経済産業省
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「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会」報告書を取りまとめました

本件の概要

経済産業省は、企業と株主・投資家による建設的な対話を促すことを目的として、平成27年11月に「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会」を設置し、この度報告書を取りまとめました。具体的には、情報開示を充実させ、株主の議案検討期間を確保するための方策として、(1)株主総会の招集通知等の電子提供、(2)議決権行使プロセスの電子化、(3)株主総会関連日程の適切な設定、(4)対話支援産業の役割等に関する提言が盛り込まれています。
これらの取組が着実に進むことで、国際的にも遜色ない「対話先進国」たる環境が構築され、持続的価値創造に向けた質の高い対話が促進されることを期待します。

1.報告書の概要

(1)株主総会の招集通知等の電子提供

①早期(発送前)Web開示
コーポレートガバナンス・コード等を受け、招集通知を発送する前に自主的にWeb開示する企業は大幅に増加しています(2014年6月総会:91社⇒2015年6月総会:769社)。これにより、機関投資家等による議案検討期間は約4営業日程度拡大したと推計されます。
一方で、招集通知の発送日の1営業日前にWeb開示している企業も少なくありません。例えば、招集通知の印刷原稿の校了直後にWeb開示すれば、機関投資家等による議案検討期間の更なる拡大に寄与します。また、Web開示した情報をタイムリーに機関投資家等に知らせるには、証券取引所が運営するTDnetに登録することが有益です。
これらを踏まえ、本報告書は、実質3日等と指摘されている機関投資家の議案検討期間の拡大に向けた取組が更に進むことを求めています。

②招集通知関連書類(会社法上の事業報告・計算書類等)の原則電子化
現行制度の下では、招集通知及び関連書類を株主に書面で郵送することが原則です。こうした中で、企業は、印刷・封入・郵送等に係る費用や期間、紙面の制約により、株主に伝えたい情報を自由に盛り込みがたいという状況にあります。
一方で、インターネットを利用した情報提供には、多数の株主にタイムリーかつ低コストで、環境負荷も軽減しながら、株主にとって有用な情報の充実を図ることができるという利点があります。
このため、本報告書では、法改正も前提とする様々な考え方の議論を基に、株主の個別承諾なしに、書面に代えて電子提供できる情報の範囲拡大等を内容とする「新たな電子提供制度」の整備を求める提言を取とりまとめています。
(注)なお、本提言については、今後の制度設計に向けた議論に資するよう、参考資料を添付した上で、本報告書とは別途公表されています。

(2)議決権行使プロセスの電子化

コーポレートガバナンス・コード等を受け、議決権の電子行使プラットフォームに参加する上場企業は大きく増加しています(2014年6月末:464社→2015年6月末:555社→2016年4月8日現在:703社)。
議決権の電子行使プラットフォームの利用は、議決権行使の指図締切日の延長等を可能とするため、機関投資家による議案検討期間を1~2週間程度拡大させる等の効果をもたらします。
このため、本報告書は、プラットフォームへの参加企業数の更なる拡大に加え、国内在住の機関投資家によるプラットフォームの利用が拡がるよう、関係者が検討していくことを求めています。主な検討項目は以下のとおりです。

①上場企業等によるプラットフォームへの参加拡大に向けた取組(上場企業等に対する広報活動の展開、議決権行使の事務プロセス一本化に向けた検討等)
②プラットフォーム間の相互連携
③プラットフォームの利用手続の円滑化に向けた検討    等

(3)株主総会関連日程の適切な設定

株主による議案の検討期間を確保し、かつ、情報開示を充実させるための準備期間を確保しようとするには、決算日から3ヶ月以内に株主総会を開催するという日本の現行実務のスケジュールは短すぎるのではないかとの指摘があります(欧米では、決算日から4~5ヶ月後に株主総会を開催)。
株主総会までの時間的余裕を確保するための方法としては、議決権行使基準日を決算日以降に定め、当該基準日から3ヶ月以内に株主総会を開催すること(例えば3月決算企業が7月に株主総会を開催すること等)が考えられますが、本報告書では、その場合に企業が直面すると思われる課題や疑問について確認した結果を整理しています。
なお、企業関係者の動きとしては、経済同友会から株主総会スケジュールの見直しに着手すべき旨の意見も出ており、また、全国株懇連合会による実務的な検討も始まっています。本報告書は、引き続き、関係者において、決算日と基準日を異なる日にした場合の実務対応の在り方等について検討がなされ、株主との対話充実に取組やすい環境づくりが進むことを期待すると提言しています。

(4)対話支援産業への期待

招集通知の受取や議決権行使等をワンストップで行えるような情報プラットフォームは、企業と株主双方の利便性を高め、対話の充実や質の向上に資するものです。しかし、日本では、そうしたシステム環境が、特に個人株主向けには整備されていません。そこで、本報告書は、関係者において、個人株主向けプラットフォームの構築や、マイナンバー制度の活用等を通じたサービスの充実に向けて検討を進めていくことを求めています。

(5)フォローアップ会合の開催

総会プロセスのように、長年培った慣行を変えようとする場合は、時間も労力もかかりがちです。このため、本報告書は、当分の間、関係者による取組についてフォローアップする会合を定期的に開催することで、企業・投資家・対話支援産業等の関係者の意識や行動変化を促していくことを提言しています。

2.研究会の検討経緯

本研究会(座長:尾崎安央早稲田大学法学学術院教授)は、昨年11月から検討を開始し、グローバルな観点から最も望ましい対話環境の整備を図るべく、「持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会報告書」(平成27年4月)や「日本再興戦略改訂2015」(平成27年6月閣議決定)等の方向性を踏まえ、企業と投資家の対話促進に向け、情報開示を充実させ、議案検討期間を確保する具体的な方策等について検討を重ねました(計6回開催)。
また、検討にあたっては、全国株懇連合会や日本経済団体連合会等の協力も得て、国内外事例調査や企業アンケート等を行いました。
本研究会の主な検討事項は以下のとおりです。

(1) 株主総会の招集通知等の提供の原則電子化に向けた課題と方策
(2) 議決権行使プロセス全体の電子化を促進するための課題と方策
(3) 株主総会関連の適切な基準日設定に向けた対応策
(4) 対話支援産業の役割 等

※委員名簿については別紙を参照ください。

担当

経済産業政策局企業会計室

公表日

平成28年4月21日(木)

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