経済産業省
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アンチ・ダンピング(AD)交渉

1.補助金とは


・ 国の政策を実現する手段の一つである「補助金」は、WTO上の協定の1つである「補助金及び相殺措置に関する協定(略:補助金協定)」によりルールが定められています。

・ 同協定が定める「補助金」に含まれるものは、贈与(通常の補助金に当たるもの)、税の減免措置、低利融資、出資など様々な形態がありますが、場合によっては自国の産業を必要以上に保護し、自由な貿易競争をゆがめてしまうことにもなりかねないことから、広く「補助金」として規律の対象とされています。

・ 補助金協定では、輸出を条件に交付される補助金と国内産品の優先使用に基づく補助金が、禁止補助金(レッド補助金)として、交付が原則禁止されています。

・ 交付が禁止されない補助金でも、補助金を交付された産品の輸出が他国の産業に対し損害を与えている場合には、損害を受けた国は一定の手続に従って相殺関税を課税できる等の対抗措置が認められています。

2.ルール交渉(補助金一般)の経緯

~2001年11月ドーハ閣僚会合~

     アンチ・ダンピング(AD)協定等とあわせて、補助金協定についても規律の明確化と改善を目指してルール交渉が行われることになりました。(注 )

     以降、各国から補助金協定改正に関する様々な提案が出され、それに基づき交渉会合において議論が交わされてきました。

(注)交渉の一環として漁業補助金についても議論することが宣言に明記されています。また、農業補助金につい ては、ルール交渉ではなく農業交渉に含まれます。

 

~2005年12月香港閣僚会合~

     交渉の段取りについては、テキスト・ベースの(協定の条文を基にした)詳細な提案に基づき交渉プロセスの強化を行うこと、また、交渉参加国による補助金協定の個別の提案を分析していくプロセスを可能な限り早く終えることが指示されました。

     議長に対して、期限内(ドーハ・ラウンドの終結時期である2006年末まで)の成果を確保するために十分に早いタイミングで、交渉の最終局面のベースとなる包括的な条文案(統合テキスト)を準備する権限が与えられました。

~2006年の動向~

     2006年のルール交渉スケジュールについては、4月までに詳細な条文上の提案を提出、6月までにすべての提案に関する分析を終了させ、7月をルール交渉グループの議長による統合テキスト提出の目標期日とされていました。

     2006年には、4回にわたるルール交渉会合において議論が行われました。

     しかし、7月に開催されたG6閣僚会合でドーハ・ラウンド交渉全体が中断に至ったことにより、統合テキストの発出はされませんでした。

3.ルール交渉(補助金一般)の主要国の立場

     補助金一般について、我が国は現段階において提案ペーパーは提出していないものの、各国の動向を注視して交渉に参加してきました。また、補助金相殺措置と規律が類似しているアンチ・ダンピング措置の規律強化と同様に、補助金相殺措置の濫用防止のための規律の強化と明確化には基本的に賛成との立場です。

 ・     他国の主な提案

① 禁止補助金の拡大

* (米国)

     巨額の補助金、企業の経営損失を補てんする補助金、債務の直接免除といった補助金(1999年末で失効した第6条1項対象の補助金:通称ダークアンバー補助金)や、政府が市場に介入するタイプの補助金を禁止補助金とするべき

     著しい害を及ぼす補助金に対する救済措置の強化・有効化

(EU)

     コスト割れ融資等を禁止補助金に追加すべき

(ブラジル)

     事実上の輸出補助金の範囲を拡大すべき

② ダークアンバー補助金の復活

(カナダ)と (ブラジル)

     1999年末に失効した補助金協定6条1項を復活、そして規律の改善をすべき

    

は、ダークアンバー補助金の範囲に、価格支持制度に基づく直接支払を追加すること、そして、6条1項の定める「著しい害」の要件として「一次産品で輸出市場におけるシェアを増加・維持させた場合」を追加することも提案。

  

③「特定性」

(カナダ)

     補助金の特定性の判断について、様々な要素の総合判断をすべき

 

④ 補助金の廃止

* (オーストラリア)

・WTO違反となった補助金の撤廃に関する規律を明確化すべき

 

⑤ 途上国の輸出補助金

(インド) など

     輸出競争力の達成(輸出補助金の段階的な廃止が求められる)に関する判断基準を緩和すべき

     輸出競争力を再度失った場合の輸出補助金を延長・復活すべき

4.漁業補助金交渉

     漁業補助金については、我が国を含む多くの国が提案ペーパーを提出し、漁業補助金の規律の明確化・改善に向けて活発な議論が行われてきました。

     ニュージーランド、チリ、米国等は、漁業補助金一般が、漁業資源の減少につながるとして、漁業補助金を原則禁止とした上で、例外として認められた補助金のみを許容する方式をとるべきと主張しています。

     これに対し我が国、韓国、台湾及びEU 等は、漁業補助金を原則禁止とする方式は、資源管理に貢献する補助金を禁止する恐れがあるだけでなく、漁業補助金の規律の明確化・改善を求めるドーハ宣言を超えるものであると反対しており、真に資源に悪影響を与える漁業補助金のみを禁止する方式を主張しています。


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