経済産業省
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日韓投資協定

条文(和文)(PDF: 65KB) 条文(英文)(PDF: 151KB) 合意議事録(PDF: 99KB)

日韓投資協定の概要

平成15年1月
経済産業省
  1. 経緯

    (1)

    交渉開始の契機
    1998年11月の与謝野大臣-韓悳洙(ハン・ドクス)外交通商部通商交渉本部長の会談で、日韓投資協定締結に向けた取組を開始する旨合意 。更に同年11月の第1回日韓閣僚懇談会においても両国首脳間で確認。
    (2) 交渉の実施状況等

    1999年2月以来、2回の予備的協議を開催し、協定に盛り込む条項について合意した後、同年9月から本協議へ移行。
    現在までに計9回の本協議(審議官以下がヘッド)を開催し、本協議での議論を補うため計13回の実務者レベル協議(課長以下がヘッド:対外非公表)を開催。
    2000年9月の日韓首脳会談において、年内締結に向けて交渉を加速化することに合意したが、交渉は越年。2001年10月の2回の日韓首脳会談で年内に基本合意を目指すことを確認。
    2001年12月22日の第9回本協議において基本合意。
    2002年3月の小泉総理訪韓の際に、日本側寺田大使と韓国側崔成泓(チェ・ソンホン)外交通商部長官との間で署名を終了。
    2002年5月29日日本側参議院本会議承認後、10月30日韓国国会においても承認。
    12月2日にソウルにおいて、日本側寺田大使と韓国側崔成泓(チェ・ソンホン)外交通商部長官との間で、発効のための外交上の公文の交換を実施。
    2003年1月1日、協定発効。

  2. 協定の目的・意義

    (1) 日本側の交渉の基本方針
    従来の対途上国の投資保護協定とは異なる、先進国間の投資促進協定(OECD多国間投資協定(MAI)相当)として、投資前の投資の許可の段階での内国民待遇の規定や広範なパフォーマンス要求の禁止、更には現行外資規制に関するSS(スタンド・スティル=現状維持)義務、RB(ロール・バック=斬新的削減・撤廃)努力義務の規定等、投資の自由化の要素までを盛り込んだ高いレベルの協定を企図。
    特に、投資前の投資の許可の段階での内国民待遇を規定するのは、日本の協定では日星経済連携協定の投資関連部分と日韓投資協定が始めての試み。
    日韓経済関係緊密化に向けた最初の取り組みとして、投資の許可についての内国民待遇など投資の自由化に関する原則を確立することにより、両国間の投資の相互促進につながるものと期待。

  3. 新たに盛り込まれた主な条項等

    (1) 内国民待遇(NT)、最恵国待遇(MFN)(第2条)
    設立前の最恵国待遇(MFN)、設立後(投資財産、投資関連事業活動の保護)の内国民待遇(NT)、最恵国待遇(MFN)に加えて、設立前の内国民待遇(NT)が新たに付与されることとなった。
    (2) 留保・一般例外
    i. 既存の措置(第5条)
    協定のNT/MFN規定(第2条)、役員の国籍要求禁止規定(第8条3項)、パフォーマンス要求(特定措置の履行要求)禁止規定(第9条)と非整合的な既存のすべての措置がリスト化され、SS/RBをかけるものとかけないものに分けて明記している。
    ii. 緊急時の措置(第16条)
    戦乱等の国家安全保障に関わる事態が生じ協定と非整合的な措置を導入する際は、相手国に当該措置の内容を通報する義務を課した。
    (3) 透明性条項(第7条)
    投資関連法制、規則の公表義務に加え、締約国が他の締約国に対して新たに当該法制等の照会をする権利を盛り込んだ。
    (4) パフォーマンス(特定措置の履行)要求の禁止(第9条)
    MAIを参考にし、可能な限り幅広いパフォーマンス要求の禁止を盛り込むことを規定した。禁止されたパフォーマンス要求の例は次のとおり。
    a) 輸出要求
    b) ローカルコンテント要求
    c) 国産品、サービス調達要求
    d) 技術移転要求
    e) 現地人雇用要求
    また、WTO TRIMs協定を踏まえ、a)~c)などについては利益付きであっても禁止することとなった。
    (5) 合同委員会の設置(第20条)
    本協定の実効性を確保するために合同委員会の設置を規定し、その定期的な開催を盛込んだ。
    (6) 労働(前文)
    投資環境改善のための理念の一環として、前文で労使関係の重要性に言及した。

  4. 参考:共同テキストの骨格

    協定前文 労働関連部分抜粋
    両締約国における投資を促進する上で、労使間の協調的な関係の重要性を認識することについて記述。

    第1条 投資家及び投資財産等の定義

    第2条 設立前・設立後の内国民待遇、設立前・設立後の最恵国待遇
    締約国は投資財産の設立、維持、運営、拡大、処分等に関し、内国民待遇及び最恵国待遇を付与。

    第3条 裁判を受ける権利
    司法、行政訴訟へのアクセス・権利保護に関し、締約国は投資家に対し、内国民待遇又は最恵国待遇を付与。

    第4条 附属書Ⅰに係る例外措置の採用及び維持
    締約国は、附属書Ⅰで特定化された分野(電気、ガス等)に関し、協定上の義務(内国民待遇及び最恵国待遇等)と整合的でない措置を採用し、また維持することができる。

    第5条 附属書Ⅱに係る例外措置の維持
    締約国は、附属書Ⅱで特定化された分野(石油業、鉱業等)に関し、協定上の義務と整合的でない措置を維持することができるが、新たな例外措置を採用することが禁止される。
    (注)附属書ⅠはSS/RBがかからない分野(例:武器産業、航空機産業、電力、ガス等)。附属書ⅡはSS/RBがかかる分野(例:石油業、鉱業、熱供給業等)。

    第6条 知的財産権に係る確認規定
    本協定は、知的所有権に係る国際合意(TRIPS等)の権利義務を侵害しない。

    第7条 透明性条項
    締約国は、投資に影響を与えるような締約国の法令及び司法決定等を、速やかに公表し、公に利用可能なものにする。

    第8条 投資に関連する他国の国民の入国に対する配慮
    一方の締約国の企業が、投資手続中であるような投資財産の設立、管理、又は運営に関する助言を行うことを目的とする場合には、締約国は入国、滞在、就労許可に関する法令に従って、一時的な入国、滞在、就労の許可を付与しなくてはならない。
    入国を認める際に、経済上の需要を考慮する要件による人数制限を行わない。

    第9条 パフォーマンス(特定措置の履行)要求の禁止
    締約国は、投資家が自国において投資及び業務活動を行う場合に、(1)物、サービスの輸出要求、(2)ローカルコンテント要求等を課してはいけない。

    第10条 収用と補償
    締約国は、投資家の投資財産の収用・国有化を行う際して、公共目的及び適切な補償を行わなければならない。収用に伴う補償は、公正な市場価格に基づき遅滞なく支払わなければならない。

    第11条 非常事態時の補償
    敵対行為又は革命等の発生により、国家の緊急事態による被害に対する現状回復、補償に関し、投資家は内国民待遇又は最恵国待遇を付与される。

    第12条 送金規定
    締約国は、投資財産に係るすべての支払いは、遅滞なく国内外へ自由に移転されることを確保する。

    第13条 請求権代位
    締約国等が投資家に対し、投資財産に付帯される保険契約に基づく支払いを行う場合、一方の締約国は請求権の移転及び投資家と同範囲での請求権代位を承認する。

    第14条 国対国の紛争処理
    締約国は、協定の解釈等について協議を行う。円満な解決が図れない場合、拘束力を有する決定を得るため、一方の締約国の要請に基づき、仲裁裁判所へ付託される。

    第15条 投資家対国の紛争処理
    当該紛争が生じた場合、可能な限り協議又は交渉によって処理されなければならない。処理されない場合、投資家は(1)投資紛争解決国際センター又は(2)国連国際商取引法委員会仲裁規則等に基づく紛争解決方法に訴えることができる。

    第16条 一般例外(緊急時の安全保障例外)
    自国の安全保障維持等のために必要な場合、締約国は協定の規定に関わらず、必要な措置を講じることができる。

    第17条 暫定セーフガード
    対外金融危機等が生じた場合、締約国は、第2条(内国民待遇)と第12条(送金自由)の規定と整合的でない措置を講じることができる。

    第18条 プルーデンシャルメジャーズ(信用秩序維持のための措置)
    締約国は、本協定の規定に関わらず、投資家及び預金者等の保護のための信用秩序維持のための措置(投資家、預金者、保険契約者、信託上の義務を負う者を保護し、金融体系の健全性及び安全性を確保するための措置を含む)を採用することができる。

    第19条 租税
    第1条(投資家及び投資財産等の定義)、第3条(裁判を受ける権利)、第7条(透明性条項)、第10条(収用と補償)、第22条(協定の適用)、第23条(最終規定)の規定を除き、租税に係る課税措置には適用しない。

    第20条 合同委員会の設置
    締約国は、協定の目的を達成するために、協定の実施等に係る協議を行うこと等を任務しする合同委員会を設置する。

    第21条 環境規定
    締約国は、環境上の措置の緩和を通じて他方の投資家による投資を奨励することが適切でないことを認める。

    第22条 協定の適用
    締約国は、地方政府によるこの協定の遵守を確保するため、利用し得る妥当な措置をとる。第2条2項(最恵国待遇)の規定は、各締約国が、自由貿易地域若しくは関税同盟の構成国又は経済統合のための国際協定その他これに類する国際協定の当事者であることに伴う特恵的な待遇には適用されない。

    第23条 最終規定
    本協定は、所定の国内手続きを了した旨を通告する外交上の公文の交換の日の後
    30日の日に発効し、有効期間は10年とする。本協定の終了前に取得された投資財産に関しては、終了の日から更に10年間効力を有する。

    附属書(附属書Ⅰ、附属書Ⅱ)
    第2条(内国民待遇・最恵国待遇)、第8条3項(役員の国籍要求の禁止)、第9条(特パフォーマンス要求(定措置の履行要求)の禁止)の適用における例外に係る分野又は事項について定める。


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