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韓国による日本製空気圧伝送用バルブに対するアンチダンピング課税措置について、日本がWTO上級委員会に上訴しました

2018年5月28日

我が国は、5月28日(ジュネーブ時間)、WTOで審理されてきた「韓国による日本製空気圧伝送用バルブに対するアンチダンピング課税措置」に係るWTO紛争処理小委員会(パネル)の報告書について、WTO上級委員会に上訴の申立てを行いました。

1.概要

我が国は、平成28年3月15日に、韓国による日本製空気圧伝送用バルブに対するアンチダンピング課税措置ついて、WTO紛争処理小委員会(パネル)設置要請を行い、同年7月4日にパネルが設置されました。

我が国は、韓国による当該措置について、損害・因果関係の認定や手続きの透明性に問題があるとして、「千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定(アンチダンピング協定)」に違反すると主張していました。

WTOは、今年4月12日にパネル報告書を公表し、韓国のアンチダンピング課税措置は、損害・因果関係の認定や手続の透明性に問題があり、アンチダンピング協定に整合しないとして、韓国に対し措置の是正を勧告しました。他方、一部論点についての我が国の主張は認められないか、パネルの付託事項の範囲外であるとして、判断されませんでした。

そこで本日、我が国は、かかる一部の論点についてWTO上級委員会の判断を仰ぐべく、上訴の申し立てを行いました。

2.パネル報告書の判断内容

パネル報告書は、以下のように判断し、韓国によるアンチダンピング課税はアンチダンピング協定に違反すると認定し、韓国に対して措置をアンチダンピング協定に適合させるよう勧告する一方、一部論点についての我が国の主張は認めないか、パネルの付託事項の範囲外であるとして、判断しませんでした。

  1. 韓国による本件措置の決定は、ダンピング輸出による韓国国内産業への損害・因果関係の認定に瑕疵があり、アンチダンピング協定第3.1条及び第3.5条に整合しない。
  2. 本件措置は、手続面でも、秘密情報の取り扱いに不備があり、アンチダンピング協定第6.5条及び第6.5.1条に整合しない。
  3. 他方、アンチダンピング協定第3.1条、第3.2条、第3.4条の解釈その他に関する日本の主張の一部は認められないか、パネルの付託事項の範囲外であるため、判断しない。

3.今後の予定

上級委員会の判断は、上訴の申立ての日から原則60日(最長90日)以内にWTO加盟国に送付され、その後30日以内に採択されるとされていますが、上級委員会の審理期間は長引く傾向にあり、90日を超えて報告書が出される可能性が高いです。

4.参考

(1)本件に係る過去のニュースリリース

(2)空気圧伝送用バルブとは

圧縮空気を利用して空圧シリンダーなどを伸縮・旋回等させるために、圧縮空気の流れ具合を制御する部品(バルブ)を指します。半導体、自動車製造工場などの組立装置や搬送装置などに用いられる部品です。

(3)アンチダンピング課税とは

ある商品の輸出向け販売価格が国内向け販売価格よりも安く、その輸出によって輸入国内における競合する産業が損害を被っていることが正式な調査により明らかになった場合に、その商品に対して国内向け販売価格と輸出向け販売価格の差を上限とする関税を賦課することをいいます。

(4)本件対象製品の対韓輸出額について

空気圧伝送用バルブの我が国から韓国への輸出額は、年間約91億円です(平成29年)。

(5)WTOパネルについて

政府間の協議によって問題解決に至らない場合、パネル(第1審)という準司法的な第三者機関が、WTO加盟国の要請により、問題となっている措置のWTO協定整合性について審理・判断し、違反が認められる場合にはその是正を勧告します。パネルに不服のある当事者は、上級委員会(第2審)に審理を要請することができます。

担当