手に取ったら、たまたま国産だった、伝統工芸だった、ということに過ぎません。常にお客様の目線に立って、作り手の独りよがりにならないもの作りを心がけています。

御社の理念や、商品に纏わる背景を伝えるために、どのような取り組みをされていますか。

 社員には、自社製品を自分で使ってみるように言っています。自分で使ってみないと製品の良さは実感できませんし、お客様にも説明できません。また、より知識を深めるために、産地に行くのであれば、できるだけ作り手の方の思いを聞いてきたり、現地の人脈を作るように言っています。そのようにして、モノをモノだけで売らないために、ものがたりをセットで売っていくための準備が必要です。モノをモノだけで売ってしまうと、100円ショップと同じ土俵に立つことになり、勝ち目はありません。
 また、モノの背景をより広く伝えていく必要があると考えて、本格的にインターネットなどでの情報発信に力を入れています。そのために専任の広報担当を2人採用し、情報発信にリソースを注いでいます。

御社の理念を継続し、広げていくための、今後の方針をお聞かせ下さい。

 まずは会社を存続させることです。そして、社員が当社で働いていることを誇れるようにすることです。当社は09年にグリーンカンパニー宣言をしてから、創業理念に立ち戻るように大きく舵を切りました。したがって、そんなに利益があがるような事業のあり方ではなくなっています。それは社員、協力工場さん、職人さんといった当社に携わっている方々の生活を成り立たせることに重点を置いているためです。そのような事業体制が整って初めて、環境や文化に価値を見出し、それを豊かと感じるような生活のあり方を伝えていけると考えています。
 また、モノをモノだけで売ることをどんどん止めていこうと考えています。過去は、国内外の家具の展示会にも出展し、積極的に販路を拡大しようと行動していましたが、そこで出会う方々には、当社製品の背景を見ずに価格の高さだけを指摘される、という経験をしました。それよりも、本当に当社の理念を直接的に伝え、共感していただくために、様々な規模のシンポジウム、フォーラム、勉強会といったものを開催しています。そのような場に来ていただく方は当社の潜在的な顧客、ファンであると同時に、他のアンテナの高い人に伝えていってくれます。また、このような活動を通じて、当社の理念に共感し、将来、国内・国外を問わず、一緒に事業を行ってくれる方と出会える可能性もあります。このような活動は、今後とも継続して行っていきます。
 

お問合せ先

商務情報政策局 日用品室
電話:03-3501-1705(直通)
FAX:03-3501-6794

(伝統的工芸品産業について)
商務情報政策局 伝統的工芸品産業室
電話:03-3501-3544(直通)
FAX:03-3501-6794

最終更新日:2015年6月22日
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