| ◆貿易円滑化とは・・・ 貿易円滑化は、税関手続を含む貿易に関係する手続を簡素化することにより、物流が迅速化され、貿易関連コストが下がり、途上国への投資が進み、行政側も事務の効率化が図れる等、途上国・先進国、民間・政府、全ての貿易関係者全体にメリットをもたらすものです。 貿易を妨げる原因として、高関税が挙げられることが多いですが、実際の貿易実務の中では、輸出入に関係する手続が煩雑、必要な手続が不透明、輸入の申請をしてから実際に貨物を引き取るまでに非常に長い時間がかかる、など、関税以外の要素が関係することが多々あります。 例えば、輸入業者がある貨物を海外から輸入しようとする場合、複数の役所に対して書類を提出しなければいけないとします。また、それぞれ提出する書類に記入する事項も似通った内容だとします。この場合、書類の様式を統一し、書類を提出する役所の窓口をひとつにすると、輸入業者の手間は軽減され、また、書類を受け取る官庁の側も、書類の処理を行う人手が省くことができます。 不必要な貿易上の負担の撤廃、輸入手続の簡素化・効率化、国内制度の透明性といった、関税以外の措置・手続で、貿易を妨げる要因を取り除き、貿易の促進を図っていこう、というのが、貿易円滑化の目指すものです。貿易円滑化が進むことによって、企業にとっては、貿易実務においてコスト削減、業務の効率化ができるので、貿易拡大による利益を受ける我が国経済界も関心を高くもっている分野で、我が省としても外務省、財務省他関係省庁と一体となって取り組んでいます。 なお、貿易円滑化の取組はここで紹介するWTO以外の多国間の枠組(例えばAPEC、WCO及びOECDなど)でも行われております。 ◆ドーハ・ラウンドにおける貿易円滑化交渉 2001年より開始されたドーハ開発アジェンダ(通称:ドーハラウンド)において、GATT5条、8条及び10条の関連する側面を明確化し改善することにより、通過貨物を含む物品の移動、国内引取り、貿易手続のさらなる迅速化を図ることによって、自由貿易の拡大を目指しています。
◆ドーハ・ラウンドにおける交渉の経緯 (1) 2001年ドーハラウンド~交渉開始に至るまで 当初、貿易円滑化は1996年のシンガポール閣僚会議での合意に基づき、シンガポール・イシュー(貿易円滑化、投資、競争、政府調達の透明性の4分野)の1分野としてWTO事務局に設置されていた物品貿易理事会において議論されていました。 2001年のドーハ閣僚宣言では、貿易円滑化については、パラ27において「貿易円滑化について、本年9月のカンクン閣僚会議で合意されるモダリティに基づいて交渉を開始する」と合意されたものの、2003年のカンクン閣僚会議では、この貿易円滑化分野を含めたシンガポール・イシューは、加盟国間の意見の溝が埋まらず、交渉開始は先送りされました。 その後、日本を含む、貿易円滑化ルール策定のための交渉開始を目指す国の「推進派」グループ(詳細は(3)コロラド・グループを参照)等は、貿易円滑化のメリットを具現化するために、現行ルールの明確化、もしくは新たなルールの策定が必要であると主張し、積極的に議論に望んだ結果、2004年7月の一般理事会において、シンガポール・イシューのうち、貿易円滑化についての交渉開始が合意されました。 (2)貿易円滑化交渉開始後の議論の動向 貿易円滑化交渉は、第1回会合が2004年11月に開催されて以来、様々な国・地域からの提案を基に議論が進められてきています。交渉開始前においては、交渉開始推進派であるコロラド・グループ(我が国、豪州、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、欧州委員会、香港、韓国、モロッコ、ニュージーランド、ノルウェー、パラグアイ、シンガポール、スイス、米国)と慎重派途上国であるコアグループ(フィリピン、バングラデシュ、キューバ、エジプト、インド、インドネシア、ジャマイカ、ケニア、マレーシア等)が形成され、対立関係にありましたが、交渉開始以降においては、貿易円滑化のメリットは大きいという共通認識の下、交渉会合においては建設的な議論が行われています。なお、交渉議長は、2006年2月より香港のトニー・ミラー在ジュネーブ常駐代表が務めています。 (3)交渉の現状~2006年7月交渉中断~ 2006年7月までの数々の交渉会合においては、将来の「貿易円滑化協定」の条文とすることを視野に入れた、条文テキストベースの提案が各国から提出されており、我が国も、他の国と共同しながら、提案を提出しております。 財務省リンク参照↓ http://www.mof.go.jp/jouhou/kanzei/wto/wto.htm 先述の通り、貿易円滑化については、WTO以外の枠組でも議論されていることから、WTOにおける交渉で築き上げられてきた交渉のモメンタムを維持し、交渉再開後の議論を進めていくためにも、関係省庁や経済界とも連携をとりながら、交渉再開後、円滑に議論を行えるよう、積極的に取り組んでいくことが必要です。 (以上)
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