第1章 世界経済の成長メカニズムと不均衡問題 

(2)ロシア連邦

  [1]概況

 ロシア連邦(以下、「ロシア」という。)は、人口約1億4,000万人(2003年、世界第七位)を抱え、実質GDPは4,693億ドル(2002年、世界第十五位)、1人当たりGDPは3,257ドル(2002年)である。石油は世界の確認埋蔵量の5〜6%、天然ガスは同約3分の1を保有、石炭でも世界最大の生産国の一つとなっている。
 ロシア経済は、1998年に金融危機に陥り、ルーブルの大幅切下げや支払停止等を余儀なくされ、経済は大きく落ち込んだ。しかし、1999年以降原油価格が高値で推移していること、ルーブル切下げ効果により国内の輸入代替産業が復調し始めたこと等を背景に経済成長を続けている8
 ロシアの経済成長は原油価格に密接に関係しており、石油、天然ガス産業はGDPの約25%9、輸出収入の約55%、国家歳入の約35%を占めるに至っている10
 貿易構造は、石油や天然ガス等の原料・燃料等を輸出し、工業製品等を輸入している。我が国との貿易でも、ほぼ同様の傾向が見られ、ロシアから一次産品(アルミ・同合金、魚介類、鉱物性燃料、木材等)を輸出し、日本からは自動車、機械類(乗用車、一般機械、電気機器、金属・同製品等)を輸入している。



8 GDP成長率は、2001年5.1%、2002年4.7%、2003年7.3%、2004年7.1%(ロシア連邦国家統計局)。
9 IEA(2004)P.289。
10 ロシア東欧貿易会(2005)P.3。

  [2]中長期的な成長の可能性と今後の課題

 今後も世界経済の拡大に伴いエネルギー需要は増大していくと見られており、ロシアの石油・天然ガス等資源産業は引き続きロシア経済の中で大きなインパクトを占めると考えられる11。一方、旧ソ連時代の科学研究振興の遺産である有能な人材と高い基礎科学技術を生かした、付加価値の高い機械工業(航空機、宇宙、軍事産業)や、ITソフトウェア産業12にも注目が集められている。
 ロシアの保有する豊富なエネルギー資源は、ロシア経済の強みである一方、資源エネルギー産業に大きく依存する構造は、経済が商品市況と為替動向に左右されてしまう点から脆弱性を有しているとも言える。資源エネルギー産業を基盤としながら上記に述べたような技術集約的な機械工業やITソフトウェア産業等の幅広い産業の活性化を図り、資源依存型の経済構造から脱却することが課題である(第1-3-5図、第1-3-6図)。

 
第1-3-5図 ロシアのGDP成長率と原油価格

第1-3-5図 ロシアのGDP成長率と原油価格
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第1-3-6図 ロシアの輸出と原油価格

第1-3-6図 ロシアの輸出と原油価格
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11 IEA(2004)によると、2020年には、ロシアの石油、天然ガス生産量は2002年に比べ、それぞれ約1.4倍に増えると予測している。
12 NASSCOM(2003、2004)によると、ロシアは、ITエンジニアのレベルの高さにおいて優位性を有すると評価している。


 第3節 新興工業国の台頭 〜BRICSの成長可能性〜

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