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五庁協力によるより一層のサービス提供に向け前進しました~第8 回日米欧中韓五大特許庁長官会合の結果~

本件の概要

日本国特許庁と米国特許商標庁、欧州特許庁、中国国家知識産権局、韓国特許庁は、5 月22 日、蘇州において、第8 回五大特許庁長官会合を開催しました。
今回の会合においては、特許制度調和に向け、発明の単一性、出願人による先行技術の開示義務及び記載要件の三項目について、各庁の運用等についての報告がなされ、引き続き五庁で議論を深めて行くことで合意しました。
また、五庁の特許出願・審査情報をユーザーに一括提供するサービスの開始スケジュールが報告されると共に、IT を活用した新たな五庁協同サービスの構想について合意しました。
さらに、五庁協力のこれまでの成果並びに今後の五庁協力の目標及び目標達成のための取組をまとめた文書がとりまとめられました。

1.背景

日米欧中韓の五大特許庁(五庁)への特許出願(208 万件(2013 年))は、世界の特許出願件数(257 万件(同年))のうち、8 割近くを占めています。
そのため、五庁は知的財産における世界的な取組をリードすべく2007 年より長官会合を継続して開催し、審査結果の相互利用・手続きの簡素化・審査の質の向上等の課題について、幅広い協力を行っており、今年で8 回目を迎えました(5 月22 日:中国・蘇州にて開催)。
また、長官会合にあわせて、その前日には五庁ユーザーとの会合も開催され、特許制度調和等について、積極的な意見交換が行われました。

2.第8 回五大特許庁長官会合の結果(概要)

(1)特許制度調和
特許制度運用調和に向けて、発明の単一性(*1)、出願人による先行技術の開示義務
(*2)及び記載要件(*3)の三項目について議論が進められているところ、発明の単一性及び出願人による先行技術の開示義務については、各庁の現行の法規定、運用等が報告され、今後さらに議論を深めていくことで合意がなされました。
また、記載要件に関しては、ユーザーから事例ベースの研究を五庁で行うことについて要望が出されているところ、今次会合では、ユーザーが特に重視する論点に着目して、事例研究の開始を目指すことについて日本国特許庁から積極的に働きかけを行いました。
また、五庁ユーザー会合において、三極ユーザーから制度の調和が求められている6 項目(グレースピリオド、18 ヶ月公開、衝突する出願、先使用権、先行技術、単一性)について意見が出されました。
今後、各項目についての論点整理、比較研究等を通じ、制度の国際的な調和が進み、日本で特許になった発明について、海外でも円滑に特許になることが期待されます。
*1「発明の単一性」:一つの出願で、まとめて審査され得る発明の範囲。技術的に密接に関係する発明は、別々の出願とするよりも、一つにまとめて出願する方が、出願人においてはコスト・手続負担の点で有利となる。
*2「出願人による先行技術の開示義務」:審査の参考資料として活用するために、出願人が有している先行技術文献情報について、情報開示を求める制度。迅速な審査や権利の安定化につながる。
*3「記載要件」:権利範囲を記載する書類(「特許請求の範囲」)や発明の内容を説明する書類(「明細書」)等の出願書類の記載に関する要件。
例えば、権利を求める技術的な範囲が明確であること、第三者が発明を実施できる程度に記載されていること、等が要件とされている。
(2)特許審査ハイウェイ(PPH)
ユーザーからPPH の拡大、運用改善に関する要望が出されており、それを踏まえて検討してきました。
今般会合では、五大特許庁がPPH の利便性向上に向けて協力して議論を進めていくことについて合意しました。
(3)特許出願・審査情報のユーザーへの一括提供と新たなIT 協同サービス
ユーザーからは、これまでに、五庁審査官が利用する五庁の特許出願・審査情報の一括提供サービスをユーザーにも提供してほしいとの要望が寄せられており、五庁は
システム開発を進めてきました。
今般の会合では、五庁それぞれのホームページから提供されるユーザー用サービスの開始時期が報告されました。
また、ユーザーからは、IT を活用した新たな五庁協同サービスの実現が要請されているところ、今般の会合では特に優先的な対応が求められている五項目(リーガルステータス(*4)、アラート機能(*5)、出願書類等のXML 化(*6)、住所変更等に係る実証試験(*7)、出願人名称の統一(*8))に関するサービス構想について合意しました。
今後、このようなサービス環境を整備することにより、世界各国/地域において早期に安定した特許権の取得ができる環境を実現することが期待されます。
*4「リーガルステータス」:あるパテントファミリーに含まれる出願が各国でどのようなステータスにあるのか(審査中か、審査済みか、権利存続か、権利消滅か等)の情報を提供しようというアイデア。
*5「アラート機能」:ユーザー(審査官、出願人、代理人、第三者等が対象)に審査関連情報の変化を通知する機能。
*6「出願書類等のXML 化」:五庁全てにおいて、特許に係る書類(出願書類や中間書類等)をXML 化する。
これには、出願人から特許庁に提出される書類のみならず、特許庁から出願人に送付される書類も含まれる。
*7「住所変更等に係る実証試験」:住所変更等の手続書類をある特許庁に提出した場合、その手続書類の情報を、ITシステムを通して他庁に共有し、自動的に他庁でもその手続書類による手続が自動的に行われたようにするという業務モデルが実際に機能するのか、法的問題・技術的問題を検証するための実証試験。
*8「出願人名称の統一」:同一出願人について、複数の表記を一の出願人名称に特定するもの。
出願人コードによる名称統一と出願人情報(電話番号や住所)に基づく名称統一によって実現を目指す。
(4)五庁共同声明
①2007 年に五庁協力が開始されてからこれまでに達成してきた成果、
②今後、ユーザー及び一般公衆に対してより良いサービスを提供するために五庁協力の枠組みで達成すべき目標(特許情報の利用促進、知財制度の利便性向上等)、
③その目標を達成するために実施すべき取組(ワークシェアリング強化のためのインフラ整備、審査の品質向上に向けた協力強化、五庁間での経験の共有等)をまとめた文書がとりまとめられました。

3.今後の取組

日本国特許庁は、五大特許庁の枠組みの中で、特許審査情報の提供、ITを利用した新たなサービス導入に向けた取組、及び、PPH の運用改善、特許制度調和に向けた議論等、ユーザーが権利化を目指す際の利便性の向上に役立つ協力をはじめとした様々な分野における協力を通じて、我が国ユーザーに対して、より一層のサービスを提供できるよう努めてまいります。
※参加者
日本国特許庁(JPO):木原特許技監 他
米国特許商標庁(USPTO):スライファー副長官 他
欧州特許庁(EPO):バティステリ長官 他
中国国家知識産権局(SIPO):申局長 他
韓国特許庁(KIPO):チェ庁長 他
(オブザーバー)世界知的所有権機関(WIPO):サンデージ事務局次長 他

担当

特許庁総務部国際政策課

公表日

平成27年5月25日(月)

発表資料

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