トップページ > 審議会・研究会・報告書 > 産業技術審議会・研究開発プロジェクト評価報告書(ニューサンシャイン計画 非鉄金属素材リサイクル促進技術開発中間評価報告書)
アルミニウム、銅をはじめとする非鉄金属系素材は日用品からハイテク製品まで幅広く使われており、近年、製品の高度化により合金化・複合化される等、多種多様で複雑な使われ方になってきている。また、その消費量が増大傾向にあり、将来その廃棄物が大幅に増加することが予想される。製錬により多量のエネルギーを投入して金属地金に変換されたものをリサイクルせずに廃棄することはエネルギーと資源の浪費となり、リサイクルされない非鉄金属を含む廃棄物の埋め立て処分については、環境面からの配慮も必要である。
本プロジェクトは、地球環境保全・エネルギーの有効利用・資源活用という観点から、これら非鉄金属系素材のリサイクルの促進を図るため、非鉄金属スクラップや非鉄金属を含む廃棄物から高品位の地金を再生する技術の開発を行うことを目的としている。将来の循環型社会構造と環境負荷低減に技術的側面から貢献するものとして、その目的・意義は明確かつ的確である。
本プロジェクトは、地球環境への負荷を低減し、かつエネルギーの有効利用を図るために、非鉄金属スクラップや非鉄金属を含む廃棄物から高品位再生地金を生産する新たな非鉄金属系素材の高付加価値生産技術として、非鉄金属系素材リサイクル技術の研究開発を行うことを目標としている。具体的には、アルミニウムでは、低品位スクラップを展伸材で使用可能な清浄度にまで精製する技術ならびにドロスを有効利用する技術の確立を目指している。また、ベースメタル・レアメタル系では、ベースメタルやレアメタルの濃縮・精製・回収技術、ダストの減容化技術などの確立を目指している。このような目標の達成に向け、各要素研究について精製度やコストなど根拠ある目標数値の設定が行われており、目標指標の設定ならびに目標水準は妥当であると判断される。
非鉄金属系素材のリサイクルの重要技術である溶解・精製技術と総合プロセスの研究開発を適切に組み込んでおり、研究計画の内容は妥当であると判断される。また、エネルギー回収技術やダイオキシン発生防除技術なども要素技術研究としており、省エネルギーや環境保護についても十分配慮した構成になっている。さらに、計画の達成度に基づいて、要素研究を終了するか、進展させるかを判断し適切な措置を講じてきたという点において、計画見直しが柔軟に行われてきたと評価される。また、本プロジェクトで想定しているトータルシステムには含まれていないが、その前工程に当たる固相選別技術は、総合的な環境負荷を低減する等の観点から重要な技術である。より良い循環型社会構造を構築するに当たって、我が国全体のリサイクルシステムを形成するとの観点から、こうした技術開発も今後積極的に行われるべきである。
本プロジェクトは、現状では個別企業における経済的なメリットに乏しくリスクが大きいことから、市場原理に基づく研究開発実施のインセンティブを民間企業に期待することは難しい面がある。加えて、本プロジェクトは地球環境保全・エネルギー有効利用・資源活用という国の重要課題に対応するものである。したがって、本プロジェクトが国のプロジェクトであることは妥当であると判断される。
本プロジェクトは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から、アルミニウムのリサイクル技術開発については(財)金属系材料研究開発センター、ベースメタル・レアメタル系については(財)資源環境センターに共同研究・委託を行い、各センターには研究協力(再委託)先として関係企業及び大学が参画している。多種多様な金属を原料としているためリサイクル技術の課題がそれぞれ異なる非鉄金属系素材について、合理的で適切な研究分担が行われており、ふさわしい実施体制を選択していると評価される。
今後トータルシステム(要素技術を総合し環境にも配慮した廃棄物処理システム)の構築を目指す実証試験に移行するにあたっては、研究グループ相互の緊密な連携を図るとともに、アルミニウム、ベースメタル・レアメタル系それぞれの研究開発を統括する両センターが十分な指導力を発揮できるような実施体制を構築していくことが重要である。
基礎調査研究の結果は、要素技術研究の構成や目標設定に十分反映されているとともに、本プロジェクトの目的・意義を裏付けるデータとして重要な成果である。各要素技術研究毎の達成度は、全体として目標を達成または期間中に達成見込みであり、概ね計画に見合った達成度を得ている。地球環境保全・エネルギーの有効利用・資源活用に基盤を置く循環型社会の実現に向けて、本プロジェクトで得られた成果の意義は大きい。
トータルシステム研究に移行する予定の要素技術テーマは、アルミニウム系4テーマ、ベースメタル・レアメタル系5テーマであるが、トータルシステム構築のために必要な開発課題についてほぼ当初の目標を達成しており、これらの要素技術を選定し、トータルシステム研究として実証試験に移行することは妥当である。大型化した場合に実験室規模と同等の結果が得られるかはまさしく今後のトータルシステム研究の結果次第であるが、技術的な面での実用化の可能性は高いと判断される。
本プロジェクトは、非鉄金属系素材のリサイクルの促進を図るために、非鉄金属スクラップや非鉄金属を含む廃棄物から高品位の地金を再生する技術開発を行うことを目的としており、将来の循環型社会構造と環境負荷低減に技術的側面から貢献しようとするものとして、その目的・意義は明確かつ的確である。また、スクラップや廃棄物の将来動向とそれぞれに固有な問題点を把握した上で、問題解決のために開発すべき要素技術とそのシステム化の課題を的確に把え、要素技術の開発を経て、その中から実用化の可能性の高いテーマを選定して、実証試験に移行するという合理的な計画で進められている。トータルシステム研究に移行する予定の計9つの要素技術テーマは、トータルシステム構築のために必要な開発課題についてほぼ当初の目標を達成しており、トータルシステム研究として実証試験に移行することは妥当である。
今後トータルシステムの確立に向けた実証試験に移行するに当たっては、リサイクルプロセスが適用される廃棄物の特定や用途に応じた要求品位の設定、回収コストを考慮した経済性指標など、より実用化を意識した具体的かつ明確な目標設定をしていく必要があろう。
また、技術開発の進捗状況に応じて、リサイクルにおけるSOx、NOx、ダイオキシン等様々な環境負荷物質の放出を視野に入れながら、環境負荷低減に関する目標についても明確化していく努力が望まれる。環境保全と資源リサイクルのバランスをどのように考えるかといった問題も含め、環境影響に関しての広い視野が必要である。
トータルシステムの研究開発の実施に当たっては、研究グループ相互の連携を従来以上に緊密なものとするとともに、明確なリーダーシップが発揮され得る研究開発体制を構築することが必要である。
本プロジェクトで想定しているトータルシステムの前工程に当たる固相選別技術は、総合的に環境負荷を低減する等の観点から重要な技術である。より良い循環型社会構造を構築するに当たって、我が国全体のリサイクルシステムを形成するとの観点から、こうした技術開発にも今後積極的に行われるべきである。
本プロジェクトは非鉄金属系素材のリサイクルという課題の解決に技術的側面から寄与することを目的としたものである。しかし、リサイクルシステムの確立という最終目標を達成するためには、技術的な課題の解決とともに、スクラップや廃棄物の効率的な回収・分別システムの構築の問題を解決しなくてはならない。このため、研究開発を実施する立場から社会における実用化の障壁を指摘したり、リサイクルシステムが市場原理の下で成立していくための対策を提唱することも必要であろう。その一つの方策として、技術的見地からリサイクルしやすい製品設計を製造メーカーに働きかけたり、本プロジェクトの成果を広く一般社会にアピールすることも重要である。
最終更新日:2010年1月29日
ヘルプ | リンク | 利用規約 | 法的事項 | プライバシーポリシー