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中国による日本産高性能ステンレス継目無鋼管に対するアンチダンピング課税措置について、日本がWTO上級委員会に上訴しました

本件の概要

我が国は、5月20日(ジュネーブ時間)、WTOで審理されてきた中国による日本及びEU産高性能ステンレス継目無鋼管に対するアンチダンピング課税措置に係るWTO紛争処理小委員会(パネル)の報告書について、WTO上級委員会に上訴の申立てを行いました。
同報告書は、中国のアンチダンピング課税措置は、損害・因果関係の認定や調査手続に瑕疵があり、アンチダンピング協定に整合しないと判断しましたが、一部の論点について我が国の主張が認められなかったため、これらの一部論点について上訴を行ったものです。

 1.概要

 我が国は、2013年4月11日に、WTOに対し、中国による日本産高性能ステンレス継目無鋼管に対するアンチダンピング課税措置についてパネル設置要請を行い、同年5月24日にパネルが設置されました。

 我が国は、中国による当該措置について、損害・因果関係の認定や調査手続の瑕疵により、「1994年の関税及び貿易に関する一般協定第6条の実施に関する協定(アンチダンピング協定)」に違反すると主張していました。

 2015年2月に、WTOはパネル報告書を公表し、中国のアンチダンピング課税措置は、損害・因果関係の認定や調査手続に瑕疵があり、アンチダンピング協定に整合しないとして、中国に対し措置の是正を求めました。他方、アンチダンピング協定第3.2条、3.4条等に関する一部論点についての我が国の主張の一部は認めませんでした。

 そこで、本日、我が国は、かかる一部の論点について、WTO上級委員会への申立てを行いました。

 2.パネル報告書の判断内容

 パネル報告書は、以下のとおり判断し、中国によるアンチダンピング課税はアンチダンピング協定に違反すると認定し、中国に対して措置を協定に適合させるよう勧告する一方、一部論点について日本の主張は認められないと判断しました。

 

(1)中国による本件措置の決定は、ダンピング輸出による中国国内産業への損害・因果関係の認定に瑕疵があり、アンチダンピング協定第3.1条、3.2条、3.4条及び3.5条に整合しない。

 

(2)本件措置は、手続面でも、重要事実の開示その他の点に不備があり、アンチダンピング協定第6.5条、6.5.1条、6.9条、7.4条,12.2条及び12.2.2条に整合しない。

 

(3)他方、アンチダンピング協定第3.2条(価格効果分析)について、ダンピング輸入による国内価格への現実の影響を検討すべきであるとの主張や、3.4条(損害分析)について、ダンピング輸入と国内産業の状態の関係を検討すべきであるとの主張その他、日本の主張の一部は認められない。

 3.今後の予定

上級委員会の判断は、申立ての日から原則60日(最長90日)以内にWTO加盟国に送付され,その後30日以内に採択されることとなりますが、上級委員会の審議期間は長引く傾向にあり,90日を超えて報告書が出される可能性もあります。

 

4. 参考

(1)本件に係る過去のニュースリリース
①中国による日本産高性能ステンレス継目無鋼管に対するアンチダンピング課税措置についてWTOパネル審理を要請しました
・経済産業省ニュースリリース(平成25年4月11日付け)
http://www.meti.go.jp/press/2013/04/20130411004/20130411004.html

②中国による日本産高性能ステンレス継目無鋼管に対するアンチダンピング課税措置についてWTO 協定に基づくパネルが設置されました
・経済産業省ニュースリリース(平成25年5月24日付け)
http://www.meti.go.jp/press/2013/05/20130524005/20130524005.html

③中国による日本産高性能ステンレス継目無鋼管に対するアンチダンピング課税措置がWTO協定違反と判断されました~WTO紛争処理小委員会報告書が公表されました~(平成25年2月13日付け)
http://www.meti.go.jp/press/2014/02/20150213005/20150213005.html

(2)高性能ステンレス継目無鋼管とは
石炭火力発電所の超々臨界圧ボイラ等に使用される高付加価値特殊鋼を指します。

(3)アンチダンピング課税とは
ある商品の輸出向け販売価格が国内向け販売価格よりも安く、その輸出によって輸入国内における競合する産業が損害を被っていることが正式な調査により明らかになった場合に、その商品に対して国内向け販売価格と輸出向け販売価格の差を上限とする関税を賦課することをいいます。

(4)本件対象製品の対中輸出額について
高性能ステンレス継目無鋼管の我が国から中国への輸出額は、年間約1.4億米ドルです(2014年)。

(5)WTOパネルについて
政府間の協議によって問題解決に至らない場合、パネル(第1審)という準司法的な第三者機関が、WTO加盟国の要請により、問題となっている措置のWTO協定整合性について審理・判断し、違反が認められる場合にはその是正を勧告します。パネルに不服のある当事者は、上級委員会(第2審)に審理を要請することができます。

担当

通商政策局 通商機構部
製造産業局 鉄鋼課
通商政策局 北東アジア課

公表日

平成27年5月20日(水)

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