経済産業省
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サービス貿易

サービス、サービス貿易とは

そもそもサービスとは、何でしょうか?

サービスとは、「役務」ともいい、売買した後にモノが残らず、効用や満足などを提供する、形のない財のことを言います。

サービスには、①無形性(売買の前後で形が目に見えない)、②不可逆性(一度購入すると返品できない)、③非貯蔵性(貯蔵や在庫することができない)といった特徴があります。

具体的には、宅急便などの物流サービス、ファーストフード店やラーメン屋などのレストランサービス、スーパーやコンビニなどの流通サービスなどがあります。

サービス貿易とは、モノ(物品)の貿易のサービス版です。モノの貿易では、自動車やバイク、テレビやブルーレイレコーダー等の家電といったモノが、二カ国間若しくは複数国間で輸出入されますが、サービス貿易では、サービスの輸出入がおこなわれます。

例えば、海外旅行で中国に行ったときに、中国資本のホテルに宿泊することはホテルサービスを受けていますし、アメリカ資本のファーストフード店で食事をすることはレストランサービスを受けていることになり、それらはサービス貿易の結果、我々に提供されるサービスになります。私たちの周りには、様々なサービス貿易によって作り出されるサービスがあふれています。

サービス貿易にかかる国際ルール(WTOサービス貿易一般協定[GATS]とは)

GATSとは

「サービスの貿易に関する一般協定(GATS:General Agreement on Trade in Services)」とは、サービス貿易の障害となる政府規制を対象とした初めての多国間国際協定です。

WTO GATSにおけるサービス貿易の4つのモード(形態)

世界貿易機関(WTO)、EPA/FTAでは、サービス貿易を4つのモードに分類し、4つのモード毎に自由化約束を行っています。(EPA/FTAのサービス貿易でも同様) 4つのモードについて、1つ1つ、具体的な事例とともに見ていきましょう。

(1)第1モード(越境取引)

A国のサービス事業者が、自国に居ながらにして、B国にいる顧客にサービス提供を行う場合

第1モード : 越境取引

(例)
・電話で外国のコンサルタントを利用する
・テレホンセンターの海外へのアウトソーシング

(具体例)
あなたは、ミャンマーに家具の製造工場を作ろうと計画しています。実際に工場を作るかどうかの検討材料を集めるために、ミャンマーにあるコンサルティング会社から、電話とメールにて治安やインフラの整備状況等についてのコンサルティングサービスを受けました。

サービス貿易の第1モードでは、サービスを受ける側も
サービスを提供する側も自分の国にいたまま行われます。

(2)第2モード(国外消費)

A国のサービス事業者が、A国にやってきたB国の顧客に対して、サービスの提供を行う場合

第2モード : 国外消費

(例)
・外国への観光旅行
・外国で船舶・航空機などの修理を行う

(具体例)
あなたは昔から、世界的に活動するイギリスのコーラスグループ「METIハーモニーズ」の大ファンです。来月、ニューヨークで「METIハーモニーズ」が大規模なコンサートを行う予定であり、1泊3日の弾丸ツアーで、ニューヨークに行くことにしました。ニューヨークでは、現地ホテル(アメリカ資本)に宿泊し、地元のステーキレストラン(アメリカ資本)で特大ステーキとサラダを食べ、地元のスーパー(アメリカ資本)でお菓子を買ってから、「METIハーモニーズ」のコンサートを楽しみました。

サービス貿易の第2モードでは、サービスを受ける側が、
サービスが提供される国まで実際に移動し、現地でサービスを受けます。

(3)第3モード(現地拠点を通じたサービス提供)

A国のサービス事業者が、B国に支店・現地法人などの拠点を設置し、その拠点からサービスの提供を行う場合

第3モード : 現地拠点を通じたサービス提供

(例)
・海外支店を通じた金融サービス
・海外現地法人が提供する流通サービス

(具体例)
あなたは出張で、タイに来ています。仕事も無事終わり、一息つくため、近くのコーヒーショップ(アメリカ資本のタイ支店)でコーヒーとサンドウィッチを購入しました。また、お土産を買うお金が足りなくなってしまったので、銀行(中国資本のタイ支店)で両替をしました。

サービス貿易の第3モードでは、サービス提供企業が、海外にて支店や
事務所等の拠点を設立して、その支店等からサービス提供を行います。

(4)第4モード(人の移動)

A国のサービス事業者が、自らの社員や専門家をB国に派遣して、B国にいる顧客にサービスを提供する場合

第4モード : 人の移動

(例)
・招聘外国人アーティストによる娯楽サービス

(具体例)
あなたは広告代理店に勤めており、日本で一番規模の大きい野外音楽フェスの運営・管理を任されました。その野外音楽フェスの一番の目玉として世界的にも有名なイギリスのコーラスグループ「METIハーモニーズ」を日本に招聘し、ライブを行ってもらいました。

サービス貿易の第4モードでは、サービスを提供する人が、相手国へ 物理的に移動し、相手国内にてサービス提供をします。

サービス貿易の4つのモードを復習しましょう!

①~④のサービス貿易のモードは何でしょうか?

あなたは夏休みを利用して幼なじみとフランスへ旅行に行く予定です。幼なじみとの久々の旅行なので、大奮発したゴージャスな旅にしようということになり、ずっと憧れていた最高級の5つ星ホテル(アメリカ資本)に宿泊しようとメールにてホテルの予約をしたのち、飛行機でフランスへと飛び立ちました。

①空港からはタクシー(フランス資本会社)を利用し、ホテルまで向かいました。フランスでは、観光や買い物を十分楽しむと同時に、ふと訪れたクラブで出会った地元で有名なDJのパフォーマンスにすっかり魅せられてしまいました。楽しかった旅行もあっという間に過ぎ、残りも1日。突然、無性にフォーが食べたくなってしまったところ、偶然にもホテルの近くに②ベトナム料理屋(ベトナム資本)があったため、フォーと生春巻きを食べました。
日本に戻った後、仕事で音楽イベントを任されたあなたは、③フランスのクラブであったDJのパフォーマンスが忘れられず、そのイベントに招待し、パフォーマンスをしてもらい、イベントは大成功をおさめました。イベント後、フランスの音楽市場動向の調査を任されたあなたは、④フランスのコンサルティング会社に調査を依頼し、電話とメールにて調査結果を受けとり、日本市場と比較した報告書を作成しました。

サービス貿易の4つのモードについて、イメージがわきましたでしょうか!

①第2モード(国外消費) サービス貿易の第2モードでは、サービスを受ける側が、サービスが提供される国まで実際に移動し、現地でサービスを受けます。問題では、あなた自らフランスに移動し、タクシーやホテルサービスを受けているので第2モードです。

②第3モード(現地拠点を通じたサービス提供) サービス貿易の第3モードでは、サービス提供企業が、海外にて支店や事務所等の拠点を設立して、その支店等からサービス提供を行います。問題では、ベトナム企業がフランス国内に設立したベトナムレストランの現地支店を通じて、フォーと生春巻きの料理の提供(レストランサービス)を受けているので第3モードです。

③第4モード(人の移動) サービス貿易の第4モードでは、サービス提供をする人が、提供する国へ実際に移動し、移動先の国にてサービス提供をします。問題では、サービスを提供するフランスの有名なDJ自らが日本へと移動し、日本国内にてパフォーマンスというサービスを行っているので、第4モードです。

④第1モード(越境取引) サービス貿易の第1モードでは、サービスを受ける側もサービスをする側も自分の国にいたまま行われます。問題では、あなたは日本にいながら、フランスのコンサルティング会社から調査サービスを受けているので第1モードです。

GATSにおける規律

GATSにおける規律については以下の通りです。

GATSにおける規律

GATSの下、WTO加盟国は、最恵国義務、市場アクセス義務、内国民待遇義務等を負います。

最恵国待遇 (MFN : Most-favored-Nation Treatment) 義務

加盟国のサービス・サービス提供者に対して、他の加盟国の同種のサービス・サービス提供者に与える待遇より、不利でない待遇を与えなければならない。
⇒加盟国がお互いに平等・無差別に扱われる。

市場アクセス(MA : Market-Access) 義務

加盟国は、自由化を約束する分野・モード・内容を自国の約束表に記載。自国の市場へのアクセスを約束した範囲において、以下の措置が禁止。

      
  • >サービス提供者の数の制限(例:需給調整に基づく免許の付与)
  • >サービスの取引総額・資産の制限(例:国内マーケットにおける外資系企業の占めるシェアの制限)
  • >サービスの事業の総数又は指定された数量単位によって表示されたサービスの総産出量の制限
    (例:テレビでの外国映画の放映時間の制限)
    (例:交通機関の運行回数の制限)
  • >サービス提供に必要であり、かつサービス提供に直接関係する自然人の総数の制限
    (例:サービス産業に従事する外国人労働者の入国・滞在の制限、一定数の現地人雇用義務づけ)
  • >サービスを提供する事業体の形態の制限・要求(例:支店設置要求、合弁要求、法人設立要求)
  • >外国資本の参加の制限(例:外国資本の出資比率上限 50%未満)

内国民待遇 (NT : National-Treatment) 義務

約束表で約束した範囲において、他の加盟国のサービス・サービス提供者に対して、自国の同種のサービス・サービス提供者に与える待遇よりも不利でない待遇を与えなければなりません。
⇒国内サービス・サービス提供者と海外サービス・サービス提供者が同等に扱われます。

GATSの構造

GATSの構造については以下の通りです。

GATSの構造

GATSは、基本的に、協定本文・8つの附属書・加盟国それぞれの約束表で構成。

GATS協定本文

以下リンクより、GATSの協定本文をご参照ください。

GATS協定本文 和文 英文

GATSにおける日本の特定の約束

以下リンクより、GATSのサービスにおける日本の特定の約束をご参照ください。

初期オファー

http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/wto/wto_db/html/service_offer0307.html

改訂オファー:未発効

http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/wto/pdf/negotiation/service/revicedoffer.pdf

参考:WTO事務局のサービス分類

WTO事務局では、GATSにおいてサービスを以下の分類に分け、自由化約束を行う対象としています。

WTO事務局のサービス分類

WTO事務局のサービス分類の詳細

WTOサービス交渉の詳細については、以下をご覧ください。

http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/wto/negotiation/service/service.html

経済連携協定(EPA/FTA)におけるサービス貿易

EPA/FTAサービス貿易とは?GATSとの関係は?

EPA/FTAのサービス貿易に関するルールは、協定を締結した相手国との間(主に二カ国間)において、サービス貿易を行う際の外資出資規制などの障壁を除去し、サービス貿易に関する政府の措置の透明性を高めることによって両国間におけるサービスの自由化を促進することを目的としています。

サービス貿易に関する国際ルール及びサービスの分野別自由化約束については、WTO GATSが存在し、WTO加盟国間においては一定のルール及び自由化約束が既に締結されています。よって、EPA/FTAでは、GATSで規定されているルール及びサービスの分野別自由化約束をベースとしつつも、GATSを上回るルール及び自由化約束(「GATSプラス」という)が行われます。

サービスにおける国際協定WTO GATSと経済連携協定

経済連携協定(EPA/FTA)は2国間で結ぶ貿易ルール。物品貿易とともにサービス貿易も協定の対象です。
EPAでは2国間の交渉により、多国間での約束(WTO)よりも、さらに踏み込んだより高いレベルでのサービス貿易の自由化を実現できる枠組みです。
WTOで約束されたサービス自由化の「レベル」及び「範囲」以上のものをEPAで獲得することが可能です。
この点がEPA/FTAにおける成果であり、通常この成果をWTO GATSプラスといいます。

GATSでは小分類まで含め、サービス分野を約150に規定。
各国は自由化できる分野について、分野別に「どういう条件」のもとで「どのレベル」までの自由化が可能かを約束(コミット)している。EPAではこれに加えた+α=“GATSプラス”が鍵。

※EPA/FTAサービス貿易においても、WTO GATSと同様にサービス貿易を4つのモードに分類し、自由化約束が行われます(ポジティブリストで自由化約束をした場合)。
サービス貿易の4つのモードについて

EPA/FTAサービス章における条文構成と主要なルール

EPA/FTAサービス章における主な条文構成については以下の通りです。

EPAサービス貿易章における条文構成

本則:

  • -適用範囲、定義
  • -義務(基本義務(MFN、NT 等)、送金の自由の確保、透明性 等)
  • -例外規定(国際収支擁護のための制限、一般例外、安全保障例外)

附属書

  • -留保表(ネガリスト)、約束表(ポジリスト)
  • -個別分野毎の附属書*
    (電気通信サービス附属書、金融サービス附属書 等)

*交渉相手によってパターンは異なる。すべて留保表/約束表に含まれることもあれば、電気通信サービス、金融サービスが全て独立した章となることもありうる

EPA/FTAサービス章において規定される主要なルールは以下の通りです。

1.最恵国待遇の保証(Most-Favored-Nation Treatment : MFN)

締約国は、相手国のサービス事業者に対して第三国のサービス事業者に与えている待遇よりも劣った待遇を与えてはいけない(=日本企業を日本以外の第三国企業よりも悪く取り扱うことを禁止)。

2.内国民待遇(内外無差別)の保証(National Treatment : NT)

締約国は、相手国のサービス事業者に対して自国のサービス事業者に与えている待遇よりも劣った待遇を与えてはいけない(=日本企業を地元企業よりも悪く取扱うことを禁止))

3.サービス貿易における市場アクセス制限の禁止(Market Access : MA)

内外無差別であるかを問わず、サービス貿易にマイナス影響を与えると思われるような規制を課してはならない(注 : 規制の類型が定められており、類型に該当しないものは一般に違反とみなされない)
サービス提供者数の上限設置や、取引総額の上限設置、特定企業形態要求や、外資比率制限など

WTO GATS、EPA/FTAでは、自由化約束をした分野について、加盟国若しくは協定締結相手国政府が以下6つの措置をとることを禁止している。

(a)サービス提供者の数の制限 (例) 需給調整に基づく新規レストランへの免許の付与、外国人医師に対する年間の開業者数の制限、公営又は私営の独占的な職業紹介所サービス、サービス提供者に対する国籍要件(いわゆるゼロ・クォータに相当)
(b)サービスの取引総額又は
取引資産の制限
(例) A国における銀行の総資産のうちに占める外国銀行の資産の割合を制限、外国銀行の支店の資産総額を国内の全銀行資産総額の○%に限定する措置、外国のサービス提供者の市場シェア(売上、資産ベース)を一定以下に規制する措置
(c)サービスの事業の総数又は指定された数量単位によって表示されたサービスの総産出量の制限 (例) 外国の放送サービスの提供者に対して、外国映画の放映時間を一定の割合に制限する措置、バス等交通機関の運行回数の制限
(d)サービス提供に必要であり、かつサービス提供に直接関係する自然人の総数の制限 (例) 外国の1企業の雇用者のうち、外国人の比率を一定の割合までに制限するような措置
(e)サービスを提供する事業体の形態の制限 (例) 自国企業との合弁企業の形態でのみ外国企業の拠点設置を認めるとの措置、業務上の拠点から駐在員事務所を除くこと、外国企業に子会社の設立を要求すること
(f)外国資本の参加の制限 (例) 外国人による株式の取得制限

4.進出先現地における拠点設置・居住要求の禁止(Local Presence : LP)

本来なら現地法人や駐在員事務所などを作らなくても、出張ベースあるいは電話や書面・インターネットで提供可能なはずのサービスについて、現地拠点の設置や現地居住を要求してはいけない

5.MFN/NT/MA/LPルールに関する自由化方式にまつわる規定
(Specific Commitments / Reservations / Exemptions)

自由化約束できる分野と条件をリスト化する「ポジティブリスト方式」か、自由化約束できない分野と条件をリスト化する「ネガティブリスト形式」かを規定
ポジティブリストとは
ネガティブリストとは

6.サービス貿易にまつわる支払・資金移転の保証(Payments and Transfers)

締約国は、サービス貿易に関する国際的な支払・資金移転に制限を課してはならない

7.協定運用に関する透明性の保障(Transparency)

国内規制などの各種法令等の公表、情報交換、問い合わせ窓口(Enquiry Point)、の設置、意見提出の付与機会(パブリックコメント)などを規定

8.国内規制一般の施行・運用にまつわる手続の合理性・透明性・公平性の確保(Domestic Regulations)

内国民待遇や市場アクセスルールに違反していなくても、運用面で実質的に規制がかかることのないように締約国が保証する。特に資格や事業許認可にまつわる措置の公平な運用等について規定

9.個別職業資格(弁護士など)の国際相互承認に関する規定(Recognition)

相互承認協定の交渉促進と、相互承認協定に対する第三国参加の機会を保証する

その他EPAサービス章では、例外やセーフガード(特定サービスの輸入急増による国内産業への重大な損害の防止をはかるために認められている緊急措置)、各種運用手続規定(条文・約束修正や、発効後の見直しなど)等が規定されています。

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