経済産業省
文字サイズ変更

環境審査顧問会 原子力部会(平成21年4月24日)-議事録

日時:平成21年4月24日(金曜日)14時~16時
場所:経済産業省別館11階1120共用会議室

出席者

顧問
四方会長、沖山部会長、中園部会長代理、安達顧問、川路顧問、清野顧問、関島顧問、日野顧問、藤原顧問、村上顧問、森川顧問、山下顧問、渡辺顧問
経済産業省
吉田統括環境保全審査官、河合環境審査班長 他

議題

  1. 前回議事録(案)の確認について
  2. 環境影響評価準備書の審査について
    • 九州電力(株)川内原子力発電所3号機増設計画
  3. 環境審査顧問会原子力部会 分科会顧問の選出方法について

議事概要

  1. 開会の辞
  2. 配布資料の確認
  3. 九州電力(株)川内原子力発電所3号機増設計画に係る環境影響評価準備書の審査にあたり、事務局から住民意見の概要及び事業者の見解書、及び準備書の要約書について説明があった。また、水環境分科会及び自然環境分科会を開催することとした。
  4. 分科会顧問の選出方法について事務局から説明があり、了承された。
  5. 閉会の辞

質疑内容

(1)九州電力(株)川内原子力発電所3号機増設計画に係る環境影響評価準備書

住民意見の概要及び事業者の見解について

顧問
保安林を切るとあるが、保安林の場所はどこになるのか。準備書のどこに記載があるのか。
経済省
準備書の中に分散して記載されているが、準備書P2-14に工事範囲の図があり、それ以降のページで進捗を示している辺りをご覧いただきたい。
顧問
現状の森林の状況、伐採範囲、工事概要を比較して書いていないと分からない。
経済省
準備書P2-33に伐採範囲の位置図がある。現状及び状況を示せるよう事業者に伝える。また、準備書に分かりやすい記載がないか確認する。
顧問
準備書P8.1.5-7やP3-54に植生図があり、これを見れば現状は分かる。
経済省
準備書P3-54や56の図と工事状況を比較して見ていただければと思う。
顧問
準備書P2-33で発電所の南側の森を伐採するとあるが、その理由は何か。
経済省
工事中の土捨場とするためだが、その後は植林を行い元に戻す予定である。
顧問
今回の事業のポイントは前面埋立てと後背地の地形改変というところか。
経済省
ご指摘のとおり。その点が最近の案件と大きく違うところである。
顧問
方法書の時に議論があったかも知れないが、P31の意見No.43の陸生生物に関する意見に対して、見解では供用後の事後調査はやる必要がないという回答ぶりとなっている。準備書の記載でも、陸生生物の事後調査を実施しない理由として、地形改変の範囲は必要最小限として代償措置で移植等行うから必要はないという書き方になっている。これらは住民を納得させられる理由になっているのか疑問。なぜ事後調査を行わないということになったのか。
経済省
事後調査については準備書段階での審議内容となる。事後調査を行わないことにした理由について事業者に確認する。
顧問
非常に意見が多く269件もあるが、うち164件は環境保全の見地からとある。他の105件はどのような内容なのか。
経済省
資料の最後の方に、参考として、環境の保全の見地以外の意見をまとめている。例示は5件だが、ほとんどが原子力発電そのものに関する意見等となっているため、ここでは別扱いとしている。
顧問
意見等概要書P21に低周波音がある。低周波音に関しては、発電所では年中回転機が稼働しており、道路が静かになると耳に残り苦情となりやすいが、現状の数値がない。「周辺環境への影響があるような低周波音の発生はないものと考える」と記載するのであれば、現状はこうだという数値を出してはどうか。
経済省
準備書では、低周波音は評価項目としていない。1,2号機の運転中のデータ等を持っていれば提示が可能と思われるが、事業者に確認する。
顧問
現状でこうだと理論武装できる説明としてほしい。
経済省
確認する。
顧問
陸生動物はモニタリングしないという事であるが、海生生物、特にウミガメに関しての意見も多く、事業者の見解は論理的な受け答えになってないように思う。例えば意見概要書P39では温排水によるウミガメの砂浜へのアプローチへの影響に関する意見について、見解には熱帯から温帯域に分布していること、遊泳力を有すること、産卵は砂浜で行われることの記載があるが、意見に対する答えになっていないように思う。海外事例があるか分からないが、ない場合は、しっかりモニタリングしていくことが今後の発電所関連事業への応用にもなるのではないかと考える。事前事後のモニタリングをしっかり行うことが陸生生物及び海生生物のしっかりした影響評価に繋がるので、この辺りについて確認したい。
経済省
どのような監視を行うかについては、準備書P8.2-42監視計画のところに記載があり、これらの監視項目について実施することになっている。どのような考え方で計画したのかは事業者に確認する。
顧問
ベントスの監視も大事だと思うが、ウミガメについて言うと、産卵地である砂浜が削られること、工事中の照明の影響、産卵地へのアプローチ等いろいろな影響があると思う。環境監視については項目が限定されていて違和感がある。陸域も含めた動物の監視について根拠を示してほしい。
顧問
意見書P22のNo.21の見解では3号機は水中放水を採用し温排水の拡散範囲が小さく影響はほとんどないとしているが、P28のNo.35の1,2号機も水中放水方式に変更してほしいという要望に対する見解では1,2号機については当時のアセスで問題がないことが確認されているとしている。既に終了したアセスに問題が出た場合どう対応するのか教えてほしい。
経済省
基本的には、既設の施設については本件アセスの対象外となっている。本件は3号機増設の影響に関するものであり、既設の1,2号に関してより良い設備に変更することについては、事業者が可能であれば対応してもよろしいかと思うが、本件アセスとしての対応にはならないと考えている。特に、放水方式については、変更するとなると工事に伴う環境影響も発生するほか、その間発電所を止めなくてはいけないケースも考えられ、実施は難しいかと思う。
顧問
1,2号ではモニタリング等をやっていて問題ないかとは思うが、シミュレーションの計算方法なども変わっており、1,2号の時のアセスとの比較も出てくるかと思ったので確認した。
顧問
温排水の拡散範囲は図では1~3号機ということだが、3機機の増設によってどれくらい面積が増えるのか、また水中放水なのでどの程度のボリュームとなるのか、そういう比較があると分かり易い。何かの機会に示してほしい。
経済省
了解。
顧問
意見概要書No.24の意見に、温排水の拡散計算において川の流量を「平水流量」ではなく「豊水流量」で行う必要がある、とあるが、このような見解で良いのか。
顧問
川の水量が大きくなれば沖に出るとの意見であるが、アセスは平均的な場でやることとなっており、川の流れもそう考えて良く、これで問題ないと思う。

準備書概要説明について

顧問
緑化について良くやってくださる記載となっているが、これとウミガメとの関係について教えてほしい。P12では「緑化マウンドの設置により影響の提言」、P66にも「緑化マウンドを築き砂浜部へ直接漏れる照明及び騒音を抑制」とあり、P71には礫浜は改変しないとある。P45にはニホンイシガメに関して「クロマツ植林林縁で生息を確認した」とあるが、この林縁は南側なのか北側の埋立てを行うところなのか、地図上では分かりにくくなっている。もし北側であれば「生息地への影響はほとんどない」とするのはおかしい。「影響は少ない」ならまだ分かる。あまり緑化と結びつけるのは問題ではないかと思う。
経済省
ニホンイシガメの確認地点は準備書P8.1.4-64のとおり南側に5地点ある。
顧問
産卵の場所はどこになるのか。
経済省
産卵場所はP8.2-6の北側の浜、緑化マウンドはP8.2-6~7の図のB-B断面になり、砂浜部に光が漏れないようにする計画になっている。
顧問
B-B断面であれば、敷地と接するため管理することになるので少しは光が洩れる。「影響はほとんどない」と予測しているのはおかしいのではないか。緑化マウンドの法面に木を密植光はもっと漏れなくなる。法面への緑化など緑化の工夫が必要ではないか。
経済省
アカウミガメの予測については「影響は少ない」と記載しているところもある。記載について確認させていただく。
顧問
要約書P42のとおり猛禽類等希少種が多い。これら一連の予測結果は「対象実施区域」にいないから影響は少ないとしており抵抗がある。周辺にいることの影響評価が必要と考えられ、周辺の付帯施設の影響、将来的に繁殖するかも知れない事に対しての評価が必要だと思う。付帯施設として何ができるのか教えてほしい。
生態系について、陸生動物では「典型性」「上位性」で評価しているが、なぜ、ウミガメをやらないのか。海生生物を対象としない理由をお聞きしたい。産卵地としての利用の価値を知りたい。重要な地であれば評価をしっかりやらなければならないし、これだけ産卵地をつぶすことに対して代替地が必要と考える。
生態系の予測種について、希少性を取り上げないのはなぜか。
経済省
付帯施設があれば対象事業実施区域にしているはずであるが、確認する。
顧問
国交省のアセスでは、事業対象地域以外の車両の影響も見て総合的に行っている。工事用車両が相当増えると思われるので、事業対象地域にいないとの理由で生態系・生物に対して評価しないのは乱暴である。
経済省
道路交通に伴う影響について評価を行っていない理由として、参考項目としていないことがあると思われる。道路交通に関する影響は、発電所本体による影響と比較すると発電所の影響の方が大きいため、対象事業実施区域にポイント絞っているものと想像される。
海域の生態系については、全く問題がないということではないが、評価手法が確立されていないので従来から行っていない。ただし、ウミガメ等の種に絞り、動物としての評価はしている。
顧問
海域の生態系評価が難しいことは分かるが、希少性の高いウミガメが繁殖の場所として来ているということなので、モニタリングの対象から外されていることには不満がある。ウミガメの産卵数や、産卵地として県内で重要な地域なのか教えてほしい。
経済省
準備書p8.1.4-307にウミガメの上陸・産卵場所について掲載があり、埋立予定地の他に、発電所の北側や南側にある。
顧問
準備書p8.1.4-300に川内での上陸は鹿児島県全体の0.5%程度とある。多いか少ないかは別として、住民の意見でウミガメのことが多かったので、対応をしっかり取られてはと思い意見した。
顧問
これについては、現地を見て検討してはいかがか。
経済省
埋立て予定の海岸はご覧いただくことになるかと思うので、その上で追加のコメント等をいただければと思う。
顧問
生態系と動物についてだが、地域を特徴づける生態系に記載されているアナグマはどうして動物では取り上げないのか。動物のページに生態系に記載された動物のことが書かれていない。生態系と動物の書き方の問題だと思うが、生態系は全体のシステムの中で動物がどうなっているか書くべきだ。特徴づける種だけを取り上げるという書き方が良くないと思う。
顧問
準備書p8.1.4-306にウミガメの上陸数が書いてある。出典名から推察するに自治体やNPO等による調査のように見受けられるが、今後もこのような調査が行われるのか。
経済省
出典元を見る限り薩摩川内市が調査結果をまとめているようなので確認する。
顧問
地元で調査が行われているのであればモニタリング代わりになると思うので確認をお願いする。
顧問
海の生態系はやる必要はないとのことだが、やらなくて良いことについて唯一頼りにしているのは藻場とさんご礁に関するアセスである。準備書にはそれらの海域の有無について記載がみられない。ないのであればその旨記載してほしい。
経済省
記載について確認する。
先ほどご指摘のあった生態系の予測種の選定についてだが、選定理由について記載はあるが、希少性の観点を含めた選定理由について考え方を事業者に確認してご提示するということで良いか。
顧問
今回の地点は希少種が多いようなので、それが外れているのは不自然な気がする。
経済省
動植物、生態系の書き方は従来のスタイルで記載してある。生態系の注目種選定の考え方などを事業者に確認する。
顧問
要約書P39の廃棄物について、産業廃棄物はほとんど有効利用となっているが、事業者が直接利用するのか。処理業者に委託するのではないのか。記載からは分からない。
経済省
有効利用の記載について確認する。
顧問
廃棄物については従来からこのような書き振りではなかったか。
経済省
過去の事例を参照しながら各々の事業者が記載しており、詳細な記載様式を定めているものではないので、記載に差異があるのが実状である。
顧問
「適正に処分」とあるが、これが一般的にできているのか疑問。アセスの範囲ではないが、廃棄物でいつも問題になる点である。現時点のルールでは不要だが、出し元がチェックすべきというのが私の持論である。
経済省
顧問もご存知のことと思うが、廃掃法に基づく手続きと再処理法に基づく手続きがあり、アセス上「廃棄物」という用語を使うのが良いか、法令上の用語と混同しているのではないかという記載上の問題点はある。この辺りは承知しており、今後整理していく必要があると考えている。
顧問
大気汚染上の観点で、補助ボイラは電気式で問題ないが、放射性物質を燃やす焼却炉の扱いはどのようになっているのか。規模が小さく審査対象にならないのかと思うが、確認してほしい。
経済省
拝承。
顧問
P8.1.2-142に温排水拡散の予測条件があり、隣の火力も入れて計算しているとあるが、結果には火力の影響の有無について記載がない。読み落としがあるかも知れないが影響についても触れてしかるべきと考える。
経済省
3号の温排水は南西側に出しているので火力との重畳がない。結果は原子力の影響のみで示しているはずだが、火力側の影響について示したいと思う。

以上

関連リンク

お問合せ先

原子力安全・保安院 電力安全課
電話:03-3501-1511(内4921)
FAX:03-3580-8486

 
最終更新日:2009年9月11日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.