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中国のレアアース等原材料3品目に関する輸出規制がWTO協定違反と確定しました

本件の概要

WTO は、8月7日(ジュネーブ時間)、我が国、米国及びEUの申立てに基づきWTOで審理されてきた中国の原材料3品目(レアアース、タングステン及びモリブデン)に関する輸出規制について、紛争処理上級委員会の報告書を公表しました。
同報告書は、中国の輸出規制について、GATT(関税及び貿易に関する一般協定)第11条1項(輸出数量制限の禁止)及び中国のWTO加盟議定書第11条3項(輸出税の禁止)等に違反するとの我が国の主張を全面的に認めました。

1.経緯

中国は 1999年以降、重要戦略的資源であるレアアース、タングステン、モリブデンにつき順次輸出数量制限を導入するとともに、2006年以降輸出税を賦課しています。中国は、2006年以降輸出割当数量を年々削減し、特に、2010年下半期の輸出割当を大幅に削減し、市場に混乱をもたらしました。こうした事態を受け、我が国は、米国及びEUとともに、2012年3月、中国による輸出数量制限、輸出税の賦課等の輸出規制は、WTO協定に違反するものとして、WTO協定に基づく協議要請を行いました。
参考:経済産業省ニュースリリース(2012年3月13日)

しかし、中国との協議で満足できる解決が得られなかったことから、我が国は米国及びEUとともに、2012年6月、準司法的手続であるWTO紛争処理委員会(パネル)の設置を要請し、これを受け、2012年7月にパネルが設置され、2013年2月及び6月にパネル会合(口頭弁論)が開催されました。
参考:経済産業省ニュースリリース(2012年6月27日)

パネルは、2014年3月26日、報告書を公表し、中国の輸出規制について、GATT(関税及び貿易に関する一般協定)第11条1項(輸出数量制限の禁止)及び中国のWTO加盟議定書第11条3 項(輸出税の禁止)等に違反するとの我が国の主張を全面的に認める判断を示しました。
参考:経済産業省ニュースリリース(2014年3月26日)
http://www.meti.go.jp/press/2013/03/20140326003/20140326003.html

このパネル報告書に関し、2014年4月17日、中国はパネルの判断を不服として米国の事案について、同月24日、我が国及びEUの事案について上訴(WTO上級委員会への申し立て)を行いました。
その後、同年6月に上級委員会会合が開催され、このたび、上級委員会は中国のレアアース等原材料3品目に関する輸出規制措置に関する報告書を公表しました。

2.上級委員会報告書における主な認定内容

上級委員会報告書は、日本の主張を全面的に認め、パネル報告書を支持し、中国にWTO協定に従って措置を是正するよう勧告しました。

  1. 日本、米国、EUの主張を全面的に認めたパネル報告書を支持。
  2. 中国が賦課している輸出税について、中国の加盟議定書上の規定を、「環境の保護に関する措置」のGATT上の義務の例外を規定するGATT20条(b)の援用により正当化することはできない。
  3. 中国が講じている輸出数量割当について、GATT20条(g)に規定する「有限天然資源の保全に関する措置」とはいえず、同規定の援用により正当化することはできない。
  4. 中国は、WTO協定に整合しないと認定された措置をGATT及び中国加盟議定書に整合的なものに是正するよう勧告。

<パネル報告書の判断>

  1. 中国の輸出数量制限はGATT11条1項に規定される数量制限の禁止に抵触する。当該輸出数量制限は、GATT20条(g)項に規定される有限天然資源の保全に関する措置とはいえず、正当化されない。
  2. 中国の輸出税は、中国加盟議定書11条3項に規定される輸出税の賦課禁止に抵触する。中国は、中国加盟議定書11条3項との関係ではGATT20条(正当化事由)を援用することはできない。仮に援用できたとしても、中国の輸出税はGATT20条(b)項に規定される環境保護のために必要な措置とはいえず、正当化されない。
  3. 中国の最低資本金及び輸出実績要求といった貿易権の制限は、中国加盟議定書5条1項及び作業部会報告書83条、84条に規定される貿易権の制限の禁止に抵触する。当該貿易権の制限は、GATT20 条(g)項に規定される有限天然資源の保全に関する措置とはいえず、正当化されない。

これを受けて、茂木経済産業大臣は別添の談話を発表いたしました。

3.今後の予定

上級委員会報告書は、8月29日に開催されるWTO紛争解決機関会合において正式に採択される見込みです。
我が国は、中国が本報告書の勧告を早期に履行し、WTO協定に整合しないと認定された措置を速やかに是正することを求めます。

4.意義

本件は、重要資源であるレアアース、タングステン、モリブデンに関して、中長期にわたり市場を歪曲してきた輸出数量制限、輸出税賦課がWTO協定に違反することが確定した重要な判断です。
本報告書により、天然資源の保全や環境保護といった建前で天然資源の輸出規制を行い、実際には国内産業を優遇することは、WTO協定違反となることが確定しました。我が国は、多くの天然資源につき海外からの輸入に依存せざるを得ず、天然資源に対す る輸出規制措置がWTO協定に整合しないとの国際ルールを形成していくことは極めて重要です。また、昨今、資源ナショナリズムを背景に、一部の資源国において、天然資源の輸出規制を導入する動きが見られ、こうした保護主義的行動を牽制する上でも、意義が大きいと考えています。

担当

通商政策局 通商機構部 国際経済紛争対策室

公表日

平成26年8月8日(金)

発表資料

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