第2章 「新たな価値創造経済」と競争軸の進化 

(2)ドイツのスキルスタンダードについて

  〔1〕概要

 ドイツにおけるスキルスタンダードの代表例は、「デュアルシステムを通じて取得される、職業訓練法(BBiG:Berufsbildungsgesetz)に基づく国家職業資格認定制度」である。デュアルシステムとは、企業現場または職業訓練所での実地訓練と職業学校での理論学習を並行して行うものであり、学校と企業との緊密な協力の上に成り立っている。参加期間は通常3年間であり、企業現場または職業訓練所における実習(週2日)と、職業学校での理論的知識及び一般教養科目の学習(週3日)が並行して行われるのが通常である。修了試験に合格することによって、業種ごとの資格を取得する。
 この制度の対象となる職種は356業種20であり、ほぼすべての経済活動を網羅しているとされる21。また、参加者数の割合を見ると、毎年、義務教育を終了した若年者の約70%が職業学校に進みデュアルシステムに参加する22。2002年における分野別の参加者数及び合格者数は第2-3-7表のとおりである。


20 Tremblay, D. G. and I. Le Bot (2003) p.14.
21 Federal Statistical Office Germany Webサイト。
22 German Federal Foreign Office Webサイト。

 
第2-3-7表 2001年 分野別参加者数及び合格者数

第2-3-7表 2001年 分野別参加者数及び合格者数
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  〔2〕資格制度の見直し

 デュアルシステムの下で実施される訓練の内容を市場ニーズに見合ったものとするため、近年、訓練プログラムの改革が進められている。1999年以降、18分野でプログラムが新設され、55分野で改正が行われた。新設が行われたのは、主にIT分野、メディア分野と商業分野(ヘルスケア、運動、フィットネス、イベント管理等の部門)であった23


23 Bundesministerim fur Bildung und Forschung Web サイト。

 他方、近年、実習受入れ先企業の減少が深刻化しており、デュアルシステムが有効に機能しないという問題が発生している。こうした職業訓練機会の減少に対処するため、政府は以下のような対策を進めている。第一に、デュアルシステムにおける職業教育訓練機会を提供する企業に対して国が支援を行うことである。第二に、企業訓練を提供できる企業となるための要件の緩和である。経営者に一定期間の企業経営の経験があれば、試験を受けずに商工会議所の確認のみで企業実習を実施することが可能となる。第三に、より専門的な訓練内容を希望する若年者や、職業訓練参加に至っていない若年者のための新たな訓練コースを設定することである。第四に、企業が、デュアルシステムで訓練を受けた若年者を雇用する場合の支援の強化である24。こうしたデュアルシステムの「近代化」を通じて経済実態に応じた活用がなされることが期待されている。


24 Federal Ministry of Economic and Labour (2003) p.57.

 

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