第1章 国際経済の動向と構造変化 

(2)国際的な過剰流動性の原油市場への流入

(国際的な過剰流動性の原油市場への流入による原油価格の底上げ)
 国際的な資金の動きから見ると、前節まで見たとおり、拡大している国際的な過剰流動性の一部が原油市場に流入することにより、更なる価格の上昇をもたらしている。国際的な過剰流動性の流入先として、株式市場、債券市場と原油市場を比較すると、原油市場は後述のような投機資金の流入もあり、価格変動率(ボラティリティ)が高くなっており、株式、債券市場と比べ、投機家を含めた市場参加者にとって、相対的に収益機会の多い魅力ある市場となっている(第1-3-4図)。そのため、足下においては株価指数に比べ、原油価格は国際的な過剰流動性の伸びと連動するように上昇している(第1-3-5図)。
 
第1-3-4図 WTI原油価格、米国長期金利、S&P株価指数の変動係数の推移
第1-3-4図 WTI原油価格、米国長期金利、S&P株価指数の変動係数の推移
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第1-3-5図 国際的な過剰流動性とWTI原油価格、S&P株価指数の推移
第1-3-5図 国際的な過剰流動性とWTI原油価格、S&P株価指数の推移
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(投機資金の流入による原油市場のボラティリティの拡大)
 原油市場の魅力の増大とともに、投機資金も原油市場に流入している。ただし、投機を「短期的な利ざやの確保を目的とした、短期的売買を繰り返す資金運用」として定義すれば、投機資金は市場のボラティリティの拡大にはつながるものの、長期的な原油価格トレンドに対しては中立的となるため、原油価格の上昇の本質的な要因とはなり得ない。
 実際、最も市場規模の大きいニューヨーク商品取引所(NYMEX:New York Mercantile Exchange)についての分析を見ると、米国先物取引委員会(CFTC:Commodity Futures Trading Commission)では、短期的な資金運用目的の市場参加者は価格の変動率を増幅させる効果があるにすぎないこと2、NYMEXでは、投機資金の代表であるヘッジファンドは原油市場全体の取引高のわずかな部分を占めているにすぎず、大幅な価格変動要因とはなり得ないこと、を明らかにしている3

2 CFTC(2005)「Price Dynamites, Price Discovery and Large Futures Trade Interaction in the Energy Complex」。
3 NYMEX(2005)「A Review of Recent Hedge Fund Participation in NYMEX Natural gas and Crude oil Futures Market」。


 第3節 原油価格上昇・高止まりがもたらす新たな国際経済の構図

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