第1章 世界経済の成長メカニズムと不均衡問題 

第3節 新興工業国の台頭 〜BRICSの成長可能性〜

第3節 要旨
 近年、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)と呼ばれる新興工業国は国土面積、人口の規模の大きさ、豊富な天然資源等を背景に世界経済の中で存在感を高めているが、その成長の速度や水準は国によって様々である。
 ブラジルは1990年代を通じ、対外経済開放へと政策転換し、構造改革等を進めた結果、輸出主導で成長軌道に回復した。近年、ブラジル政府は、アグリビジネス、環境ビジネス等に力を入れている。
 ロシアは1999年以降の原油価格の高値での推移と、ルーブル切下げによる国内輸入代替産業の復調等を背景に経済成長を続けている。豊富なエネルギー資源はロシア経済の強みである一方、経済が商品市況と為替動向に左右される資源依存型経済構造からの脱却が課題である。
 インドはサービス産業を主軸として経済発展を実現している。優れた人材を安定的に供給する労働市場として、また将来は実質的な購買力を備えた中間層が拡大することで有望な消費市場として、発展が期待されている。今後は人口増に対処すべく雇用創出効果の大きい製造業の発展を図っていく必要があり、政府はバイオ・医薬品産業等の育成に力を注いでいる。
 南アは1994年の民主化後、自由化による経済成長戦略を標榜している。ビジネスインフラがある程度整備されていること、南ア企業のアフリカ域内進出が目立つこと等から、南ア企業と外資とのタイアップ等により、南部アフリカのビジネスのゲートウェイとして成長していく可能性もある。

 第2節で中国経済の高度成長に関して記述したが、近時中国を含めた新興工業国が世界経済の中で存在感を高め、新たな世界経済の牽引役として期待されている。中でも中国にブラジル、ロシア、インドを含めたBRICs諸国に対する注目は高まってきており、主な国際機関等の経済見通し1でも、総じて先進国に比べ高い成長が続くと推計している。第3節では、そうした新興工業国としてBRICsにアフリカの大国南アフリカ共和国を加えた5か国をBRICSとして取り上げる2


1 OECD(1998)、IEA(2004)、NIC(2004)等による。
2 2005年7月の主要国首脳会議(サミット)では、ブラジル、インド、中国、南アフリカの4か国とG8(含むロシア)による特別会合を開催する方向で調整が進められており、これら諸国の世界経済に対する影響力が認識されてきていると言える。


 第3節 新興工業国の台頭 〜BRICSの成長可能性〜

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