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インドの鉄鋼製品に対するセーフガード措置がWTO協定違反と判断されました

WTO紛争処理小委員会報告書が公表されました

2018年11月7日

外務省 同時発表

WTOは、本日、我が国の申立てに基づき、WTOで審理されてきたインドの鉄鋼製品に対するセーフガード措置について、紛争処理小委員会(パネル)報告書を公表しました。同報告書は、インドの鉄鋼製品に対するセーフガード措置がWTO協定に不整合であるとし、我が国の主張をほぼ認めるものです。

1.概要

我が国は、平成28年12月20日に、インドの鉄鋼製品に対するセーフガード措置等について、WTO協定に基づく協議要請を行い、平成29年2月6日及び7日にインドとの協議を実施しました。二国間の協議では問題解決に至らなかったため、同年4月3日にWTO紛争処理小委員会(パネル)が設置されました。

平成30年1月及び5月にパネル会合(口頭弁論)が開催され、我が国は、インドの鉄鋼製品に対するセーフガード措置は、セーフガード(SG)協定及びGATTに不整合であると主張しました。

今回、WTOが公表したパネル報告書は、我が国の主張をほぼ認め、インドに対し、措置を協定に適合させるよう勧告するものです。

2.パネル報告書の判断内容

パネル報告書は、以下のように、日本の主張をほぼ認めました。

(1)インドは、セーフガード措置を実施する際、自国への輸入増加が、「事情の予見されなかった発展」及び「GATT上の義務の効果」の結果生じたことを示しておらず、GATT第19条1(a)に整合しない。

(2)インドは、自国への輸入増加が、SG協定の発動要件である「輸入増加」と評価できる理由を示しておらず、また「輸入増加」を客観的データに基づき認定しておらず、SG協定第2条1、同第4条2(a)及びGATT第19条1に整合しない。

(3)インドは、国内産業の「重大な損害」を認定する際、国内産業の損害指標(利益・利益率)を適切に検討しておらず、また客観的なデータに基づいた認定も行っておらず、SG協定第4条2(a)に整合しない。

(4)インドは、自国への輸入増加と、国内産業の「重大な損害」との間に因果関係が存在することを証明できておらず、また輸入増加以外の要因が「重大な損害」をもたらしていないことを証明できておらず、SG協定第4条2(b)に整合しない。

(5)インドは、その他手続についてSG協定上の義務を怠ったため、SG協定第12条2、3及び4に整合しない。

(6)パネルはインドに対し、本件措置は既に失効しているものの、その効果が残存している限りにおいて、当該措置を対象協定に整合させるよう勧告する。

(注)パネルは、インドによる国内産業の定義、SG委員会への即時通報義務については、日本の主張を認めなかった。その他、SG措置の内容・期間が国内産業の損害に対処するために必要な範囲に限定されているか(SG協定第5条1及び第7条1)、の論点等については判断を回避。

3.今後の予定

当事国は、公表から60日以内にWTO上級委員会に対して上訴することが可能です。当事国が上訴しなければ、パネル報告書の内容でWTOとしての判断が確定することとなります。

4.参考

(1)本件に係る過去のニュースリリース

(1)インドによる鉄鋼製品に対するセーフガード措置等についてWTO協定に基づく協議を要請しました

(2)インドによる鉄鋼製品に対するセーフガード措置についてWTOパネル審理を要請しました

(3)インドによる鉄鋼製品に対するセーフガード措置についてWTO協定に基づくパネルが設置されました

(2)WTOパネルについて

政府間の協議によって問題解決に至らない場合、パネル(第1審)という準司法的な第三者機関が、WTO加盟国の要請により、問題となっている措置のWTO協定整合性について審理・判断し、違反が認められる場合にはその是正を勧告します。パネルに不服のある当事者は、上級委員会(第2審)に審理を要請することができます。

(参考)最低輸入価格制度について

我が国は、平成28年12月20日、インドの鉄鋼製品に対する最低輸入価格制度についてもWTO協定に基づく協議要請を行ったが、同制度については、平成29年2月4日で失効したので、パネル審理の対象とはなりませんでした。

担当