第2章 我が国の貿易・投資の構造と変容

第4節 我が国の通商環境等に大きな影響を与えた国内の出来事〜貿易収支赤字、震災、円高〜

3.昨年来の円高局面と輸出企業の収益力について

(1)為替レートの見方により異なる円高の水準

昨年は、一昨年に引き続き円高がさらに進行した年となった。昨年10月27日には、ニューヨーク外国為替市場でドル・円レートが一時1ドル75円67銭となり、3日連続で戦後最高値を更新した後、同月31日朝のオセアニア外国為替市場では一時1ドル75円32銭まで円高が進行し、同日午前には政府・日銀が円売りドル買いの市場介入に踏み切った。今般の円高局面以前の戦後最高値が1995年4月19日に瞬間的に記録した1ドル79円75銭であったことから、昨年後半から今年はじめにかけてのドル・円レートは過去最高の円高水準となった。また、ユーロ・円レートにおいても、1ユーロ100円を割り込み、今年1月16日には1ユーロ97円04銭となり、約11年ぶりの円高水準となった(ユーロ発足以来の最高値は、2000年10月26日に記録した1ユーロ88円93銭)。

一方、円レートの水準を全体的に見るために、ドル・円レートをはじめとした複数の名目為替レートを貿易額で加重平均することにより「実効化」した為替レート(名目実効為替レート)や、それをさらに自国と競合国の製品価格で調整することにより「実質化」した為替レート(実質実効為替レート)112を用いて、為替水準を判断することもよく行われている。

そこで、ドル・円レート、名目実効為替レート、実質実効為替レートの3つの見方により、今般の2012年1月時点の円高水準113をそれぞれ過去と比較してみた(第2-4-3-1図参照)。ドル・円レートでみると、過去最高の円高時である1995年4月から約8.6%の円高水準が進行している(今般の最高水準である2011年10月では、同約8.9%)のに対し、名目実効為替レートでみると同約15.3%とさらに円高が進行していることがわかる。これは、円レートが対ドルのみならず、ユーロ等の我が国の貿易相手国通貨全般に対して広く円高水準となっており、我が国輸出企業にとっては、より厳しい為替環境にあることを意味している。

112 「実効化」、「実質化」の定義は、主に伊藤・稲場・尾崎・関根(2011)から引用した。

113 今般の円高水準が最も進んだ月は、実効為替レート(名目・実質とも)では2012年1月であったのに対し、ドル・円レートの月中平均では2011年10月であった。


第2-4-3-1図 プラザ合意以降のドル・円レート及び円の実効為替レート(名目・実質)
第2-4-3-1図 プラザ合意以降のドル・円レート及び円の実効為替レート(名目・実質)

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しかしながら、実質実効為替レートでみると全く違った見方ができる。そもそも1995年4月時点の円高水準が名目為替レートに比べればそれほど高くなく、さらに2012年1月時点の水準は円高といえども、当時よりまだ約30.2%も低い水準にある。また、直近の2007年から2008年の円安局面では、プラザ合意が行われた1985年9月時点よりもさらに円安水準であったことになる。これは、我が国の国内物価と海外物価を比較した相対物価が他国に比べて特に近年割安となっていることを示している。この3つの為替レートの見方により異なる円高の水準をどのように考えればよいかについて、以下で分析していく。

我が国の国際的な競争力を測定する上では、多くの留意点はあるものの114、単に名目為替レートの動向のみならず、各国の製品価格間の変動を考慮した「実質」為替レートも併せて確認することが望ましく、さらに世界市場全体での競争関係を明確にするためには、単一通貨だけでなく複数の通貨の動きを反映した「実効」為替レートについても確認する必要がある。その点で、実質実効為替レートは両方の観点を勘案しており、ドル・円レートといった単一通貨の名目為替レートよりも、対外競争力を適切にあらわしていることとなる(伊藤・稲場・尾崎・関根(2011)等)。

こうした見方に沿って、現下の実質実効為替レートの水準であれば、我が国の製造業企業の業績はそれほど悪くならないのではないかとする論調も各方面で見受けられる115。しかしながら、後述するように我が国の製造業企業等の今回の円高に対する大きな危機感は、現下の実質実効為替レート水準からの判断とは全く異なる視点から来ていると考えられる116

114 伊藤・稲場・尾崎・関根(2011)では、実質実効為替レートを用いる際の留意点として、単純に過去との水準の高低を比較するだけでなく、急激な変化の有無、経済情勢の違い、自国及び競合国の経済構造の変化、推計誤差なども併せて確認する必要があるとしている。

115 例えば、The Economistの記事 "Out of the ruins"(2011年8月27日号)では、実質実効為替レートの水準からみて、我が国製造業は適正利潤を継続するとし、海外進出の進展は円高のためではなく、成長市場の獲得のためであるとしている(That is one reason why Japanese manufacturers have continued to make decent profits. Companies gripe that the strong yen may push them to move operations overseas. Yet they are heading there anyway, to be closer to consumers in faster-growing markets.)。

116 例えば、ある大手自動車メーカー社長は「現在の水準は異常なレベル。異常な事態だ」と述べ、「現在の円高水準では新規のプロジェクトを国内で実施できない。海外で実行する方が効率的で、このままでは国内は完全に空洞化を招いてしまう」との懸念を表明し、「円高に伴い雇用にも投資活動にも影響が出ている。円相場を正常な水準に戻してほしい」と政府に対して円高対策を一段と推し進めるよう求めている(2011年10月24日付け日経QUICKニュース)。


(2)我が国輸出企業の危機感の理由

1. 企業の想定を超える円高水準と円安反転期待の薄さの下での投資判断

実質実効為替レートの水準と企業の今般の円高に対する危機感の乖離の理由を考えるに当たって、まず3つの円高に関する企業アンケート調査のデータを参考に分析してみたい。

1つ目は、輸出企業の採算レート・予想レートと実際のドル・円レートの「乖離」が直近で特に大きくなっている点である(第2-4-3-2図参照)。

第2-4-3-2図 我が国輸出企業の採算・予想レートと実際のドル・円レートの比較
第2-4-3-2図 我が国輸出企業の採算・予想レートと実際のドル・円レートの比較

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採算レート・予想レートよりも実際のドル・円レートの方が大きく円高水準となっていれば、企業経営にとって大きな悪影響を与えることとなる。内閣府が毎年実施しているアンケート調査によれば、輸出企業の採算レートは近年継続的にさらなる円高水準を想定しており、企業が円高局面への抵抗力を絶え間なく整えてきたことがわかる。しかしながら、2009年以降は1995年前後と同様に、企業の採算レート・予想レート以上に実際の円高が急激に進行してしまっている。企業の採算レート・予想レートは、実際のレートに若干遅行して推移する傾向が元々あるとはいえ、今般の円高局面での輸出企業の採算レート・予想レートと実際のレートとの大きな乖離が、企業経営者の深刻な危機感を反映しているのではないかと考えられる。また、同アンケートでは、企業の予想レートは現在のレートの水準が1年後もほぼ維持されると想定している傾向があることもわかり、事業計画に反映しきれない急激な円高に対して、企業は特に脆弱になっている。

2つ目は、企業が為替レートに対して中長期的にも非常に厳しい見通しを持っている点である(第2-4-3-3図表参照)。

第2-4-3-3図表 我が国企業へのアンケート「円高に対する企業の意識調査」の結果
第2-4-3-3図表 我が国企業へのアンケート「円高に対する企業の意識調査」の結果

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株式会社帝国データバンクが昨年9月に公表した「円高に対する企業の意識調査」117によれば、円高が自社の売上げに悪影響を与えていると回答した企業が全体の35.5%(製造業では46.8%、うち輸送用機械・器具製造等の機械産業では60%超)を占めている。この水準は前回(2010年8月)の調査時とほぼ同水準であり、企業がさらなる円高水準に対しても様々な努力を続けている結果を反映している。しかしながら、円安基調への反転期待時期については、「長期的に反転は期待できない」と回答した企業が全体の25.8%(製造業では26.1%)、「分からない」が31.0%(製造業では30.6%)と全体の半数以上を占めている。これら企業は円高基調が当面続くことも覚悟しており、企業の円安反転への期待が既に薄いという切迫感のある結果となっている118。また、円高への対応策としては「海外調達を増やす」との回答が全体の23.4%と最多になっており、海外生産の更なる拡大と併せて国内の空洞化懸念を惹起させる結果となっている119。先述したが、円高や震災を契機として、海外調達の増加と引き替えに国内調達が減少するとなれば、大手メーカーの素材・部品等の調達網から外れたり、調達量が減少する国内の中小企業等が増加する懸念も出てくる。

3つ目は、企業が為替を踏まえ、実際に新規投資等を行うまでの期間との関係で、今般の円高水準が既に長期間にわたって継続していることを投資の判断材料として考慮していることである(第2-4-3-4図参照)。

117 本調査の調査実施期間は2011年8月19〜31日、有効回答企業数は11,070社であった。

118 株式会社日本政策投資銀行(2011)によるヒアリング結果(「円高・タイ洪水等に関する取引先ヒアリング結果」(186社に2011年11月実施))でも、円高の見通しについては、7割超の企業が「不明」と回答したが、残りの企業では「円高が最低3〜5年程度は続く」と回答した企業が、「円高は3年以内にとどまりその後円安へ」と回答した企業を上回った。特に、加工型製造業で「最低3〜5年程度は続く」と回答した企業が多く、「海外依存度の高い産業ほど為替レートを厳しめにみていることが示唆される」と同結果では評価している。

119 MURCが当省の委託を受けて実施したアンケート調査(「我が国企業の海外事業戦略に関するアンケート調査」2012年2月実施)においても、円高への実際の対応策(複数回答)として、「原材料・部品等の調達見直し」と回答する企業が製造業では、全体(279社)の63.1%を占め最大となっている。


第2-4-3-4図 我が国企業が為替を踏まえて実際に新規投資等を行うまでの期間
第2-4-3-4図 我が国企業が為替を踏まえて実際に新規投資等を行うまでの期間

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三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(以下、MURCという。)(2012)が今年2月に実施したアンケート調査(「我が国企業の海外事業戦略に関するアンケート調査」)によれば、為替の水準や変動を踏まえて実際に新規投資等を行うまでの期間として、製造業企業(295社)の約半数(48.5%)は、半年から1年程度と回答している。先述の内閣府アンケートでは、既に4年にわたって採算レートを上回る水準の円高局面が継続しており、我が国企業が1年程度先の新規等の投資案件を国内で行うか海外で行うかの投資判断に際して、確実に現在の円高水準はマイナスに影響していると考えられる。

以上、3つの企業アンケート調査のデータから勘案すると、企業の今般の円高に対する危機感は、企業の想定を超える円高水準が長期間続き、円安反転への期待が薄れる中で、迅速に投資判断を行う必要性から現状では国内投資に躊躇せざるを得ないといった意識や行動に反映されていると考えられ、やはり相当に深刻なものであると推察される。

2. 水準面のみならず変動面も厳しい為替環境

また、我が国企業の為替環境としては、為替自体の水準もさることながら、為替の変動の大小についても、海外からの調達や輸出、対外直接投資等に対して大きな影響を与え得る。先述のMURCの企業アンケートにおいて、為替水準及び変動のどちらがより問題かを質問したところ、製造業では円高等の為替水準の方が問題であると回答した企業が全体(300社)の約4分の3を占めたが、残り約4分の1は為替変動の大きさの方が問題であると回答している。また、非製造業ではさらに多く、全体(151社)の約35%の企業が変動の方をより問題としている(第2-4-3-5図参照)。

第2-4-3-5図 為替水準及び変動に対する我が国企業の考え(どちらがより問題か)
第2-4-3-5図 為替水準及び変動に対する我が国企業の考え(どちらがより問題か)

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そこで、円の実質実効為替レートにおいて、過去の円高水準とのレベルを比較するのみならず、急激な変動が特に主要関連通貨との間において生じていないかを確認した。円の実質実効為替レートにおいて、直近で最も円高水準となった今年1月の水準と過去との比較のみならず、同期間内でのドル、ユーロ、ウォンそれぞれの実質実効為替レートの変動との比較を行った(第2-4-3-6図参照)。円は1年前と比べて4.0%上昇し、2年前と比べると8.4%上昇しているが、2007年の直近の円安水準と比較すると4年半の間で実に32.5%も上昇している。一方、他の主要通貨はこの期間内でおおむね下落している。ユーロは2年前と比べると11.0%下落し、ドルも2007年の円安時から比べると7.6%下落している。特に、ウォンの同期間内での下落幅は大きく、2007年時点から25.0%減少している。円の増価分とウォンの減価分を合算すると約60%に達し、この相対的に大きな変動が最近の両国の輸出環境に大きな影響を与えていることがうかがえる。

第2-4-3-6図 円及び主要関連通貨の最近の変動率(実質実効為替レートベース)
第2-4-3-6図 円及び主要関連通貨の最近の変動率(実質実効為替レートベース)

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さらに、1995年の円高局面の直前(1994年1月)から足元(2012年3月時点)までの各通貨の実質実効為替レートの推移と、為替水準のばらつきを確認するためにこの期間の標準偏差を算出した120(第2-4-3-7図参照)。

120 ここでは、実質実効為替レートの指数の絶対水準の標準偏差を算出しており、指数の変動率の標準偏差(いわゆる、ヒストリカル・ボラティリテイ)を算出していない点に留意が必要である。


第2-4-3-7図 円及び主要関連通貨の推移と標準偏差(実質実効為替レートベース)
第2-4-3-7図 円及び主要関連通貨の推移と標準偏差(実質実効為替レートベース)

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円レートの標準偏差は14.7となり、ユーロ(同7.2)やドル(同9.4)よりも大きく、さらにアジア通貨危機や世界経済危機等での大きな通貨変動を期間内に含んでいるウォンレートの標準偏差(同13.2)よりも値が大きかった。このように長期にわたって確認しても、円レートのばらつきの大きさは主要関連通貨に比べても大きく、企業にとっては水準面のみならず変動面でも相対的に厳しい為替環境の下に置かれてきたことがわかる。

(3)交易条件の改善を伴わない厳しい円高局面

さらに、我が国経済の構造面からみて、なぜ企業は大きな危機感を表明しているのか、各国・地域別及び業種別の交易条件の状況から考察を加えていく。

輸出企業にとっては、今までみてきた各々の為替レートの動向はもちろん重要な関心事であるが、併せてそれによって「交易条件」がどのように変動するのかも重要になってくる。交易条件とは、大まかに言えば輸入した資源・原材料価格の上昇による支払の増加分をどれだけ輸出価格に転嫁できたかをみる指標ということになる。具体的には、「交易条件=(輸出物価/輸入物価)」として求められる121。つまり円高のメリットにより、資源・原材料をはじめとした輸入物価が減少すれば(輸出物価を一定と仮定すれば)、その分だけ交易条件は改善しても良いはずである。

しかしながら、我が国の近年の交易条件の推移をみると、世界経済危機以降の実質実効為替レートの円高局面にあっては、円高のメリットを活かし切れずに交易条件は逆に悪化していることがわかる(第2-4-3-8図参照)。1995年前後の円高局面では、円高メリットが働いて交易条件は若干ながらも改善したのに対して、今時の円高局面は為替と交易条件がともに悪化するという、輸出企業にとっては非常に厳しい条件下にある。

121 交易条件を算出する際に用いる貿易価格指数としては、輸出入の「単価(unit value)」(単価=(輸出入金額/輸出入数量)にて算出。我が国では、財務省「貿易統計」にて公表している「輸出入価格指数」がある。)を用いる方法と、輸出入の「調査価格(survey prices)」(代表的な貿易財の取引価格の動向を調査。我が国では、日本銀行「企業物価指数」にて公表している「輸出入物価指数」がある。)の2つの方法がある(Silve(r2007)、IMFetal(.2009)、木下・黒子(2011)等)。ここでは、品質向上に伴う価格変動を除外する必要性があるため、Silver(2007)及びIMF et al.(2009)が各国に貿易価格指数としての採用を推奨している輸出入の「調査価格」により、我が国及び各国の交易条件を算出している。


第2-4-3-8図 近年における我が国の交易条件と実質実効為替レートの推移
第2-4-3-8図 近年における我が国の交易条件と実質実効為替レートの推移

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さらに、我が国は今般の円高局面だけでなく、2000年代に入ってからの円安局面においてもほぼ継続的に交易条件を悪化させていることがわかる。大幅な円安局面であった2004年から2007年頃にかけても、輸出財の国際的な競争の激化から輸出物価の伸びが穏やかなものにとどまったのに対して、資源・原材料価格の継続的な上昇によって輸入物価全体が上昇したことから、交易条件は急激に悪化し、円安のメリットも十分に享受しきれなかったことになる(第2-4-3-9図参照)。

第2-4-3-9図 近年における我が国の交易条件と輸出入物価の推移
第2-4-3-9図 近年における我が国の交易条件と輸出入物価の推移

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このように、為替レートの動向から独立して我が国の交易条件の悪化が慢性的になっていることは、長年にわたって我が国製造業が国際競争力を主に輸出製品の物価を低く抑え込むことによって維持・回復しようとし、そのためにコスト削減努力を続けてきたことの証左となり、急激な円高により国内の事業環境が急速に悪化しやすい体質であることを裏付けている。

1. 各国・地域別の交易条件の比較(アジア各国・地域の交易条件悪化)

近年における我が国の交易条件の慢性的な悪化と比較するために、まず各国・地域別に最近の交易条件を比較してみた(第2-4-3-10表参照)。

第2-4-3-10表 各国・地域の最近の交易条件の比較
第2-4-3-10表 各国・地域の最近の交易条件の比較

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各国・地域との競争条件を過去の円高時と比較するために、1995年4月の各国・地域の交易条件を基準値(=100)とすると、我が国の最近の交易条件は実に50%程度当時よりも悪化していることがわかる。我が国よりも交易条件が悪化しているのは、韓国(60%程度の悪化)のみであり、我が国を取り巻く国際的な競争環境は1995年時点からより厳しいものとなっている。

特に米国、英国、ドイツといった我が国以外の主要先進国は、1990年以降の約20年間にわたり交易条件をほぼ一定に保っており、資源・原材料価格の高騰に対しても、輸出製品への価格転嫁を進めることなどにより、対処してきたことを示している(第2-4-3-11図参照)。

第2-4-3-11図 主要先進国の交易条件の推移
第2-4-3-11図 主要先進国の交易条件の推移

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一方、アジア大洋州等の主要国・地域の交易条件は、資源国・食料輸出国である豪州、ニュージーランド、ブラジルがそれらの価格の急騰により近年交易条件を大幅に改善させているが、それ以外の各国・地域は軒並み悪化していることがわかる。特に、2000年代に入ってからの我が国と韓国、台湾の交易条件の動きは、水準こそ違えどもほぼ同じ推移を辿っていることがみてとれる。また、タイやシンガポールも同様に2000年代に入ってからは交易条件の悪化がほぼ継続している(第2-4-3-12図参照)。

第2-4-3-12図 アジア大洋州等の主要国・地域の交易条件の推移
第2-4-3-12図 アジア大洋州等の主要国・地域の交易条件の推移

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これらアジア各国・地域の交易条件の同期した悪化は、資源・原材料の過半を輸入し、加工の度合いは多少異なるものの工業製品を大量に輸出している貿易構成の類似性に起因しているものと考えられるが、貿易構成が類似しつつも交易条件を維持している欧米主要国との違いが顕著になっている。

2. 業種別の交易条件の比較(特定産業の交易条件の悪化)

根津(2011)によれば、同じ製造業中心の経済構造となっていながらも、交易条件を維持できている国・地域と継続的に悪化させている国・地域に差が出てくる背景としては、企業が自社製品のコモディティ化や新興国製品との価格競争を避ける輸出戦略を採用できているか否かにかかっているとされる。そこで、我が国製造業の業種別の直近の交易条件について、比較してみた(第2-4-3-13図参照)。

第2-4-3-13図 我が国の製造業(業種別)の直近の交易条件の比較
第2-4-3-13図 我が国の製造業(業種別)の直近の交易条件の比較

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業種ごとの競争条件を過去の円高時と比較するために、1995年4月の各業種の交易条件(ここでの交易条件の算出には、一国・地域の交易条件の算出方法とは異なり、製造業部門別の「産出価格/投入価格」を用いている。)を基準値(=100)とすると、製造業総合では15%程度当時よりも悪化していることがわかる。1995年時と比較して交易条件が改善した業種は精密機械等の限られた業種しかなく、製造業総合の水準よりもさらに交易条件を悪化させている業種は、素材系業種であれば鉄鋼、化学製品等、加工系業種であれば電気・電子機器で顕著に見受けられる。

また、素材系業種と加工系業種では、交易条件の推移に特徴的な差異がある。素材系業種の交易条件が変動する要因は、主に投入側の原材料等の価格動向によってであり、交易条件の変動幅がより大きくなっていることがわかる。またごく足元では、円高局面にあって原材料等の価格上昇が幾分緩和されているために、わずかながら交易条件が改善傾向を示している業種があることも読み取れる(第2-4-3-14図参照)。

第2-4-3-14図 我が国の主な素材系業種の交易条件の推移
第2-4-3-14図 我が国の主な素材系業種の交易条件の推移

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一方、加工系業種の交易条件の動きは、素材系業種に比べると穏やかに推移しているものの、1990年代後半以降、限られた時期を除いて円安局面でも継続的に悪化を続けていることがわかる。投入側の価格動向に左右されている面もあるが、輸出製品におけるアジア各国・地域との熾烈な価格競争により、恒常的に価格を抑えざるを得ないという主に産出側の価格構造が、近年の交易条件の動向に影響を与えていると考えられる。また足元では、円高状況下で製品価格をより低く抑える必要があるために、今まで比較的交易条件を悪化させずに推移してきた一般機械や輸送機械、精密機械までもが悪化する傾向を示していることも読み取れる(第2-4-3-15図参照)。

第2-4-3-15図 我が国の主な加工系業種の交易条件の推移
第2-4-3-15図 我が国の主な加工系業種の交易条件の推移

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また、加工系業種が最近の円高局面で特に厳しい状況に置かれていることは、企業アンケートの結果にも表れている(第2-4-3-16図参照)。

第2-4-3-16図 我が国企業(業種別)の円高による収益への影響
第2-4-3-16図 我が国企業(業種別)の円高による収益への影響

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日本生命保険相互会社とニッセイ・リース株式会社が実施した企業アンケート(「ニッセイ業況アンケート調査(2010年度下期調査)」2011年1月実施)によれば、円高による収益への影響としてマイナスの影響があると回答した製造業企業は全体の53.5%であったのに対し、一般機械・精密産業の企業では、全体の78.4%に達している。また、輸送用機器(同64.6%)や電気機械(同62.9%)に属する企業なども、製造業全体に比べてマイナスの影響があると回答した企業の割合が多かった。近時の円高局面が、特に機械産業の収益力に対して大きなマイナスの影響を与えており、それが交易条件の悪化としても表れていることが示唆される。

3. 実質実効為替レートと交易条件の関係について

以上でみたとおり、実質実効為替レートでの円高が交易条件の改善を常に伴っているわけではないことは、最近の円高局面での機械産業の交易条件動向をみても明らかである。岡田・浜田(2009)や片岡(2011)によれば、長期的にも交易条件の変化で説明できる実質実効為替レートの変化はその一部であって、貿易財の国際的な需要構造いかんによっては交易条件とは反対に実質実効為替レートが変化する可能性もあるとしている122。実質実効為替レートの変動要因は様々な要因で説明されるが、いずれにせよ、実質実効為替レートの円高進行が交易条件の悪化と併存しているという、我が国の輸出企業にとって非常に厳しい状況が続いていることには変わりがない。

さらに、岡田・浜田(2009)や有馬(2010)によれば、輸出産業の収益力を測るには、交易条件と実質実効為替レートの比率(=交易条件/実質実効為替レート)をみるのが適しているとされる。これは、国内製造コスト(≒消費者物価)に対する輸出入物価の比率で測られた購買力平価を意味し、輸出産業の収益力と読み替えることができるとしている。これによれば、実質実効為替レートが上昇しても、それに見合った交易条件の改善が生じるのであれば輸出産業の収益性は大きな悪影響を受けないが、交易条件では説明できない大幅な実質実効為替レートの上昇は、輸出産業の収益性を損なうことになる123

122 岡田・浜田(2009)によれば、交易条件(=輸出物価/輸入物価)は、貿易財(輸出財・輸入財)相互の相対価格である。一方、実質実効為替レート(下式参照)は、交易条件とも関係があるが、主に「非貿易財と貿易財の相対価格の変動」を意味するものであって、交易条件にかかるウェイト(下式の輸出財ウェイトと輸入財ウェイトの差の符号)いかんによっては、交易条件と反対方向に変化する可能性もある。例えば、我が国が輸出している工業製品に対する需要が海外では我が国以上に強く、海外から我が国に輸出している資源・原材料に対する需要が我が国では海外よりも強いとすると、ホームバイアスの存在する場合とは逆に交易条件と実質実効為替レートは反対方向に変化する可能性があることになる。
  《対数表示》(実質実効為替レート)
         =(名目実効為替レート)−(購買力平価)
         =(輸出財ウェイト−輸入財ウェイト)×(交易条件)
           +(ウェイト)×(国内非貿易財価格−国内貿易財価格)
           −(ウェイト)×(外国非貿易財価格−海外貿易財価格)

123 なお、交易条件では説明できない実質実効為替レートの上昇とは、国内の非貿易財産業の生産性の低さに起因するところが大きいとされる。この点、内閣府(2011)においては、コラムとして詳しく説明している。


(4)日独韓の輸出産業の収益力の比較

上述した、交易条件と実質実効為替レートの比率(=交易条件/実質実効為替レート)を指標として用い、我が国と韓国、ドイツの輸出産業の収益力を比較してみることとする。

我が国の輸出産業の収益力は、2007〜2008年以降の実質実効為替レートの円高進行(収益力の分母の上昇)と交易条件の悪化(収益力の分子の低下)が併存する中で急速に悪化しているとみられる。また、2000年代初頭から実質実効為替レートが円安方向へ推移していた間も、交易条件が徐々に悪化を続けていたため、収益力は改善していなかったことも読み取れる。前項でみたとおり、エネルギー価格高騰等により輸入物価が急上昇する中、輸出物価は緩慢な上昇ないしは、世界経済危機後はむしろ下落してきている(第2-4-3-17図参照)。

第2-4-3-17図 我が国の交易条件・輸出入物価、実質実効為替レート、輸出産業の収益力の推移
第2-4-3-17図 我が国の交易条件・輸出入物価、実質実効為替レート、輸出産業の収益力の推移

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同様に、韓国も2000年代前半以降の実質実効為替レートのウォン高進行(収益力の分母の上昇)と交易条件の悪化(収益力の分子の低下)により、輸出産業の収益力は大幅に低下しているものと考えられる。確かに、1997年のアジア通貨危機後や2008年の世界経済危機後の急激なウォン安傾向により、一時的に収益力が大幅に改善する時期があったものの、中期的にみると我が国以上にウォン安による輸入物価の急上昇により交易条件が悪化し、同様に厳しい競争状況下に置かれていることが読み取れる(第2-4-3-18図参照)。

第2-4-3-18図 韓国の交易条件・輸出入物価、実質実効為替レート、輸出産業の収益力の推移
第2-4-3-18図 韓国の交易条件・輸出入物価、実質実効為替レート、輸出産業の収益力の推移

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一方、ドイツの輸出産業の収益力をみると、非常に安定的に推移していることがわかる。実質実効為替レート、交易条件ともに安定的であることが、結果として輸出産業の収益力の維持に貢献している。輸出入物価の動向をみても、輸入物価の上昇局面では、輸出物価も連動して上昇していることが日韓に比べて特徴的である。その理由は先述したとおり、価格競争による規模の経済を過度に追求せず、技術やブランドに裏打ちされた価格決定力の保持を最重視しながら迅速に成長する海外マーケットに進出し124、自国通貨や輸入物価の変動に合わせて輸出価格を変更可能とする経営スタイルを採用している輸出企業が多いことにも起因していると考えられる125(第2-4-3-19図参照)。

124 Hermann Simon(2009)によれば、価格競争に巻き込まれない事業戦略を採用していることが、ドイツをはじめとした成功している中堅・中小企業にみられる共通の特徴の一つであるとしている("Hidden Champions of the Twenty-First Century: Success Strategies of Unknown World Market Leaders")。

125 さらに、有馬(2010)によれば、ユーロ圏内での貿易取引など安定した貿易構造なども背景にあるとしている。また、ドイツ車をはじめとした高級輸入車が、我が国の円高時にも安くなっていないことを実感として示すものとしては「円高なのに外車はなぜ安くならない?」(2011年10月30日付けJ-CASTニュース)を参照。


第2-4-3-19図 ドイツの交易条件・輸出入物価、実質実効為替レート、輸出産業の収益力の推移
第2-4-3-19図 ドイツの交易条件・輸出入物価、実質実効為替レート、輸出産業の収益力の推移

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また交易条件のみならず、実質的な為替水準の面でも、ドイツは特にユーロ導入の恩恵を受けていると指摘されることが多い。そこで、ユーロを初期から導入しているEU各国について、実質実効為替レートの導入時から現在(今年1月時点)までの変動率を比較してみた(第2-4-3-20図参照)。ユーロ圏全体の平均としては、導入時から約8.3%下落しているが、ドイツが最も下落(▲12.6%)しており、平均より大きな下落率となっているのは、他にフィンランドとフランスしかない。この結果から、ドイツの輸出企業にとっては、為替面でのユーロ導入も輸出収益力に対して有利に働いたと考えることができる。また、田中(2007)等によれば、ユーロ圏内でもドイツのように物価上昇率が低位に安定している域内国では、不況期でも政策金利の実質金利が相対的に高く、物価の安定が持続することになる。そのため、ユーロ圏内で為替相場が固定化されていることから、実質実効為替レートは低下し、域内での輸出競争力が強化されるという良好な流れが生まれやすくなっている(第2-4-3-21図参照)。このような、交易条件と為替両面での事業環境の良好さが、ドイツの輸出産業の収益力の源泉となっていると考えられる。

第2-4-3-20図 ユーロ初期導入諸国の実質実効為替レートの変動率(2012年1月/1999年1月)
第2-4-3-20図 ユーロ初期導入諸国の実質実効為替レートの変動率(2012年1月/1999年1月)

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第2-4-3-21図 ドイツのユーロ圏内での競争力強化の仕組み(概念図)
第2-4-3-21図 ドイツのユーロ圏内での競争力強化の仕組み(概念図)

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以上のように、我が国と韓国の輸出産業が収益力を互いに削りながらも激しい国際競争を繰り広げてきている状況をマーケットも注視している。熊谷(2011)や佐々木(2011)でも指摘されているとおり、近年の我が国の株式相場(特にTOPIX)は、円ウォンレートとほぼ同じ動きを示しており、その相関はもはやドル円レートよりも高く、非常に強い。マーケットが日韓の足元の競争環境に注目しており、円ウォンレートの動きが我が国企業の業績に以前にも増して重要になってきている(第2-4-3-22表、第2-4-3-23図参照)。

第2-4-3-22表 最近の日本株と為替レートの相関係数
第2-4-3-22表 最近の日本株と為替レートの相関係数

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第2-4-3-23図 最近のTOPIXと円ウォンレート、ドル円レートの関係
第2-4-3-23図 最近のTOPIXと円ウォンレート、ドル円レートの関係

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なお、日韓独の輸出産業の収益力の源泉として、さらに各国の機械産業の品目別輸出物価の動向を国内企業(生産者)物価との関係でそれぞれ比較してみた。詳しい分析内容は後述するが、ここでは結果だけ述べると、日韓両国では国内物価との関係でも機械類全般の輸出物価(自国通貨ベース)が為替に連動して変動が大きく、かつ電気・電子機器を中心に輸出先での価格決定力の面でも苦戦している品目が多い(契約通貨ベースの輸出物価から確認できる)のに対して、ドイツでは、国内物価との関係でも輸出物価(自国通貨ベース)が一般機械や輸送機械といった主要品目を中心に非常に安定しており、かつ電気・電子機器でも(絶対的な価格水準は日韓同様に急落しているにもかかわらず)輸出物価は国内物価との関係で相対的に上昇している。価格決定力の維持・向上を中心にしたドイツ企業の輸出戦略と、安定的な為替環境が輸出価格の国内物価との関係での相対的な上昇という形としても確認できる。

(5)円高と交易条件悪化の併存状態を脱却するための方策の必要性

今までみてきたとおり、今般の我が国の円高局面は、交易条件の改善を伴っておらず、各国・地域との比較及び業種別での比較においても非常に厳しい円高局面であると評価できる。我が国の輸出企業は対応策として、既に長期にわたって賃金コストや原材料等の調達コストの削減等リストラ策を行っており、こうした企業努力もそろそろ限界に来ている126。ドイツでも次章にて詳述するように労働市場改革を通じて我が国と同様に単位労働コスト(ユニットレーバーコスト。以下、ULCという。)を引き下げ、競争力を強化してきた時期があるが、我が国だけが先進国の中で唯一ULCのみならず、総労働コスト自体を減少させてきており、高付加価値製品を次々と生み出しつつも127、主にコスト削減努力を通じて企業収益力を高めてきたといえる(第2-4-3-24図参照)。同じく交易条件を悪化させているアジア各国・地域との競争環境はますます激化してきており、急激な円高は我が国企業がこれまで行ってきたコスト削減の努力をも無駄にしかねない。また、企業内外のヘッジ手段を駆使した為替リスク管理の手法にも、企業の想定を超えた急激な円高の前には自ずと限界がある。

126 神田・鈴木(2010)によれば、我が国の実質実効為替レートが過去最高値から3割程度低い水準にあるのは、我が国の製造業のULCが各国に比べて相対的に低下してきたためであるという。特に一貫して電気機械産業が全体のULCを押し下げて来ており、1995年以降は一般機械や輸送機械によるULCの押し下げ幅も拡大してきたとしている。

127 一方、堀(2009)によれば、品目別の貿易データから輸出財を付加価値水準別に再分類し、1980年から2004年にかけての東アジア及び我が国の貿易構造の変化を分析している。その結果、近年の円の高止まりの状況下で、我が国はアジア市場の急拡大という機会にもかかわらず、低付加価値財のみならず高付加価値財でも世界的にシェアを低下させ、国際競争力を失いつつあることが示されている。本文中で堀は、我が国の「高付加価値中間・投資財の供給源としてのネットワーク参加というシナリオに狂いが生じていることが示唆された」とまとめている。


第2-4-3-24図 主要先進国のULCの推移の要因分解
第2-4-3-24図 主要先進国のULCの推移の要因分解

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現状の円高と交易条件悪化が併存する状態のままでは、さらに内需が低迷し、デフレが継続し、さらなる円高に拍車がかかるという、現在の我が国経済構造の悪循環から抜け出すことは容易なことではない128(第2-4-3-25図参照)。

128 本節では取り上げなかったが、近年は特に金利差と為替レートとの関連性が強くなっているという指摘が多い。深尾(2010)では長期の実質金利差と実質為替レートの関連性、佐々木(2011)では日米の2年物スワップ金利差や10年債利回り差とドル・円名目レートとの関連性を指摘している。


第2-4-3-25図 悪循環に陥っている現在の我が国の経済状態(概念図)
第2-4-3-25図 悪循環に陥っている現在の我が国の経済状態(概念図)

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円高と交易条件悪化の併存状態を脱却し、悪循環を断ち切るためには、包括的かつ持続的な対策が必要となる。例えば、交易条件の改善の一つをとっても、価格競争から脱却して製品差別化による競争優位を強化する企業行動・産業構造への転換を促す中長期的な通商・産業政策が求められる129

また、経済連携の推進やインフラ輸出の支援、中小企業の海外展開支援等の施策についても、企業の更なるコスト削減への一助となるのみならず、現地のニーズにより合った製品の輸出や、サービスを含むパッケージ化された製品の輸出を拡大し、ブランド価値を向上させること等により、新興国企業に対する価格面以外での競争優位性を強化し、結果として我が国の交易条件の改善につながっていくことが望まれる。

129 我が国産業・企業活性化のための方策についての論調としても、欧州各社の強気な販売戦略を支えているブランド戦略が我が国企業の活路となるといったもの(田巻一彦「コラム:日本企業活性化、切り札はブランド戦略と技術革新に」2012年1月20日付けロイター記事)や、円建て輸出比率を高めていくためにも技術面でのイノベーションを継続し、新産業の創出にもつなげていくべき(前出の田巻(2012)や、マイケル・クスマノ「新産業創出で日本復活を」2012年3月19日付け日本経済新聞朝刊)といった、いずれも価格競争力強化とは別個の対応策が多く提言されてきている。





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