APECの概要
アジア太平洋経済協力(APEC)は太平洋を取り囲む21の国と地域の経済協力枠組みです。APECには、多種多様な国と地域が参加しているため、APECメンバーの国・地域を指す場合には「エコノミー」と呼んでいます。世界のおよそ半分のGDP、人口、貿易額を占めており、活発な貿易・投資をエンジンとして世界の成長をリードしています。
1.設立経緯とAPECの意義
1980年代後半、外資導入政策等によるアジア域内の経済成長、欧州・北米における市場統合の進展により、アジア太平洋地域に、経済の相互依存関係を基礎とする新たな枠組みの必要性が高まりました。1988年には通商産業省(当時)内で「アジア太平洋貿易開発研究会」が設立され、日本を取り巻くアジア太平洋地域について検討が始まりました。
1989年、日本からの働きかけもあり、ホーク・オーストラリア首相(当時)は、アジア太平洋地域の持続的な経済発展及び地域協力のための会合の創設を提唱しました。これを受けた形で米国、ASEAN等においても次第にAPEC構想の実現に向けた機運が高まり、同年第1回APEC閣僚会議がキャンベラ(オーストラリア)で開催されました。1993年からは、米国の主導によりAPEC首脳会議が開始されました。
現在、アジア太平洋地域では、ASEAN、ASEAN+日中韓、東アジアサミット(※)のほか、環太平洋戦略的経済連携(TPP)など様々な枠組みが重層的に存在しています。日本は、APECにおいて、米国やオーストラリア等の先進エコノミーと連携しながら、アジア等の途上エコノミーに対して様々な協力を行うとともに、貿易と投資の自由化・円滑化に向けた努力を継続し、APEC全体が成長していくことを目指して積極的に参加しています。
日本は、2010年にAPEC議長をつとめました。今後の議長エコノミーは、米国(2011年)、ロシア(2012年)、インドネシア(2013年)となっています。
(※)東アジアサミットとは、ASEAN10カ国と日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの首脳による枠組み
2011年から正式に米露に参加を要請する。
2.基本理念
1994年、ボゴール(インドネシア)で開催されたAPEC首脳会議で、ボゴール目標(先進エコノミーは2010年までに、途上エコノミーは2020年までに、「自由で開かれた貿易と投資を達成する」)に合意しました。この目標達成に向け、APECメンバーは、以下の3つの分野(APECの3本柱)を基本理念として議論や協力を行っています。
3.APECのメンバー

1989年発足時の12メンバーが次第に拡大し、現在21メンバー(2010年までメンバー拡大を凍結)。下線は発足時の12メンバー、( )内は加盟年。
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1989年 :オーストラリア、ブルネイ、カナダ、インドネシア、日本、韓国、マレーシア
ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、米国
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1991年 :中国、中国香港、チャイニーズ・タイペイ
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1993年 :メキシコ、パプア・ニューギニア
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1994年 :チリ
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1998年 :ペルー、ロシア、ベトナム
4.APECのこれまでの取組
APEC首脳会議は、1993年に米国のシアトルで始まり、翌年の1994年には、ボゴール目標(BG)が策定されました。以来、APECはボゴール目標を達成するために、1995年大阪行動指針(OAA)、1996年マニラ行動計画(MAPA)、2005年釜山ロードマップ、2006年ハノイ行動計画などを策定し、具体的な取組や議論をおこなってきました。また、2001年の米国同時多発テロ以降、テロ対策など安全保障関係のトピックもAPECの議題の一部となり、2008年に起こった世界的な経済危機では、持続的であまねく広がる経済成長についても新たに議題に加わりました。このようにAPECでは、その時々の世界情勢に、APECが一体となって対応するための議論も行ってきました。
そして、2010年、先進エコノミーがボゴール目標の達成年を迎え、その評価と経済危機から回復した後の新たな方向性の提示を行うことに対し、注目が集まっています。
5.アジア太平洋における重層的枠組み
東アジア地域にはASEAN自由貿易連合(AFTA)、東アジア自由貿易協定(EAFTA)、東アジア包括的経済連携(CEPEA)が、米州地域には北米自由貿易協定(NAFTA)が、東アジアと米州をつなぐものとしては環太平洋連携協定(TPP)があり、アジア太平洋地域には、数多くの経済枠組みや研究・交渉中の構想が存在しています。そして、これら多くの枠組みを包括しうる長期的な展望として、APECには、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想があります。このFTAAPに具体的な定義はありませんが、貿易と投資の自由化やビジネスの円滑化の象徴として、実現すべきことの重要性がAPECで繰り返し主張されています。

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(参考)APEC以外のアジア太平洋地域の枠組(構想含む)について
・EAFTA(東アジア自由貿易協定)・・・ASEAN(10カ国)と日本、中国、韓国の13カ国(ASEAN+3)による自由貿易協定(FTA)構
想。2002年のASEAN+3首脳会合で経済大臣会合に対し、東アジアにおけるFTAの検討を指示。2005年4月から、2009年6
月まで専門家による研究会が実施された。2009年のASEAN+3首脳会議において、今後、政府間で議論することに合意。
・CEPEA(東アジア包括的経済連携)・・・ASEAN(10カ国)と日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの合計
16カ国(ASEAN+6)による包括的経済連携構想。2006年4月の経済産業省「グローバル経済戦略」において、同構想を提唱
し、2007年6月~2009年7月まで、専門家による研究会が実施された。2009年10月の東アジアサミット(EAS)において、今後
は政府間で議論していくことに合意。
・TPP(環太平洋連携協定)・・・2006年に発効したシンガポール、NZ、ブルネイ、チリの4カ国による経済連携協定
(いわゆるP4)から発展し、米国、豪州、ペルー、ベトナム(オブザーバー)を加えた8カ国で2010年3月から交渉を開始した、
アジア太平洋における新たな経済連携協定。10月にはマレーシアも参加し、現在9カ国で交渉中。12月に第4回交渉会合
を予定。


