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アルゼンチンの輸入制限措置がWTO協定違反と確定しました~WTO紛争処理上級委員会報告書が公表されました~

本件の概要

WTOは、1月15日(ジュネーブ時間)、我が国、米国及びEUの申立てに基づき、WTOで審理されてきたアルゼンチンの輸入制限措置について、紛争処理上級委員会の報告書を公表しました。
同報告書は、アルゼンチンの輸入制限措置について、GATT第11条第1項(数量制限の一般的廃止)に整合しないとの我が国の主張を全面的に認めました。

1.概要

アルゼンチンは2008年11月以降、各種産品に関して一連の輸入制限措置(輸出入均衡要求、事前輸入宣誓供述制度、非自動輸入ライセンス制度など)を導入しました。
これらの措置により、自動車、家電、電子製品等多様な品目について我が国から同国への輸出が滞る・遅延する等の影響が生じたため、我が国は、2012年8月、米国と共にアルゼンチンに対してWTO協定に基づく政府間協議を要請し、同年9月にアルゼンチンと協議を行いました。
この協議結果を踏まえて、我が国は、同年12月、米国及びEUと共に、WTOに対してアルゼンチンの輸入制限措置について紛争処理小委員会(パネル)での審理を要請し、これを受けて2013年1月にパネルが設置されました。
※EUは、別途、2012年5月にWTO協議要請、同年7月にアルゼンチンと協議を実施。

その後、2013年9月及び12月にパネル会合(口頭弁論)が開催され、2014年8月22日、WTOはアルゼンチンの輸入制限措置について、GATT第11条第1項(数量制限の一般的廃止)に整合しないとの我が国の主張を全面的に認めるパネル報告書を公表しました。
(参考)経済産業省ニュースリリース(2014年8月22日)
http://www.meti.go.jp/press/2014/08/20140822005/20140822005.pdf
このパネル報告書に関し、2014年9月26日、アルゼンチンはパネルの判断を不服として上訴(WTO上級委員会への申立て)を行いました。
その後、同年11月に上級委員会会合で両国による口頭弁論が行われ、このたび、上級委員会はアルゼンチンの輸入規制措置に関する報告書を公表しました。
外務省と同時発表

2.上級委員会報告書における主な認定内容

上級委員会報告書は、日本、米国、EUの主張を全面的に認め、パネル報告書を支持し、アルゼンチンにWTO協定に従って措置を是正するよう勧告しました。
(1)日本、米国、EUの主張を全面的に認めたパネル報告書を支持。
(2)アルゼンチンの事前輸入宣誓供述制度は、輸入を制限する措置であり、GATT第11条第1項に整合しない。
(3)アルゼンチンの輸出入均衡要求は、輸入を制限する組織的かつ将来にわたり適用される措置であると認められ、GATT第11条第1項に整合しない。
(4) アルゼンチンは、WTO協定に整合しないと認定された措置をWTO協定に整合的なものに是正するよう勧告。
3.今後の予定
当事国は、公表から60日以内にWTO上級委員会に対して上訴することが可能です。上訴が無い場合には、パネル報告書の内容でWTOとしての判断が確定することとなります。
【参考】
(1)GATT第11条(数量制限の一般的廃止)第1項(抜粋)
締約国は、他の締約国の領域の産品の輸入について、又は他の締約国の領域に仕向けられる産品の輸出若しくは輸出のための販売について、割当によると、輸入又は輸出の許可によると、その他の措置によるとを問わず、関税その他の課徴金以外のいかなる禁止又は制限も新設し、又は維持してはならない。
(2)アルゼンチンが採用した主な輸入制限措置
①輸出入均衡要求
企業がアルゼンチンに輸入を行う条件として、輸入と同額のアルゼンチン産品の輸出を政府が求める措置。明文規定がなく事実上の指導を通じて行われ、また、要求に応じない場合には、下記の②事前輸入宣誓供述制度における承認や③非自動輸入ライセンスの発給がなされない場合がある。
②事前輸入宣誓供述制度
輸入手続の前に、輸入品目、数量、額をアルゼンチン連邦歳入庁等に申告し、その承認を得なければならない制度。承認要件が示されておらず、恣意的に運用。
③非自動輸入ライセンス制度
ライセンス発給要件が不明確であり、恣意的に運用。ただし、パネル設置の直前にアルゼンチンは本制度を廃止。
(3)パネル報告書の判断
①アルゼンチンの事前輸入宣誓供述制度は、輸入を制限する措置であり、GATT第11条第1項に整合しない。
②アルゼンチンの輸出入均衡要求は、輸入を制限する一般的かつ将来にわたり適用される措置であると認められ、GATT第11条第1項に整合しない。

3.今後の予定

上級委員会報告書は1月26日に開催される定例WTO紛争解決機関会合において正式に採択される見込みです。
我が国は、アルゼンチンが本報告書の勧告を早期に履行し、WTO協定に整合しないと認定された措置を速やかに是正することを求めます。

4.意義

本件は、我が国企業からアルゼンチン市場への円滑な輸出を担保する観点のみならず、新興国による保護主義的措置の拡散が懸念される中、本件措置のような保護主義的措置がWTO協定上容認されないことが明確にされた点で意義があります。
また、明文規定のない事実上の指導によって行われた措置についてもWTO協定違反を認定し、アルゼンチンが法令を制定せず措置の内容を明確化しないことによって、WTO協定違反の判断を回避することを許容しなかった点でも有意義であると考えます。

担当

通商政策局 国際経済紛争対策室
通商政策局 中南米室

公表日

平成27年1月15日(木)

発表資料

経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
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