第1節 新興諸国経済の類型化
本節では、新興諸国経済のメガ・トレンドを論ずるにあたって、まず、世界銀行の定義に従い、新興諸国146か国・地域を所得水準に応じて3つのグループに分割する。さらに、これに高所得国 76か国・地域を加えた計4つのグループについて、新興諸国経済の社会・経済的特徴や将来見通しに関するさまざまな比較分析を行う(第Ⅰ-2-1-1-1図)。
第Ⅰ-2-1-1-1図 新興諸国経済の類型化
ここで、「高所得国」は、一人当たりGNIでみた2013年の所得水準が12,746ドル以上の国・地域と定義している。G7諸国、ユーロ圏諸国等いわゆる先進国とされる国など76か国・地域で構成される。さらに、中東産油諸国など多くの資源国もここに含まれる。
新興諸国・地域は、同じく一人当たりGNIでみた2013年の所得水準1,045ドルを境に、「低所得国」と「中所得国」に分類している。「中所得国」は、さらに、4,125ドルを境に「上位中所得国」と「下位中所得国」に分類している。
「上位中所得国」は、中国、タイ、マレーシア、メキシコ、ブラジルなど、アジア、東欧及び中南米の工業化が相当程度進んだ国・地域を中心に55か国・地域で構成。アフリカ地域の石油輸出国の一部もここに含まれている。
「下位中所得国」は、アジア諸国の中でも後発の工業諸国や北アフリカ諸国など工業化が遅れている国々を中心に50か国・地域で構成されている。さらに、インド、インドネシア、ナイジェリアなどといった大きな人口を抱える資源国や新興工業国がここに含まれる。
「低所得国」は、南部アフリカの国々を中心に計41か国・地域で構成されている。
人口は、「下位中所得国」が最も多く26億人、次いで「上位中所得国」が24億人である。この2つのグループで人口規模50億人の「中所得国」を構成している。