読み上げソフトをご使用の場合、このページの内容へ直接ジャンプできます読み上げソフトをご使用の場合、このページのサイドメニューへ直接ジャンプできます
METI 経済産業省 Ministry of Economy, Trade and Industry
拡張検索
>> 経済産業省ホーム >> 平成二十年年頭所感

年頭所感

平成二十年年頭に寄せて、経済産業大臣甘利明

 

平成二十年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

昨年発足した福田内閣において引き続き経済産業大臣を拝命いたしました。ライフワークである経済産業行政を引き続き担う喜びを噛みしめる間もなく、早速就任の翌日から中国に出張するなど、全力で走り続けています。

今、日本の経済は、総じて見れば民需主導の成長を続け、戦後最長の景気拡大を享受しています。一方で、中小企業や一部の業種・地域については回復状況にばらつきが見られ、原油や原材料価格の高騰、サブプライム問題などの国内外経済の動向に十分な注視が必要な状況が続いています。また、中長期的には、人口減少、国際競争の激化、厳しいエネルギー・環境制約など、構造的で早急な対応を迫られる課題を抱えています。

そうした中、昨年は、成長力の強化、地域・中小企業の底上げのため、いわゆる地域振興二法を制定し、地域への企業立地や、特産品・観光などの地方独自の資源を活用した取組を支援する仕組みを作りました。また、国民の安全・安心を確保するため、消費生活用製品安全法と電気用品安全法を改正し、経年劣化による製品事故を未然に防止する措置等を講じたほか、新潟県中越沖地震を教訓に、原子力発電所における自衛消防体制、情報連絡体制の強化、耐震安全性の見直しなどに全力で取り組みました。

また、経済のフロンティアを拡げ、アジアの成長を我が国の成長につなげるとの対外経済戦略に基づき、日アセアン包括的経済連携交渉の妥結を果たすとともに、エネルギー・環境制約を克服するため、中東・中央アジア・アフリカへ出張し、石油、ウラン、レアメタル確保を狙った資源外交に積極的に取り組みました。世界規模で省エネを進めるため、途上国も含め省エネ目標・行動計画を策定するという国際合意を取り付けました。

しかし、国内外にはなお多くの課題が山積しています。経済産業政策についての私の知識と経験を総動員し、国民の皆様、特に地域・中小企業の皆様の声に耳を傾けながら、本年も引き続き全力で努力します。

まず第一に、福田内閣としての「新たな成長戦略」の具体策づくりに取り組んでいきます。巨額の財政赤字を抱える我が国が、縮小均衡に陥らず、希望ある未来に向けて様々な政策を実施するための原資となる「富」を生み出す取組です。

私は、これから我が国が目指すべき「国のすがた」を明確に示すことが大事だと考えております。その際、世界の成長センターであるアジアに位置しているという強みを最大限活かしていくという視点が重要です。「世界とアジアとの連繋を図りながら、アジアの発展に貢献し、アジアとともに成長する日本」というのが、今後目指すべき「国のすがた」ではないかと考えています。これを実現する上でのポイントは、「つながり力の強化」、「強みの突出」、「需要の創出」の三つあります。

第一の「つながり力の強化」については、グローバル経済との「つながり」を拡大するとともに、国内では「知恵、情報」を循環・共有する「つながり力」を強化していきます。海外では、アジアにおいて、高度で調和のとれた市場を創出するため「アジア経済・環境共同体構想」の実現を目指します。国内では、例えば、大企業が持つノウハウを中小企業に、都会の人材を地方に、製造業の経営ノウハウを農業やサービス業につなげ、循環させることが必要です。このような知恵、情報が循環・共有される「つながり力」を強化することによって、国民各層が自立して成長し、全体として共生できる社会を築くための施策に取り組みます。

第二の「強みの突出」については、先端技術、環境、高信頼性、文化といった日本が持つ強みを更に突出させ、世界に対して発信していきます。具体的には、イノベーションの強化、「強み」を支える人財力の強化、制度改革、さらには、「強み」を有する産業の育成を図ります。

第三が、需要側を重視した戦略的対応です。海外に目を向ければ、アジアで勃興する新しい「中産階級」の需要や、高まる環境対応の需要があります。国内では、安全・安心の意識の高まりに伴って、高信頼性に対する新しい消費需要が生まれています。「環境」や「安全・安心」などの価値やニーズを明らかにすること、また、消費者の「感性」に訴えることによって、需要を喚起し、供給側への対策と相まって、「需要と供給の好循環」を生み出すことが狙いです。

このような「新たな成長戦略」の策定と並行して、地域・中小企業、エネルギー・環境政策、国民の安全・安心、対外通商政策といったあらゆる角度からの取組も進めます。

地域や企業規模によって業況にばらつきが見られる中、成長の果実を地域や中小企業に広く行き渡らせることが不可欠です。このことは、大企業と中小企業、都市と地方の「つながり」の強化という点からも重要です。

先日とりまとめた「中小企業生産性向上プロジェクト」に基づき、平成二十一年までの間、ITを活用した財務会計整備等の施策を総合的・集中的に実施し、合計八〇万社にのぼる中小企業の生産性向上を図ります。

また、私自身が陣頭に立ち、農業と商工業との連携によって生産性を上げる「農商工連携」に関する施策パッケージをとりまとめました。本年はこれらの施策を着実に実行に移すため、農商工連携のための法案の策定、中小企業の新規立地促進のための思い切った低利融資の創設など、地域経済の活性化に向け全力で取り組みます。さらに、中小企業金融の一層の円滑化に向け、制度改正を行うなど積極的に対応します。

本年は、地球温暖化対策の鍵となる年です。京都議定書の第一約束期間を迎えるに当たり、温室効果ガスの排出量を六%削減するという京都議定書の削減目標を確実に達成するため、本年三月に京都議定書目標達成計画を改定します。国際的には、北海道洞爺湖サミットやG8エネルギー大臣会合などにおいて、我が国がリーダーシップを発揮すべく取組を進めます。二○五○年までに世界全体の温室効果ガス排出量を半減させるとの長期目標を達成するため、二酸化炭素を排出しない石炭火力発電や、超高効率の太陽電池などの革新的技術開発を進めます。また、京都議定書に続く新たな枠組みを、すべての主要排出国が参加する実効あるものとするよう、国際的な議論をリードしていきます。

資源の少ない我が国として、エネルギーの安定供給確保は国民の生活に直結する重大な問題であり、積極的な取組が欠かせません。温暖化問題や原油価格高騰への対応のため、省エネ対策を一層推進します。特に、業務・家庭部門などの省エネを推進するため、省エネ法の改正を行うなど規制と支援の両面から対策の拡充・強化を図ります。国民の皆様には更なる省エネへの御協力をお願い申し上げます。加えて、安全の確保と地元の理解を大前提に、六ヶ所再処理工場の本格操業を控えた核燃料サイクルを含む原子力の推進、新エネルギーの導入拡大、更には、貿易保険や経済・産業協力などを戦略的に活用した資源国との総合的な関係強化など、総合的なエネルギー政策を遂行します。

また、国民の安全・安心の確保にも万全を期します。クレジットを用いた悪質な訪問販売により、高齢者が高額の被害に遭う深刻な事例が多発しています。こうした被害を防止するため、クレジット契約を結ぶ取引への規制強化、必要以上の大量販売の際の取消権の創設などの措置を講ずるべく、割賦販売法・特定商取引法の改正を行うとともに、厳正な執行に取り組みます。臨時国会で昨年成立した改正消費生活用製品安全法・電気用品安全法についても、関連事業者や消費者に対して徹底した周知活動を行い、事故の未然防止に取り組みます。

対外政策については、WTOドーハ・ラウンドにおいて多角的自由貿易体制の維持・強化及び我が国企業のグローバルな活動の推進のため早期妥結に至るよう積極的に取り組んでいきます。

また、昨年十一月の東アジアサミットにおいて日アセアン包括的経済連携交渉が妥結し、東アジア・アセアン経済研究センターの正式設立も合意に至りました。引き続き、アセアン、日中韓、インド、豪州及びニュージーランドの十六カ国を対象とした東アジア包括的経済連携構想の実現に向けた取組を推進し、東アジア経済統合の深化に向け努力します。また、米国・EUを含めた大市場国・投資先国などとのEPAについても、将来の課題として検討し、可能な国・地域から準備を進めます。こうした海外との「つながり」の強化により、アジア、世界の成長との一体化を目指します。

経済産業政策をライフワークとする私としては、こうした諸課題の解決のために、将来を見据える視点と今まで以上のスピード感をもって更なる努力をしていく所存です。年頭に当たり、私の決意を申し上げ、皆様の一層の御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げます。

皆様の御多幸と御健康を心から祈念いたしまして、新年のごあいさつとさせていただきます。


平成二十年 元旦



最終更新日:2008.01.01 ← ↑
Copyright METI