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化学品審議会安全対策部会・リスク管理部会合同部会 中間報告の概要

〜事業者による化学物質の管理の促進に向けて〜

[1].化学物質の管理の改善、強化の必要性

1)有害性と人の健康への影響との因果関係が科学的に未確立な化学物質は、定量的な基準が設定できず、事業者の自主的管理に委ねているのが現状。
2)化学物質は、その取り扱われ方が千差万別であり、取扱い実態に即して最も適切な管理を行えるのは第一義的には化学物質を取り扱う事業者自身。
3)最近の国民の関心の高まり等を踏まえ、化学物質の事業者による管理活動を改善・強化することより、化学物質の有害性がもたらす悪影響を予防し、環境汚染を未然に防止する新たな施策を講ずることが必要。

以下の[1]〜[4]の措置を総合的に実施し、事業者による化学物質の管理の改善・強化を強力に推進することが必要。

[2].事業者による管理活動促進のためのルール整備

1.化学物質安全性データシートの流通制度(MSDS制度)のあり方

(1)化学物質取扱い事業者が個々の化学物質を適切に管理するためには、その有害性や取扱い情報を把握することが前提。
−我が国では化学物質のハザード情報の伝達手段であるMSDS(化学物質安全性データシート)の流通は必ずしも徹底されていない。
−一方、米国、EU諸国、カナダ、オーストラリア等先進国ではMSDSの提供は法律で義務づけ。
(2)化学物質使用事業者の管理の一層の改善・強化を図るため、製造・輸入事業者等化学物質供給者が化学物質の取引の際に、取引相手に対しMSDSを提供することを義務化。

2.化学物質排出量・移動量の登録制度(PRTR制度)のあり方

(1)PRTRの意義

1)事業者による化学物質の管理の促進
2)化学物質の排出状況に関する国民の理解の増進
3)環境対策、化学物質管理対策等行政施策への反映

(2)PRTRを巡る国内外の状況

OECD理事会は、平成8年2月、加盟各国がPRTRの導入へ取り組むことを勧告。海外では、既に、米国、イギリス、フランス、カナダ、オランダ、韓国で導入済み。

我が国では、化学業界が通産省からの支援を受けて、平成4年からPRTRに関する推計手法を開発。平成8年から試行的取り組みを開始し、調査結果を毎年公表。平成8年から(社)経済団体連合会による産業界全体の試行的取り組みへと発展。平成10年6月に経団連は全国規模では初めてのPRTR調査結果を公表。環境庁は、平成9年に、地域パイロット事業を実施。

(3)PRTR制度の具体的あり方

PRTRがもたらす重要な効果、OECDのPRTR導入勧告、諸外国の動向等を考慮すると、我が国においても早急にPRTRを法制化することが必要。

1)対象物質の選定

国は、科学的根拠に基づき対象物質を選定。

2)対象事業者

PRTR対象化学物質を取り扱う広範な分野の事業者が対象。ただし、企業規模、事業所における取扱量等を勘案した一定の裾切りを行うことが適当と考えられ、検討が必要。

3)排出量等の届出先

化学物質取扱い事業者に対し、排出量等の国への届出の義務付け。事業者は自らの排出状況を把握することにより、自己の管理状況について評価。それに基づき管理の改善、強化。

4)データの集計・公表
(a)国による集計・分析及びそれらのデータの公表

国は、排出量等のデータを物質別、業種別、企業規模別、地域別等の観点から集計し、公表。これにより、事業者は、自社の排出量等の位置づけを認識。

(b) 個別事業所データの取扱い
(イ)請求による開示

国は事業者の管理活動状況の透明性を確保するため、国民からの請求に基づき、個別事業所毎の排出量等データを開示。

(ロ)企業秘密の保護

この際、国は、企業秘密について厳格な判断を行いつつ、その確保を図るための措置を講ずることが必要。企業秘密の判断は、事業者の属する業種の技術事情、競争環境に詳しい専門的知見を有する行政機関が一元的に行うことが適当。

(c)地方自治体へのデータの提供

地域の状況に応じた化学物質管理対策、環境対策を可能とするため、国は、収集したデータを地方自治体に提供。

5)届出対象事業所以外からの排出量・移動量の国による推計(非点源推計)

国は自動車等移動発生源、農地等分散発生源等からのPRTR対象物質の排出量等について推計し、届出対象事業所からのデータと併せて公表。

6)制度に関する周知、技術指導

PRTR制度の十分な普及、啓蒙活動を行うとともに、実施に向けて十分な準備期間を確保。特に中小企業に対しては、排出量等の算出方法等に関する周知、技術指導を行う。

7)有害性情報の収集・提供

国は事業者の協力を得つつ、PRTR実施に必要となる化学物質の有害性情報のデータベース化・提供に努める。

8)リスクコミュニケーションの促進と基盤整備

事業者は、管理状況に関する情報提供に努め、管理努力について関係者の理解を深める努力を行う。

国は、マニュアルの整備等リスクコミュニケーションの進展を支援。

(4)PRTR制度と各種規制法との関係

1)PRTRの実施は、事業者によるPRTR対象物質の管理の改善、強化を促し、化学物質による健康影響等の予防につながる。
2)また、科学的知見の進歩等により、科学的因果関係が明らかになり、排出量の現状からみて人の健康に悪影響を及ぼす危険性があると評価された化学物質は、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、化学物質審査規制法等法規制の管理下に移行。

(5)PRTR制度を契機とする事業者の管理活動と排出抑制効果

事業者のより効果的な管理対策に資する自主的な排出削減プログラムのあり方について検討。化学物質の管理強化のための設備改善等に対する金融面での支援。

(6)地方自治体に期待される役割

地方自治体においては、地域住民と事業所間のリスクコミュニケーションの円滑化、地域の事業者に対する技術指導等地域の状況に応じた化学物質管理対策及び環境対策の企画立案とその適切な実施を期待。

(7)事業者・事業者団体による自主的PRTRの取組の推進

事業者が、業界団体内において共通の関心を有する対象物質を選定し、PRTRを実施することは奨励される。

[3].化学物質の管理の推進のための知的基盤の整備

1.有害性情報の収集と利用の促進

(1)事業者による有害性情報の収集の促進、データの有効活用の促進

1)事業者による有害性情報収集を促進し、事業者の保有する有害性情報の有効活用を図るため、データ収集に取り組む事業者の意欲を阻害しないような体制の構築を検討することが必要。
2)法律の施行に基づいて民間企業から国に提出された有害性情報は、企業秘密の取扱いに配慮したルールと手続きを明確化したうえで、その活用を進めていくことが必要。

(2) 有害性データベースの整備

化学物質の有害性情報については、国が中心となって国民や事業者の利用しやすい提供体制を整備。その際、内外のデータベースとのリンクも構築し、利用者がワンストップでデータを入手できるような総合的な有害性データベースを整備。

2.有害性評価試験法の開発・普及

国は化学物質の有害性の試験・評価のための統一的な基準・手法(「ものさし」)等を開発・整備・普及。

3.人材の育成、体制の整備

1)有害性情報の整理・体系化や評価を行いうる人材を産学官、NGO等の専門家との連携のもとに育成。
2)化学物質の管理に関する調査研究等を国際的に、かつ、産学官で連携しつつ行う中立的試験評価研究機関の整備。

[4].国際ハーモナイゼーションの推進

化学物質リスク管理のための諸課題に関する国際共同作業(OECDのリスク管理プログラム、POPs条約交渉、有害性試験・評価方法や有害性分類・表示等の国際調和作業等)に積極的に参加。関係各省が連携して国内諸制度の改善に取り組む。

[5].化学物質の管理の改善、強化に向けての具体的取り組み

1)関係省庁が緊密な連携をはかることにより、法制化を始め具体的対策の速やかな実施。
2)PRTR情報等を活用した施策の展開のあり方等に関する継続的な議論。
3)他の審議会との意見交換
 

最終更新日:2010年3月31日