カンボジアで特許が取得しやすくなります
本件の概要
日本国特許庁は5月4日、カンボジア工業手工芸省と会談を行い、日本国特許庁と工業手工芸省との間で、カンボジアにおける特許の取得を容易にするための協力を開始すべく覚書に署名しました。この協力は、日本で審査を経て特許となった出願に対応する出願について、カンボジアでは実質的に審査無しに早期に特許とするものです。
今後、同様の協力を、審査体制が十分に整備されていない他の新興国にも拡大させることで、我が国企業のより円滑な国際事業展開を支援します。
1. 背景
アセアン諸国は我が国企業の今後の事業展開先として有望視されており、日本国特許庁としても、我が国企業の円滑な事業展開のために、投資環境を整備する観点から、アセアン諸国の知的財産制度の整備・強化を支援しています。
カンボジアは、2011年より4年連続で7%を超える高成長を維持しており、2016年1月末時点で200社以上の日系企業が進出するなど、投資額も増加しています。また、経済発展に伴い、カンボジアにおける特許出願件数も増えており※1、今後も増加することが予想されます。
しかしながら、カンボジアに出願された300件以上の特許出願のうちほぼ全てが未着手状態となっていました。日本国特許庁は、カンボジア工業手工芸省に対して特許の取得を容易にするための協力を行うべく協議を行ってまいりました。
そして、日本国特許庁の伊藤長官は4日、カンボジア工業手工芸省チャム・プラシット上級大臣とプノンペンにて会談し、本協力を開始するための覚書に署名しました。
2. 特許の付与円滑化に関する協力について
今般、合意された特許の付与円滑化に関する協力(CPG:Cooperation for facilitating Patent Grant)は、カンボジアは、日本で審査を経て特許となった出願に対応する出願について、出願人からの申請により、実質的に無審査でカンボジアでも特許を付与するというものです。
これにより、出願人は、日本で登録された特許と同様の特許をカンボジアでも早期に取得することが可能となります。
3. 今後の展望
本協力を7月1日に開始すべく、日本国特許庁はカンボジア工業手工芸省との間でガイドラインの公開に向けた調整を進めます。
また、今後、同様の協力を、審査体制が十分に整備されていない他の新興国にも拡大させることで、我が国企業のより円滑な国際事業展開を支援していきます。
(※1)カンボジアにおける特許出願件数
2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 |
28件 | 26件 | 43件 | 53件 | 75件 | 67件 |
(出典)WIPO Intellectual Property Statistics Data Center
担当
特許庁 総務部 国際協力課
公表日
平成28年5月9日(月)