経済産業省
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農業に関する協定

加盟国は、

農業貿易の改革過程を開始させるための基礎をプンタ・デル・エステ宣言に掲げる交渉の目的に沿って確立することを決定し、

ウルグァイ・ラウンドの中間検討会合において合意した長期目標が公正で市場指向型の農業貿易体制を確立することであること、並びに助成及び保護に関する約束についての交渉を通じ並びに強化されかつ一層効果的に運用されるガットの規則及び規律の確立を通じて改革過程を開始させるべきであることを想起し、

更に、この長期目標が、合意された期間において農業に対する助成及び保護を実質的かつ漸進的に削減することを定めることであり、それにより世界の農産品市場における制限及び歪ゆがみを是正し並びに防止する結果となることを想起し、

市場アクセス、国内助成及び輸出競争の各分野において拘束力のある具体的な約束を達成し並びに衛生植物検疫に係る問題に関する合意に達することを約束し、

先進加盟国が、市場アクセスに関する約束を実施するに当たって、開発途上加盟国が特別の関心を有する農産品のためのアクセスの機会及び条件の一層の改善(特に、中間検討会合において合意された熱帯農産品の貿易の最大限の自由化)並びに麻薬となる不法な作物からの転作のために特別に重要な産品のためのアクセスの機会及び条件の一層の改善を行うことにより、開発途上加盟国の特別のニーズ及び状況を十分考慮することを合意し、

改革計画の下における約束が、食糧安全保障、環境保護の必要その他の非貿易的関心事項に配慮しつつ、開発途上国に対する特別のかつ異なる待遇が交渉の不可欠な要素であるという合意に配慮しつつ、また、改革計画の実施が後発開発途上国及び食糧純輸入開発途上国に及ぼし得る悪影響に考慮を払いつつ、すべての加盟国の間で衡平な方法によって行われるべきことに留意して、

ここに、次のとおり協定する。


第一部

第一条 用語の定義

この協定において、文脈により別に解釈される場合を除くほか、
(a) 「助成合計量」とは、基礎農産品の生産者のために農産品について行われる助成又は農業生産者一般のために行われる産品が特定されない助成(附属書二の規定に基づいて削減の対象から除外される施策によって行われる助成を除く。)の毎年の水準(貨幣表示されたもの)をいう。この水準は、
 
(i) 基準期間中に行われた助成については、加盟国の譲許表第四部においてその記号が示されている補助的文書の関連する表に明記されている。
(ii) 実施期間中及びその後のいずれかの年に行われる助成については、附属書三の規定に従い、かつ、加盟国の譲許表第四部においてその記号が示されている補助的文書の表において用いられている基礎的データ及び方法を考慮して算定される。
(b) 国内助成に関する約束との関係において、「基礎農産品」とは、加盟国の譲許表及び関連する補助的文書に掲げられている実行可能な限り最初の販売の段階に近い段階の産品をいう。
(c) 「予算上の支出」又は「支出」には、現に徴収されなかった収入を含む。
(d) 「助成同等量」とは、基礎農産品の生産者のために一又は二以上の措置をとることによって行われる助成であって助成合計量の算定方法によって算定することができないもの(附属書二の規定に基づいて削減の対象から除外される施策によって行われる助成を除く。)の毎年の水準(貨幣表示されたもの)をいう。この水準は、
 
(i) 基準期間中に行われた助成については、加盟国の譲許表第四部においてその記号が示されている補助的文書の関連する表に明記されている。
(ii) 実施期間中及びその後のいずれかの年に行われる助成については、附属書四の規定に従い、かつ、加盟国の譲許表第四部においてその記号が示されている補助的文書の表において用いられている基礎的データ及び方法を考慮して算定される。
(e) 「輸出補助金」とは、第九条に規定する輸出補助金その他輸出が行われることに基づいて交付される補助金をいう。
(f) 「実施期間」とは、千九百九十五年に開始する六年間をいう。ただし、第十三条の規定の適用に当たっては、「実施期間」とは、千九百九十五年に開始する九年間をいう。
(g) 「市場アクセスに関する譲許」には、この協定に従って行われるすべての市場アクセスに関する約束を含む。
(h) 「助成合計総量」とは、農業生産者のために行われるすべての国内助成の総計(基礎農産品についてのすべての助成合計量、産品が特定されないすべての助成合計量及び農産品についてのすべての助成同等量の総計として算定されるもの)をいう。この総計は、
 
(i) 基準期間中に行われた助成(すなわち、「基準助成合計総量」)並びに実施期間中及びその後のいずれかの年に行うことが認められる助成の限度額(すなわち、「年次譲許約束水準及び最終譲許約束水準」)については、加盟国の譲許表第四部に明記されている。
(ii) 実施期間中及びその後のいずれかの年に実際に行われる助成の水準(すなわち、「現行助成合計総量」)については、この協定(特に第六条の規定)に従い、かつ、加盟国の譲許表第四部においてその記号が示されている補助的文書の表において用いられている基礎的データ及び方法に従って算定される。
(i) (f)において及び加盟国の個別の約束との関係において「年」とは、当該加盟国の譲許表において明記されている暦年、会計年度又は市場年度をいう。

第二条 対象産品

この協定は、附属書一に掲げる産品(以下「農産品」という。)について適用する。


第二部

第三条 譲許及び約束の収録
  1. 各加盟国の譲許表第四部に定める国内助成及び輸出補助金に関する約束は、補助の制限についての約束を構成するものであり、千九百九十四年のガットの不可分の一部となる。

  2. 加盟国は、自国の譲許表第四部第一節に明記されている約束の水準を超えて国内生産者のための助成(第六条の規定により削減の対象とならないものを除く。)を行ってはならない。

  3. 第九条の2(b)及び4の規定が適用される場合を除くほか、加盟国は、自国の譲許表第四部第二節に掲げられている農産品又は二以上の農産品の組合せについて、同節に明記されている予算上の支出及び数量に関する約束の水準を超えて同条1に規定する輸出補助金を交付してはならず、また、同節に掲げられていない農産品について、当該輸出補助金を交付してはならない。

第三部

第四条 市場アクセス
  1. 譲許表に定める市場アクセスに関する譲許は、関税の譲許その他譲許表に明記されている市場アクセスに関する約束に係るものである。

  2. 加盟国は、次条及び附属書五に別段の定めがある場合を除くほか、通常の関税に転換することが要求された措置その他これに類するいかなる措置(注)も維持し、とり又は再びとってはならない。

    注: これらの措置には、輸入数量制限、可変輸入課徴金、最低輸入価格、裁量的輸入許可、国家貿易企業を通じて維持される非関税措置、輸出自主規制その他これらに類する通常の関税以外の国境措置(特定の国について承認された千九百四十七年のガットの規定からの逸脱として維持されているものであるかないかを問わない。)が含まれるが、千九百九十四年のガット又は世界貿易機関協定附属書一Aに含まれている他の多角的貿易協定における国際収支に関する規定その他の農業に特定されない一般的な規定に基づいて維持される措置は含まれない。
第五条 特別セーフガードに関する規定
  1. 千九百九十四年のガット第二条1(b)の規定にかかわらず、加盟国は、次のいずれかに該当する場合には、農産品の輸入について、4又は5のいずれかの規定に基づく措置をとることができる。ただし、当該農産品に関してとられていた前条2に規定する措置が通常の関税に転換されており、かつ、当該農産品がこの条の規定に基づく措置をとることができる譲許の対象として「SSG」という記号によって譲許表において指定されているときに限る。

    (a) 当該譲許を与えている加盟国の関税地域に入る当該農産品の輸入量が、いずれかの年において、4に定める発動水準(その時点における市場アクセス機会に関係する。)を超える場合
    (b) 輸入される当該農産品が当該譲許を与えている加盟国の関税地域に入る時の価格(当該貨物の保険料及び運賃込みの輸入価格(内国通貨によって表示されたもの)に基づいて決定される。)が、発動価格(当該農産品の千九百八十六年から千九百八十八年までの基準価格(注)の平均に等しい。)を下回る場合
     
    注: この(b)の規定に基づく措置をとるために使用される基準価格は、一般的な場合には、当該農産品の単位当たりの保険料及び運賃込み価格の平均とし、これ以外の場合には、当該農産品の品質及びその加工段階に照らして適切な価格とする。当該基準価格は、最初に使用された後、課される追加の関税を他の加盟国が評価することができるようにするために必要な範囲内で、公表され及び入手可能とされるものとする。

  2. 1に規定する譲許の一部として行われた現行アクセス機会及び最小限度のアクセス機会に関する約束の下で行われる輸入は、1(a)及び4の規定に基づく措置をとるために必要な輸入量の決定に当たって算入する。ただし、そのような約束の下で行われる輸入は、1(a)及び4又は1(b)及び5の規定に基づく追加の関税の賦課の対象とされない。

  3. 1(a)及び4の規定に従って追加の関税が課される前に締結された契約に基づいて輸送の途中にあった農産品の輸入については、当該追加の関税の賦課の対象から除外する。ただし、そのような輸入は、翌年において1(a)の規定を発動するに当たって当該翌年における当該農産品の輸入量に算入することができる。

  4. 1(a)の規定に従って課される追加の関税は、その賦課が行われた年の終了時までに限って維持するものとし、この措置がとられた年において有効な通常の関税の水準の三分の一を超えない水準でのみ課することができる。発動水準は、市場アクセス機会(データが利用可能な過去三年間における輸入量をこれに対応する国内消費量(注)に占める百分率で表したもの)を基礎として次に定めるところによる。

    注: 国内消費量が考慮されない場合には、(a)に定める基準発動水準が用いられる。

    (a) 産品の市場アクセス機会が十パーセント以下である場合には、基準発動水準を百二十五パーセントとする。
    (b) 産品の市場アクセス機会が十パーセントを超え三十パーセント以下である場合には、基準発動水準を百十パーセントとする。
    (c) 産品の市場アクセス機会が三十パーセントを超える場合には、基準発動水準を百五パーセントとする。

    (a)から(c)までのいずれの場合においても、追加の関税は、いずれかの年において、譲許を与えている加盟国の関税地域に入る当該産品の輸入の絶対量が、(a)から(c)までに定める基準発動水準にデータが利用可能な過去三年間における輸入数量の平均を乗じて得た数量とデータが利用可能な直近の年とその前年との間における当該産品の国内消費の絶対量の変化とを合計して得た数量を超える場合に、課することができる。ただし、この発動水準は、当該輸入数量の平均の百五パーセントを下回ってはならない。

  5. 1(b)の規定に従って課される追加の関税の額は、次に定めるところによる。

    (a) 内国通貨によって表示された貨物の保険料及び運賃込みの輸入価格(以下この5において「輸入価格」という。)と1(b)に定める発動価格との差が発動価格の十パーセント以下である場合には、追加の関税を課してはならない。
    (b) 輸入価格と発動価格との差(以下この5において「差」という。)が発動価格の十パーセントを超え四十パーセント以下である場合には、追加の関税の額は、差が十パーセントを超える部分の額の三十パーセントに相当する額とする。
    (c) 差が発動価格の四十パーセントを超え六十パーセント以下である場合には、追加の関税の額は、差が四十パーセントを超える部分の額の五十パーセントに相当する額に、(b)の規定に基づいて認められる追加の関税の額を加えた額とする。
    (d) 差が発動価格の六十パーセントを超え七十五パーセント以下である場合には、追加の関税の額は、差が六十パーセントを超える部分の額の七十パーセントに相当する額に、(b)及び(c)の規定に基づいて認められる追加の関税の額を加えた額とする。
    (e) 差が発動価格の七十五パーセントを超える場合には、追加の関税の額は、差が七十五パーセントを超える部分の額の九十パーセントに相当する額に、(b)、(c)及び(d)の規定に基づいて認められる追加の関税の額を加えた額とする。

  6. 腐敗しやすい産品及び季節的な産品については、1から5までに定める条件は、当該産品の個別の特性を考慮した方法で適用する。特に、1(a)及び4の規定の適用に当たっては一層短い期間を基準とされる期間における対応する期間と対比して使用することができるものとし、1(b)の規定の適用に当たっては異なる期間における異なる基準価格を使用することができる。

  7. 特別セーフガードの運用は、透明性のある方法で行う。1(a)の規定に基づく措置をとる加盟国は、農業に関する委員会に対し、実行可能な限り事前かつ速やかに、いかなる場合にも当該措置をとった時から十日以内に、関連するデータを付して書面により通報する。消費量の変化を4の規定に基づく措置の対象となる個別の関税分類上の品目に配分しなければならない場合には、関連するデータには、その配分のために用いられる情報及び方法を含める。4の規定に基づく措置をとる加盟国は、関心を有する加盟国に対し、当該措置をとる条件について協議する機会を与える。1(b)の規定に基づく措置をとる加盟国は、農業に関する委員会に対し、当該措置を最初にとった時から十日以内に又は、腐敗しやすい産品及び季節的な産品については、いずれかの期間において当該措置を最初にとった時から十日以内に、関連するデータを付して書面により通報する。加盟国は、産品の輸入量が減少しているときは、できる限り1(b)の規定に基づく措置をとらないことを約束する。いずれの場合にも、当該措置をとる加盟国は、関心を有する加盟国に対し、当該措置をとる条件について協議する機会を与える。

  8. 加盟国は、1から7までの規定に従って措置がとられる場合には、これらの措置に関して、千九百九十四年のガット第十九条の1(a)及び3の規定又はセーフガードに関する協定第八条2の規定に基づく措置をとらないことを約束する。

  9. この条の規定は、第二十条の規定によって決定される改革過程の期間中、効力を有する。

第四部

第六条 国内助成に関する約束
  1. 各加盟国の譲許表第四部に定める国内助成の削減に関する約束は、この条及び附属書二に定める基準に照らして削減の対象とならない国内措置を除くほか、農業生産者のためのすべての国内助成措置に係るものとする。これらの約束は、助成合計総量並びに年次譲許約束水準及び最終譲許約束水準によって表示されている。

  2. 農業及び農村の開発を促進する政府の支援措置(直接的なものであるか間接的なものであるかを問わない。)が開発途上国の開発に係る施策の不可分の一部であるという中間検討会合での合意に基づき、開発途上加盟国において農業について一般的に利用可能な投資に係る補助金及び開発途上加盟国の収入の低い又は資源の乏しい生産者にとって一般的に利用可能な農業生産に投入される要素に係る補助金は、国内助成の削減に関する約束の対象から除外される。麻薬となる不法な作物からの転作を奨励するための開発途上加盟国の生産者に対する国内助成についても、同様とする。この2に定める基準を満たす国内助成については、加盟国の現行助成合計総量の算定に含めることを要求されない。

  3. 加盟国は、いずれの年においても、現行助成合計総量によって表示される農業生産者のための国内助成が自国の譲許表第四部に明記されている対応する年次譲許約束水準又は最終譲許約束水準を超えない場合には、国内助成の削減に関する約束を遵守しているものと認められる。

  4. (a) 加盟国は、次の国内助成を現行助成合計総量の算定に含めること及び削減することを要求されない。
    (1) 産品が特定された国内助成(自国の現行助成合計量の算定に含めるべきものに限る。)であって、その総額が当該年における一の基礎農産品の生産総額の五パーセントを超えないもの
    (2) 産品が特定されない国内助成(自国の現行助成合計量の算定に含めるべきものに限る。)であって、その総額が加盟国の農業生産総額の五パーセントを超えないもの
    (b)開発途上加盟国については、この4に定める百分率は、十パーセントとする。

  5. (a) 生産制限計画による直接支払であって次のいずれかに該当するものは、国内助成を削減する約束の対象とならない。
    (i) 一定の面積及び生産に基づいて行われる支払
    (ii) 基準となる生産水準の八十五パーセント以下の生産について行われる支払
    (iii) 一定の頭数について行われる家畜に係る支払
    (b) (a)に定める基準を満たす直接支払に係る削減に関する約束の対象からの除外は、加盟国の現行助成合計総量の算定において当該直接支払の価額を除外することによって行う。

第七条 国内助成に関する一般的規律
  1. 各加盟国は、農業生産者のための国内助成措置であって、附属書二に定める基準を満たすことにより削減に関する約束の対象とならないものについて、当該基準を引き続き満たすことを確保する。

  2. (a) 農業生産者のための国内助成措置(修正されたものを含む。)及び後に導入された措置であって、附属書二に定める基準を満たすこと又はこの協定の他の規定に基づいて削減の対象から除外されることを示すことができないものについては、加盟国の現行助成合計総量の算定に含める。
    (b) 助成合計総量に関する約束が加盟国の譲許表第四部に明記されていない場合には、当該加盟国は、前条4に定める該当する百分率を超えて農業生産者に助成を行ってはならない。

第五部

第八条 輸出競争に関する約束
    各加盟国は、この協定及び自国の譲許表に明記されている約束に従って行う場合を除くほか、輸出補助金を交付しないことを約束する。
第九条 輸出補助金に関する約束
  1. 次の(a)から(f)までの類型に該当する輸出補助金は、この協定に基づく削減に関する約束の対象となる。
    (a) 政府又はその機関が、企業、産業、農産品の生産者、協同組合その他の農産品の生産者の団体又は販売に従事する機関に対し、輸出が行われることに基づいて直接補助金(現物による支払を含む。)を交付すること。
    (b) 政府又はその機関が、農産品の非商業的在庫を、国内市場において買手が負担する同種の産品の比較可能な価格よりも低い価格で、輸出のために売却し又は処分すること。
    (c) 政府の措置によって農産品の輸出について行われる支払(当該農産品又はその原料である農産品に対する課徴金による収入から行われる支払を含むものとし、公的勘定による負担があるかないかを問わない。)
    (d) 輸出農産品についての市場活動のための費用(取扱い及び品質向上その他の加工のための費用並びに国際運送に係る費用を含むものとし、輸出促進及び助言に関する広く利用可能な役務に係る費用を除く。)を軽減するために補助金を交付すること。
    (e) 政府によって定められ又は義務付けられる輸出貨物の国内運送に係る料金であって、輸出貨物を国内貨物よりも有利に扱うもの
    (f) 農産品が輸出される産品の一部を成していることに基づいて当該農産品に対して交付される補助金

  2. (a) (b)に規定する場合を除くほか、加盟国の譲許表に明記されている実施期間中のそれぞれの年についての輸出補助金に関する約束の水準は、1に規定する輸出補助金について、次の額及び数量を示している。
    (i) 予算上の支出の削減に関する約束については、農産品又は二以上の農産品の組合せに関してその年に割り当て又は負担することができる当該輸出補助金に係る出費の限度額
    (ii) 輸出数量の削減に関する約束については、その年に当該輸出補助金の交付の対象とすることができる農産品又は二以上の農産品の組合せの限度数量

    (b) 加盟国は、次の(1)から(4)までの条件が満たされる場合には、実施期間の二番目の年から五番目の年までのいずれの年においても、自国の譲許表第四部に明記されている農産品又は二以上の農産品の組合せに関する対応する年次約束水準を超えて1に規定する輸出補助金を交付することができる。
    (i) 実施期間の開始時からその年までの間における当該輸出補助金に係る予算上の支出の累計額が、当該加盟国の譲許表に明記されている関連する年次支出約束水準が完全に遵守された場合における累計額を基準期間における当該輸出補助金に係る予算上の支出の水準の三パーセントに相当する額を超えて超過しないこと。
    (ii) 実施期間の開始時からその年までの間において当該輸出補助金の交付の対象となった輸出数量の累計が、当該加盟国の譲許表に明記されている関連する年次数量約束水準が完全に遵守された場合における数量の累計を基準期間数量の一・七五パーセントに相当する数量を超えて超過しないこと。
    (iii) 実施期間全体における当該輸出補助金に係る予算上の支出の累計額及び当該輸出補助金の交付の対象となった数量の累計が、当該加盟国の譲許表に明記されている関連する年次約束水準が完全に遵守された場合における累計額及び数量の累計を超えないこと。
    (iv) 実施期間の終了時において、当該加盟国の輸出補助金に係る予算上の支出及び当該輸出補助金の交付の対象となった数量が、それぞれ、千九百八十六年から千九百九十年までの基準期間における水準の六十四パーセントに相当する額及び七十九パーセントに相当する数量を超えないこと。開発途上加盟国については、これらの百分率は、それぞれ七十六パーセント及び八十六パーセントとする。

  3. 輸出補助金の交付の範囲の拡大の制限に関する約束は、譲許表に明記されているとおりである。

  4. 開発途上加盟国は、実施期間中、1の(d)及び(e)に規定する輸出補助金について約束を行うことを要求されない。ただし、これらの輸出補助金が、削減に関する約束を回避するような方法で用いられない場合に限る。
第十条 輸出補助金に関する約束の回避の防止
  1. 前条1に規定する輸出補助金以外の輸出補助金は、輸出補助金に関する約束の回避をもたらし又はもたらすおそれのある方法で用いてはならない。また、非商業的取引は、輸出補助金に関する約束を回避するために用いてはならない。

  2. 加盟国は、輸出信用、輸出信用保証又は輸出信用保険の供与に関する国際的に合意された規律の作成に向けて努力すること、及びそのような規律について合意が得られた後は、当該規律に適合する場合に限って輸出信用、輸出信用保証又は輸出信用保険を供与することを約束する。

  3. 削減に関する約束の水準を超えて輸出された数量について輸出補助金が交付されていない旨を主張する加盟国は、当該数量についていかなる輸出補助金(前条に規定するものであるかないかを問わない。)も交付されていないことを証明しなければならない。

  4. 国際的な食糧援助を供与する加盟国は、次のことを確保する。
    (a) 国際的な食糧援助の供与が、受益国に対する農産品の商業的輸出に直接的にも間接的にも関連付けられていないこと。
    (b) 資金供与による二国間の食糧援助を含む国際的な食糧援助に係る取引が、国際連合食糧農業機関の「余剰処理の原則及び協議義務」(適当な場合には通常貿易必要量の制度を含む。)に従って実施されること。
    (c) そのような援助が、可能な限り、完全に贈与の形で又は千九百八十六年の食糧援助規約第四条に定める条件よりも受益国にとって不利でない条件で供与されること。
第十一条 ある産品の一部を成す産品
    いかなる場合にも、ある産品の一部を成す一次産品である農産品について支払われる単位当たりの補助金は、当該一次産品である農産品が単独で輸出されたならば支払われるべき単位当たりの輸出補助金を超えてはならない。

第六部

第十二条 輸出の禁止及び制限に関する規律
  1. 加盟国は、千九百九十四年のガット第十一条2(a)の規定に基づいて食糧の輸出の禁止又は制限を新設する場合には、次の規定を遵守する。
    (a) 輸出の禁止又は制限を新設する加盟国は、当該禁止又は制限が輸入加盟国の食糧安全保障に及ぼす影響に十分な考慮を払う。
    (b) 加盟国は、輸出の禁止又は制限を新設するに先立ち、農業に関する委員会に対し、実行可能な限り事前かつ速やかにそのような措置の性質及び期間等の情報を付して書面により通報するものとし、要請があるときは、輸入国として実質的な利害関係を有する他の加盟国と当該措置に関する事項について協議する。輸出の禁止又は制限を新設する加盟国は、要請があるときは、当該他の加盟国に必要な情報を提供する。

  2. この条の規定は、ある食糧の純輸出国である開発途上加盟国が当該食糧について1に規定する措置をとる場合を除くほか、開発途上加盟国については適用しない。

第七部

第十三条 妥当な自制

実施期間中、千九百九十四年のガット及び補助金及び相殺措置に関する協定(この条において「補助金協定」という。)の規定にかかわらず、

(a) 附属書二の規定に完全に適合する国内助成措置は、
    (i) 相殺関税(注)の対象とならない補助金とする。

    注 この条において、「相殺関税」とは、千九百九十四年のガット第六条及び補助金協定第五部の規定の対象となる関税をいう。
    (ii) 千九百九十四年のガット第十六条及び補助金協定第三部の規定の適用の対象から除外される。
    (iii) 千九百九十四年のガット第二条の規定に基づいて他の加盟国に与えられた関税譲許の利益の無効化又は侵害(千九百九十四年のガット第二十三条1(b)の意味における非違反措置によるもの)を根拠としてとられる措置の対象から除外される。
(b) 各加盟国の譲許表に反映されている国内助成措置(第六条の規定に完全に適合するもの(同条5の要件に適合する直接支払を含む。)に限る。)並びに同条4に定める百分率の範囲内の国内助成及び同条2に適合する国内助成は、
    (i) 千九百九十四年のガット第六条及び補助金協定第五部の規定に従って損害又はそのおそれの決定が行われる場合を除くほか、相殺関税の賦課の対象から除外される。相殺関税に係る調査の開始については、妥当な自制が示されるものとする。
    (ii) 特定の産品についてのこれらの助成が千九百九十二市場年度中に決定された助成の水準を超えない場合には、千九百九十四年のガット第十六条1又は補助金協定の第五条及び第六条の規定の適用の対象から除外される。
    (iii) 特定の産品についてのこれらの助成が千九百九十二市場年度中に決定された助成の水準を超えない場合には、千九百九十四年のガット第二条の規定に基づいて他の加盟国に与えられた関税譲許の利益の無効化又は侵害(千九百九十四年のガット第二十三条1(b)の意味における非違反措置によるもの)を根拠としてとられる措置の対象から除外される。
(c) 各加盟国の譲許表に反映されている輸出補助金(第五部の規定に完全に適合するものに限る。)は、
    (i) 千九百九十四年のガット第六条及び補助金協定第五部の規定に従って、数量、価格に及ぼす影響又は結果として生ずる影響に基づいて損害又はそのおそれの決定が行われる場合にのみ、相殺関税の対象となる。相殺関税に係る調査の開始については、妥当な自制が示されるものとする。
    (ii) 千九百九十四年のガット第十六条又は補助金協定の第三条、第五条及び第六条の規定の適用の対象から除外される。


第八部

第十四条 衛生植物検疫措置

加盟国は、衛生植物検疫措置の適用に関する協定を実施することを合意する。


第九部

第十五条 特別のかつ異なる待遇
  1. 開発途上加盟国に対する異なるかつ一層有利な待遇が交渉の不可分の一部であるとの認識に従い、約束に関する特別のかつ異なる待遇が、この協定の関連する規定に定められ及び譲許表に記載されているところに従って与えられる。

  2. 開発途上加盟国については、削減に関する約束を十年を限度とする期間にわたって実施することが認められる。後発開発途上加盟国は、削減に関する約束を行うことを要求されない。

第十部

第十六条 後発開発途上国及び食糧純輸入開発途上国
  1. 先進加盟国は、「改革計画が後発開発途上国及び食糧純輸入開発途上国に及ぼし得る悪影響に係る措置に関する決定」の枠組みの中で定められるような措置をとる。

  2. 農業に関する委員会は、1の決定に関するその後の状況を適宜監視する。

第十一部

第十七条 農業に関する委員会

この協定により農業に関する委員会を設置する。

第十八条 約束の実施についての検討
  1. 農業に関する委員会は、ウルグァイ・ラウンドによる改革計画の下においてその交渉が行われた約束の実施の進捗ちょく状況について検討する。

  2. 検討の過程は、加盟国による通報(その内容及び間隔については、今後定められる。)及びこの検討の過程を円滑にするために事務局が準備することを要請されることのある文書に基づいて進められる。

  3. 2の規定によって行われる通報のほか、削減の対象から除外されるものとして扱われる新たな国内助成措置又は既存の措置の修正についても、速やかに通報が行われるものとする。この通報においては、新たな又は修正された措置の詳細及び当該措置が第六条又は附属書二に定める合意された基準に適合することを示す。

  4. 加盟国は、検討の過程において、国内助成に関する約束を遵守することについてのいずれかの加盟国の能力に過度のインフレーション率が及ぼす影響に十分な考慮を払う。

  5. 加盟国は、農業に関する委員会において、この協定に基づく輸出補助金に関する約束の枠組みの中で世界の農産品貿易の正常な拡大に参加することについて毎年協議することを合意する。

  6. 加盟国は、検討の過程において、改革計画の下におけるこの協定に規定する約束の実施に関する問題を提起する機会を与えられる。

  7. 加盟国は、他の加盟国によって通報されるべきであったと考える措置について農業に関する委員会の注意を喚起することができる。
第十九条 協議及び紛争解決

紛争解決了解によって詳細に定められて適用される千九百九十四年のガットの第二十二条及び第二十三条の規定は、この協定に係る協議及び紛争解決について準用する。


第十二部

第二十条 改革過程の継続

加盟国は、根本的改革をもたらすように助成及び保護を実質的かつ漸進的に削減するという長期目標が進行中の過程であることを認識し、次のことを考慮に入れて、実施期間の終了の一年前にその過程を継続するための交渉を開始することを合意する。
    (a) 削減に関する約束の実施によってその時点までに得られた経験
    (b) 削減に関する約束が世界の農業貿易に及ぼす影響
    (c) 非貿易的関心事項、開発途上加盟国に対する特別のかつ異なる待遇、公正で市場指向型の農業貿易体制を確立するという目標その他前文に規定する目標及び関心事項
    (d) これらの長期目標を達成するために更にいかなる約束が必要であるか。


第十三部

第二十一条 最終規定
  1. 千九百九十四年のガット及び世界貿易機関協定附属書一Aに含まれている他の多角的貿易協定の規定は、この協定の規定に従うことを条件として適用する。

  2. 附属書は、この協定の不可分の一部を成す。

附属書一 対象産品
  1. この協定は、次に掲げる統一システムの類、項又は号の産品(注)について適用する。

    注: (ii)に掲げる番号の後の括弧内の品名は、必ずしも網羅的ではない。

    (i) 第一類から第二十四類まで。ただし、魚及び魚製品を除く。
    (ii) 第二九〇五・四三号(マンニトール)
    第二九〇五・四四号(ソルビトール)
    第三三・〇一項(精油)
    第三五・〇一項から第三五・〇五項まで(たんぱく系物質、変性でん粉、膠こう着剤)
    第三八〇九・一〇号(仕上剤)
    第三八二三・六〇号(ソルビトール(他の号に該当するものを除く。))
    第四一・〇一項から第四一・〇三項まで(原皮)
    第四三・〇一項(原毛皮)
    第五〇・〇一項から第五〇・〇三項まで(生糸及び絹のくず)
    第五一・〇一項から第五一・〇三項まで(羊毛その他の獣毛)
    第五二・〇一項から第五二・〇三項まで(実綿、綿のくず及びカードし又はコームした綿)
    第五三・〇一項(亜麻)
    第五三・〇二項(大麻)

  2. 1の規定は、衛生植物検疫措置の適用に関する協定の対象産品を制限するものではない。

附属書二 国内助成(削減に関する約束の対象からの除外の根拠)
  1. 削減に関する約束の対象から除外されるものとして扱われる国内助成措置は、貿易を歪ゆがめるような影響又は生産に対する影響が全くないか又はあるとしても最小限であるという根本的な要件を満たすものでなければならない。このため、削減に関する約束の対象から除外されるものとして扱われるすべての措置は、次の基本的な基準並びに2から13までに定める政策類型別の基準及び条件に適合するものでなければならない。
    (a) 当該助成が、公的な資金(現に徴収されなかった政府の収入を含む。)を用いて実施される政府の施策(消費者からの移転を伴わないものに限る。)を通じて行われること。
    (b) 当該助成が、生産者に対して価格支持の効果を有しないこと。
    政府による役務の提供に係る施策

  2. 一般的な役務
    この分類に属する政策は、農業又は農村に役務又は利益を提供する施策に関する出費(又は現に徴収されなかった収入)を伴う。当該政策は、生産者又は加工業者に対する直接支払を伴うものであってはならない。そのような施策(次に掲げるものが含まれるが、これらに限られるものではない。)は、1に定める一般的な基準及び、次の(a)から(g)までにおいて政策類型別の条件が規定されている場合には、当該条件を満たすものでなければならない。
    (a) 研究(一般的研究、環境に係る施策に関する研究、特定の産品に関する研究に係る施策等)
    (b) 有害動植物及び病気の防除(早期警報制度、検疫並びに有害動植物及び病気の根絶その他の一般的な又は産品の特定された有害動植物及び病気の防除の措置等)
    (c) 訓練に関する役務(一般的又は専門的訓練に関する便宜等)
    (d) 普及及び助言に関する役務(生産者及び消費者に対する情報又は研究結果の提供を容易にする手段の供与等)
    (e) 検査に関する役務(一般的検査に関する役務、特定の産品の衛生、安全、格付又は標準化のための検査等)
    (f) 市場活動及び販売促進に関する役務(特定の産品に関する市場についての情報、当該産品に関する助言及び販売促進等。ただし、販売価格の引下げ又は買手に対する直接的な経済的利益の供与のために売手により使用され得る目的不特定の出費を除く。)
    (g) 基盤整備に関する役務(電力網、道路その他の輸送手段、市場及び港湾に係る施設、水の供給施設、ダム及び排水に係る事業、環境に係る施策に関する基盤整備事業等。この役務に係る出費は、いかなる場合においても、設備の提供又は建設にのみ充てられるものとし、農用地における施設(一般的に利用可能な公益事業に係るものを除く。)の提供に係る補助金に該当するものは含まない。当該出費は、投入される要素若しくは運営費に係る補助金に充てられ又は使用料金の割引のために用いられるものであってはならない。)

  3. 食糧安全保障のための公的備蓄(注1、注2)
    国内法令で定める食糧安全保障に係る施策の不可分の一部を成す産品の備蓄の形成及びその保有に関する出費(又は現に徴収されなかった収入)。当該施策の一部を成す産品の民間備蓄に対する政府の援助もこれに含めることができる。

    このような備蓄の量及びその形成は、食糧安全保障のみに関してあらかじめ定められた目標に応じたものとする。備蓄の形成及びその処分の過程は、財政的に透明性のあるものでなければならない。政府による食糧の購入は、その時点における市場価格で行うものとし、食糧安全保障のための備蓄からの売却は、産品及び品質に係るその時点における国内市場価格を下回らない価格で行う。

    注1: この3の規定の適用上、透明性のある方法で運用され、かつ、公表された客観的な基準又は指針に従って実施される開発途上国における食糧安全保障のための政府の備蓄に係る施策(食糧安全保障のための食糧の備蓄が管理価格により取得され及び放出される施策を含む。)は、この3の規定に適合するものとみなされる。この場合において、取得価格と外部基準価格との差は、助成合計量に算入される。
    注2: この3の規定の適用上、開発途上国において都市及び農村の貧困層の食糧需要を合理的な価格で定期的に満たすことを目的として行われる補助された価格での食糧の供与は、この3の規定に適合するものとみなす。

  4. 国内における食糧の援助(注)
    貧困層に対する国内における食糧の援助の供与に関する出費(又は現に徴収されなかった収入)

    食糧の援助を受けるための適格性は、栄養上の目的に関して明確に定められた基準に照らして決定される。この援助は、適格性を有する受益者に対する食糧の直接供与の形態又は当該受益者が市場価格若しくは補助された価格で食糧を購入するための手段の提供の形態で行う。政府による食糧の購入は、その時点における市場価格で行うものとし、援助の資金調達及びその運用は、透明性のあるものとする。

    注: この4の規定の適用上、開発途上国において都市及び農村の貧困層の食糧需要を合理的な価格で定期的に満たすことを目的として行われる補助された価格での食糧の供与は、この4の規定に適合するものとみなす。

  5. 生産者に対する直接支払
    生産者に対する直接支払(現物による支払及び現に徴収されなかった収入を含む。)による助成であって削減に関する約束の対象から除外されるものとして扱われるものは、1に定める基本的な基準のほか、6から13までに定める直接支払の個別の類型に係る特定の基準を満たすものでなければならない。6から13までに定める直接支払以外の既存の又は新たな類型の直接支払であって削減の対象から除外されるものとして扱われるものは、1に定める一般的な基準のほか、6の(b)から(e)までに定める基準に適合するものでなければならない。

  6. 生産に関連しない収入支持
    (a) この支払を受けるための適格性は、定められた一定の基準期間における収入、生産者又は土地所有者であるという事実、要素の使用、生産水準その他の明確に定められた基準に照らして決定される。
    (b) いずれの年におけるこの支払の額も、(a)の基準期間後のいずれかの年において生産者によって行われる生産の形態又は量(家畜の頭数を含む。)に関連し又は基づくものであってはならない。
    (c) いずれの年におけるこの支払の額も、(a)の基準期間後のいずれかの年において行われる生産に係る国内価格又は国際価格に関連し又は基づくものであってはならない。
    (d) いずれの年におけるこの支払の額も、(a)の基準期間後のいずれかの年において使用される生産要素に関連し又は基づくものであってはならない。
    (e) この支払を受けるために、いかなる生産を行うことも要求されてはならない。

  7. 収入保険及び収入保証に係る施策への政府の財政的な参加
    (a) この支払を受けるための適格性は、農業から得られる収入のみを考慮して、過去三年間における若しくは過去五年間のうち収入が最大及び最小の年を除く三年間における総収入(同一又は同様の施策により受けた支払を除く。)の平均の三十パーセントに相当する価額又は純収入を用いて算定した同等の価額を超える収入の喪失があることに基づいて決定される。この条件を満たす生産者は、支払を受けるための適格性を有する。
    (b) この支払の額は、生産者がこの援助を受けるための適格性を有することとなった年の当該生産者の喪失した収入の七十パーセント以上の額を補償するものであってはならない。
    (c) この支払の額は、収入にのみ関連するものとする。この額は、生産者により行われる生産の形態若しくは量(家畜の頭数を含む。)、当該生産に係る国内価格若しくは国際価格又は使用される生産要素に関連するものであってはならない。
    (d) 生産者がこの7の規定に基づく支払及び8の規定(自然災害に係る救済)に基づく支払を同一の年において受ける場合には、これらの支払の総額は、生産者の損失の総額の百パーセント以上であってはならない。

  8. 自然災害に係る救済のための支払(直接行われるもの又は収穫についての保険に係る事業への政府の財政的な参加により行われるもの)
    (a) この支払を受けるための適格性は、自然災害又はこれに類する災害(病気の発生、有害動植物の大量発生、原子力事故及び当該加盟国の領域における戦争を含む。)が発生し又は発生しつつあることを政府の機関が公式に認めた後にのみ生ずるものとし、過去三年間における又は過去五年間のうち生産が最大及び最小の年を除く三年間における生産の平均の三十パーセントを超える生産の損失があることに基づいて決定される。
    (b) 災害の発生に伴って行われる支払は、自然災害による収入、家畜又は土地その他の生産要素に係る損失(獣医による家畜の処置に係る出費を含む。)についてのみ行う。
    (c) 支払は、当該損失の補填てんのための総費用を超える額を補償するものであってはならず、また、将来の生産について特定の形態又は量を要件とし又は指定して行うものであってはならない。
    (d) 災害の発生中に行われる支払の額は、(b)に規定する損失の更なる発生を防止し又は緩和するために必要な水準を超えるものであってはならない。
    (e) 生産者がこの8の規定に基づく支払及び7の規定(収入保険及び収入保証に係る施策)に基づく支払を同一の年において受ける場合には、これらの支払の総額は、生産者の損失の総額の百パーセント以上であってはならない。

  9. 生産者の廃業に係る施策による構造調整援助
    (a) この支払を受けるための適格性は、市場性のある農産品の生産に従事する者の廃業又は農業以外の職業への転業を容易にするための施策において明確に定められた基準に照らして決定される。
    (b) 支払は、受益者が市場性のある農産品の生産を完全かつ恒久的に廃業することを条件として行う。

  10. 資源の使用の中止に係る施策による構造調整援助
    (a) この支払を受けるための適格性は、市場性のある農産品の生産についての土地その他の資源(家畜を含む。)の使用の中止のための施策において明確に定められた基準に照らして決定される。
    (b) 支払は、市場性のある農産品の生産について土地の使用を少なくとも三年間中止すること及び、家畜については、とさつ又は完全かつ恒久的に処分することを条件として行う。
    (c) 支払は、当該土地その他の資源を市場性のある農産品の生産を伴う代替的な使用に供することを要件とし又はそのような使用の方法を指定して行うものであってはならない。
    (d) 支払は、引き続き生産の用に供される土地その他の資源を使用して行われる生産の形態若しくは量又は当該生産に係る国内価格若しくは国際価格に関連するものであってはならない。

  11. 投資援助による構造調整援助
    (a) この支払を受けるための適格性は、生産者の活動に関し客観的に明らかにされた構造上の不利な状況に応じて経済的及び物理的な構造調整を行うことを援助するための政府の施策において明確に定められた基準に照らして決定される。このような施策に係る適格性は、農用地の再私有化のための明確に定められた政府の施策に基づいて決定することもできる。
    (b) いずれの年におけるこの支払の額も、(e)に規定する場合を除くほか、基準期間後のいずれかの年において生産者によって行われる生産の形態又は量(家畜の頭数を含む。)に関連し又は基づくものであってはならない。
    (c) いずれの年におけるこの支払の額も、基準期間後のいずれかの年において行われる生産に係る国内価格又は国際価格に関連し又は基づくものであってはならない。
    (d) 支払は、当該支払に係る投資の実現のために必要な期間についてのみ行う。
    (e) 支払は、受益者に特定の産品を生産しないことを要求する場合を除くほか、受益者に対し特定の農産品の生産を義務付け又は何らかの方法で指定して行うものであってはならない。
    (f) 支払は、構造上の不利な状況についての補償のために必要な額に限定して行う。

  12. 環境に係る施策による支払
    (a) この支払を受けるための適格性は、明確に定められた環境又は保全に係る政府の施策の一部として決定されるものとし、当該政府の施策に定める具体的な条件(生産方法又は生産に投入される要素に関連するものを含む。)が満たされることによって生ずる。
    (b) 支払の額は、政府の施策に従うことに伴う追加の費用又は収入の喪失に限定されるものとする。

  13. 地域の援助に係る施策による支払
    (a) この支払を受けるための適格性は、不利な地域の生産者のみが有する。そのような地域は、経済上及び行政上の明確な同一性を有する明確に指定された地理的に連続する区域であって、法令において明確に規定される中立的かつ客観的な基準(当該地域の困難が一時的な事情にとどまらない事情から生ずることを示すもの)に照らして不利であると考えられるものでなければならない。
    (b) いずれの年におけるこの支払の額も、基準期間後のいずれかの年において生産者によって行われる生産の形態又は量(家畜の頭数を含む。)に関連し又は基づくものであってはならない。ただし、当該生産の削減のために行う支払については、この限りでない。
    (c) いずれの年におけるこの支払の額も、基準期間後のいずれかの年において行われる生産に係る国内価格又は国際価格に関連し又は基づくものであってはならない。
    (d) 支払は、適格性を有する地域の生産者のみが受けることができるものとし、当該地域のすべての生産者が受けることができるものとする。
    (e) 生産要素に関連する支払は、当該要素が一定の水準を超える場合には、逓減的に行う。
    (f) 支払の額は、所定の地域において農業生産を行うことに伴う追加の費用又は収入の喪失に限定される。


附属書三 国内助成(助成合計量の算定)
  1. 第六条の規定に従うことを条件として、助成合計量は、市場価格支持、削減の対象から除外されない直接支払及び削減に関する約束の対象から除外されないその他の補助金(「その他の非除外政策」)の対象となる基礎農産品について、産品ごとに算定する。産品が特定されない助成は、産品が特定されない一の助成合計量(総額が貨幣表示されたもの)として合計する。

  2. 1に規定する補助金は、それぞれ、政府又はその機関による予算上の支出のほか、現に徴収されなかった収入を含む。

  3. 助成には、全国的規模のもの及び地方的規模のものの双方を含める。

  4. 生産者が支払う農業に特定された課徴金又は手数料は、助成合計量から差し引く。

  5. 6から13までに規定するところにより基準期間について算定した助成合計量は、国内助成の削減に関する約束の実施のための基準となる水準を構成する。

  6. 基礎農産品のそれぞれについて、個別の助成合計量(総額が貨幣表示されたもの)を算定する。

  7. 助成合計量は、関係する基礎農産品について実行可能な限り最初の販売の段階に近い段階で算定する。農産品の加工業者についての措置は、当該措置が基礎農産品の生産者に利益を与える限度において含める。

  8. 市場価格支持
    市場価格支持は、固定された外部基準価格と用いられた管理価格との差に当該管理価格の対象となる生産量を乗じた価額を用いて算定する。買入れ又は貯蔵に係る費用その他この差を維持するために行われる予算上の支払は、助成合計量に含めない。

  9. 固定された外部基準価格については、千九百八十六年から千九百八十八年までの期間を基準とし、一般に、純輸出国においては基準期間における関係する基礎農産品の単位当たりの本船渡し価格の平均、純輸入国においては基準期間における関係する基礎農産品の単位当たりの保険料及び運賃込み価格の平均とする。固定された基準価格は、必要に応じて品質の差によって修正することができる。

  10. 削減の対象から除外されない直接支払
    削減の対象から除外されない直接支払であって価格の差に基づくものは、固定された基準価格と用いられた管理価格との差に当該管理価格の対象となる生産量を乗じた価額又は予算上の支出を用いて算定する。

  11. 固定された基準価格については、千九百八十六年から千九百八十八年までの期間を基準とし、一般に、支払の額を決定するために用いられた実際の価格とする。

  12. 削減の対象から除外されない直接支払であって価格以外の要素に基づくものは、予算上の支出を用いて算定する。

  13. その他の非除外措置(農業生産に投入される要素に係る補助金及び市場活動に係る費用を軽減する措置その他の措置)
    このような措置の価額は、政府の予算上の支出を用いて算定するものとし、予算上の支出を用いた算定が当該補助金の全体を反映しない場合には、補助金を算定する基礎は、補助金の交付を受けた物品又は役務の価格と類似の物品又は役務の代表的な市場価格との差に補助金の交付を受けた物品又は役務の数量を乗じた価額とする。

附属書四 国内助成(助成同等量の算定)
  1. 第六条の規定に従うことを条件として、助成同等量は、附属書三に規定する市場価格支持が存在する基礎農産品のうち、助成合計量のこの構成要素を算定することができないすべてのものについて算定する。当該基礎農産品については、国内助成の削減に関する約束の実施のための基準となる水準は、2の規定に従って助成同等量により表示される市場価格支持に係る構成要素及び3の規定に従って評価される直接支払その他の削減の対象から除外されない助成から成る。助成には、全国的規模のもの及び地方的規模のものの双方を含める。

  2. 1に規定する助成同等量は、市場価格支持の対象となるすべての基礎農産品(実行可能な限り最初の販売の段階に近い段階のもの)であって、助成合計量の市場価格支持に係る構成要素を算定することができないものについて、産品ごとに算定する。当該基礎農産品については、市場価格支持に係る助成同等量は、用いられた管理価格及び当該管理価格の対象となる生産量を用いて又は、これが実行可能でない場合には、生産者価格を維持するために用いられた予算上の支出に基づいて算定する。

  3. 1の規定に該当する基礎農産品が、直接支払その他の産品が特定された補助金であって削減に関する約束の対象から除外されないものの対象である場合には、これらの措置に係る助成同等量は、助成合計量の対応する構成要素(附属書三の10から13までに規定するもの)について行う算定を基礎とする。

  4. 助成同等量は、関係する基礎農産品の実行可能な限り最初の販売の段階に近い段階における補助金の額に基づいて算定する。農産品の加工業者についての措置は、当該措置が基礎農産品の生産者に利益を与える限度において含める。生産者が支払う農業に特定された課徴金又は手数料は、相当する額を助成同等量から差し引く。

附属書五 第四条2の規定に関する特例措置

第A部

  1. 第四条2の規定は、一次産品である農産品並びに当該一次産品である農産品を加工し及び(又は)調製した産品(以下「指定産品」という。)であって次の条件を満たすものについては、世界貿易機関協定の効力発生の日から適用されない(以下「特例措置」という。)。
    (a) 千九百八十六年から千九百八十八年までの基準期間(以下「基準期間」という。)において、当該指定産品の輸入量が、対応する国内消費量の三パーセント未満であったこと。
    (b) いかなる輸出補助金も、基準期間の開始時から当該指定産品について交付されていないこと。
    (c) 効果的な生産制限措置が、当該一次産品である農産品についてとられていること。
    (d) 当該指定産品が、マラケシュ議定書に附属する加盟国の譲許表第一部第一B節において、食糧安全保障、環境保護その他の非貿易的関心事項の要素を反映する特例措置の対象として、「ST 附属書五」という記号によって指定されていること。
    (e) 当該指定産品に関する最小限度のアクセス機会が、当該加盟国の譲許表第一部第一B節において明記されているとおり、実施期間の最初の年の開始時から基準期間における当該指定産品の国内消費量の四パーセントに相当しており、かつ、その後は実施期間の残余の期間において、毎年、基準期間における対応する国内消費量の〇・八パーセントずつ増大されていること。

  2. 加盟国は、実施期間中のいずれの年の開始時においても、6に定めるところに従い、当該指定産品に関する特例措置の適用を終了させることができる。この場合において、当該加盟国は、その時点において既に効力を有している最小限度のアクセス機会を維持し、かつ、実施期間の残余の期間において、毎年、最小限度のアクセス機会を、基準期間における対応する国内消費量の〇・四パーセントずつ増大する。その後、この方法によって実施期間の最後の年について得られる最小限度のアクセス機会の水準を、当該加盟国の譲許表において維持する。

  3. 1に規定する特例措置を実施期間の終了後において継続することができるかできないかという問題に関する交渉については、非貿易的関心事項の要素を考慮に入れ、第二十条に規定する交渉の一部として実施期間自体の時間的枠組みの中で完了する。

  4. 3に規定する交渉の結果、加盟国が引き続き特例措置を適用することができることについて合意される場合には、当該加盟国は、当該交渉において決定される追加的かつ受入れ可能な譲許を与える。

  5. 実施期間の終了時において特例措置が継続されないこととなる場合には、当該加盟国は、6の規定を実施する。この場合において、実施期間の終了後における当該指定産品に関する最小限度のアクセス機会を、当該加盟国の譲許表において、基準期間における対応する国内消費量の八パーセントの水準に維持する。

  6. 通常の関税以外の国境措置で当該指定産品について維持されているものは、特例措置の適用が終了する年の開始時から第四条2の規定の適用を受ける。当該指定産品は、通常の関税の対象となるものとし、当該通常の関税は、特例措置の適用が終了する年の開始時から及びその後において、実施期間を通じて少なくとも十五パーセントの引下げが毎年均等に分割して実施されていたならば適用されたであろう税率で当該加盟国の譲許表において譲許され及び適用されるものとする。この関税は、付録に定める指針に従って算定される関税相当量に基づいて定める。

第B部

  1. 第四条2の規定は、開発途上加盟国の伝統的な食事における主要な基本食品である一次産品である農産品に関し、1の(a)から(d)までに規定する条件のほか、次の条件が、該当する農産品について満たされる場合には、世界貿易機関協定の効力発生の日から適用されない。
    (a) 当該農産品に関する最小限度のアクセス機会が、当該開発途上加盟国の譲許表第一部第一B節において明記されているとおり、実施期間の最初の年の開始時から基準期間における当該農産品の国内消費量の一パーセントに相当しており、かつ、実施期間の五番目の年の開始時において基準期間における対応する国内消費量の二パーセントに相当するように毎年均等に分割して増大されていること。当該農産品に関する最小限度のアクセス機会が、実施期間の六番目の年の開始時から基準期間における対応する国内消費量の二パーセントに相当しており、かつ、十番目の年の開始時までに基準期間における対応する国内消費量の四パーセントに相当するように毎年均等に分割して増大されていること。その後、この方法によって当該十番目の年について得られる最小限度のアクセス機会の水準が、当該開発途上加盟国の譲許表において維持されること。
    (b) この協定の対象となる他の産品について適当な市場アクセス機会が提供されていること。

  2. 7に規定する特例措置を実施期間の開始時から十番目の年の終了後において継続することができるかできないかという問題に関する交渉は、当該十番目の年自体の時間的枠組みの中で開始しかつ完了する。

  3. 8に規定する交渉の結果、加盟国が引き続き特例措置を適用することができることについて合意される場合には、当該加盟国は、当該交渉において決定される追加的かつ受入れ可能な譲許を与える。

  4. 7に規定する特例措置が実施期間の開始時から十番目の年を超えて継続されないこととなる場合には、当該農産品は、通常の関税(付録に定める指針に従って算定される関税相当量に基づいて定められるもの)の対象となるものとし、当該通常の関税は、当該加盟国の譲許表において譲許されるものとする。その他の点については、6の規定が、この協定に基づいて開発途上加盟国に与えられる関連する特別のかつ異なる待遇に照らして修正された上で適用される。

附属書五の付録 この附属書の6及び10に規定する特定の目的のための関税相当量の算定の指針
  1. 関税相当量(従価税率又は従量税率のいずれの税率により表示されるものであるかを問わない。)の算定は、国内価格と国際価格との実際の差を用いて透明性のある方法で行う。使用するデータは、千九百八十六年から千九百八十八年までのものとする。関税相当量は、
    (a) 原則として、統一システムの四桁けた番号の水準において設定する。
    (b) 適当な場合には、統一システムの六桁けた番号の又はより詳細な水準において設定する。
    (c) 加工され及び(又は)調製された産品については、一般的な場合には、一次産品である農産品に係る特定の関税相当量に、加工され及び(又は)調製された産品において当該一次産品である農産品が価額において又は物理的に占める割合のうちいずれか適当なものを乗ずることによって設定する。必要な場合には、その時点において産業に対して保護を与えている追加の要素が考慮される。

  2. 国際価格は、一般的な場合には、輸入国における実際の単位当たりの保険料及び運賃込み価格の平均とする。単位当たりの保険料及び運賃込み価格の平均が利用可能又は適当でない場合には、国際価格は、次の(a)又は(b)のいずれかとする。
    (a) 近隣国における適当な単位当たりの保険料及び運賃込み価格の平均
    (b) 適当な主要輸出国における単位当たりの本船渡し価格の平均に輸入国が負担する保険料、運賃その他の関連費用の見積りを加えることによって調整した価格から推定される価格

  3. 国際価格は、一般に、価格に関するデータに係る期間と同一の期間についての市場における為替相場の年次平均を用いて内国通貨に換算する。

  4. 国内価格は、一般的な場合には、国内市場における代表的な卸売価格とし、十分なデータが利用可能でない場合には、当該卸売価格の見積りとする。

  5. 当初の関税相当量については、必要な場合には、品質又は品種の違いを考慮に入れるために、適当な係数を用いて調整することができる。

  6. これらの指針に従って得られる関税相当量が負の数値である場合又はその時点における譲許税率よりも低い場合には、当初の関税相当量は、その時点における譲許税率の水準とし又は当該産品についての各国の申出に基づいて設定することができる。

  7. 1から6までに定める指針に従って得られたであろう関税相当量の水準について調整が行われる場合には、関係する加盟国は、要請があるときは、適当な解決策について交渉するため、十分な協議の機会を与える。
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