経済産業省
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平成28年(2016年)年頭所感 ~経済産業大臣 林幹雄~

林幹雄経済産業大臣

はじめに

平成28年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
新年を迎えるにあたり、経済産業政策の諸課題と意気込みについて一言申し上げます。

福島の復興

はじめに、福島第一原発の廃炉・汚染水対策と福島の復興は、経済産業省が担うべき最も重要な課題です。

東日本を襲った大震災から3月で丸5年となります。
昨年9月には全町避難となっていた楢葉町(ならはまち)の避難指示が解除されました。
今後も被災事業者の事業再開に向けた官民合同チームによる支援、イノベーション・コースト構想の着実な具体化、企業立地による雇用創出などを、関係者一丸で進めてまいります。

福島第一原発の廃炉・汚染水対策については、昨年9月にサブドレンが運用開始、10月には海側遮水壁の閉合が完了しました。
引き続き、中長期ロードマップに則り、国も前面に立って安全かつ着実に対策を進めてまいります。

「希望を生み出す強い経済」の実現

第二に、「希望を生み出す強い経済」の実現です。

政府が掲げる「一億総活躍社会」は、日本の構造的な課題である少子高齢化に真正面から挑む、未来を見据えた新たな国づくりです。
中でも、戦後最大となる名目GDP600兆円の達成に向け、「希望を生み出す強い経済」を生み出すことは経済産業省の大きな使命です。

我が国はデフレ脱却までもう一息のところまで来ています。
昨年末に取りまとめた税制改正大綱では、経済の好循環を確実なものとするため、「法人実効税率20%台の来年度からの実現」と、史上初の「固定資産税の投資促進減税の創設」を決めました。 

企業の皆様には、これらの措置を活用した設備・技術・人材に対する投資への点火と、3巡目の賃上げに向けた最大限の努力、あわせて、取引先企業に対する仕入れ価格の上昇等を踏まえた価格転嫁を改めてお願いします。

強い経済を生み出すためには、企業の生産性を抜本的に高めることが必要です。
世界に先駆けた第4次産業革命の達成に向け、イノベーションを加速し、それを支える人材への未来投資を拡大してまいります。 

昨年から、自動走行、ロボット・ドローン、医療・健康などの幅広い分野で産業の未来像を議論し、「IoT推進コンソーシアム」で先駆的事業を後押ししてまいりました。
本年は、産業構造や働き方の変化の方向性を提示した「新産業構造ビジョン」の議論を通じ、大胆な変革に取り組んでまいります。

産業を支えるサイバーセキュリティの確保も重要な課題です。
情報処理推進機構(IPA)の知見を活用し、独法等の対策強化や電力等の重要インフラ産業における対策強化に取り組んでまいります。 

イノベーションを加速するためには、技術・人材の流動化に加え、海外トップ人材や投資の呼び込みによって、世界に開かれた拠点を形成することが必要です。
例えば、再生医療の分野では、世界最先端の研究開発と大胆な規制緩和により、世界中から人材が集まってきています。
研究者のみならず、起業家、IT等の高度人材の大胆な獲得に向け、アジアの教育機関と連携した人材育成を進めるとともに、対日直接投資の促進により「内なる国際化」を進めます。

また、こうした施策による研究開発の成果を市場開拓に繋げるべく、知財戦略の強化や、我が国発の国際標準獲得に努めてまいります。

これらに加え、全国津々浦々の中堅・中小企業の皆様にも地域経済を牽引していただく必要があります。
サービス業等の事業分野ごとに生産性向上のための指針を策定し、きめ細やかに支援する仕組みを新たに作ります。
なお、消費税の軽減税率制度の導入にあたっては、事業者の円滑な準備に向けて全力を尽くします。

通商交渉の果実を活かした経済発展

第三に、通商交渉の果実を最大限に活かした経済発展の実現です。

昨年10月には、長期に及ぶ交渉の末にTPP協定が大筋合意し、12月には日本が議長国となり、先進国と途上国が参加する21世紀初の大型関税交渉であるITA拡大交渉が妥結しました。
これらの通商交渉による巨大な自由貿易圏の誕生は、多くの企業に新たな成長の機会を提供します。

特に、TPPを追い風に市場開拓・事業拡大を目指してがんばる中堅・中小企業をあらゆる段階で支援するため、JETRO・中小機構等の支援機関を幅広く結集した「新輸出大国」コンソーシアムの構築、コンビニエンス・ストアとJETROの連携強化等を進めてまいります。

TPPによって広がる市場獲得に向け、農商工が連携して取り組むことも重要です。
「攻めの農業」への転換に向け、農商工連携による新商品開発や、物流の効率化、販路開拓等の取組を、関係省庁の叡智を結集して強力に進めてまいります。

インフラシステム輸出も海外市場獲得に向けた重要な取組です。
先般、抜本的な制度拡充を行った「質の高いインフラパートナーシップ」を着実に実施し、2020年までに約30兆円のインフラシステムの受注を目指します。

海外展開だけではありません。
急増する訪日外国人旅行客は、我が国経済の起爆剤となる存在です。
眠れる観光資源を開発し、世界に売り込む強靭な観光産業を育成するため、ファイナンスやまちづくり等の在り方について検討を進め、観光消費額の増加につながる外国人目線での観光拠点形成を行います。

今後も日EU・EPAを始め、RCEP、日中韓FTAなどの経済連携交渉と多国間・複数国間の取組を果敢に推進し、海外市場の成長を積極的に取り込んでまいります。

責任あるエネルギー・環境政策の推進

第四に、責任あるエネルギー・環境政策を推進してまいります。

昨年末、COP21で「パリ協定」が採択されました。
先進国と途上国が立場の違いを越え、全ての国が参加する形で公平で実効的な枠組みが得られたことは、歴史的な転換です。
今後、春までに地球温暖化対策計画を策定するとともに、エネルギー・環境分野における革新的な技術開発の強化を進め、我が国の強みを活かしたアジア・太平洋地域等での国際貢献を進めます。

また、今年は我が国がG7の議長国です。
G7北九州エネルギー大臣会合を5月に主催し、世界のエネルギー安全保障と持続可能な発展に向けた議論をリードしてまいります。

国内では、本年4月から電力小売が全面自由化され、全ての家庭や事業所で、自由に電力会社や料金メニューを選べるようになります。
「電力取引監視等委員会」の意見も踏まえつつ、引き続き「電力システム改革」を着実に進めます。

電力システム改革の実行、エネルギーミックスの実現に当たっては、エネルギーへの投資を大胆に拡大し、経済成長とCO2排出抑制を両立していくことが重要です。
このため、徹底した省エネと再エネの導入拡大を柱とする「エネルギー革新戦略」を今春までに取りまとめ、その後の成長戦略や地球温暖化対策計画の策定に貢献してまいります。

再生可能エネルギーについては、国民負担を抑制しつつ最大限導入を進めることが基本方針です。
固定価格買取制度の開始以後、3年間で導入量が倍増した一方で、顕在化してきた様々な課題に対応するため、制度の見直しを進めてまいります。

原子力発電所についても、引き続き、エネルギー基本計画に従い、いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、原子力規制委員会により新規制基準への適合を認められた発電所の再稼働を進めてまいります。
また、自由な競争の下でも使用済燃料の再処理等を着実に進めるため、制度の見直しを進めてまいります。

高レベル放射性廃棄物の最終処分については、国が前面に立って取り組むとの方針の下、国民や地域に冷静に受け止められる環境を整えた上で、科学的有望地の平成28年中の提示を目指します。
国民や自治体との対話を丁寧に重ね、着実に進めてまいります。

石油・天然ガスなど資源の開発と確保については、昨年来の資源価格低迷ゆえ、我が国企業による投資が厳しさを増しております。
積極的な資源外交とともに、JOGMECを通じた我が国企業への投資資金供給を進めてまいります。

おわりに

今年は、申年となります。
猿は「魔が去る」に通じ、古来より病や悪いことが去り、縁起がよいとされています。
また、申の字にイ(にんべん)を加えると、「伸」という字になります。
デフレが去り、人の力が加わることで「伸」びていく、今年一年の日本経済にそのような期待をしております。

「希望を生み出す強い経済」の創出に向け、経済産業省で総力を挙げて取り組んでまいります。
皆様のより一層の御理解と御支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 平成28年 元旦
経済産業大臣 林 幹雄
 
最終更新日:2016年1月1日
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