第2章
 アジア「内需」とともに成長する我が国、持続的成長実現に向けたアジア・太平洋の枠組み
第3節
 アジア消費市場の拡大 〜良質な市場へ向けて


1 拡大するアジア消費市場
(1)中間層の拡大
 アジアには、人口13億人の中国、12億人のインドといった人口大国が存在し、アジア全体で世界人口の約5割を占めている(第2-3-1-1図)。こうした巨大な人口を抱えるアジアが経済成長し、人々の購買力が向上する影響は大きい。
 
第2-3-1-1図 国・地域別の世界人口構成(2008年)
第2-3-1-1図 国・地域別の世界人口構成(2008年)

 中国、インド、ASEANの一人当たり消費額(2008年)は、中国で1,215ドル、インドで576ドル、ASEANで1,478ドルであり、米国の32,883ドルや我が国の22,233ドルと比較すると小さいものの、国・地域全体でみた場合には、中国で16,133億ドル、インドで6,838億ドル、ASEANで8,573億ドルと一大消費市場としての存在感がある(第2-3-1-2図)。
 
第2-3-1-2図 世界の消費市場規模と人口(2008年)
第2-3-1-2図 世界の消費市場規模と人口(2008年)

 近年、消費市場としてのアジアが急成長しており、我が国現地法人の地域別売上高は、アジア現地法人企業数の増加の影響もあり、2006年第2四半期にアジア地域が北米を上回り最大の売上高地域となっている(第2-3-1-3図)。2008年後半から世界経済危機の影響により、各地域とも売上高は大きく減少したが、北米や欧州が低迷する中、アジアはいち早く世界経済危機前の水準まで回復している。
 
第2-3-1-3図 我が国現地法人の地域別売上高の推移
第2-3-1-3図 我が国現地法人の地域別売上高の推移
Excel形式のファイルはこちら

 なお、アジア現地法人の2009年の売上高を国・地域別でみると、中国(含香港)が44%、ASEAN4が38%となっており、合計で約8割を占めている(第2-3-1-4図)。
 
第2-3-1-4図 我が国のアジア現地法人売上高の地域別内訳
第2-3-1-4図 我が国のアジア現地法人売上高の地域別内訳

 中国やインド等のアジアの個人消費額は、近年増加しており、更なる経済成長や耐久消費財の普及等に後押しされ、今後とも増加し続けると考えられる。2020年には中国の個人消費額は5.57兆ドルと、我が国を大きく上回ることが予想されている。また、2020年には、アジア全体の個人消費額は16.14兆ドルと、我が国の約4.5倍に成長し、欧州を抜き、米国に並ぶ見込みである1(第2-3-1-5図)。

1 なお、2020年の各国・地域の実質ベースの個人消費額予測はそれぞれ、日本3.39兆ドル、中国4.38兆ドル、アジア全体(ASEAN+日中韓+インド)12.30兆ドル、米国12.60兆ドル、EU10.41兆ドル。
 
第2-3-1-5図 アジア各国・地域の個人消費額の実績と予測
第2-3-1-5図 アジア各国・地域の個人消費額の実績と予測

 こうしたアジア新興国における個人消費が拡大する中で、中間層(世帯可処分所得5,000以上35,000ドル未満)の拡大が注目されている。
 アジア新興国における中間層は、2000年に2.2億人から、2010年には、9.4億人に拡大しており、米国、EUを合わせた人口規模を上回っている(第2-3-1-6図)。また、アジア新興国における中間層は、2020年には20億人に拡大することが見込まれており(第2-3-1-7図)、世帯可処分所得35,000ドル以上の富裕層2.3億人(第2-3-1-8図)と合わせると、アジア新興国全体の3分の2を占めるまでに拡大する見込みとなっている。
 
第2-3-1-6図 アジア新興国における所得階層別人口の推移
第2-3-1-6図 アジア新興国における所得階層別人口の推移
Excel形式のファイルはこちら
 
第2-3-1-7図 アジアの中間層の推移
第2-3-1-7図 アジアの中間層の推移
Excel形式のファイルはこちら
 
第2-3-1-8図 アジアの富裕層の推移
第2-3-1-8図 アジアの富裕層の推移
Excel形式のファイルはこちら


テキスト形式のファイルはこちら


(2)消費マインドの回復
 世界経済危機は、アジア各国・地域の輸出減少、生産・雇用調整を通じて、アジア消費にも大きく影響を及ぼしている。アジア各国の消費信頼感指数は、2007年後半から大きく落ち込んだ(第2-3-1-9図)。
 
第2-3-1-9図 各国の消費信頼感指数の推移
第2-3-1-9図 各国の消費信頼感指数の推移
Excel形式のファイルはこちら

 しかし、その後アジアでは、景気刺激策の効果や今後の成長期待から、2009年に入り、各国の消費信頼感指数は回復している。すでにインドネシアや韓国では、世界経済危機以前の水準を上回るまでに回復している。また、アジア各国の家計支出をみても、2008年後半から前年同月比でマイナスに転じた国が多いが、2009年後半からは、韓国、インドネシア、タイ等で回復しつつある(第2-3-1-10図)。
 
第2-3-1-10図 各国の家計支出(前年同月比)の推移
第2-3-1-10図 各国の家計支出(前年同月比)の推移
Excel形式のファイルはこちら

 このように、アジア消費は世界経済危機の影響からいち早く回復し、更なる拡大に向けて動き出している。

テキスト形式のファイルはこちら


前の項目に戻る     次の項目に進む