経済産業省
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茂木経済産業大臣スピーチ

第183回国会における茂木経済産業大臣、内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償支援機構)、原子力経済被害担当大臣、産業競争力担当大臣所信表明演説(参議院)

平成25年3月19日
参・経済産業委員会

第183回国会における経済産業委員会の御審議に先立ちまして、経済産業行政を取り巻く諸課題及び今後の取り組みにつきまして、経済産業大臣、内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償支援機構担当)、原子力経済被害担当大臣、産業競争力担当大臣として、申し述べさせていただきます。

安倍内閣が発足して2ヶ月半となりますが、日本経済に回復の兆しが見え始めました。国民が新政権に期待していることは、何よりも経済の再生、景気の回復です。そのため、大胆な金融緩和、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」を同時に力強く実行していきます。

平成24年度補正予算は、経済産業省関係で約1.2兆円と過去最大規模であり、これまでとは次元の異なる対策を措置しています。具体的には、民間投資の喚起、研究・技術開発投資による経済活性化、中小企業・小規模事業者支援、グローバル展開支援、復興防災対策、の5つの柱で構成されています。

この補正予算と合わせて、平成25年度当初予算案においても、切れ目のない対策を盛り込んでおります。具体的には、製造業の復活に向け、部素材分野の研究開発支援を充実しております。また、医療・介護産業やクール・ジャパン戦略など、潜在力の高い技術・サービスの事業化支援や地域経済を下支えしている小規模事業者に着目した施策群にも重点を置いています。こうした予算措置によって、景気回復、経済再生の流れをより強固なものとしていきます。

また、平成25年度税制改正においても、投資促進税制の創設や研究開発税制の大幅拡充など、需要や民間投資を喚起し、経済活性化に資する大胆な措置をとるとともに、車体課税や事業承継税制の見直しを含め、予算・税制両面から経済再生に取り組みます。

今後求められるのは、三本目の矢である「成長戦略」をさらに力強く放っていくことであります。JAXA「はやぶさ」のプロジェクトマネージャー川口淳一郎氏は、「高い塔を建ててみなければ、新たな水平線は見えてこない」と述べています。「成長戦略」の立案に当たっては、最初にまずどういう社会を作っていくかという「高い塔」、いわば新たな「フロンティア」を官民で共有し、それに必要な事業や、それを支えるコア技術を重層的に組み込んでいくという新しいアプローチで、政策立案を進めていきます。こうした戦略分野の策定を産業競争力会議の場で行い、目標となる課題、ターゲットを決めたら産学官を挙げて、予算、税制や規制改革、知財分野での支援など、あらゆる政策資源を投入していきます。これが「戦略市場創造プラン」であります。

さらに、日本経済の将来について生まれつつある「期待」をゆるぎない「確信」に変えるためには、日本を覆ってきたデフレマインドを払拭し、ヒト・モノ・カネのエンジンを点火して力強く回転させていくことが必要です。このため、創業、新事業創出等の活発化、また、事業の再構築や産業の再編、さらには、国際競争を力強く勝ち抜き世界経済に欠くことのできないグローバル企業の創出など、「産業の新陳代謝」を積極的かつ戦略的に進めていく必要があります。さらに、我が国企業のグローバル競争の足かせとなっている国内の高コスト構造を是正し、「世界で企業が一番活動しやすい国」を目指していきます。

特に、日本経済の根幹を支える中小企業・小規模事業者の活力を最大限発揮する環境を整えていくことが重要です。なかでも、中小企業の9割を占める小規模事業者は地域経済の担い手として極めて重要な存在です。これら小規模事業者の事業活動を支援するため、「小規模企業の事業活動の活性化のための中小企業基本法等の一部を改正する等の法律案」を今国会に提出いたします。

国内環境の整備と並んで、海外の成長、とりわけアジア太平洋地域の成長を取り込んでいくことが、これからの日本の成長にとって必要不可欠です。こうした意識のもと、日中韓FTA、RCEP、さらに日EU・EPA等の経済連携協定の交渉をより一層加速化してまいります。

TPPについては、先週15日金曜日、安倍総理が日本の交渉参加を表明されました。国論を二分してきた大きな問題ですが、総理が国家百年の計に基づく決断をされたので、これからの交渉において国益にかなう成果を得るべく、政府・与党一丸となって進めていきます。

同時に、新興国を中心とする海外市場を官民挙げて積極的に開拓していく必要があります。具体的には、我が国の優れたインフラ・システムの輸出やサービス産業、中堅・中小企業の海外展開を強力に支援していきます。また、我が国が誇る伝統やファッション、食文化といった魅力やコンテンツの積極的な海外展開を資金面・人材面で支援する「株式会社海外需要開拓支援機構法案」を今国会に提出いたしました。たくましくも誇りある、ジャパニーズ・ビジネスマンを応援していきます。

今回、北朝鮮がミサイル発射及び核実験を強行したことは、断じて容認できません。本国会においては、昨年実施した北朝鮮との間の輸出入の全面禁止措置について、国会承認を求めております。こうした措置を通じて、我が国の毅然たる姿勢を示してまいります。

エネルギーの安定的かつ安価な供給は、我が国にとって、まさに「生命線」です。日本は、1970年代に直面した二度の石油危機を、エネルギー効率の改善や省エネ技術・製品の開発により克服し、世界に冠たる省エネ社会を構築しました。今回、東日本大震災を契機に、我が国は新たなエネルギー制約に直面しています。このエネルギー制約にも果敢に立ち向かい、「多様な供給体制とスマートな消費行動を持つエネルギー最先進国」を新たに目指して行きたいと思います。

エネルギー制約の克服に向けた改革の中心をなすのが、電力システム改革であり、戦後約六十年続いた「地域独占体制」を抜本的に見直す、歴史的な大改革であります。改革のポイントは、電力の自由化の推進、送配電部門の中立性・独立性を高めること、広域系統運用の拡大であり、新規参入の促進や競争環境の整備により、電力の安定的かつ低廉な供給を一層進めてまいります。今後、「改革は大胆に」「実施は確実に」を基本に、今国会に「電気事業法の一部を改正する法律案」を提出いたします。なお、電力会社からの値上げ申請については、最大限の経営効率化を踏まえた申請か、電気料金審査専門委員会における中立的・客観的な検討を踏まえ、厳正に審査を行います。

再生可能エネルギーについては、固定価格買取制度の着実な運用に加え、平成25年度当初予算案において、最適地が限られる風力発電について、地域内の送電網を整備するとともに、送電網の電圧変動等を制御する技術を実証するための予算を計上しています。省エネについては、トップランナー制度の対象をこれまでの車や家電から壁や窓など建築材料にも拡大し、住宅・建築物の断熱性能の底上げを図る「エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律案」を今国会に提出いたしました。

原発の再稼働に当たっては、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓、反省に立ち、「安全第一」が大原則です。この原発の「安全性」については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、安全と認められない限り、その原発の再稼働はありません。一方、原子力規制委員会で安全と認められた場合には、その判断を尊重し再稼働を進めます。また、高レベル放射性廃棄物の最終処分について、これまでの取り組みへの反省に立ち、問題を先送りせず、処分場の選定プロセス等に関し必要な見直しを行ってまいります。

資源の安定的かつ安価な供給確保に向けては、資源外交の積極的な展開による資源国との関係強化、また、JOGMECによるリスクマネー供給等による我が国企業の権益獲得支援を通じ、北米からのLNG輸入の実現を含め、供給源の「多角化」に全力で取り組んでまいります。併せて、火力発電の「高効率化」等により、発電コストの低減を図ってまいります。

また、エネルギー政策と密接不可分の地球温暖化問題についても、対策を推進してまいります。

最後に、東日本大震災からの復興は、経済産業省にとっても重要な使命であります。企業立地補助金やグループ補助金等を効果的に活用し、企業立地や事業の再建をしっかりと進めていかなければなりません。

とりわけ、福島においては、未だに約16万人の方々が避難を余儀なくされております。今後、住民の方々が一日でも早く帰還できるよう、政府を挙げて、被災者に寄り添った復興の加速化を進めてまいります。具体的には、残り2つとなった避難指示区域の見直しについて、地元と調整を行いながら、その完了を目指します。また、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉を加速化するため、研究開発支援などで国が主導的役割を果たしていきます。さらに東京電力による迅速かつ適切な賠償の実施に万全を期してまいります。

日本経済の再生、国際競争力の回復、エネルギー制約の克服、そして大震災からの復興、日本は今、これまでにない多くの課題に直面していますが、「自然と過去は変えることはできないが、社会と未来は変えることができる」という思いで改革に取り組んでまいります。幅広い御意見を賜りたいと存じます。委員各位の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。

 
最終更新日:2013年3月19日
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