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伊藤レポート「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクト「最終報告書」を公表します

本件の概要

【9月3日発表資料追加】以下の資料を追加しました。
・最終報告書 要旨

経済産業省が取り組む「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクト(座長:伊藤邦雄 一橋大学大学院商学研究科教授)では、約1 年にわたる議論を経て「最終報告書(伊藤レポート)」をまとめました。
最終報告書では、企業が投資家との対話を通じて持続的成長に向けた資金を獲得し、企業価値を高めていくための課題を分析し、提言を行っています。
資本効率を意識した経営改革、インベストメント・チェーンの全体最適化、双方向の対話促進を主なメッセージとし、その実現に向けて「経営者・投資家フォーラム」(Management-Investor Forum: MIF)」の創設を提言しています。

1.最終報告書の概要

本報告書の主要メッセージや提言は以下のとおりです。
1)企業と投資家の「協創」による持続的価値創造を
企業と投資家、企業価値と株主価値を対立的に捉えることなく、「協創(協調)」の成果として持続的な企業価値向上を目指すべき。
2)資本コストを上回るROE(自己資本利益率)を、そして資本効率革命を
ROE を現場の経営指標に落とし込むことで高いモチベーションを引き出し、中長期的にROE 向上を目指す「日本型ROE 経営」が必要。
「資本コスト」を上回る企業が価値創造企業であり、その水準は個々に異なるが、グローバルな投資家との対話では、8%を上回るROE を最低ラインとし、より高い水準を目指すべき。
3)全体最適に立ったインベストメント・チェーン変革を
インベストメント・チェーン(資金の拠出者から、資金を最終的に事業活動に使う企業までの経路)の弱さや短期化等の問題を克服し、全体最適に向けて変革することは、21 世紀の日本の国富を豊かにすることにつながる。
4)企業と投資家による「高質の対話」を追求する「対話先進国」へ
企業と投資家の信頼関係を構築する上で、企業価値創造プロセスを伝える開示と建設的で質の高い「対話・エンゲージメント」が車の両輪。
本報告書では、「スチュワードシップ・コード」等で求められる対話・エンゲージメントの目的、取り扱うべき事項、方法、企業と投資家に求められる姿勢と実力等を包括的にとりまとめた。
5)「経営者・投資家フォーラム(仮)」の創設
産業界と投資家、市場関係者、関係機関等から成る「経営者・投資家フォーラム(Management-Investor Forum :MIF)(仮)」を創設すべき。
そこでは、中長期的な情報開示や統合報告のあり方、建設的な対話促進の方策等を継続的に協議し、実現に向けた制度上・実務上の方策が検討される。

2.本プロジェクトについて

本プロジェクトは、企業経営者や長期投資家、市場関係者等が集まり(*1)、国際的にも大きな議論となっている資本市場や企業のショートターミズム(短期主義)の問題、企業と投資家の対話(エンゲージメント)の課題、企業開示・報告のあり方等を日本の文脈で捉え、客観的な事実を基に問題の所在やインセンティブ構造を明らかにすることを目指し、これらの問題の克服を企業の収益力や持続的な成長につなげるための方策を検討してまいりました。
*1: プロジェクト参加者については別紙参照
2013 年7 月の開始から約1 年間、16 回の総会に加え、3 つの分科会(*2)での集中的な検討と国内外からの情報・エビデンスの提供を受け、本年4 月に中間論点整理を発表。
内外からの更なるフィードバックを得て、今回の最終報告とりまとめに至っています。
*2: 企業価値創造の実態分科会、投資コミュニティ分科会、ショートターミズムと開示分科会

3.本プロジェクトの背景

現在、金融危機の反省から、欧米諸国を中心に、投資家や企業の短期主義是正やコーポレート・ガバナンスの強化とともに、企業と投資家の対話(エンゲージメント)や企業開示・報告のあり方の見直し等が、国際的な議論となっています。
例えば、英国では、2012 年、英国企業の長期的なパフォーマンスを向上させるための資本市場や投資家の役割について分析と提言等を行った「ケイ報告( Kay Review)」が公表され、EU 全体の議論にも影響を与えています。
米国においても「アクティビスト」あるいは「物言う株主」の存在感が高まる中で、株主と経営陣の対話のあり方、年金基金等長期的な機関投資家との関係をどのように構築するかといったことが議論されています。
企業と投資家の対話の基礎となる情報開示や報告の分野でも新たな動きが見られます。
財務報告については、米国やEU におけるディスクロージャー・フレームワークの検討など、開示内容や方法を合理化するための議論が進んでいます。
さらに、狭義の財務情報にとどまらず、経営戦略やリスク情報等の非財務情報も含め、企業の中長期的な価値創造を伝えるための報告のあり方も検討されています。
今年末に向けて国際的な枠組みづくりが進められている「統合報告」もその一つと言えます。
我が国においても、マクロ経済環境が好転しつつある中で、企業が中長期的な収益構造を確固たるものにし、そのような企業への投資を通じて資本市場においても持続的な利益を得られるような好循環を生み出していくことは、今後の成長に向けた課題です。
さらに、現在、日本の市場関係者のみならず、グローバルに投資を行う海外機関投資家等も、今後の日本市場の先行きや企業と投資家との関係のあり方に多大な関心と期待を持って、情報収集や評価を進めています。
こうした中で、国際的な課題を日本の文脈で検討し、それを日本国内での閉じた議論にとどめることなく、検討の過程を通じて海外の機関投資家を含む世界の関係者に対し、積極的に問いかけ、発信し、対話を行うことによって、日本市場の魅力を適切に発信することが必要となっています。
このような国際的な議論と日本の課題を背景として、2013 年7 月16 日、「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクトが立ち上げられました。

担当

経済産業政策局企業会計室

公表日

平成26年8月6日(水)

発表資料

経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
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