第3章 「新たな価値創造経済」への移行と東アジア経済統合 

(1)統計からみる機能分業パターン

  〔1〕日本国内で高い付加価値率

 まず高付加価値部品の生産機能を国内に残していることについて、我が国製造業の付加価値率(売上高に対する付加価値の割合)の国内及び国外における動向から見ることとする。国内企業については経済産業省「企業活動基本調査」、海外の日系現地法人については「海外事業活動基本調査」から最近の付加価値率8を見てみると、日本国内に立地している企業の付加価値率は日系の海外現地法人に比べて高い水準にあり、上記のような分業パターンを支持する内容となっている。ただし、海外部門については東アジアは米国と比較して低いものの、EUと比較すると高くなっており、日本企業の海外現地法人について見る限りにおいては、先進国と途上国の間で付加価値率の差は見られない(第3-2-10図)。


8 企業会計年度で2001年、2000年、1999年を対象として、3年間の平均を求めた。

 
第3-2-10図 日本企業の付加価値率(製造業)について

第3-2-10図 日本企業の付加価値率(製造業)について
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 また、国際協力銀行の行った調査によれば、国内生産品目が海外拠点に移されたときには、国内においては他の生産に取り組むとした場合、より付加価値の高い製品・サービスへ特化するとの回答が8割程度に上っている(第3-2-11図)。

 
第3-2-11図 生産の海外移転に伴う国内事業への対応について

第3-2-11図 生産の海外移転に伴う国内事業への対応について
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  〔2〕日本国内で高い売上高研究開発費比率

 次に、事例調査では中核となる新技術の開発は国内で行われるとのことであったので、我が国製造業の研究開発の水準を付加価値率と同様に国内と海外で比較してみることとする。「企業活動基本調査」、「海外事業活動基本調査」から最近の売上高に占める研究開発費の比率を見ると9、国内における研究開発費比率が高く、海外現地法人の研究開発費比率は相対的に低くなっており、日本国内における研究開発がより活発であることをうかがわせる。また、海外現地法人の中でも米国、EUに立地する日系現地法人の研究開発費比率が比較的高くなっていることがわかる(第3-2-12図)。


9 対象年については前項の脚注と同じ。

 
第3-2-12図 日本企業の売上高研究開発費比率(製造業)について

第3-2-12図 日本企業の売上高研究開発費比率(製造業)について
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  〔3〕日系企業の海外進出動機

 日系現地企業の進出動機を見ると、まず、米国、EUが現地や同一地域内の第三国への販売という市場要因が中心であるのに対して、ASEAN4、NIEs3、中国は市場要因とともにコスト面が重視されており、ASEAN4、NIEs3、中国は生産基地としての機能が強く期待されていると言える。同時にASEAN4、NIEs3、中国では現地や域内第三国への販売という市場要因も大きな割合を占めており、特にASEAN4、NIEs3では域内販売が、米国等の域外や日本への逆輸入の合計に匹敵する割合を占めている。この統計では、業種や部品か製品かの区別はできないものの、日本企業が東アジア地域内でコスト面での優位性を活かしつつ分業体制をつくるとともに、最終製品を域内でも販売するという考え方が見てとれる(第3-2-13表)。

 
第3-2-13表 日系現地企業の海外進出動機について(複数回答)

第3-2-13表 日系現地企業の海外進出動機について(複数回答)
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