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第25回アジア輸出管理セミナーが開催されました

本件の概要

2月27日から3日間、アジア輸出管理セミナーが開催されました(主催:一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)、共催:経済産業省及び外務省)。25回目の開催にあたる今回のセミナーには、33の国・地域と国際機関、シンクタンク等から約220名が参加しました。

1.本セミナーの背景

アジア輸出管理セミナーは、アジア各国・地域の輸出管理担当者を対象に、安全保障貿易管理の重要性に対する共通認識を高め、輸出管理制度を構築・強化することにより、アジア地域及び国際的な不拡散のための取組を強化することを目的として、1993年から始まりました。25回目の節目となる今回のセミナーでは、世界の安全保障環境が大きく変化する中、経済発展著しいアジアが機微な貨物の調達先や迂回拠点として懸念国等に利用されるリスクも高まっており、懸念国による調達活動の巧妙化に対する制度強化、アジアにおける制度整備の進展と課題等について意見交換を行いました。

2.今回のセミナーについて

(1)参加者

ASEAN各国、インド、中国、米国や欧州など33の国・地域と国際機関やシンクタンク等から約220名が参加しました。

(2)今回のセミナーの主な内容

【開会挨拶】

大串経済産業大臣政務官から、開会の挨拶として、北朝鮮の核実験やミサイル発射、国際的なテロ事件など、安全保障上の脅威が増大する中、懸念国等による調達活動が多様化・巧妙化しているため、これまで以上に関係国が情報交換を強化し、輸出管理の実効性を向上していく必要があること、また、懸念国による大学や研究機関を通じた機微技術の獲得を防ぐため、各国が大学や研究機関の輸出管理遵守の取組を支援していくことが重要であるとのメッセージを述べました。

【効果的な輸出管理に向けた共通の課題】

懸念国等による機微な貨物や技術の調達活動が多様化・巧妙化していることを踏まえた輸出管理の取組強化について、パネルディスカッションで議論が行われました。パネリスト(飯田経済産業省貿易管理部長、アシュー米国商務省次官補、サニー・シンガポール税関貿易戦略・安全保障部長、アビモンテチャブット・タイ商務省外国貿易局課長及びナッシュ・ニューヨーク州立大学研究員)から、懸念国の調達活動が多様化しており、特に大学等を通じた無形技術移転(ITT)の対策が急務であり、アカデミア向けの輸出管理の取組支援が重要であること、イノベーションの発展により安全保障上の脅威が増しており、中小企業を含めた産業界のアウトリーチが重要であること、産業界に過度な負担が生じないような制度設計が必要であること、国際的な輸出管理の実効性を向上させるため、各国が情報交換を強化して懸念国への貨物や技術の流出を防ぐ必要があるといった点について議論が行われました。

【基調講演(テロ防止に向けた取組)】

テロ組織による活動が世界中に拡大する中、テロ組織への武器移転や汎用品の転用を阻止するための取組について基調講演がありました(サラザール在ウィーン・スペイン代表部大使、髙見澤軍縮会議日本政府代表部大使、ギルモア・カナダ外務省貿易管理局長)。テロリストが無人航空機(UAV)や携帯電話などを使ってテロを行う事案も懸念されており、輸出管理やテロ対策を一体的に捉えて対処すべきであること、武器貿易条約(ATT)において武器の不正転用を防止する取組を強化する考えであり、アジア諸国の積極的な参加を期待すること、軍事品目の移転にあたり、人道問題の考慮や透明性の確保が重要であるとの説明があり、テロ防止に向けた取組について参加者間の認識を高める機会となりました。

【安全保障確保に向けた国際的な輸出管理の取組】

北朝鮮による核・ミサイル開発や、非国家主体によるテロ活動などを踏まえた国際輸出管理レジーム、国際連合安全保障理事会等による最新の取組や、懸念国等の調達・拡散活動が紹介されました。また、レジームや国連によるアウトリーチ活動に積極的に取り組んでいるところ、アジア諸国においてもレジームのガイドラインや国連安保理決議等を遵守して懸念国への拡散を防止することが重要である点について、再認識する好機となりました。

【アジアにおける輸出管理制度の進展】

中国、フィリピン、インドから各国の輸出管理制度について報告があり、また、民間コンサルタントからアジア全体の輸出管理制度の進展について報告がありました。これらの報告は、アジアにおける制度の整備状況を知る好機となりました。また、各国による産業界へのアウトリーチ、規制品目を取り扱う企業の特定などの取組も紹介されるなど、アジアにおける輸出管理の進展について、参加者間で最新の情報を共有する機会となりました。

【参加国の輸出管理の取組】

イタリア、オランダ、欧州委員会、イギリス及びマレーシアから近年の輸出管理制度の改正等について紹介がありました。中小企業の負担軽減に資するゼロライセンス制度の導入、透明性の観点から武器等の許可に関する報告制度、人権侵害に配慮したサイバー技術の規制、キャッチオール規制と具体的な適用事例、輸出者の負担軽減策と罰則の見直しについて紹介されるなど、参加者にとって有益な情報の共有が図られました。

【複雑化する輸出管理への対策(無形技術移転(ITT)への取組、産業界及びアカデミアとの連携)】

日本、米国、パキスタン、ドイツ、韓国、産業界及び研究機関から無形技術移転(ITT)に対する取組み及び産業界や大学へのアウトリーチの重要性について発表がありました。その中で、大学や研究機関の国際化が進む中、大学における機微技術管理の重要性が増しているが、大学は企業とは異なる管理体制となっていることを踏まえ、ガイダンスの作成など大学による取組を支援するとともに、大学と産業界とのネットワーク化をサポートすることが重要であるとの議論が行われました。また、産業界や大学のトップレベルの理解が重要であること、中小企業等の導入を促すようなツールの整備が重要であるとの指摘がありました。

【政策分科会】

政策分科会(参加者を複数のグループに分け、双方向の討論を行う少人数のセッション)では、政策担当者、審査官及び執行担当に分かれて活発な意見交換が行われました。政策分科会では、輸出管理担当者の人材育成、省庁間連携及び安保理決議の着実な履行に関し参加者間で活発な議論が行われました。審査分科会では、輸出許可の審査について、具体的な事例に基づき議論が行われ、参加者間で経験やノウハウの共有が図られました。執行分科会では、省庁間及び国際的な連携について議論が行われ、当局間での情報交換が重要であるとの指摘がありました。また、各分科会での議論を通じて、参加者間の人的ネットワークの強化につながりました。

【輸出管理を巡る更なる課題】

香港、米国、研究機関から、今後アジア各国・地域において取組を強化すべき課題として、通過・積替え規制の取組、大量破壊兵器の拡散に資するファイナンス面の対策(拡散金融)、そしてクラウドコンピューティングに関する取組について紹介があり、これらの課題に対する参加者の認識向上と課題解決に向けた方策を示す機会となりました。

【無形技術移転に係る実際の取組(国立研究法人産業技術総合研究所への訪問)】

無形技術移転(ITT)の重要性が高まる中、33名の参加を得て、産業技術総合研究所を訪問し、同研究所の輸出管理の取組について意見交換を行い、無形技術移転の管理について、認識を深めました。

(3)今回の成果

ASEAN各国、インド、中国、米国や欧州など約33の国・地域と国際機関やシンクタンク等から、総勢約220名の参加者を得て、輸出管理に係る様々な課題や各国の取組、更には効果的な輸出管理の実施等について活発な意見交換を行うとともに、参加者間のネットワーク強化につながりました。今後とも本セミナーをはじめとするアウトリーチ活動を通じ、アジアに対する輸出管理の構築等に係る働きかけを継続してまいります。

3.参加国・地域・機関

(1)アジア(18ヶ国・地域)

カンボジア、中国、香港、インド、インドネシア、日本、韓国、ラオス、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、パキスタン、フィリピン、シンガポール、スリランカ、台湾、タイ、ベトナム

(2)アジア以外(15ヶ国・地域)

豪州、カナダ、チェコ、欧州連合、フランス、ドイツ、カザフスタン、アイルランド、イタリア、オランダ、スペイン、トルコ、アラブ首長国連邦、英国、米国

(3)国際輸出管理レジーム

オーストラリア・グループ(AG)(化学・生物兵器)、ミサイル技術管理レジーム(MTCR)、原子力供給国グループ(NSG)、ワッセナー・アレンジメント(WA)(通常兵器及び関連汎用品)

(4)国際機関、大学等

国連安保理決議1540委員会、国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネル、軍縮会議日本政府代表部、ニューヨーク州立大学、フラウンホーファー研究機構、ストックホルム国際平和研究所、フランス戦略物資輸出産業連合、ジェームズマーティン不拡散研究センター等

※資料等を(講演者から了承が得られたもののみ)をこちら外部リンクで公開します。
※我が国の安全保障貿易管理制度については、こちらで確認できます。


開会挨拶を行う大串経済産業大臣政務官

担当

貿易経済協力局 貿易管理部 安全保障貿易国際室長 猪狩
担当者:荒木、渡邉
電話:03-3501-1511(内線 3271~4)
03-3501-2800(直通)
03-3501-6004(FAX)

公表日

平成30年3月6日(火)

経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
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