会見・スピーチ


甘利経済産業大臣の閣議後大臣記者会見の概要

平成19年8月7日(火)

10:22〜10:45

於:記者会見室

 

(閣議/閣僚懇)

 

 私の方からは二点の報告がございます。

 まず、第一点ですが、今般原油及び原材料価格の上昇が産業・企業に与える影響に関して調査を行いました。その結果を今日公表いたします。調査結果の要点だけ申し上げますと、大企業では総じて見ますと、原油につきましては収益、経営面への影響が大きく深刻化しているとは言えませんが、一部の業種で若干拡大をしている。それから、一方で原材料についてですけれども、業種・企業によりましてばらつきはありますけれども、収益面で大きく圧迫されているという企業が約半数、ですから大企業で言いますと、原油よりも原材料価格の方が与える影響が大きいということだと思います。中小企業で総じて見ますと、原油については収益への影響が昨年夏の前回調査時よりも拡大をしています。価格転嫁が困難とする企業も依然高水準です。それから、原材料につきましては、収益に影響が生じている企業が9割、価格転嫁が全くできていない企業が4割ということです。中小企業は両方とも大変であるということです。

 経済産業省といたしましては、調査を踏まえまして、以下の措置を講じます。まず、下請け対策ですが、本年6月に自動車、素型材産業等7業種につきまして、「下請適正取引推進ガイドライン」を定めるとともに、7月の末には「買いたたき防止パンフレット」を策定をし、原材料価格の転嫁を含め、あるべき取引の姿を提示したところです。今回、これらの周知を図る他、下請け中小企業との適切な価格協議に努めるよう、関係事業者団体に対して、あらためて、私の名前で要請をいたします。

 それから、中小企業金融についてですが、政府系の金融機関における原油高に関する特別相談窓口におきましては、原材料価格の上昇についての相談も対象とします。今までは原油価格の上昇の相談でしたが、今度はここで原材料価格の上昇についての相談も対象にします。それから、政府系金融機関が実施をするセーフティネット貸付がありますが、この貸付につきまして、これまでの原油高に加えて、原材料価格上昇もこの対象とするということといたします。それから、省エネ支援ですが、従来から政府全体で省エネルギーの一層の徹底を図ってきたところでして、引き続き省エネ設備導入への補助制度等の周知、これを中小企業者に対して行いまして、その利用促進に努めてまいりたいと思っています。

 更に、資源エネルギー外交につきましても石油やウラン等の分野で私自らサウジとかカザフ等と相互依存の強固な2国間関係の構築をしてまいりました。今後、我が国産業競争力の要でありますレアメタルにつきましても、南ア等、資源国との関係を早期に強化をしていきたいと思っています。今後とも原油・原材料価格の上昇による影響について、きめ細かく注視をして適切に対応してまいります。

 もう一点は、平成20年度のシーリングについてです。今日、閣議後に尾身財務大臣と会いまして、来年度予算のシーリングにつきまして、私から2つ申し上げました。1つは、昨年の経済成長戦略推進要望と類似の仕組みを設けることが重要であるということ。それから、2つ目はその中で経済成長戦略大綱に盛り込まれた施策を優先的に要望できるようにすること。19年度と同じような枠組みを20年度でもつくるべきであり、そうすることによって、予算の中身の充実に活かしていくことができるという旨を申し上げたところです。今日、経済財政諮問会議がありますが、私からその場で提案をしたいと思いますが、財政再建と経済成長の両立、同時達成、これを実現するためには、予算の量は少なく質は高くということなのです。財政再建をできなくしますから量的拡大は望めません。量は少なく、質を高くということがキーワードなのです。つまり平たく言いますと、「予算の燃費効率を上げる。」これをキーワードとしたいと思っています。今年の何とか大賞には何もならないと思いますけれども、「予算の燃費効率を上げる」というのは、わかりやすい表現だと思います。ただ量を減らすというと、またしみったれた予算かとか言われますけれども、質を上げるのですから、予算の燃費効率を上げる、予算の政策効果を上げるわけです。「予算の燃費効率を上げる」ということをこれからたびたび発信したいと思います。これを原則とすべきだと思っています。このために、昨年を上回る規模の要望枠を講じまして広くアイデアを結集していくということが大事だと思っています。

 経済産業省といたしましても、こうした原則のもとで成長力強化と安心、安全確保に資する政策を積極的に提案していきたいと思っています。

 私からは以上です。

 

(質疑応答)

 

【新年度予算シーリング】

 

Q: シーリングのお話ですが、財務相の反応はいかがでしたでしょうか。

 

A: 趣旨はよく受けとめますということです。

 

Q: いま昨年の額を上回るようなとおっしゃいましたけれども、具体的な額はいかがでしょうか。

 

A: 具体的には額の話はしていません。まだできないと思いますけれども。要望枠が今年は増えますから、全体枠は当然増えると思っています。

 

【原油・原材料の価格高騰影響調査】

 

Q: 最初の方の原油調査の方ですが、原油高の影響よりも原材料高の影響の方が効いているということだったのですけれども。

 

A: 原油高も深刻ですけれども、原材料高の方がより深刻という調査結果ですね。

 

Q: その背景は。

 

A: 転嫁がまだできていないということと、原油の方は省エネ構造とか、対策が企業体質もそうですし、経済構造上も対応してきたと思うのですが、原材料高について、省原材料ということ等がまだ十分に取り組みがなされていない。一部ではありますけれども、省エネほどはなかなか徹底していないということで、インパクトを与えるマグニチュードが大きいのだと思います。ただ、これは資源外交、レアメタル、レアアース、あるいはそれ以外の鉱物資源に対する資源外交を展開していますから、これの成果が出てくると、下がるということは需給の関係でなかなか難しいのでしょうけれども、安定供給と供給国の競争を促して、適正価格に持っていければと思います。

 

【来年度予算シーリング】

 

Q: 今の予算の件ですけれども、成長につながる要望枠ということを含めて、折衝はこれからということだと思いますけれども、08年度予算で経済産業省としてはどのようなことを盛り込んで、また他省庁には成長というキーワードでどのような要求を期待したいとお考えでしょうか。

 

A: いま経済成長戦略のローリングといいますか、見直しを随時かけています。我が省もいまこれから玉込め中ですが、今の戦略大綱に入っているものの効果を検証をすると、それから、より時代の要請の高いものを盛り込んでいくということをやっていきたいと思っています。今いろいろ燃費効率がどう上がっているかということをちょっと検証させているのですけれども、例えばアジア人財資金構想というのをやりました。アジアと日本の大学、それから産業界との連携、コンソーシアムの形成に資することを期待していたのですが、この人財資金構想を組みまして、産業界のニーズや留学生の就職に関心が低かった大学が産業界と連携してこのコンソーシアムを形成し、この事業に随分たくさん応募がありました。大学側の問題意識を変化させていくと、事前からいろいろとどう組んでいくかということを頭に置いて取り組むという効果が随分上がってきたようです。

 それから、がん対策等、基礎研究から臨床研究への橋渡し研究開発というのを19億円つけたわけですが、これもこれまでほとんどなかったのですけれども、臨床研究前の企業と病院の共同研究について、応募が126件ありました。企業と病院の連携が全国的に急速に普及をしてきたということの証だと思います。こうした枠組みで官民対話の設置とか、この対話を通じた制度改革、試験承認の迅速化等、こういう制度改革の検討にもこれがつながっていますから、まさにただ予算つけるのではなくて、より効果を発揮するような制度刷新、改革にもつながっていくし、関係者のモチベーションも相当高くなって、事前からそういう体制で協議するとか、いろいろな政策効果が上がってきていますので、こういうのを検証しながら、効果の高いものを折り込んでいきたいと思っています。

 

【原油・原材料の価格高騰影響調査】

 

Q: 原油と原材料の話に戻るのですけれども、原油高、原材料高というのは、まだしばらく当面こういう状況は続くのでしょうか。

 

A: 続きますね。これはなかなか即効薬がありません。製品価格もかなり上がっていますが、これから例えばアメリカは行楽シーズンでガソリン需要が増えてくるとか、それから産油国がナイジェリアであるとか、イラン等々、不透明な状況がありますので、これが市場価格に反映している状況がすぐに緩和されるという見通しがないですから、今の高値がいきなり落ち着くということは、そう安易な期待ができないと思うのです。

 

Q: 先ほどのレアメタル外交の話が出たのですけれども、いつ頃どこにどういった鉱物資源を対象にお考えでしょうか。

 

A: レアメタル、レアアースというのは、特にレアアースは中国独占という感じです。レアメタル、レアアース、それでなかなか中国は巧妙な資源価格維持政策をしていますから、競争相手が余りないのです。あらゆる資源、レアメタル、レアアースも含めて資源大国というとオーストラリアとかカザフスタンなのですが、オーストラリアとはいまEPAの中で資源チャプターというのを設けていまして、これは日本への安定供給に資すると思いますし、カザフとはウラン外交以外にJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が資源対策、開発協力を含めて絆を強くするということに取り組んできているところですし、それから私がやろうとしていましたのは、アフリカは資源の宝庫ですから、資源協力がアフリカ各国の自立にも資するでしょうし、日本の資源安定供給にも資するというWin−Winの関係ができると思いますので、それをやりたいと思って、9月にもと思っていたのですが、その前に辞表を出さなければならなくなりまして、事務的にいろいろな対応で、誰が引き継ごうとも、それを進めていけるような地ならしだけはしていこうと思います。

 

【金利情勢】

 

Q: 中小企業の状況が余り芳しくないというお話があったと思うのですが、また今月金融政策決定会合がございますけれども、利上げについて、賛否について大臣はどのようなお考えですか。

 

A: 産業政策を担当する立場からすると、景気の現状と直面しながら慎重に判断してもらいたいと思います。一方で、円安はまさに円キャリートレードが原因で、円キャリートレードは利上げをするかしないかとかかわってくるということですから、利上げについて日銀が検討しつつ、しかし実際には慎重に現在はなっているということが良いのかなと。永遠に利上げをしないというメッセージが市場に流れると、永遠にというか、ずっとしませんというのが流れると、円キャリーがとまらない。いつでもやる用意はあると言っていると、円キャリーは慎重になる。しかし、本当にいつでもどんどん上げてしまうと、今度は景気が心配ということで、ちょっと外へのメッセージに工夫が必要かなと思います。

 

Q: 円キャリートレードの巻き戻しが景気にとって悪影響を及ぼすとお考えですか。

 

A: ですから、これはいきなり巻き戻しでどんと来るとものすごい、要するに取引ですから、円高になってしまうわけです。そうすると、これがまた景気を直撃する。ですから、円キャリーが過度にならないで、しかも為替が適度なレベルでおさまっているというのが一番良いのですけれども、出すメッセージと実際の対応が、景気を考える、それから円キャリーを考えると別々ですから、そこがなかなか難しいかなという感じです。景気の現状を考え、中小企業の現状を考えれば、そんなに簡単に利上げを、はい、どうぞというわけには担当大臣としてはいかないのですけれども、では、日本政府はずっと利上げはしないなどというメッセージが出ると、これは円キャリーは進むわけですから、そこのメッセージの出し方と実際の行動というのが若干乖離があっても、結果としてはいいのかなとも思います。

 

【IAEA調査】

 

Q: 柏崎刈羽原発に昨日からIAEAの査察が入っていますが、中途の経過報告みたいなものは入っているのでしょうか。

 

A: 経過報告は帰ってきて何らのことがあるのだと思います。昨日の会見の模様だけは承知していますけれども。

 

 

(以上)

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