経済産業省
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『ここ1年の中小・小規模企業の経営状況の変化について』を公表します

本件の概要

平成26年10月初旬~中旬にかけて、ここ1年の中小・小規模企業の経営状況の変化に関する調査を行いました。
調査の結果、1年前と比べた売上高・経常利益の変化や原材料・エネルギーコストの状況は、業種によって違いが見られました。
原材料・エネルギーコスト増を踏まえた価格転嫁については、半数を超える中小・小規模企業で価格転嫁が困難な状況となっており、その理由は企業規模や業種によって異なっています。また、エネルギーコストの増加による取組については、価格転嫁対策について、これまで取り組んできた中小・小規模企業の倍近くが、今後取り組むとしています。
今回の調査では、中小・小規模企業の経営状況の変化や、今後転嫁に取り組みたいと考えている中小・小規模企業が多いといった実態が明らかになりました。

 1.調査の概要

ここ1年の中小・小規模企業の経営状況の変化を把握するため、平成26年10月2日から10月10日にかけて、全国の商工会、商工会議所、中央会を通じて中小・小規模企業1,414社に調査を行いました。 
調査内容としては、1年前と比べた売上高、経常利益の状況、経常利益変化の要因、原材料・エネルギーコストの増加が経常利益に与える影響、コスト増を踏まえた価格転嫁の状況や対策などについてアンケート形式で調査するとともに、直近の急激な為替相場の変動も踏まえ、円安が事業活動に及ぼす具体的な影響についても尋ねました。

2.結果の概要

(1)1年前と比べた売上高、経常利益の状況

売上高の状況をみると、1年前と比べて売上高が「増加した」と答えた企業が49.9%、「減少した」と答えた企業が34.5%という結果となりました。
経常利益の状況をみると、1年前と比べて経常利益が「増加した」と答えた企業が38.8%、「減少した」と答えた企業が47.6%という結果となりました。 
経常利益が増加した企業の利益増加の要因としては、「売上高の増加」を挙げる企業が76.0%と最も多く、卸売業や加工組立型製造業では「為替の変化」を挙げる企業も一定程度ありました。経常利益が減少した企業の利益減少の要因としては、「原材料・エネルギーコストの変化」を挙げる企業が62.9%と最も多く、「売上高の変化」を挙げる企業は54.0%でした。

(2)1年前と比べた原材料・エネルギーコストの状況

全体の8割を超える企業で1年前と比べて原材料・エネルギーコストが「増加した」との回答がありました。他方、「不変」または「減少している」と回答した企業は、原材料コストで18%、エネルギーコストで14%でした。
業種別にみると、特に運輸・郵便業、基礎素材型製造業、生活関連型製造業でコスト増の幅が大きくなっています。他方、小売業、サービス業では、2割を超える企業で「不変」または「減少している」との回答がありました。

(3)1年前と比べた原材料・エネルギーコスト増加の経常利益への影響

4割近い企業で、1年前と比べた原材料・エネルギーコストの増加による経常利益の圧迫は「10%以上」との回答がありました。他方、3割近くの企業で原材料・エネルギーコストの増加による経常利益の圧迫は「5%未満」との回答がありました。
業種別にみると、特に運輸・郵便業、基礎素材型製造業、生活関連型製造業、サービス業では、4割を超える企業で経常利益の圧迫は「10%以上」との回答がありました。他方、卸売業、加工組立型製造業、小売業では、3割を超える企業で経常利益の圧迫は「5%未満」との回答でした。

(4)足下の原材料・エネルギーコスト増加の商品・サービスの販売価格への反映状況

全体の約半数の企業が、これまでも、また今後も、価格転嫁が困難である(「ほとんど反映できていない」、「まったく反映できていない」と回答)という回答となっています。業種別にみると、特にサービス業、運輸・郵便業、基礎素材型製造業、生活関連型製造業で価格転嫁が困難な状況となっています(これまで:6割以上、今後:5割以上)。 他方、価格転嫁ができている(「ほとんど反映できている」)と回答した企業の割合は14.8%でした。
価格転嫁が困難な理由をたずねたところ、「価格転嫁すると売上が減少するため」という回答が最も多く、特に小売業、サービス業、卸売業では7割を超える企業の回答がありました。次に多い回答が「販売先が交渉に応じないため」であり、特に基礎素材型製造業、運輸・郵便業で5割を超える企業の回答がありました。

(5)エネルギーコストの増加に対する対策

省エネ関連の取組(既存設備での省エネ、設備や照明などを省エネ型に更新)を行っている企業が多い(全体の4~5割)ほか、今後取り組んでいこうとする対策として価格転嫁対策を挙げる企業が多い結果となり、ほぼ2倍近い増加となりました。また、人員・人件費以外のコスト削減(経費節減など)について取り組んでいる企業も多い結果となりました。
価格転嫁対策の取組状況を業種別にみると、いずれの業種においても、今後取り組んでいきたいと回答した企業がこれまで取り組んできたと回答した企業を大幅に上回る結果となりました。

(6)省エネ関連の取組を行っていない理由

省エネ関連の取組を行っていない企業にその理由をたずねたところ、小規模企業では「資金が不足しているから」という回答が最も多く、中規模企業では「費用削減につながらないから」という回答が最も多いという結果となりました。
「資金が不足しているから」と回答した企業を業種別にみると、基礎素材型製造業、生活関連型製造業、加工組立型製造業、小売業で4割を超えています。また、「費用削減につながらないから」と回答した企業は、運輸・郵便業、基礎素材型製造業、建設業、卸売業で3割を超えています。 

(7)企業の円安によるメリット・デメリットに関するコメント

円安によるメリット・デメリットを聞いたところ、メリットとしては「外国材の価格が上昇することによる国産材の競争力の向上」、「為替差損の発生、海外移管された製品の国内回帰」等の声がありました。デメリットとしては、「生産コストの低減努力が輸入材、その他購入品のコストアップに追いつかない」、「為替が悪くなった分、コストに影響している」等の声がありました。

3.中小企業庁の取組

中小企業庁では、こうした中小・小規模企業の経営状況の変化や、今後転嫁に取り組みたいと考えている中小・小規模企業が多いといった中、原材料・エネルギーコスト高の影響を受ける中小・小規模企業に対する支援に取り組んでいきます。

  • 原材料・エネルギーコスト増加分の適切な価格転嫁の要請

→原材料・エネルギーコスト増加分の適正な価格転嫁を、745の業界団体に対し経済産業大臣名(他省庁関連は両大臣連名)で要請。加えて、全ての親事業者(約20 万者)に対しても、原材料・エネルギーコスト増加分の適正な価格転嫁を、経済産業大臣及び公正取引委員会委員長連名で要請。

  • 公的金融機関に対する返済条件緩和等の要請

→公的金融機関(日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫及び信用保証協会)に対し、個々の中小・小規模企業の実情に応じ、返済猶予等の既往債務の条件変更等に配慮することを経済産業省、財務省、厚生労働省、農林水産省及び内閣府から要請。

  • 原材料・エネルギーコスト増に関する中小・小規模企業向け相談員の配置

→中小・小規模企業の取引上のお悩み相談を広く受け付けている「下請かけこみ寺」(※)において、新たに、原材料・エネルギーコスト増に関する相談窓口を新設するとともに、専門の相談員を配置。
※各都道府県48ヶ所に設置。

  • 下請代金法の厳格な運用(立入検査時の徹底的な調査)

→下請代金法に基づく立入検査の実施時に、原材料・エネルギーコスト増加分の価格転嫁を拒否していないか徹底的に調査。また、原材料・エネルギーコスト増の影響が大きいと思われる主な業種(製造業、流通業等)から代表的な大企業約200社を選定し、年内に集中的な立入検査(特別立入検査)を実施。検査結果を踏まえ、年始以降も検査を継続。

  • 転嫁Gメンとの有機的な連携

→消費税転嫁対策特措法に基づき消費税の転嫁状況の監視・取締りを行う全国474 名の転嫁Gメンが立入検査を行う際、原材料・エネルギーコスト増加分の転嫁状況についても厳正に確認し、下請代金法と連携して対処

中小企業庁では、中小・小規模企業のこうした実態を踏まえ、原材料・エネルギーコスト増加分の適切な価格転嫁の要請、公的金融機関に対する返済条件緩和等の要請、原材料・エネルギーコスト増に関する中小・小規模企業向け相談員の配置、下請代金法の厳格な運用(立入検査時の徹底的な調査)、転嫁Gメンとの有機的な連携等、原材料・エネルギーコスト高の影響を受ける中小・小規模企業に対する支援に取り組んでいきます。

担当

中小企業庁 事業環境部 調査室

公表日

平成26年11月21日(金)

発表資料

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