ベンチャー企業の経営危機データベース
~83社に学ぶつまずきの教訓~
経済産業省経済産業政策局新規産業室は、平成19年度創業・起業支援事業において、ベンチャー企業を対象に、失敗、トラブル、ヒヤリとした経験についてのインタビュー調査を実施し、調査結果を事例として取りまとめました。当該調査をもとにベンチャー企業の経営危機データベースを作成いたしました。調査の概要は以下のとおりです。
I.調査の概要
1.調査趣旨
昨今、会社法の改正による最低資本金規制の撤廃やエンジェル税制による優遇措置等、支援する施策が充実してきており、起業を希望する者が起業しやすい環境が整いつつある状況であるが、起業はしたものの多くのベンチャー企業が同じような原因で失敗を繰り返しているのが現状である。こうした「失敗、トラブル、ヒヤリとした経験」の内容や原因などの情報は、経営課題への対処とその結果に関する経験として非常に有益であるが、表に出てこないため、知見、経験が社会に共有されにくい点も指摘できる。そこで、ベンチャー企業に対するインタビューを中心とした調査を実施することで、ベンチャー企業の経営者が経営の様々な場面で決断を下す際に、将来起こりうるリスクを予見できるようなデータベースを構築する。
2.調査内容
単に、失敗の原因と結果のみを調査するのではなく、ベンチャー企業の経営に関する「失敗、トラブル、ヒヤリとした経験」の事象、経緯、調査対象企業の対処等の体験を調査・分析し、原因、背景、対策方針等を加えて「知識化」する。
3.調査設計
| 調査地域 | 全国 |
|---|---|
| 調査対象 | ベンチャー企業 倒産を経験したベンチャー企業 |
| 母集団 | 東京商工リサーチ企業情報データベース |
| 調査期間 | 第一回調査:平成19年7月9日~7月24日 第二回調査:平成19年8月9日~9月18日 ※第一回調査件数は30件、第二回調査件数は270件 |
| 調査機関 | 株式会社東京商工リサーチ |
4.調査対象
(1)企業情報を抽出する母集団について
下記の各種ベンチャー企業の情報に基づいて企業情報データを抽出する。
- 東京商工リサーチ情報誌「TSR情報」における『ベンチャー訪問』掲載企業
- 東京商工リサーチデータベースのデータ項目「扱い品コード」に『ベンチャー企業』として登録されている企業
- その他
(2)ベンチャー企業の抽出基準について
抽出した母集団の中から、下記の基準に従って調査対象とする企業を選定する。
1.原則として設立10年未満かつ従業員100名以下の企業であって、以下の項目のいずれかに該当する企業
- 独自の製品技術・ビジネスモデルを有している企業
- 特許・実用新案の取得または申請中
- 新市場の開拓を目指す企業
- 株式公開を計画している企業
- 指定ベンチャーの認定を受けている企業
- 各種のベンチャー賞を受賞した企業
- ベンチャーキャピタル等投資機関より出資を受けている企業
- その他
2.設立10年以上または従業員100名以上の企業であるが、新規事業に取り組んでいるまたは創業期に大きな失敗を克服した経験がある等、有益な結果が得られると思われる企業
(3)調査対象として選定する基準について
抽出した企業から、業種に偏りが生じないよう配慮しつつ、下記の企業をそれぞれ選定する(合計300社程度)。
1.倒産を経験した企業(民事再生法が適用された企業)
2.倒産を経験した企業以外の存続企業
5.調査方法
ベンチャー企業に対するインタビュー調査の実施
調査員が面接インタビュー調査を実施する。調査対象企業300社に調査協力を依頼し、アポイントを取得したうえで直接訪問する。回答者(主に経営者)に直接口頭で質問し、口頭で回答していただく。また質問の最後に、公開されるデータベースへの掲載可否について確認を行なう。
データベース個票の作成
インタビュー調査の結果は調査票に記入した後、データベース個票の形式にあわせて加工、作成する。業績推移や企業プロフィール等については、東京商工リサーチ企業情報データベースを適宜活用し、加筆を行なった。
調査プロセス
はじめに30件に対して第一回の調査を実施。結果について、調査方法、公開可否の確認の方法等の検討を行なったうえで、残り270件を第二回調査として実施した。調査対象となった300件のうち168件のインタビューに成功、残り132件が多忙等の理由による辞退や協力が得られない等により、インタビュー不能となった。インタビューを実施した168件のうちデータベースの要件を満たすものとして100件を抽出し、データベース個票を作成した。 作成したデータベース個票は、再度、調査対象者に確認していただいた。公開されるデータベース個票の掲載可否について確認を行なうとともに、記事の内容についても確認していただき、個票の修正を実施した。結果、データベース個票の掲載承諾が得られたのは83件であった。
6.調査項目(事例掲載項目)
事例概要
- トラブル
- 失敗
- 課題の概要
企業プロフィール(所在地、業種、従業員数、設立・創業年、事業分野、事業概要)
- 創業時の社長の年齢
- 創業時の属性(職業)
トラブル・失敗・課題までの経緯
トラブル・失敗・課題の詳細
- 事象(トラブル・失敗・課題の概要)
- 設立から成功までの経緯
- トラブル・失敗・課題に至る経緯
- 対処と結果(トラブル・失敗・課題に対する対象方法とその結果)
- 原因
- 特性(トラブル・失敗・課題を引き起こした土壌や企業体質等内部要因)
- 要因(トラブル・失敗・課題を引き起こした直接的な要因)
- 経営判断の問題点
- 背景(トラブル・失敗・課題の遠因となる世の中の状況(社会、経済、政治的背景)
- 得られた教訓
- 後日談(トラブル・失敗・課題を乗り越えた今日の姿やトラブル等を振り返ってのコメント)
トラブル・失敗・課題の分類
- 結果
- 原因
- 失敗時の成長ステージ
