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成長戦略検討会議(第1回)-議事要旨

日時:10月21日10:30〜12:10

議事概要

直嶋大臣挨拶

  • 経済産業大臣就任に当たって、総理から4項目の指示を受けた。「成長するアジアを視野に日本の成長戦略を作ること」というのが一項目目。厳しい経済情勢だが、アジアを視野に入れた日本の成長戦略をつくる。将来の日本経済の飯のタネ、新しい産業の創出も含め、戦略を策定し実行していく。財政も厳しく、社会保障も持続的に維持していくためには、人口減少社会で、国際競争の激化等、厳しい情勢にあると認識。そんな中で、多くの方に知恵を拝借して、日本の成長戦略を作りたい。
  • ポイントは3点と考える。(1)世界の成長センターといわれるアジアの成長と一体となって、それを取り込んでいく。(2)地球温暖化対策に取り組んでいくが、温暖化対策をチャンスと捉え、新しい産業の創造につなげる。(3)これまでの成長戦略は産業の育成中心、供給サイドの視点が中心だったが、成長の結果を国民の一人一人が実感できるものにする。
  • この3つにこだわらず、いろいろ意見を聞いて、概念イメージを整理していく。いろいろ難しい課題はあるが、乗り越えるための知恵を貸してほしい。よろしく御願いしたい。

成長戦略全般

  • 成長戦略策定について、総理の指示で経済産業省がしっかりと司令塔になることを聞いて安心した。
  • 成長戦略は企業にとって重要。技術、ものづくり、営業においてそれぞれイノベーションを起こし、これらイノベーションの乗数効果の最大化を図る。国の成長戦略は、乗数効果を如何に大きくするかが重要。
  • 人口が減る中、一人当たりGDPは重要。国民にとって雇用の問題は重要。業種や地域の実情に応じてミスマッチを解消したりすることが政策となる。

少子化対策

  • 子供を育てやすい環境を整備し、少子化の進行を少しでも食い止めることはきわめて重要。
  • 女性の労働力率を高めていくことが求められている。待機児童問題の解消や潜在的保育需要への対応は喫緊の課題。中長期的にも保育サービスの質を確保しつつ大幅に量を拡大する必要がある。また、多様化するニーズに応えるため、民間事業者の創意工夫や経営資源の活用が鍵。
  • 認可保育所への民間参入を促すには、民間事業者の参入要件の見直し、地域の実情に応じた認可基準の設定が必要。
  • 保育サービスの利用者に利用料金の補助を行っていくことが考えられる。現在は運営費に関しては、認可保育所にのみ補助。

アジア

  • アジアの活力を取り込むため、今後はアジア地域の産業振興により積極的に関わり、アジアに富を生んでいき、新たな需要が創出されたものを取り込むことにすべき。
  • 日本と中国の経済関係は、競合関係と言うよりは、補完関係。中国はローテクに強いが日本はハイテクに強い。ゼロサムゲームではなく、工夫次第でWin−Winの関係。ただし、これから日本はさらに高付加価値を目指さなくてはならない。古い産業を保護するのではなく、IT、観光などのサービス産業も含めて新しい産業を育てていく必要がある。
  • 日本では、衰退産業が海外展開を行うと「産業の空洞化」と言われ、成長産業が国際展開する場合は「フロンティア開拓」と言われるが、これは誤り。衰退産業が海外に移転するのは「新陳代謝」。日本で生産した方が安く品質が良いのに、関税障壁があるが故に海外に移転してしまう。
  • 例えば、日本の自動車産業は、中国の輸入関税が高いため、中国に生産拠点を移しているが、本当は国内で生産した方が品質等の観点でも競争力があるはず。こうした場合は日本と中国の間でFTAを結び、生産拠点が海外に出て行かなくてすむようにすることが重要。
  • これまでのアジア諸国とのFTA締結は、サッカーのワールドカップにたとえれば「予選」。「決勝戦」となる日中FTAに取り組むべき。
  • 外需だけでなく内需も拡大していくと言うとき、「内需」をどのように理解するかという問題から出発すべき。東アジアの需要を事実上の「内需」と捉えること、そしてこの地域の中間階層を狙った戦略が必要。
  • アジアの中産階層の消費需要特性はサブ・リージョナルに捉える必要があるが、全体として言えば、アメリカ的なライフスタイルよりは、日本的な「省エネ」、「省スペース」、「ちょっとした贅沢」といった感覚のニーズが高い。日本のマンション、ウォシュレット、地下鉄車両、新幹線など、日本人自身が海外に売れると思ってないようなものに実はニーズがある場合がある。
  • 日中韓FTAは重要。環境・省エネ分野でのルールメイクをアジア大で進めるべき。また、アジア人材もより積極的に受け入れるべき。特に中国人材。
  • 東アジア共同体については、メンバーシップの問題もそうだが、ビジョン、役割の議論をすべき。日米と日中の間のFTAを同時に検討すべき。その上で、日米中の戦略的な対話の機会を設けるというのがいいだろう。
  • APECをいかに東アジア共同体のベースにしていくべきかが重要。そのための良い方策は日米FTA。これが出来れば、日本はどの国とも結ぶことが出来る。日中のFTAよりも、日米FTAを先に進めた方がよい。
  • 日米関係がきちっとしていることが、東アジア共同体がうまくいくということにつながる。韓国、東南アジア、中国は日米安全保障を前提に、安全保障政策をたてている。これがあるから、アジアが安定している。アジアとの関係、アメリカとの関係は二者択一ではなく、補完的。
  • 東アジア共同体のイメージは、(1)EPA・FTA等の経済関係を緊密にしていく、(2)日本のシステム(教育、保育所等)を国民のニーズや国際化に対応できる方向に変化させていくこと、の二点。

人材

  • アジアの中産階層の高度人材をどう取り込んでいくか。英語、中国語、母国語の3つを話せる人が中心になるのであり、教育への投資意欲も高い。こういう人材の中から、世界的にみても優秀な科学者やエンジニアが育成されていく。日本での教育や就業の機会を通じて、いかにこれらの人材を取り込んでいくか。
  • アジアの人が日本のファッションや料理学校に来るのは難しい。医療の分野では、むしろアジアの国の中で医療ツーリズムが盛ん。教育でも優秀な人材はシンガポールや香港に取られている。ビザ発行の基準緩和などの規制の見直しにより、新たな需要が国内に生まれる。
  • 日本の科学技術の分野には凄い人がたくさんいる。日本で生まれた人だけでなく、中国やインドネシアで生まれその後日本人になった人でも素晴らしい。日本で生まれた人だけに期待するのではなく、世界中の人に日本に来てもらうようにすべき。
  • 環境・エネルギー、食料、医療など課題達成型のテーマを設定し、基礎的・基盤的な研究開発環境の整備を行うことにより、世界中から高度人材を招き入れるべき。日本語を話せなくて生活できるぐらいの環境整備も必要。
  • 東アジアでは、ソフト・ハード両面でのインフラ支援が必要。引き続きADBを中心にして、他国からも資金を募っていくべき。人の移動に焦点を当てることも重要。人材は良い職のあるところに集約されていく。各国との間で例えば高卒などの資格を相互認証し、その後日本国内で職に就ける見通しを持てるようにすれば、アジア全体の労働市場のリーダーシップをとれるのではないか。
  • 日本はこれまで高度人材(skilled labor)だけを対象にしていたが、単純労働者(unskilled labor)についても、例えば3年間で本国に帰ってもらうことを条件に受け入れてもいいのではないか。

インフラの国際展開

  • アジアにおける原子力の平和利用も重要な論点。東アジア共同体構築への一つのステップとして、例えばERIAのような研究機関を活用し、原子力の平和利用について、各国と共同研究するのも一案。
  • ODAはある程度の規模を確保することと、手続きの迅速化なども進めるべき。JBICやNEXIは資源確保という観点からも重要な役割を担っているが、企業の海外展開でも重要。JICAの投融資機能についても、引き続き、進めてほしい。
  • 資源確保は、政府による資源外交などのバックアップがあってこそ、民間企業はビジネスを進めることが出来る。今後も官民一体かつオールジャパンの体制を敷くことが必要である。

低炭素

  • 低炭素分野については、経済成長と二律背反の側面もあるが、対策を行う場合は、乗数効果や費用対効果を考える必要がある。太陽光発電を促進するのも重要だが、期待が大きいのは原子力。
  • 同じ1兆円を使うのであれば、太陽光より原子力に使う方が費用対効果が大きい。
  • 乗数効果だけ見れば、やはり自動車が大きい。部材や電池への波及など、日本の強みを活かすことができる。
  • 家庭の温暖化対策は大きな課題。省エネ家電を進めていくのは重要だが、急には飛躍的な製品は出来ない。ただ、LEDは非常に大きい効果がある。今の日本の世帯の電球を全てLEDに変えるという簡単な試算を行うと、毎年1400万トンのCO2削減が可能。費用対効果の大きい分野に対策を行うべき。
  • スマートグリッドのような取組も重要。街全体をソリューション提案型にしてしまうぐらいのことも重要。送電線の規格も世界標準を獲ったので、この分野は有望。
  • 25%削減のためには各国で行われているような助成措置による「ジャンプスタート」も重要だが、持続的な取組とするためには、ルールやインフラ整備など制度環境が重要。ポスト京都の新たなブレトン・ウッズ体制といっても良い。日本がその中心にいるのは意義深い。

内需

  • これまでは、医療や教育といったサービス産業に産業政策がなかった。この分野に市場原理と政策を入れて、新たなフロンティアを作っていくことが必要。この分野ができるかどうかは、政権交代の大きな意味合い。大臣チームがトップダウンで他省庁とも一緒にやってほしい。
  • アジアの中間層を日本に観光客として誘致することが必要。
  • 日本には1億人以上の人口があり、需要は大きい。アジアの企業が日本に投資しやすいように、魅力ある市場を作ることが重要。

金融関係

  • 企業の資金調達の多様化は重要な課題。社債市場のインフラ整備は、アジア諸国と金融面での密接な関係を築いていく上でも重要。
  • わが国では、国債と株式については清算機関が存在。証券保管振替機構は、社債の振替を行っているが清算機能を持っていない。清算機能を持つことにより、取引参加者の決済リスクは小さくなり、投資家にとって利便性も向上する。
  • アジアマネーを呼び込み、中間層の超過貯蓄を日本の金融市場に向かわせるような、金融の規制緩和等が必要。
  • 日本企業による海外投資の促進も重要な論点。日本のGDPにおける海外投資の比率は低い。日本からの海外投資を進めるためにも、国際的に同等のコスト競争力をもつべき。また、投資リスクの回避の観点から、投資協定、二重課税回避のための租税協定などを進めるべき。

以上

 

最終更新日:2009年10月22日