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投資の促進及び保護に関する日本国政府と香港政府との間の協定

日本国政府及び香港の外交について責任を有する主権国家の政府によりこの協定を締結することについて正当に授権された香港政府(以下「締約政府」という。)は、一方の締約政府の投資家による他方の締約政府の地域内における投資を増加させるための良好な条件を作り出すことを希望し、投資の促進及び相互保護が、事業に係る個々の自発的活動の促進に貢献し、両締約政府の地域において一層の繁栄をもたらすこととなることを認識して、次のとおり協定した。

第一条

この協定の適用上、

(1) 「地域」とは、

(a) 日本国に関しては、日本国の主権の下にある領域(領海を含む。)をいう。

(b) 香港に関しては、香港島、九龍及び新界をいう。

(2) 「会社」とは、

(a) 日本国に関しては、有限責任のものであるかないか、法人格を有するものであるかないか、また、金銭的利益を目的とするものであるかないかを問わず、日本国の法令に基づいて設立され、かつ、その地域内に住所を有する社団法人、組合、会社及び団体をいう。

(b) 香港に関しては、有限責任のものであるかないか、法人格を有するものであるかないか、また、金銭的利益を目的とするものであるかないかを問わず、香港において施行されている法令に基づいて設立された社団法人、組合及び団体をいう。

(3) 「投資財産」とは、次のものを含むすべての種類の資産をいう。

(a) 動産及び不動産に関する権利

(b) 株式及びその他の形態の会社の持分

(c) 金銭債権又は金銭的価値を有する契約に基づく給付の請求権

(d) 開示されていない情報を含む知的所有権及び営業用の名称

(e) 天然資源の探査及び採掘のための権利等の特許に基づく権利であって、法律又は契約に基づいて与えられるもの

       投資された資産の形態の変更は、投資財産としての性質に影響を及ぼさない。

(4) 「投資家」とは、

(a) 日本国に関しては、次のものをいう。

(ⅰ) 日本国の国籍を有する自然人

(ⅱ) (2)(a)に定義された会社

(b) 香港に関しては、次のものをいう。

(ⅰ) 香港の地域に居住する権利を有する自然人

(ⅱ) (2)(b)に定義された会社

(5) 「収益」とは、利益、利子、資本利得、配当、使用料、手数料等の投資資産から生ずる価値をいう。

(6) 「投資に関連する事業活動」には、次のものを含む。

(a) 支店、代理店、事務所、工場その他の事業活動の遂行のための適当な施設の維持

(b) 投資家により設立され又は取得された会社の支配及び経営

(c) 会計士等の技術者、高級職員、弁護士、代理を業とする者その他の専門家の雇用

(d) 契約の締結及び履行

(e) 投資財産及び収益の使用、享受又は処分で事業活動の遂行に関連するもの

第二条

1 各締約政府は、他方の締約政府の投資家による投資が自己の地域内において行われるための良好な条件を醸成し、及び関係法令によって与えられた権限を行使する自己の権利を留保の上、これらの投資を許可する。

2 いずれの一方の締約政府の投資家も、他方の締約政府の地域内において、投資の許可及び投資の許可に関連する事項に関し、両締約政府以外の政府の投資家に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。

3 各締約政府の投資家の投資財産及び収益は、他方の締約政府の地域内において、常に公正かつ衡平な待遇を与えられ、並びに完全な保護及び保障を享受する。いずれの締約政府も自己の地域内において、不当な又は差別的な措置により、他方の締約政府の投資家の投資に関連する事業活動をいかなる意味においても阻害してはならない。各締約政府は、他方の締約政府の投資家の投資に関して義務を負うこととなった場合には、当該義務を遵守する。

第三条

いずれの一方の締約政府の投資家も、他方の締約政府の地域内において、投資財産、収益及び投資に関連する事業活動に関し、当該他方の締約政府又は両締約政府以外の政府の投資家に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。

第四条

いずれか一方の締約政府が自己の地域内において他方の締約政府の投資家に対し当該投資家の権利の行使及び擁護のためすべての審級にわたり裁判所の裁判を受け及び行政機関に対して申立てをする権利に関して与える待遇は、当該一方の締約政府又は両締約政府以外の政府の投資家に与える待遇よりも不利な待遇であってはならない。

第五条

1 正当な法の手続に従って、公共のために、かつ、無差別の原則に基づいて行われる収用又はこれと同等の効果を有する措置であって補償を伴うものによる場合を除くほか、いずれの一方の締約政府の投資家の投資財産及び収益も、他方の締約政府の地域内において、収用又はこれと同等の効果を有する措置(以下単に「収用」という。)の対象としてはならない。当該補償は、収用が行われた時又は差し迫った収用が公表された時のいずれか早い方の時における投資財産及び収益の実際の価格に相当するもの(収用が行われるとの見通しによって実際の価格の減少が生じていた場合には、当該減少がなかったものとして計算する。)でなければならず、並びに不当に遅滞することなく、かつ、支払の時までの期間を考慮した妥当な利子を付して支払われなければならない。当該補償は、実際に換価をすることのできるものでなければならず、並びにその交換及び移転は、自由でなければならない。

2 影響を受けた投資家は、自己の事案及び補償の価額に関し、この条に規定される原則によって審査を受けるために、収用を行った締約政府の管轄裁判所の裁判を受け又は行政機関に対して申立てをする権利を有する。ただし、第九条の規定の適用を妨げない。

3 一方の締約政府が、自己の地域内で施行されている法令に基づいて設立された会社であって他方の締約政府の投資家が当該会社の株式又は他の利益を有するものの資産を収用する場合には、当該一方の締約政府は、当該投資家の投資財産及び収益に関し、1に規定する補償を当該投資家に対して保証するために必要な範囲内で、1及び2の規定の適用を確保する。

4 いずれの一方の締約政府の投資家も、他方の締約政府の地域内において、1から3までに規定する事項に関し、当該他方の締約政府又は両締約政府以外の政府の投資家に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。

第六条

1 いずれか一方の締約政府の投資家で、他方の締約政府の地域内において、敵対行為の発生又は革命、反乱、暴動、騒乱等の国家緊急事態により投資財産、収益又は投資に関連する事業活動に関して損害を被ったものは、当該他方の締約政府によってとられる原状回復、補償、他の補償的措置等のいかなる措置に関しても、他方の締約政府又は両締約政府以外の政府の投資家に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。このような措置の結果支払われるものは、実際に換価をすることのできるものでなければならず、並びにその交換及び移転は、自由でなければならない。

2 1の規定を害することなく、一方の締約政府の投資家であって他方の締約政府の地域内において1に規定するいずれかの事態において次に掲げる行為により損失を被ったものは、原状回復又は妥当な補償が与えられる。その結果支払われるものは、実際に換価をすることのできるものでなければならず、並びにその交換及び移転は、自由でなければならない。

(a) 当該他方の締約政府の当局による当該一方の締約政府の投資家の財産の徴発

(b) 当該他方の締約政府の当局による当該一方の締約政府の投資家の財産の破壊であって当該事態において必要とはされなかったもの

3 2の適用上、香港に関しては、「当局」には、香港の外交について責任を有する主権国家の政府の軍隊が含まれるものとする。

第七条

1 各締約政府は、投資に関し、他方の締約政府の投資家に対して、当該各締約政府の地域外又は地域内への当該投資家の投資財産及び収益の移転(支払の資金、貸付けの返済のための資金、売上金、投資財産の金部又は一部の清算によって得られる収入及び当該各締約政府の地域内の投資財産において就労することを認められた個人の賃金の移転を含む。)を自由に行う権利を保証する。

2 通貨の送金は、いずれの自由交換可能通貨によっても遅滞なく行われるものとする。

第八条

いずれか一方の締約政府又は当該締約政府によって指定された機関が、当該一方の締約政府の投資家に対し、他方の締約政府の地域内にある投資財産及び収益に関して、当該一方の締約政府の関係法令に従って引き受けた損害のてん補、保証又は保険契約に基づいて支払を行う場合には、当該他方の締約政府は、当該支払の原因となった投資財産及び収益に対する当該投資家の権利又は請求権の当該一方の締約政府又は当該締約政府によって指定された機関への移転並びに当該投資家の請求権又は訴権についての当該一方の締約政府又は当該締約政府によって指定された機関による代位で当該移転に関連して生ずるものを承認する。当該一方の締約政府又は当該締約政府によって指定された機関に対する支払及び当該支払の移転については、第五条、第六条及び前条の規定を準用する。

第九条

1 一方の締約政府の投資家と他方の締約政府との間の紛争であって当該他方の締約政府の地域内における当該投資家による投資に関するものは、可能な限り、紛争の当事者間の友好的な協議により解決されるものとする。

2 一方の締約政府の投資家と他方の締約政府との間の紛争であって当該他方の締約政府の地域内における当該投資家による投資に関するものが友好的に解決されない場合には、当該紛争は、紛争のいずれか一方の当事者の書面による請求から六箇月の期間を満了した後に紛争の解決のための手続で紛争の当事者間で合意されたものに付託されるものとする。当該六箇月の期間内に当該手続につき合意が得られなかった場合には、紛争は、当該投資家の要請により国際連合国際商取引法委員会の仲裁規則であってその時点で有効なものに基づいて仲裁に付託されるものとする。紛争の当事者は、書面により当該仲裁規則の修正について合意することができる。

3 2の規定は、いずれか一方の締約政府の投資家が他方の締約政府の地域内において行政的又は司法的解決を求めることができることを妨げるものと解してはならない。ただし、当該投資家が、当該他方の締約政府の地域内において、自己の投資に関する紛争について行政的又は司法的解決を求めている場合は、当該紛争を2に規定する仲裁に付託することはできない。

4 いずれか一方の締約政府の会社であって他方の締約政府の投資家により所有され又は支配されているものが行う投資から紛争が生ずる場合には、当該投資家は、当該会社に代わって当該紛争を2に規定する仲裁に付託することができる。

第十条

この協定は、一方の締約政府の投資家の投資財産及び収益であって、この協定の効力発生の日前及び効力発生の日以後に他方の締約政府の地域内において当該他方の締約政府の関係法令に従って取得されたものについて適用する。

第十一条

1 両締約政府は、この協定の解釈又は適用に関する問題についていずれか一方の締約政府の要請がある場合には、協議する。

2 この協定の解釈又は適用に関して両締約政府の間に紛争が生じた場合には、両締約政府は、まず、交渉による紛争の解決に努める。

3 両締約政府が交渉によって2の紛争を解決することができなかった場合には、当該紛争は、いずれか一方の締約政府の要請により、次に定める方法に従って構成される仲裁裁判所に決定のため付託されるものとする。

(a) 各締約政府は、書面による仲裁の要請を受領した後三十日の期間内にそれぞれ一人の仲裁人を任命する。任命された二人の仲裁人は、いずれか遅く任命された仲裁人の任命が行われた日以後六十日の期間内に、紛争に関し中立と認められる国の国民一人を合意によって第三の仲裁人として任命するものとし、当該第三の仲裁人は、仲裁裁判所の長として行動する。

(b) 各締約政府の任命した仲裁人が(a)に規定する期間内に第三の仲裁人について合意しなかった場合には、いずれの一方の締約政府も、個人としての国際司法裁判所長に対し、三十日の期間内に必要な任命を行うよう要請することができる。国際司法裁判所長が、自らが紛争に関し中立とはみなされない国の国民であると認める場合又は他の理由により当該第三の仲裁人の任命を行うことができないと認める場合には、いずれか一方の締約政府は、個人としての国際司法裁判所次長又は、それが不可能なときは、同様の理由により不適格であるとはされない個人としての同裁判所の最も上席の裁判官に対し、任命を行うよう要請することができる。

4 仲裁裁判所は、両締約政府の間で別段の合意のある場合を除くほか、自己の管轄権の範囲を決定し、及び自己の手続について定める。

5 仲裁裁判所は、審問又は、審問が行われない場合には、両締約政府による陳述の終了後六十日の期間内に決定を行うよう最善の努力を払う。

6 仲裁裁判所の決定は、最終的なものとし、両締約政府を拘束する。

7 各締約政府は、自らが任命した仲裁人に係る費用を負担する。国際司法裁判所長、同次長又は同裁判所の最も上席の裁判官が3(b)に規定する手続を実施するために要した費用を含む仲裁裁判所のその他の費用については、両締約政府が平等に負担する。

第十二条

1 第三条の規定は、いずれか一方の締約政府に対し、両締約政府以外の政府との間の相互主義に基づき又は二重課税の回避若しくは脱税の防止のための協力により与えている租税に関する特別の利益を、他方の締約政府の投資家に与えることを義務付けるものと解してはならない。

2 第三条の規定にかかわらず、いずれか一方の締約政府が次に掲げる事項に関して他方の締約政府の投資家に与える待遇は、両締約政府以外の政府の投資家に対して与える待遇よりも不利でない待遇に限定することができる。

(a) 当該いずれか一方の締約政府の権限ある当局の航空機登録原簿に航空機を登録する条件及びその登録から生ずる事項並びに船舶の国籍に関する事項又はその国籍から生ずる事項

(b) 船舶又は船舶に関する利益の取得

3 第三条の規定にかかわらず、いずれの一方の締約政府も、自己の地域内における外国人及び外国会社の活動に関して特別の手続を定めることができる。ただし、当該手続が第三条に定める権利を実質的に害するものでないことを条件とする。

第十三条

1 いずれか一方の締約政府の投資家により所有され又は支配される非締約政府の会社は、他方の締約政府の地域内において次の待遇を与えられる。

(a) 第二条2に定める事項に関し、両締約政府以外の政府の投資家により所有され又は支配される同様の会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇

(b) 第三条、第五条1から3まで、第六条及び第十条に定める事項に関し、当該他方の締約政府又は両締約政府以外の政府の投資家により所有され又は支配される同様の会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇

2 1の規定は、1に規定する非締約政府及び他方の締約政府が署名当事者となっている国際協定であって投資の促進及び保護に関するものが当該非締約政府の会社に適用される場合には、適用しない。

第十四条

第一条(3)の規定に関し、この協定のいかなる規定も、知的所有権に関する国際協定であって 両締約政府が当事者となっているものに基づく権利及び義務を害するものと解してはならない。

第十五条

1 この協定は、この協定の効力発生に必要な自己の要件が満たされた旨を通告する公文が両締約政府の間で交換された日に効力を生ずる。

2 この協定は、十五年の期間効力を有するものとし、その後は3の規定に従って終了する時まで引き続き効力を有する。

3 いずれの一方の締約政府も、一年前に他方の締約政府に対して書面による予告を与えることにより、最初の十五年の期間の終わりに又はその後いつでもこの協定を終了させることができる。

4 この協定の終了の日の前に取得された投資財産及び収益に関しては、前各条の規定は、この協定の終了の日から更に十五年の期間引き続き効力を有する。

以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。

千九百九十七年五月十五日に東京で、ひとしく正文である日本語、中国語及び英語により本書二通を作成した。



議定書

投資の促進及び保護に関する日本国政府と香港政府との間の協定(以下「協定」という。)に署名するに当たり、下名は、協定の不可分の一部を成す次の規定を協定した。

1 協定第六条2の規定にかかわらず、日本国政府は、その法令に従い、香港の投資家に対し原状回復を行い、又は補償を与える。

2 協定第七条1の規定にかかわらず、日本国政府は、例外的な金融状況又は経済状況においては、その法令に従いかつ国際通貨基金協定に定めるところによって為替制限を課することができる。

以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの議定書に署名した。

千九百九十七年五月十五日に東京で、ひとしく正文である日本語、中国語及び英語により本書二通を作成した。

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