経済産業省
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アンチ・ダンピング(AD)交渉

1.WTOにおける紛争解決手続

WTO協定の一つである「紛争解決に係る規則及び手続に関する了解」(“Understanding on Rules and Procedures Governing the Settlement of Disputes”略称“Dispute Settlement Understanding”)は、通商案件を巡る紛争を解決するための手続を規定しています。

WTO設立前、GATTの時代には、紛争処理に関する手続は個別協定やGATT本体の中に規定されていました。しかし、従来の手続では、パネル(案件を審理する小委員会)の設置や、パネル報告の採択(小委員会が下す“判決”の確定)が、GATT理事会におけるコンセンサス(全会一致)により行われていたため、被提訴国の抵抗でパネル設置が遅れたり、敗訴国がパネル報告の採択をブロックしたりするなど、手続の実効性が必ずしも十分確保されていませんでした。また、そのような制度上の問題を背景に、政治的に大きな力を持つ国が、GATTの枠組みの外で一方的な制裁措置の発動を圧力として通商紛争の解決を図ろうとする動き(米国による「通商法301条」が代表的なケース)も問題となっていました。

そこで、ウルグアイ・ラウンド交渉の成果の一つとして取りまとめられたのが、現行のDSUです。DSUにおいては、従来の手続から主に以下の改善が図られました。


(1)パネル手続の自動化・迅速化
→パネル設置や報告の採択等について、「逆コンセンサス方式」(全会一致で反対されなければ了承)の採用により各種決定手続が自動化されました。また、手続の遅延を防ぐため、手続の各段階について詳細な時間枠組みが規定されました。


(2)二審制の導入
→決定手続の自動化の一方で、十分な審理の機会を確保するため、パネル報告に不服がある場合は、上級審的な役割を持つ上級委員会に上訴できることとなりました。


(3)一方的な制裁措置の禁止
→WTO協定違反の措置による利益の侵害を回復するためには、WTO協定に基づく紛争解決手続を利用しなければならないと規定し、同手続を経ない一方的な制裁措置の発動を禁止しました。



このような改善によって手続の実効性が高められたことで、WTO加盟国による紛争解決手続の利用機会は飛躍的に高まりました。WTO設立から11年目の現在まで、既に340件を越す紛争案件がDSUに基づき処理されています。ガットの下での紛争案件が1948年から94年の46年間で314件だったことを考えれば、現行のDSUがいかに加盟国から信頼され、活用されているかが解ります。

このように、実効性の高められたWTO紛争解決手続は、単に紛争を解決する手段としてだけではなく、今や、加盟国によるWTO協定の遵守を確保するものとして、非常に重要な役割を果たしているのです。


(概略PDFファイル)

2.過去の紛争案件

パネル・上級委員会日本提出文書


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