経済産業省
文字サイズ変更

条約第十号

投資の促進及び保護に関する日本国とスリ・ランカ民主社会主義共和国との間の協定

日本国及びスリ・ランカ民主社会主義共和国は、

両国間の経済的協力を強化することを希望し、投資及び投資に関連する事業活動についての待遇を良好なものとすること並びに投資財産の保護を図ることを通じて、それぞれの国の国民及び会社による他方の国の領域内における投資のための良好な条件を作り出すことを意図し、投資の促進及び保護が、両国の経済を利するように資本及び技術の交流を促すこととなることを認識して、

次のとおり協定した。

第一条

この協定の適用上、

(1) 「投資財産」とは、次のものを含むすべての種類の資産をいう。

(a) 株式及びその他の形態の会社の持分

(b) 金銭債権及び金銭的価値を有する契約に基づく給付の請求権

(c) 動産及び不動産に関する権利

(d) 特許権、商標権、営業用の名称及び営業用の標章に関する権利その他の工業所有権並びにノウハウに関する権利

(e) 天然資源の探査及び採掘のための権利を含む特許に基づく権利

(2) 「収益」とは、投資財産から生ずる価値、特に、利益、利子、資本利得、配当、使用料及び手数科をいう。

(3) 「国民」とは、

(a) 日本国に関しては、日本国の国籍を有する自然人をいう。

(b) スリ・ランカに関しては、スリ・ランカの法律の定めるところによりスリ・ランカの市民である自然人をいう。

(4) 「会社」とは、有限責任のものであるかないか、法人格を有するものであるかないか、また、金銭的利益を目的とするものであるかないかを問わず、 社団法人、組合、会社及び団体をいう。一方の締約国の関係法令に基づいて設立され、かつ、当該一方の締約国の領域内に住所を有する会社は、 当該一方の締約国の会社と認められる。

第二条

1 各締約国は、関係法令に従つてその権限を行使する権利を留保の上、 他方の締約国の国民及び会社による投資が自国の領域内において行われるための良好な条件を醸成し、 及びこれらの投資を許可する。

2 いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、 投資の許可及び投資の許可に関連する事項に関し、第三国の国民及び会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。

3 2の規定にかかわらず、いずれの一方の締約国も、不動産に関する権利についての待遇を相互主義に基づいて与えるものとすることができる。

第三条

1 いずれの一方の締約国も、自国の領域内において、他方の締約国の国民及び会社の投資財産及び収益に対し、 自国の国民及び会社又は第三国の国民及び会社の投資財産及び収益に与える待遇よりも不利な待遇を与えてはならない。

2 いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、投資に関連する事業活動に関するすべての事項について、 当該他方の締約国の国民及び会社又は第三国の国民及び会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。

3 1及び2の規定にかかわらず、いずれの一方の締約国も、次のことを行うことが認められる。

(1) 次のものに関し、内国民待遇を与えないこと。

(a) 自国の航空機登録原簿に航空機を登録する条件及びその登録から生ずる事項並びに船舶の国籍に関する事項又はその国籍から生ずる事項

(b) 銀行業に関する活動及び船舶又は船舶に関する利益の取得

(2) 相互主義に基づき、又は二重課税の回避のため若しくは脱税の防止のための協定により、租税に関する特別の利益を与えること。

(3) 自国の領域内における外国人及び外国会社の活動に関して特別の手続を定めること。ただし、当該手続が2の権利を実質的に害するものでないことを条件とする。

第四条

いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、 自己の権利の行使及び擁護のためすべての審級にわたり裁判所の裁判を受け及び行政機関に対して申立てをする権利に関し、 当該他方の締約国の国民及び会社又は第三国の国民及び会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。

第五条

1 いずれの一方の締約国の国民及び会社の投資財産及び収益も、他方の締約国の領域内において、不断の保護及び保障を受ける。

2 いずれの一方の締約国の国民及び会社の投資財産及び収益も、他方の締約国の領域内において、公共のため、かつ、正当な法の手続に従つてとられるものであり、差別的なものでなく、また、迅速、適当かつ効果的な補償を伴うものである場合を除くほか、収用、国有化若しくは制限又は収用若しくは国有化と同等の効果を有するその他の措置の対象としてはならない。

2にいう補償は、収用、国有化若しくは制限又は収用若しくは国有化と同等の効果を有するその他の措置が公表された時と当該措置がとられた時とのいずれか早い方の時における投資財産及び収益の通常の市場価格に相当する価額(最終的にとられることとなつた当該措置が見通されたことによる当該市場価格の減少分を差し引かないものとする。)のものでなければならない。補償は、遅滞なく行われなければならず、かつ、支払の時までの期間を考慮した妥当な利子を付したものでなければならない。補償は、実際に換価をすることのできるもので行われなければならず、かつ、補償の移転は、自由でなければならない(その換価又は移転に当たつて用いる外国為替相場は、補償の価額の決定がされた日のものとする。)。補償を決定し及び実施するため、収用、国有化若しくは制限又は収用若しくは国有化と同等の効果を有するその他の措置がとられる時までに、妥当な方法で適当な準備をしなければならない。

2及び3の規定は、次のものについても、適用する。

(1) いずれか一方の締約国の国民及び会社が、他方の締約国の領域内において収用、国有化若しくは制限又は収用若しくは国有化と同等の効果を有するその他の措置の対象とされる投資財産及び収益に対して有する利益

(2) いずれか一方の締約国の国民及び会社が、直接の利益を有する他の会社を通じて有する利益

5 いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、1から4までに定める事項に関し、当該他方の締約国の国民及び会社又は第三国の国民及び会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。

第六条

いずれか一方の締約国の国民及び会社で、他方の締約国の領域内において、敵対行為の発生又は国家緊急事態により投資財産、収益又は投資に関連する活動に関して損害を被つたものは、原状回復、損失補償又はその他の補償的措置に関し、当該他方の締約国の国民及び会社又は第三国の国民及び会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えられる。この条の規定に基づく支払は、実際に換価をすることのできるもので行われなければならず、かつ、支払の移転は、自由でなければならない。

第七条

いずれか一方の締約国が、自国の国民又は会社に対し、他方の締約国の領域内にある投資財産及び収益に関して引き受けた保証に基づき支払を行う場合には、当該他方の締約国は、当該支払の原因となつた投資財産及び収益に対する当該国民又は会社の権利又は請求権の当該一方の締約国への移転及びこれに関連して生ずる当該国民又は会社の請求権又は訴権についての当該一方の締約国による代位を承認する。権利又は請求権の移転に基づき当該一方の締約国に対し支払われる資金の移転については、第五条2から5まで、前条及び次条の規定を準用する。

第八条

1 いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国により、両締約国の領域の間及び当該地方の締約国の領域と第三国の領域との間に行われる支払、送金及び投資財産の清算の価額を含む金銭証券又は資金の移転の自由を保証される。

1の規定にかかわらず、いずれの一方の締約国も、例外的な金融状況又は経済状況においては、自国の法律に従い、かつ、国際通貨基金協定の締約国である限り同協定に従つて、為替制限を課することができる。

第九条

この協定は、いずれか一方の締約国の国民及び会社の投資財産及び収益で、この協定の効力発生前に他方の締約国の領域内において当該他方の締約国の関係法令に従つて取得されたものについても、適用する。

第十条

この協定は、両締約国間の外交関係又は領事関係の有無にかかわらず、適用する。

第十一条

いずれか一方の締約国の国民又は会社及び他方の締約国は、当該国民又は会社が当該他方の締約国において行う投資から生ずる法律上の紛争を、千九百六十五年三月十八日にワシントンで作成された国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決に関する条約の規定が両締約国の間で効力を有する限り、同条約の規定に従い、調停又は仲裁に付託することができる。各締約国は、他方の締約国の国民又は会社が行う投資から生ずる法律上の紛争を、当該国民又は会社の要請があつたときは、同条約に規定する調停又は仲裁に付託することに同意しなければならない。紛争の当事者が当該紛争を調停又は仲裁に付託することに同意する日の前又は同日に他方の締約国の国民又は会社が支配していた又は支配している一方の締約国の会社は、同条約の適用上、同条約第二十五条(2)(b)の規定に従い、他方の締約国の会社として取り扱う。調停又は仲裁のいずれがより適切な手続であるかについて意見が一致しない場合には、当事者である国民又は会社がそのいずれかを選択する権利を有する。

第十二条

1 いずれか一方の締約国の国民又は会社が実質的な利益を有する会社は、他方の締約国の領域内において、次の待遇を与えられる。

(1) 第二条2に規定する投資の許可及び投資の許可に関連する事項に関し、第三国の国民又は会社が実質的な利益を有する同様の会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇

(2) 第三条、第五条1、第六条及び第九条に定める事項に関し、当該他方の締約国の国民若 しくは会社又は第三国の国民若しくは会社が実質的な利益を有する同様の会社に与えられる待遇よりも不利でない待遇

1の規定の適用を受ける会社は、いずれか一方の締約国の国民又は会社が支配し、又は決定的な影響力を及ぼすことのできる会社とする。その領域内において投資の行われる締約国は、他方の締約国と事前に協議した後、誠実にかつ無差別の原則に基づきこの条の会社に該当する会社を決定する。

第十三条

1 各締約国は、この協定の運用に影響を及ぼす問題に関して他方の締約国の行う申入れに対し好意的な考慮を払うものとし、また、当該申入れに関する協議のための適当な機会を与える。

2 この協定の解釈又は適用に関する両締約国間の紛争で外交交渉によつても満足な調整に至らなかつたものは、仲裁委員会に決定のため付託する。仲裁委員会は、いずれか一方の締約国が他方の締約国から紛争の仲裁を要請する公文を受領した日から三十日の期間内に各締約国が任命する各一人の仲裁委員と、このようにして選定された二人の仲裁委員がその後の三十日の期間内に合意する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員から成る。ただし、第三の仲裁委員がいずれの締約国の国民でもない者であることを条件とする。

3 各締約国の任命した仲裁委員が2に規定するその後の三十日の期間内に第三の仲裁委員について合意しなかつた場合には、 両締約国は、国際司法裁判所長に対し、いずれの締約国の国民でもない第三の仲裁委員を任命するよう要請する。

4 仲裁委員会は、投票の過半数による議決で決定を行う。決定は、最終的なものとし、拘束力を有する。

第十四条

いずれの一方の締約国も、 投資を行うこと及び投資に関連する事業活動を行うことを目的として自国の領域に入国し及び滞在する希望を有する他方の締約国 の国民の入国、滞在及び居住に係る申請に対し、自国の関係法令に従い、好意的な考慮を払う。

第十五条

1 この協定のいかなる規定も、著作権に関し、いかなる権利も許与し、又はいかなる義務も議するものと解してはならない。

2 (1) この協定のいかなる規定も、千九百三十四年六月二日にロンドンで改正された工業所有権の保護に関する 千八百八十三年三月二十日のパリ条約の規定又は同条約の規定でその後に改正された規定が両締約国の間で効力を有する限り、 これらの規定によりいずれか一方の締約国が他方の締約国に対して負う義務を害するものと解してはならない。

(2) (1)の規定の適用を妨げることなく、かつ、第三条1の規定にかかわらず、工業所有権に関していずれか一方の締約国が他方の締約国の国民及び会社に与える待遇は、 自国の国民及び会社に与える待遇よりも不利でない待遇に限定することができる。

第十六条

1 この協定は、批准されなければならない。批准書は、できる限り速やかに東京で交換されるものとする。

2 この協定は、批准書の交換の日の後一箇月で効力を生ずる。この協{定な、十年の期間効力を有するものとし、その後においても、 3に定めるところにより終了する時まで十年の期間ずつ効力を存続する。

3 いずれの一方の締約国も、一年前に他方の締約国に対して文書による予告を与えることにより、 最初の十年の期間の終わりに又はその後の各十年の期間の終わりにこの協定を終了させることができる。

4 この協定の終了の日の前に取得された投資財産及び収益に関しては、前各条の規定は、 この協定の終了の日から更に十五年の期間効力を存続する。

以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。千九百八十二年三月一日にコロンボで、ひとしく正文である日本語、シンハラ語及び英語により本書二通を作成した。解釈に相違がある場合には、英文による。

日本国のために

千葉一夫

スリ・ランカ民主社会主義共和国のために

W・M・P・B・マニックディヴニラ

外務大臣 櫻内 義雄

内閣総理大臣 鈴木 善幸

   合意された議事録

下名は、本日署名された投資の促進及び保護に関する日本国とスリ・ランカ民主社会主義共和国との間の協定 (以下「協定」という。)の交渉において到達した次の了解を記録する。

協定第三条2の規定に関し、同規定にいういずれの一方の締約国の国民及び会社による「事業活動」には、特に次のものから成る投資の運用、使用、享受及び処分を含むことが確認される。

(a) 支店、代理店、事務所、工場その他の事業活動の遂行のための適当な施設の維持

  (b) 自己の設立し、又は取得した会社の支配及び経営

  (c) 会計士等の技術者、高級職員、弁護士、代理を業とする者その他の専門家の雇用

  (d) 契約の締結及び履行

  (e) 原材料若しくは補助的な物質、電力若しくは燃料又はすべての種類の生産若しくは操業の手段の購入(これらの輸入を含む。)

  (f) 産品の販売(輸出を含む。)

  (g) 資金の調達又は企業間商業信用の設定

千九百八十二年三月一日にコロンボで

日本国のために
千葉一夫


スリ・ランカ民主社会主義共和国のために
W・M・P・B・マニックディヴニラ

経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.