(2)主な貿易品目 ア)輸出(第2図 「日本の商品別輸出構造の推移」参照) 1960年には日本の輸出の約3割を繊維品が占めていました。しかしその後、発展途上国等の追い上げ等により繊維品のシェアは年々減少し、2005年には約1.4%にまで減少しました。一方、機械機器については、1960年代の25.3%から2005年は69.6%とシェアが2.8倍に増加しています。この間、機械機器は、自動車を中心に増加してきましたが、その他の品目では、1970年代がテレビ、ラジオ、電卓、1980年台は据置型VTR、1990年代はIC(集積回路)等、技術革新の進展により輸出品目に変遷が見られます。最近では、世界的IT革命の進展により、ICは勿論のこと、ノート型パソコン、携帯電話、デジカメ、ハンディタイプVTR、大画面デジタルテレビ、光ファイバーケーブル等も輸出しており、また、自動車関連では、乗用車、自動車部品、エンジン等の輸出が増加しています。 イ)輸入(第3図 「日本の商品別輸入構造の推移」参照) 1960年、1970年には、輸入総額のうち2割程度のシェアであった原油、LNG(液化天然ガス)を始めとする鉱物性燃料は、1970年代に入ると第4次中東戦争(1973年)及びイラン革命(1979年)を発端とする2度のオイルショックにより原油等が高騰、80年には輸入総額の約5割を占めました。その後、1998年には、輸入総額に占める鉱物性燃料の割合は1.5割になるなど、石油価格は一旦落ち着いたものの、需要の増加、産油国の供給不安等の影響から再び高騰し2005年には輸入総額の2.6割を占め ています。 また、1960年、1970年、1980年に1割程度であった電子計算機及び半導体を始めとする機械機器の輸入については、1985年のプラザ合意(先進国によるドル高是正措置)後の急激な円高により、製造メーカーが海外、特にアジアに生産拠点を移管したこともあり、アジアからパソコン、プリンター、液晶表示装置等のコンピューター関連機器及びカラーテレビ、据置型VTR、ミニコンポ、MDデッキ等の音響機器等の逆輸入品が増加しました。このため、機械機器のシェアも1990年に17.4%、2005年は29.5%と上昇し、1960年に比べると 約3倍のシェアとなりました。 (3)主な貿易相手国 (第4図 「日本の地域別輸出構造の推移」及び第5図 「日本の地域別輸入構造の推移」参照) 日本の最大の貿易相手国は、アメリカです(17.8%、2005年実績)。一方、最近では日系企業における現地生産の拡大や地場企業の輸出促進等に伴い、アジア諸国(中国、NIEs、ASEAN等)との貿易が活発となってきているため、アジア諸国のシェアが高くなってきています。アジア諸国のシェアは、輸出で90年に31%であったものが、2005年には48.4%と17% 以上も拡大しました。また、輸入も同29%が44.4%と15%以上も拡大しています。特に、最近では、中国から、繊維製品、電気機器及びコンピューター関連機器等の輸入が 増えており、ここ10年間で中国の世界に占めるシェアは、5.1%(1990年)から21.0%(2005年)と15%以上も拡大しています。この結果、相対的に米国、EU等のシェアは低下傾向が続いています。 Q2: 為替の動きはどのように日本の貿易に影響しますか。 (第6図 「為替の推移(対米ドル円レート)」参照) 日本の為替相場は、1949年(昭和24年)以降、1ドル=360円で固定されていましたが(これを固定相場制と言います)、米国の国際収支赤字増加等を背景に、71年(昭和46年)8月にドルと金との交換を停止するいわゆるニクソンショックが起こり、この時以降、為替相場は変動相場制に移行しました。その後、同年12月に再度1ドル=308円の固定相場制が一時復活しましたが、それも長続きせず、73年(昭和48年)2月以降、日本は完全な変動相場制に移行し今日に至っています。 為替相場の動きは経済に様々な影響を与えますが、これを貿易面から見てみましょう。例えば円高になった場合、一般的に、日本の輸出業者は、これまでと同程度の利益を確保する目的でドル建価格(ドル表示契約による商品取引価格)を引上げようとします。これは、海外の購入者にとっては商品の値上げになるため、日本製品の国際競争力が低下し、長期的には輸出量の減少を通じて輸出企業の収益を圧迫する可能性があります(逆に、円安ではドル建て価格を引下げない限り、従来よりも円での受取額が増加することとなります)。こうした円高によるマイナス面がある一方、輸入業者・生産者等にとっては、原材料や部品など調達コストを下落させるため円高差益を受けることとなります。また、消費者にとっても、原油、穀物、金属原材料等の輸入物価の下落により、最終生産物の価格が下がったり、自動車、コンピューター、衣料品等の製品輸入価格が下がるというプラス効果を生みだします。 1985年のプラザ合意(先進国によるドル高是正措置)以降、長期的な円高傾向が続いていますが、日本の輸出企業等は、生産拠点を世界的に海外に移管し、コスト削減、為替リスクの回避(現地生産、現地調達、現地販売等)等の企業努力を続けています。 Q3: 日本の貿易動向を調べる場合、どのような統計を見ればよいのでしょうか。 財務省では毎月貿易統計を発表しています。 また、経済産業省では財務省の貿易統計の数値を組み合わせて独自に商品分類をした貿易動向データベースを
公表しています。
Q5: 国際収支統計の中で経常収支や貿易収支はどのように位置づけられているのでしょうか。 (第9表、第10表及び第11表 「取引総額、受取額及び支払額に占める各項目のウエイト」) 国際収支統計の中で、経常収支は「財貨・サービス、海外資産からの所得」の取引を示しており、お金の取引である資本収支と表裏関係にあります。経常収支の動きをみる際、その取引の総額のうち貿易取引のウエイトが一番大きいため、その動きでおおむね説明することが可能ですが、経済のサービス化や日本の対外純資産の増加から、サービス収支や所得収支の動向をみることも重要になってきています。
Q6: 「経済のグローバル化」とは何ですか。 グローバリゼーションとは、経済・社会等の様々な側面で進行している地球規模での相互作用・交流の深まりを意味しています。同時に、世界の多様な文明・文化が恒常的に接触するという、現代社会が迎えた文化的・歴史的な新たな段階としてとらえることもできます。その中でも、経済のグローバル化とは、「様々な経済主体による経済性の追求が全地球規模で可能になる」ことを意味しますが、世界的な資源配分の効率化と生産性の上昇に寄与することを通じて、世界経済の持続的な発展を支えるものであるといえます。 Q7: 多角的貿易体制による自由化の進展には、どのような意義があるのですか。 多角的な貿易体制の構築に向けた戦後の取り組みは、保護主義が第二次世界大戦を招く一要因となったという戦前の反省から始まり、以後1948年のGATT(関税及び貿易に関する一般協定)体制の発足、累次の関税引下げ交渉を通じて、世界貿易の拡大に大きく貢献してきました。 その後自由化の対象は関税のみならず、アンチダンピング防止税、補助金、貿易の技術的障壁、輸入許可手続きといった非関税障壁へと広げられ、東京ラウンド(1973―1979年)では、多数の非関税措置に関する協定が策定されました。また、1990年代に入りサービスや資本の取引が世界的に拡大したことを受け、ウルグァイ・ラウンド(1986―1994年)では、それまでのモノの貿易に加え、サービス、貿易関連投資措置などの新分野、更には紛争解決手続の整備などもなされ、その結果1995年に世界貿易機関(WTO)が設立されました。 このように多角的貿易体制においては、グローバル経済の多様化に対応する形でルールの対象範囲も拡大し、世界経済の発展を支えてきました。そして現在もグローバル経済は、情報化、途上国の役割の拡大などにより、その多様性・緊密性を増し、猛スピードで大きな変化を遂げつつあります。今後とも、こうしたグローバル化の流れに即応しつつ、多角的貿易体制の推進に努めていくことが、世界経済の持続的な発展を図っていく上で不可欠であると言うことができるでしょう。 Q8: 世界的に自由貿易協定、経済連携協定が増えていると聞きますが、自由貿易協定、経済連携協定とはなんですか。 自由貿易協定(Free Trade Agreement)、経済連携協定(Economic Partnership Agreemnt)とは、二国間、あるいは複数国間で域内の経済を自由化するための取決めです。従来は域内国で互いに関税を撤廃するという方法が主流でしたが、最近では関税撤廃のみならず投資・サービスの域内自由化、基準認証に関する相互承認、各種規制・経済政策の調和等、多様な形態の「深化した統合」が進展しています。 また、1990年代に入ると、これら地域貿易協定の動きが活発化し、先進国、発展途上国を問わず、かなりの国が何らかの地域貿易協定に参加するようになりました(2006年3月時点で世界では193件もの 地域貿易協定が締結されています)。このように地域貿易協定の締結が活発化した背景には、 WTOにおける多国間での貿易の自由化の難航や発展途上国における輸入代替工業化政策(※)からの転換があげられます。
(※)輸入数量制限、高関税、外国為替管理などの輸入制限政策を用いて輸入品を統制し、その結果生まれた(保護された)国内市場を自国企業によって生産を開始させながら輸入品を国内生産によって代替していく政策。
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