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非農産品市場アクセス(NAMA)交渉の概要

 

Ⅰ.交渉概要

1.NAMA交渉の意義と我が国のポジション

(1) NAMA(Non-Agricultural Market Access:非農産品市場アクセス交渉)とは、農産物以外の全て(鉱工業品及び林水産物)に関する関税及び非関税障壁の撤廃・削減に関する交渉です。

 

(2) 我が国としては、各国の事情も踏まえつつ、欧米の高関税品目の関税引下げ、途上国の高関税引下げによる世界的な関税格差の是正を交渉の主眼 としています。

 

2.主要論点

 

① 関税削減方式(フォーミュラ)

② 途上国の柔軟性

③ 非譲許品目の取扱

その他、分野別アプローチ非関税障壁も重要な分野です。

 

3.基本的な交渉の構図

 

新興市場に関心のある先進国、対、様々な主張を持った途上国 となっています。

 

 

 

 

 

 



Ⅱ. 具体的論点

 

1.フォーミュラ

個別品目毎の関税率を引き下げるために適用される公式を「フォーミュラ」といいます。昨年12月に開催された香港閣僚会議では、「複数の係数を持つスイス・フォーミュラ」の採用に合意 しました。

その後の議論の焦点は、関税削減効果を決定する、具体的な「係数」の水準になっています。途上国は、「途上国による譲許税率(※1)の平均削減率を先進国より低くする係数とすべき」と主張する一方で、先進国は、「譲許税率のみならず、実行税率(※2)の意味ある削減が必要」と主張 しています。

(※1)譲許税率・・・全てのWTO加盟国に承認された、各品目の関税率の上限値 のことです。

(※2)実行税率・・・各国が実際に各品目に適用している関税率。譲許税率以下にすることと定められています。

 

2.途上国向けの柔軟性

途上国については、その特別な事情に配慮し、フォーミュラ適用の例外が特に認められています。具体的には、

(a)    総品目数かつ輸入額の[10]%まで、フォーミュラによる関税削減幅の半分まで軽減 または

(b)    総品目数かつ輸入額の[5]%まで、非譲許の維持またはフォーミュラ適用の免除

が認められることになっています。ただし、この例外の幅については括弧書きが付されているように、さらなる拡大を求める途上国と、全体のバランスの中で決定すべきとする先進国の間でなお交渉が続いてい ます。

 

3.非譲許品目の取扱い

非譲許品目とは、譲許税率を設定していない(即ち、各国が自由に関税率を設定できる)品目のこと です。途上国の中には、非譲許品目の割合の高い国もありますが、今回のラウンドでは、原則として全品目を譲許するというのが共通理解となってい ます。

非譲許品目を譲許する際の譲許税率は、基準年の実行税率に、一定数のかさ上げ(マークアップ)を加えた基準税率に対してフォーミュラを適用して定める方式に合意されました。

 

4.分野別関税の撤廃・調和(分野別アプローチ)

分野別アプローチとは、対象分野を特定し、その範囲の品目の関税を撤廃または調和するという、関税引下げの一種 です。各国の関心に応じた自主的な参加によるものとされており、各分野ごとに、関心国主導で、対象品目の範囲、クリティカル・マス(※3)の成立基準、目標税率、途上国の特別かつ異なる取扱いについて議論 を継続しています。

我が国は、電気電子、自動車の分野で関心国とともに関税撤廃を提案し、主導的役割を果たしています。

(※3)クリティカル・マス・・・対象とする分野における世界貿易量の合計が割合
(例:80%、90%等の大多数)に到達するだけの国々の参加により、当該分野の関税を撤廃・調和するというものです。

 

5.非関税障壁 →非関税障壁のページへ

非関税障壁(Non-Tariff Barrier)とは、関税以外の貿易を阻害する障壁を指 します。(例えば、通関に係る必要以上に複雑な事務手続きや、製品への過度の表示義務などが挙げられます。)

我が国は、本年4月に、各国の中で最初に、輸出規制一般の手続的規律について、条文案を提示しました。各国も、それぞれの関心に応じて具体的な交渉提案(繊維・履物のラベル表示義務の簡素化や自動車規格等)及び二国間のリクエストを提示 しています。

 

Ⅲ. 途上国のニーズに応じた特別な取扱い

 

 1.LDC向け無税無枠措置

LDC(Least Developed Countries、後発開発途上国)とは、国連総会の決議により認定された途上国の中でも特に開発の遅れた国のこと です。

今次ラウンドでは、LDCは関税削減約束を免除 されています。各国がLDCに対して供与する特別の措置である無税無枠措置の拡大について、昨年12月の香港閣僚会議で合意しました。(※5)

(※5)LDC無税無枠・・・LDCからの輸入品に関しては、対象品目を無税とし、また輸入量の制限を設けないとする制度 です。

 

2.現行の譲許率が低い国の扱い

譲許率[35%]未満の国については、フォーミュラ適用を免除 、全途上国の譲許税率平均(28.5%と試算)で[100%]譲許を期待するものとされてい ます。対象を譲許率35%未満の国とすること、及び、目標平均譲許税率を28.5%とすることでほぼ合意 しました。目標譲許率(※6)について議論が継続されています。

(※6)譲許率・・・各国の総品目数に占める譲許品目の割合のこと です。

 

3.小規模・脆弱経済国への配慮

小規模・脆弱経済国のグループ(カリブ海諸国が中心。譲許率が高く、平均譲許税率も高い)が、非農産品の世界貿易の輸出額シェア0.1%未満の国については、フォーミュラを適用せず、平均譲許税率を一定割合で引き下げること を提案し、議論されています。

4.特恵マージンの浸食

現在、特恵関税(※8)を適用されている国々は、最恵国待遇(MFN)(※9)と特恵税率の差の分だけ有利な市場アクセスを享受 していますが、世界的な関税引下げにより、マージンが浸食されることを問題視しています。特恵受益国は、特別な関税削減の緩和を求めてきましたが、対象品目を限定した上で、関税削減の実施期間の長期化を検討する方向で議論されてい ます。

(※8)特恵関税・・・途上国に対し、特定の品目の関税率について、他のWTO加盟国よりも引下げて優遇税率を適用する制度のことです。

(※9)最恵国待遇・・・ある品目の関税率は、全てのWTO加盟国に対して等しく適用されるとするGATTの制度のことです。

5.新規加盟国への配慮

WTO発足後にWTOに加盟した各国においては、加盟時に多くの譲歩を行 った(※10)ことを考慮し、特別な配慮を与える可能性について議論されています。

(※10)新規にWTOに加盟する国は、既加盟国から「譲許率を100%とすること」等の厳しい条件を課せられ、それを達成した上で加盟を承認されます。

 


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