経済産業省
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国内投資促進に関する意見交換会‐議事要旨

日時:平成22年11月16日(火)17:20~19:10
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

資料1のとおり

議事概要

  • 筒井農林水産副大臣
    • 生物由来のバイオマス資源を活用した事業を興していく一環として、農産物からエタノールを作って、それを車の燃料として販売をする事業があり、すでに商業生産も開始。多収穫米からエタノールを作って、ガソリンを混ぜ、JAのガソリンスタンドで販売する事業。
    • いわゆる農林3号機、これは菅総理が熱心で、これをどんどん広げていきたいと、野党時代から訴えてきた事業。簡単に言うと、木のくずに高温の水蒸気を振りかけることによって水素を中心としたガスを製造し、販売をするというもので、長崎、群馬、京都で実証事業を開始。
    • ブルータワーも、原理はほぼ農林3号機と同じ。木くずに水蒸気を振りかけることによって水素を中心としたガスを製造して販売をする。これがいま商業生産を開始しようとしている。福岡でこれからこのプラントを建設しようとしているところ。
    • バイオマスの利活用促進としてマテリアル需要あるが、ここで例をあげているのが新潟県の会社。もみがらや事故米からバイオプラスチック、バイオビニール等を製造して販売する事業。このビニールが、上越市をはじめとして、いくつかの市でごみ袋に採用されて大量に販売されるようになり、経営も上向いてきている。社長は農水省の元官僚。上越市の副市長から転身。今後は自動車部品や家電製品の部品・マテリアル、そうした付加価値の高い方向にやっていきたいと考えている。
    • 農業水利施設を活用した小水力発電にも注力していきたい。大規模の水力発電は、水の流れを変えてしまい環境への影響も大きいが、小水力の場合は水の流れを変えずに設置することが可能。設置の中心は、電力需要の大きい土地改良区で、これらの地区に小水力を設置することによって、電気代を節約することができる。来年の通常国会に固定価格買取制度の法案が提出される予定であるが、小水力も買取の対象となれば、利益を上げることは確実であり、農村における所得、雇用の源となり得る。
    • 農林水産業の6次産業化(農商工連携等一次産業者による加工、流通への参入)を推進し、一次産品の付加価値を高めるとともに、流通コストを下げることなどによって、一次産業者の収入を改善していきたい。
  • 大畠経済産業大臣
    • 遅参して恐縮。
    • 皆様には、遠方からお越しいただいたにもかかわらず、1分や3分の短時間で発言して下さいという失礼なお願いをしてきたため、改めて時間を確保するべく、本日の意見交換会を開催した次第。
    • 本日は総理大臣、官房長官等々はいないが、農林水産省と経済産業省、また後ほど藤村さんもお見えになる予定であり、国土交通省、あるいは厚生労働省の関係者も来ておりますので、皆さんの御発言を頂いた上で、日本国内投資促進プログラムに盛り込んでいきたい。
  • 亀田医療法人鉄蕉会理事長
    • 1985年から20年間、自民党政権下においては医療費抑制政策を変えることができず、たらい回しなど医療崩壊を招いた。昨年の政権交代後、成長戦略の中に医療が盛り込まれたことは画期的であり、大きな政策転換。
    • 昨年の診療報酬改定では、全体改定率0.19%、診療報酬本体で1.55%。予算全体で見ると、自然増を含まずに、診療報酬改定による増額分は4,800億円で、改定による入院単価は4.3%上昇。病院における入院と外来の比率は、おおよそ3対2程度であり、この5分の3のうちの4%に当たる全体の2~3%の増加となる。
    • 平成14年から21年までの政権交代までの7年間、製造業では96万人、建設業では82万人の雇用減があった。一方、医療福祉を見ると、医療費抑制政策にもかかわらず、148万人の雇用増で、圧倒的な雇用の受け皿となっている。また、平成20年から21年の政権交代前の1年間でも、製造業で62万人、建設業で15万人の雇用を減らしているにもかかわらず、その中で医療福祉は23万人。このとき、ほとんどの病院は赤字でありながら雇用せざるをえないほど需要がある分野。さらに、ほんのわずかの診療報酬改定にもかかわらず、通常の平均年21万人の自然増のほか、平成22年9月には、25万人の後押しとなっている。
    • 65歳以上の医療費は、それ以下の世代の3倍に上る。(今後の少子高齢化の進行を見通した将来推計人口を見ると)確実に医療福祉分野に雇用需要があることが明らか。
    • また、医療供給体制における人材不足については、一般的に有効求人倍率が0.4倍とも言われている中で、「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」は5.65倍、「保健師、助産師、看護師」で2.62倍。人材の養成にコストがかかるものの、それだけ雇用への需要が高いことがわかる。医療福祉分野の強い雇用と、製造業の国際競争力を両輪として、成長戦略が実現されていくものと確信。
    • 1970年から80年代にかけて多くの民間病院が建設ラッシュで、これらがいま建て替え期を迎えつつあり、数兆円規模の投資につながる。
    • 小泉政権時代に、規制改革会議等の取組として、何でも民間に委ねようという流れの中で、福祉医療機構による制度融資が規制された。民間の医療機関は、株式会社とすることが許されず、エクイティを入れることができない。資本については個人の出資であれば差し支えないが、その持ち分は放棄せよというような制度となっている。さらに、資本コストが診療報酬に入っているかといえば、入っていない。診療報酬に資本コストが入っているという者もいるが、それでは国公立病院について診療報酬から資本コストを除かなければイコールフッティングにならないこととなるため、含まれていないと解するのが妥当。その中で、制度融資による民間医療機関への支援は重要であり、わずかな補助金と制度融資の組合せによって、税金の直接投下を伴わずに大型の設備投資を誘発することが可能。
    • 医薬品・医療機器分野の育成が急務。先日、国策としてペースメーカーの開発に取り組んでいた者から、結局国内での商品化を断念することとなったという話を聞いてショックを受けた。現在、日本で人工心臓として使用が認められているものは世界中で20種類くらいあるが、誰もが使えないと認めているものばかり。現実にヨーロッパで使われている日本の製品は、日本では許可を受けていない。こういった問題は、厚労省と経産省の間に落ちてしまっている。特にペースメーカーについては、日本はヨーロッパに40年の遅れを取っている。今後、中国を始めマーケットが拡大する分野であり、日本の強みとするべくスピード感のある対応が必要。
  • 浜口情報サービス産業協会
    • 情報サービス産業においては、設備投資という概念がない。一部最近話題となっているクラウドに関連したデータセンター設置等の投資が考えられるものの、メインはソフトウェアの開発。ソフトウェア開発はプログラムを人が書くものであり、需要があれば雇用が発生する。現在の業界として売上高は20兆円、従業員は86万人。
    • 企業及び行政のIT投資が需要の発生源。成長戦略が実現され、IT投資が増加すれば、情報サービス産業も活性化。成長戦略に示されたベースラインから試算すると、5年間で2.8兆円の売上増、6千人以上の雇用増につながる。
    • リーマンショック以降、世界各国はIT投資を活性化することによって経済を牽引していこうとしており、我が国においても、成長戦略に盛り込まれた施策を確実に実施していただきたい。
    • アジア・オセアニア地区のIT団体をまとめたアソシオ(ASOCIO)という団体を、今春、日本で法人化しようと考えたが、結果的に香港に行ってしまった。その理由の1つは、日本では、様々な申請書類や定款を日本語で提出しなければならいということ。英語での申請書類や定款が認められれば、新成長戦略にあるとおり、アジアの拠点としての役割を果たしていくことができる。
    • IT分野では、米国等では大学発のベンチャーに端を発しているものが多く、例えばグーグルもスタンフォードの研究プロジェクトから発している。NSF(National Science Foundation)から約5億円の国の補助金を受けつつ、時代に適合したシステムとして、ウェブサーチを研究しようということで始まったと聞いている。非常にフレキシブルな支援であり、さらには、米国政府は、それによって得られた成果にオーナーシップを持つことにはまったく興味がない。米国政府としての目的は、会社がうまくいってくれることのみであり、是非日本においても同様に、会社がうまくいけばそれで足りるとのコンセプトの下、支援をお願いしたい。会社がうまくいけば、当然その税収も雇用も発生する。日本の補助金はがんじがらめで、補助金を受けた後、多数の報告書等の提出が求められるなど使い勝手が悪い。また、当然、税金の投入ということなので、国からオーナーシップを主張されることとなる。これらの点に配慮していただければ、相当数のベンチャーが発生するのではないか。
  • 舩山日本ツーリズム産業団体連合会
    • 2008年度には777万人の外国人観光客が日本を訪れ、その消費額は1.3兆円、生産波及効果は3.2兆円。シミュレーションすると、2019年には、それぞれ4.1兆円、9.9兆円まで増加。雇用効果としては、2008年度の11万人が最終的には2019年度に35万人、波及効果で言えば、25万人が78万人まで増加。
    • 21世紀は「国際交流化時代」であり、外国人の交流は今後間違いなく増えていく。これをしっかりと受け止め、日本に招致していくことが重要。人々の交流には平和であることが不可欠であり、これを裏返せば、人々の交流があれば平和が継続する。有事の際には、人々の交流をやめようということになってしまうが、政府として交流は継続するようにしてほしい。中国の反日運動はよく聞くが、実際に日本を訪れたことのある中国人の印象は大きく変化する。本当の日本を知ってもらうことが大事である。
    • 日本国内の旅行消費額のうち、外国人の占める割合は6%にすぎない。一方、フランスでは30%、オーストラリア、スペインでは半分以上の旅行者が外国人であることにかんがみても、日本も今後、多くの外国人を呼び込んでいくことができるはずであり、支援いただきたい。
    • 日本人旅行者による消費額だけで、現状約20兆円超であり、規模が大きい。ただし、人口減少下では、今後旅行者数が増加することは見込まれず、消費額を増やすには、リピーターを増やすか、長期滞在を増加させるよりほかない。日本人の旅行は平均的に1.5泊であり、欧米では3泊から1週間であるのに比較すると非常に短い。そこで、滞在型の旅行をいかに促進するかを検討する必要があるが、ネックとなるのは休暇制度。家族旅行をしようとしても、子どもの学校の休みと合わない、あるいは年次休暇を半分くらいしか消化できていないという現状があり、お金の支援だけではなく、休暇制度の改革を提案したい。
  • 三浦電気通信事業者協会会長
    • 電気通信事業としてのトータルでは、毎年3兆円規模の投資を続けている。このうち、NTTグループだけで2兆円を投資。これによって、エリアカバー、速度等において世界最先端のブロードバンド基盤を構築している。
    • 固定では、光ファイバー、次世代ネットワーク(NGN)を世界に先駆けて全国展開しており、モバイルでは、3Gサービスが12月から開始。国内投資促進プログラムにも書いていただいているが、これらのネットワークをいかに利活用していくかということが今後の課題であり、利活用が進めば投資を加速していくことができる。
    • 利活用については世界でも遅れている。民間事業者としては、トータルで使いやすいサービスの構築に努めていくが、政府においても、電子政府を含めICTの利活用が韓国と比較しても遅れているので、促進して欲しい。この点については先日IT推進本部においても方針が決定されたところであり、着実な実施をお願いしたい。
    • 同時に、医療・教育分野においては依然規制が多い。ICTの利活用が進めば、我々の投資も進む上、電気通信事業以外の業界においても、設備投資の4分の1を占めるといわれている。ぜひ、省庁の壁を取り払って、規制緩和を推進して欲しい。
    • (投資行動目標について大臣より別途示して欲しいと依頼のあったところ)我々電気通信事業以外の投資があるという点、積算が難しい。
  • 長谷川日本ニュービジネス産業団体連合会会長
    • 第6回新事業創出全国フォーラム in埼玉(JNB全国会員大会)をさいたまスーパーアリーナで実施してきた。経済産業大臣賞を出していただいて感謝。
    • 「ニッポン新事業創出大賞」へ過去5年間に応募したニュービジネス・ベンチャー企業のうち、創業・起業後5年未満の起業は48社であり、その売上高は229億円、雇用者数は912人。
    • 一方、中小企業庁のデータによると、一般の中小企業1社当たりの売上高は1億4千万円、雇用者数は7.9人。
    • 進化と革新を常に追い求める、創業・起業間もないニュービジネス・ベンチャー企業は、企業活動が活発で雇用能力が高いということをご理解いただきたい。
    • ただし、企業活動が活発で雇用能力が高いにもかかわらず、学生・保護者には安定企業志向・公務員志向が強く、人材のミスマッチが存在しており、打開策につき支援をお願いしたい。
    • このため、大会等においても常々大学発のベンチャーやアントレプレナー精神に関心を持っていただくと共に、企業に就職するだけではなく自ら創業するベンチャースピリットを高める運動を展開中。ただし、引き続き厳しい状況。
    • 新しく創業した企業は当初赤字でも、軌道に乗り始めると税金を支払う。ベンチャー企業は日本経済の元気の源であり、新たな投資をして成長していくためには、法人税減税や、創業企業への特別減税などが不可欠。
    • 浜口会長からも話があったが、我が国と比較して、米・英・独等のベンチャー企業に対する政府の支援はきわめて手厚い。見返りを求めずに思い切った支援がなされている。
  • ウィッソン在日米国商工会議所会頭
    • APECの成功にお祝い申し上げたい。日本政府がTPP関係国との協議を開始すると表明したことは、日本の投資先としての魅力を高め、成長が促進されるための第一歩となるでしょう。TPPに参加し、投資を拡大していくためには、合理性、透明性、予見可能性を確保することによって、すべての市場参加者の競争条件が対等となるような環境を整備することが重要。
    • 政府の審議会等への外国人の参加を積極的に認めるべき。
    • 不必要な規制の撤廃など規制面の仕分けが必要。
    • 法人税減税、税制上有利なM&Aルールの制定、欠損金繰延期間の延長、高付加価値拠点向けの大胆なインセンティブの実施も行うべき
    • ACCJでは、11月24日に、日本の経済が発展するための具体策を取りまとめた白書を発表する予定。
  • 石井東京商工会議所副会頭
    • 中小企業と地域の観点から2点申し上げたい。
    • 中小企業は、リーマンショック以後、売上が半減し、また円高による大企業の海外移転などにより、厳しい状況。「中小企業は7割が赤字であり、法人税を払っていない」との指摘もあるが、2期連続赤字になると、金融機関からの融資条件が厳しくなることから、黒字化のために経営改善を必死になって取り組んでいる。
    • 中小企業27万社の財務データを分析すると、36%の企業が6期連続で黒字。黒字企業にとっては、キャッシュフローが改善されれば、設備投資及び技術開発投資への意欲が高いことが、我々のデータでも示されている。
    • このため、中小企業軽減税率の確実な引き下げを含む、法人税実効税率の引き下げが重要。
    • 中小の黒字企業は76万社もある。国内に留まって事業活動を続ける企業を大事に育成していくべき。特にものづくり産業に関しては技術力を高め、付加価値の高い製品を輸出して外貨を稼ぐというビジョンが明確に提示されれば、中小企業も頑張り、新たな雇用にもつながる好循環が生まれる。
    • 2点目は、社会資本整備。産業インフラの整備は日本の企業の国際競争力の強化、地域の活性化に必要。是非、国内投資促進プログラムの重点項目に産業インフラの整備を明確に位置付けていただきたい。
  • 車谷全国銀行協会企画委員長
    • 国内投資促進の観点から3点申し上げたい。1点目として、「為替の安定化」が、我々金融業界の顧客にとっての投資促進に最も重要。為替が安定せず急激に変動すると事業計画が立てられず、本来あるべき設備投資も躊躇してしまう。円相場は引き続き高い水準にとどまっているが、国内投資ではなく海外投資という観点からは、特に対ウォンでの高さも懸念される。邦銀は、海外インフラ投資について、FAとして投資の初期段階からアドバイスしているが、獲得できなかった案件を詳細に分析すると対ウォンの為替の影響が大きい。こうした点も含めて、引き続き政策の総動員をお願いしたい。
    • 2点目は、先日経団連からも指摘があったが、「法人実効税率の引下げ」により、企業のキャッシュフローの実質的増加をもたらす施策をお願いしたい。ネットで企業の税負担が減少するということを前提とすると、かなり効果も見込まれる。
    • 最後に、中堅中小の技術力のある企業は、特にオーナー企業において、事業承継に関する悩みを持っていることが多く、政府においても、これまで贈与税、相続税の納税猶予など取り組んでいただいているが、現状適用されているケースは少ない。現場の感覚では、本来対象となると思われるもののうち4~5%程度にすぎない。現行の制度では、同一親族間での相続が前提であるなどの利用にあたっての制約が存在する。本来、中小企業の承継を円滑にして高い技術の維持と継続的な投資の確保を図るということは、時間はかかるものの、重要な投資促進効果が期待できるものであり、「事業承継に関わる税制・資金調達面の更なる支援」をお願いしたい。
  • 川島日本労働組合総連合会経済政策局長
    • 前回資料4として配布された政府の取り組むべき重点課題について4点申し上げたい。
    • 1点目は、法人実効税率の引下げについて。減税分を国内投資や雇用に回すことを産業界が何らかの形で約束することが重要。9日の会議においても、産業界から投資拡大・雇用創出に全力で取り組むとのご発言があった。今後、明確なコミットメントとして表明し、実行・フォローされるということが、プログラムに反映されるようお願いしたい。
    • 2点目は、グリーン分野の需要開拓について。この中で、低炭素型製品等の開発・製造に係る産業の国内立地の支援が掲げられている。成長が見込まれる産業における雇用創出を図るものとして期待しているが、この種の支援が行われる際には、公正労働基準・労働関係法の遵守状況や社会保険の全面適用等を選定の条件とするなど良質な雇用創造につながるような工夫を政府にお願いしたい。非常に重要な施策であるので、2011年度も切れ目のない実施・予算措置も併せてお願いしたい。
    • 3点目は、資料の真ん中に国内投資の拡大、新たな雇用の創出という重要な目標が掲げられているが、これをつなぐものとして、どのように国内消費を拡大していくのかという視点が重要。たとえばグリーン分野においては、民生用のグリーン需要をいかに拡大させていくのか、中小企業や家庭の排出削減分を大企業の排出削減分にカウントする国内クレジット制度などが考えられる。この適切な制度設計によって、省エネ機器への買い換え需要を促進するなど消費拡大を図っていくことが重要。
    • 4点目は、農業の競争力強化について。農業分野での良質な労働力の確保が重要。若年層を中心に、農業分野での労働力を確保・育成することを支援する施策が必要。併せて、多様な生産法人の育成など農業への参入や従事を容易にする方策も重要。
  • 伊藤北上市長
    • 企業を誘致し、雇用を根付かせることが、人口を維持していく上で重要。北上市は、企業を195集積しており、昨年こそリーマンショックで人口が減少したものの、今年はプラスに転じた。
    • 企業に進出していただくためのかたち、それを拡充するためのかたち、さらに継続安定化させるかたちをバランスよく作ってきた。企業が海外へ出て行く理由は、国内のトータルコストの高さ。日本のものづくりを考えると、できれば国内に維持したいという思いや、海外では安定した労働力確保、労働争議などの懸念があるものの、助成金の多寡、高い労務費及び流通コスト、税負担、為替コストをトータルで考えると、海外に移転せざるを得ないというのが実情。
    • 北上市では、独自の企業立地助成金等の措置を取ってきた結果、195の企業が立地し、税収も増えた。ただし、その結果増加した税収は25%しか懐に入らず、75%は交付税がカットされる。それでは自治体にとっては、次の誘致に向けたインセンティブにならず、自治体が次に新規誘致に取り組むことができない。更に国内投資を促すための継続的に補助金を十分に出すことも困難。交付税措置への配慮が次の誘致につながる。
    • 助成等の企業誘致の採算が合うには、約7年以上かかる。その間、市町村の財政状況が変化すると大変。農村地域工業等導入促進法や、経済産業省の企業立地推進法などもこれまで活用してきたが、自治体によっては財政指数が上昇すると適用されなくなってしまう。また、時限的な制限もある。企業誘致に成功した、または、助成事業等で成果が出た場合には、更に継続して支援をお願いしたい。企業誘致をしている自治体については、そのフォローと要件の緩和を検討していただきたい。
    • 一時的ではなく安定的・継続的な企業立地支援が重要であり、その点で「人材育成事業」は非常に有効。経済産業省の人材育成支援プログラムには非常に感謝している。また、雇用調整助成金は、当初使い勝手が悪かったが、経済産業省・厚生労働省の努力・配慮によって使いやすいものに改善された。若手社員を十分に教育するため、ベテラン職員が教育に費やす時間を確保するのに非常に役だった。今後の継続も必要と考える。
    • 東北は農業のウェイトが強く、地方に就職する者の大半は農家の出身。農家の収入が維持されれば、優秀な人材が育つ。団塊の世代が定年を迎えた今、企業に新しい人材を送り込んでいかねばならず、企業の人材確保の観点からも、農業の果たす役割が大きい。逆に、企業誘致により雇用が生まれ、兼業農家が豊かになり、がんばっている状況。
    • 地域の特色を生かして、企業に安定して立地していただくために、ワンストップサービス、さらにノンストップまで意識した対応に積極的にも取り組んでいきたい。
  • 中鉢電子情報技術産業協会副会長
    • 電機電子業界は現在100万人の雇用を抱えるが、この雇用は継続的な技術開発と設備投資で成り立っている。リーマンショック以前は国内で約3.2兆円~約3.3兆円あった設備投資が、リーマンショック後、大幅減となり、09年の設備投資は、リーマンショック以前の半分以下の1.5兆円のレベルまで減少。設備投資無くして電機電子業界の売上増・雇用増は無い。菅総理も「一に雇用、二に雇用、三に雇用」と言っているが、国内への設備投資こそ雇用を確実に拡大させる施策。
    • 昨年度から補正予算として導入された経済産業省の低炭素立地補助金は、現実に企業の大きな投資の呼び水となった。ソニーもリチウムイオン電池の設備投資において当該制度を活用し、国内雇用の拡大につなげた。グローバルな投資誘致合戦が展開され、特にアジア各国の強烈な売り込みを受ける中、この補助事業が国内に投資する意思決定のきっかけになった。低炭素立地補助事業は、リーマンショック後、暗くなっていた我が国の産業界と雇用環境に差し込む一筋の希望の光だった。これほど企業を元気付けた施策は無い。昨年度の補助事業は全体で300億円の補助金だったが、その5倍に及ぶ1400億円の投資を誘発し、裾野産業を含めて17,500人の雇用を創出した。今年度も補正予算として1,000億円を超える規模で予算が措置されたが、今年度も我々は世界ナンバーワンを狙う大型投資案件で応募したいと考えている。地球温暖化対策に貢献するだけでなく、日本の雇用も確保していきたい。
    • 低炭素補助立地事業を一過性の景気対策に終わらせることなく、企業の活力を支え雇用を生み出し日本の復活を支える重要な施策として本予算に盛り込み、来年度以降も実施してほしい。政府の思い切った施策で支援していただきながら、電機電子産業は、1.5兆円に落ち込んだ設備投資を今後5年以内に再び3兆円台まで大幅増とすることを目指している。官民一体で日本を元気にすべく、低炭素立地補助金の継続をお願いしたい。
  • 長谷川製薬工業協会会長
    • 経済成長無くして雇用の拡大も無い。製薬産業は年間3,000億円の投資をしているが、これが今後も続く条件としては、税制上のインセンティブが重要。なぜなら、薬は輸送コストがほとんどゼロに近いため、実効税率の低い地域に誘因が働かざるを得ない。
    • また、研究開発投資については、1兆4,000億円程度の研究開発投資を製薬産業全体で行っているが、うち7割が開発、3割が研究で、研究は主に日本で行っている。しかし、開発については、臨床試験のスピードやクオリティを担保するには、大規模臨床試験サイトが必要。日本は制度整備が遅れているため、臨床試験の空洞化が起こる。臨床試験サイトというとハコモノの議論に陥りがちだが、現在ではICTの技術を使えばバーチャルな大規模サイトができるので、是非御検討いただきたい。また、省庁の壁を取り払った形で協力体制を構築してほしいという希望もある。文部科学省は旧国立大学を中心とした臨床試験の促進を志向するのに対し、厚生労働省はがんセンターや成人病センター等のナショナルセンターを中心とした臨床試験サイトの拡大を志向するが、各省庁が協力すればさらに効率化するのではないか。
    • バイオベンチャーについては、ベンチャー企業を育成する土壌を作らない限り、日本の産業の裾野は広がらない。FDAの承認薬の50%以上はバイオベンチャーによるもの。過去4、5年の間に、日本企業は2兆円以上のベンチャー買収投資を海外に対して行っているが、今後、国内で循環していく形を作る必要がある。そのためには、個人のエンジェル税制だけでなく、企業のエンジェル税制も是非御検討いただきたい。また、製薬業界では既にクライアントとやっているが、アカデミアに眠っている知財をビジネスに結び付けることが他の業界でもできるようなメカニズムを考えていただきたい。
    • 官民対話において、産業界もパンデミック・ワクチンの開発に本気で取り組むと約束したところだが、それにより、投資が促進されるだけでなく、パンデミックになった時に他国に依存しないで済むというメリットが生まれる。さらに、医療最先進国として、アジアの周辺国にもワクチンを供給できるようになる。
    • 経済成長の要素としては、イノベーションの他に、労働力と資本があるが、これらは政府が取り組むべき課題。そういった観点から、政府の本気度が民間には見えにくい。先週、G20に呼ばれて行っていたが、英国のキャメロン首相が、あれだけの予算削減を実行しながら、しかしイギリス経済の強化のため、法人税減税は必ず実現すると演説していた。日本でもそういったことを強く打ち出していかなければならない。
    • また、TPPについては、大畠大臣の御尽力もあり、一応は協議に参加することになったが、他方で時間は限られていることを認識すべき。これほどマスコミも含めて賛成する施策も珍しいが、一部の団体の反対でなかなか前に進まない。日本産業の成長、日本経済の発展のため、最後のチャンス。
    • 最後に、せめて国民総背番号制を実現し、政府主導で全ての業務の効率化を果たしてほしい。政府の本気度を見せてほしい。民間も要求するばかりではいけないので、できることはやるが、政府も具体的な形で決意と実績を示してほしい。
  • 林田日本鉄鋼連盟会長
    • 鉄鋼連盟からは、世界におけるイコールフッティングの観点から、法人実効税率の引下げ、FTA・EPA・TPPの推進、温暖化対策で突出しないことをお願いしているが、その中で、あまり世の中に知られていない話をしたい。鉄鋼業界には電炉業界という業界があり、日本に蓄積されている十数億トンのスクラップを溶解してリサイクルしている。しかし、この業界は、日本の電気料金が世界でも突出して高いため、この20年間、夜中しか操業できない。今回、再生可能エネルギーの買い上げ制度により、そのコストが電気代に反映されることになると、夜中の操業ですら成り立たなくなる。すると、日本に蓄積されているスクラップが、スクラップのまま海外に出て行って、海外の安い電気代で溶かすことになる。そうなれば、雇用も失われてしまう。
    • 私は、再生可能エネルギーの買取制度自体が悪だとは思わない。再生可能エネルギーの導入は促進していかなければならない。ただ、それを単純に全て価格に転嫁する政策を採ると、日本で滅びる産業がある。それを正しく認識しないと、貴重な資源が海外に出て行ってしまう。
    • 法人実効税率の引下げに関しては、単年度の予算のバランス主義は見直す時期にあるのではないか。法人実効税率の引下げは、必ず投資を呼んで政府にとって増収になる。その上で、税の補足率を上げる、社会保障のことを考えるのであれば、納税者番号制度を導入すべきではないか。
  • 松岡日本農業法人協会会長
    • 農業法人としては、経営基盤の整備、農作業の集約化、経営規模の拡大、法人化、国内農産物の輸出促進等を進めたい。食料の安定供給(自給率向上)を含めた国力の向上に貢献するという観点からは、農業は重要な柱。また、農業では、就農人口が減少し続け、高齢化も進んでいる。こうした状況を乗り越えるため、農商工連携というものが考えられているが、その現状と今後の方向性についてお話したい。
    • 農村における高齢化は、10年後、20年後には、おそらく今以上に厳しい状況になるだろう。こうしたことを踏まえると、今、最も大切なのは、都市と農村との交流の活用だろう。これは、生産者と消費者の双方向のやり取りと言っても良い。安心して食べられる食材を提供するには、生産者の顔が見えることが最も重要な課題だ。農業は、平坦地、中山間地、山間地といった厳しい環境でも生産が行われるが、どういった農業を進めていけば良いか、都市と農村との交流により生み出される知恵が活用されれば、凄まじいエネルギーが生まれだろう。農村の高齢者が働き続けられるよう、よろしくお願いしたい。
  • クルバーグ欧州ビジネス協会会長
    • 日本とEUのEIAの締結について、菅総理がG20でEUのリーダーに対して交渉を推進したいと言ってくださったことを歓迎したい。ヨーロッパ側の反応はあまり積極的でなかったかもしれないが、今回の提出資料では、09年の日EUサミットで出された課題のうち、未だ実現していないものについて言及させていただいた。
    • また、亀田さんからのお話についてコメントしたい。臨床試験のスピードは非常に重要であり、速くしたからといって患者の体に悪影響が生じる訳ではない。近代の医療技術を早く提供できるようにしなければならない。
  • 藤村厚生労働副大臣
    • 法人税の引下げは皆さんの一致した要望だと思うが、法人実効税率引下げの財源として研究開発税制の廃止・縮小をすべきという議論がある。しかし、長谷川会長などは、法人実効税率が引き下げられても、研究開発税制が廃止・縮小されれば、むしろ自社にとっては損失の方が大きいのではないかとお考えだと思う。そういった産業界からの声は、今後も積極的に発信していってほしい。医薬品業界の研究開発投資が売上高に占める割合は、他の業種に比べても非常に高い。
    • また、長谷川会長から、番号制度についてお話があった。副大臣クラスでの検討会が始まっている。社会保障番号について、いよいよ本気で取り組んでいるので御理解いただきたい。さらに、メディカルイノベーションの研究会を、現在、経済産業省・文部科学省・厚生労働省の3省で立ち上げているので、御報告したい。
  • 長谷川製薬工業協会会長
    • 藤村副大臣からありがたいお言葉を頂戴した。実は、研究開発税制について言及しなかったのは、法人税引下げと研究開発税制の廃止・縮小をバーターにするという議論が論外だと考えているためであり、一言申し上げておきたい。
  • 筒井農林水産副大臣
    • 最初に私から御説明した内容は、グリーン産業化を進めていくということ。皆様の企業から見れば規模は小さいかもしれないが、各地の緑の資源を活用して様々な産業化・事業化を進めようとしている。私はこれを限界集落の解消に繋がる地域政策であると考えており、同時に地球温暖化対策にもなると考えている。鳩山政権の時に打ち出した排出量の25%削減目標のうち、8%程度を農林漁業で担いたい。農林水産業は小規模分散型の産業ではあるが、そういった意味では非常に大きな意義を持っている。
    • これまで「輸出」というと、工業製品を輸出して食料品を輸入するという産業間の貿易をイメージする方が多いと思うが、日本の食料品が持つ安全性と味の強みは、世界のどの国にも負けない。したがって、近年は、産業内において、強みのある食料品を輸出することが可能になっている。実際、中国や東南アジアに対する輸出が始まっている。今はリーマンショックや円高の影響で4,500億円程度まで減少してしまったが、一時期、5,000億円程度まで伸びた。これを1兆円規模に育成したい。特に中国は、このところ食料輸入大国に変わりつつある。農地が潰れる、農業の担い手が減少する、食生活が変化するといった様々な変化により、例えば大豆などは自給率が30%程度まで低下した。中国政府もこういった問題について自覚しており、外国に安定した食料基地を探している。日本もその一つとして考えられており、中国の農林水産大臣から農林水産省に招請が来ることになっている。
    • 中国民衆が日本の食料品を渇望していることが分かる一つの事例として、粉ミルクがある。宮崎県に口蹄疫が発生した時、中国への粉ミルクの輸出が停止されたが、その後、ちょうど日本と中国との間に様々な問題が取り沙汰された時期でありながら、輸出停止措置が解除された。特に中国の富裕層を中心に、中国人の日本産粉ミルクへの渇望は激しく、時として、米についても、日本産の米は中国では極めて価格が高いが、富裕層であれば日本産の米も買うことができる。年間100万トン程度の継続的な輸出契約を結ぶことができれば、日本の農業に非常に大きな影響がある。輸出産業化を六次産業化の大きな柱として進めたい。
  • 大畠経済産業大臣
    • 本日はお忙しい中お越しいただき感謝。独特の雰囲気を持つ首相官邸の会議室ではなく、経済産業省でざっくばらんにお話することができ、率直な御意見を賜ることができ、本当に良かった。
    • 亀田理事長から、世界で認められているにもかかわらず、日本国内で使うことができない人工心臓があると伺った。医療機器等に対する支援の在り方や認可基準が、なぜ日本と世界で違うのか疑問。
    • 浜口会長から、英語では法人設立について書類等を受け付けてもらえないため、海外で起業することになった例について紹介があった。しかし、総理が「国を開く」と言っている中、受付が日本語でなければならないというのはおかしい。英語と日本語で引き受けるようにすることも含め、改善の余地がある。
    • 長谷川裕一会長から、中小企業が人材を獲得するのが難しくなっているというお話を頂いた。中小企業でも優秀な企業はある。どうすれば学生の目にそういった企業が入るのか、検討したい。学生には企業の目利きはなかなか難しいが、税金の支払い状況や雇用の維持創出状況等を元に、何らかの基準を設けることも一案。学生の側も、大手企業にばかり入るのではなく、これから伸びる企業、社長と一緒に頑張りたいと思える企業に入ることで、むしろやりがいを感じるということもある。学生と企業のミスマッチを解消していきたい。
    • 本日はこのような形で皆さんと伸び伸びと議論できて良かった。官邸でやる会議も良いが、時にはこのような場で皆さんから活発な御意見を頂き、日本経済の発展と、産業界・労働界・国民、さらにはヨーロッパ・アメリカも含めWin-Winの関係作りに努めていきたい。

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最終更新日:2010年11月30日
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