経済産業省
文字サイズ変更

環境審査顧問会 火力部会(平成21年4月2日)-議事録

日時:平成21年4月2日(木曜日)14時~16時50分
場所:経済産業省別館11階1120共用会議室

出席者

顧問
四方部会長、植田顧問、沖山顧問、加藤顧問、北林顧問、清野顧問、河野顧問、近藤顧問、関島顧問、中園顧問、能川顧問、日野顧問、藤原顧問、水野顧問、村上顧問、森川顧問、山下顧問、吉澤顧問
経済産業省
吉田統括環境保全審査官、河合環境審査班長 他

議題

  1. 前回議事録(案)の確認について
  2. 環境影響評価方法書の審査について
    • 東北電力株式会社新仙台火力発電所リプレース計画(事業内容変更に伴う再手続き版)
  3. 環境影響評価準備書の審査について
    • 君津共同火力株式会社君津共同発電所6号機増設計画
  4. 環境審査顧問会火力部会 分科会顧問の選出方法について

議事概要

  1. 開会の辞
  2. 配布資料の確認
  3. 前回議事録(案)の確認について、事務局から、JFEスチール株式会社JFE千葉西発電所更新・移設計画に係る、平成21年2月20日に開催された火力部会の議事録(案)について説明があり、了承された。
  4. 東北電力株式会社新仙台火力発電所リプレース計画環境影響評価方法書(事業内容変更に伴う再手続き版)の審査にあたり、事務局から住民意見の概要、事業者の見解書、宮城県知事意見、現地調査における質問事項への回答、補足説明資料及び審査書(案)について説明があった。
  5. 君津共同火力株式会社君津共同発電所6号機増設計画環境影響評価準備書の審査にあたり、事務局から住民意見の概要、事業者の見解書、及び準備書の要約書について説明があった。また、大気環境分科会、水環境分科会及び自然環境分科会を開催することとした。
  6. 分科会顧問の選出方法について事務局から説明があり、了承された。
  7. 閉会の辞

質疑内容

1.東北電力株式会社新仙台火力発電所リプレース計画環境影響評価方法書(事業内容変更に伴う再手続き版)

住民意見の概要及び事業者の見解について

なし

宮城県知事意見と経済省の勧告への検討結果について

顧問
レーウィンゾンデの観測結果は方法書に記載されているか。
経済省
手法の部分ではなく、方法書P3-4の地域概況の部分に書かれている。計算には感度解析を使用すると聞いている。レーウィンゾンデの調査結果は逆転層などの出現状況の把握に使うということである。
顧問
今回新たに調査をするのではなく、既存のデータということか。
経済省
そのとおりである。

環境審査顧問会現地調査における質問事項への回答

顧問
補足説明資料P2の選定理由について、空地雑草群落を基盤とする生態系を選択して最終的に現存量ベースで評価するとしている。その過程の中で各生物の調査を行うことになるかと思うが、表1の生物は空地雑草群落に関わっている生物であり、個別の調査では個体数を調べており、検討結果の概要の欄において、数が少ないから注目種の選定が難しいというのは、整合しないのではないか。個々としての種の調査は難しいから、まとめて空地雑草群落として評価するというのならもう少し表現、考え方を整理した方が良いと思う。生態系については、食物連鎖についても考えていかなければならず、それぞれの生物間の相互作用についても議論されなければならないので、単純に面積が多いから、少ないからという話にはならない。今回は方法書の段階なので、今後考え方を整理した方が良いのではないか。
経済省
空地雑草群落というものを生態系の注目種として選定したのは、おそらく発電所のアセスとしては初めてではないかと思う。我々としても、そういう意味で方法書の段階において、いろいろご意見をいただければと思っている。ご意見は事業者に伝え、今後の調査、評価等の参考にしてもらい、準備書の中での説明の仕方、考え方についても検討をお願いしたいと考えている。
顧問
注目種の選定が困難であるというのは問題と思う。
顧問
今まで雑草群落を刈り取って現存量を調べたという事例は見たことがない。ここではあまり意味がない。この場所で実際に生物、昆虫類がどのくらい出てきたかというような食物連鎖関係から、この場所の再生の難しさを評価する方が重要になってくるかと思う。一般的に雑草が入ってくれば再生が安易であるというのであれば、ここの場所の評価はそれほど重要ではないという説明ができる訳である。現存量よりは、どのような生物が生息しているかということの方が重要である。特に植物の上に立つものが何であるか、その下の基盤である植物が何であるかという観点になると、量的なことは関係なくなってくる。鳥も低茎草原、高茎草原、芝地と分けて書かれているが、鳥がどのように関わった生態系になるのか、分けたときに鳥がどのように関わってくるのかを示すのが大変だと思う。昆虫類はそれぞれの草地タイプによって違ってくると思うが、それら全体を一つにして初めて鳥が出てくるので、そのあたりの総合的な判断を書いた方が良い。基盤が重要であって量的なものはあまり意味がないので、現存量を求めるよりも食物連鎖の関係で判断するのが良いのではないか。食物連鎖関係、実際にどんな昆虫類が出てきたか等を調査した上で、空地が再生した場合の評価を考えてもらいたい。植物についても、再生が簡単か困難かの検討をしてほしい。
経済省
事業者に伝える。
顧問
影響予測のところにも書かれているが、現存量の把握は不可能である。植物は動かないのでなんとか数値化出来るかもしれないが、現存量だけでは生態系のシステムは分からないので、現存量を出しても労多くして、という感じがする。定性的かもしれないが、生物の相互関係を調べた方が良い気がする。

審査書(案)について

顧問
審査書(案)P14では空地雑草群落について、「空地にコヌカグサ、メマツヨイグサ等の草本が侵入した空地雑草群落もみられる。」と表現が軽い。P15では、「主要設備を配置する区域の空地雑草群落は、定期点検時等に資材置場や駐車場として利用しており、定期的に除草を実施している」となっている。空地雑草群落をどのようにしたいのか、どういう利用目的を考えているのかがよく分からない。今後も資材置場や駐車場として利用するのか、定期的に除草をするのかを明示すべきである。
P14 ロ.の群落名で、「松島地域」という群落はないし、「ハマニンニク-コウボムギ群落、クロマツ林」がどういうものなのかよく分からない、並びが悪い気がするので確認して欲しい。
経済省
詳細を確認し検討する。
顧問
P13下から5行目の動物プランクトン「Umbo larva of Bivalvia」 は日本語で2枚貝のアンボ期幼生とするのが正しいと思う。
経済省
確認する。
顧問
P4表の注書きの酸素の2が小さくなっていない。
経済省
修正する。
顧問
P13下から4行目の卵・稚仔がどこから出てきたのか、方法書では見つけられなかったので確認して欲しい。
経済省
確認する。
顧問
表紙のタイトルついて、事業者の正確な方法書のタイトルを正しく書く必要がある。そのため今回は「新仙台火力発電所リプレース計画環境影響評価方法書(事業内容変更に伴う再手続版)に係る審査書(案)」とすべきである。
P2の「はじめに」だが、事業内容の変更の理由が書かれていない。この審査書(案)をダウンロードする人は、方法書のP1/3は見られないので、P2に「事業内容の変更の概要」を入れた方が良いと思う。例えば、『前方法書では、発電に使用する燃料である天然ガスは既設の新潟・仙台天然ガスパイプラインから受け入れる計画であったが、地震や風雪等の自然災害リスクを踏まえ、東北電力株式会社火力発電所への燃料供給源を分散することで、より安定した燃料供給を図るため、新仙台火力発電所構内及びその地先海域に液化天然ガスの受入・貯蔵・供給設備を設置するよう、事業内容を変更したことに伴う「環境影響評価法」第28条の規定に基づく方法書の再手続を行うものである。』というような主旨の説明文を加えたらどうだろうか。検討していただきたい。
経済省
表紙についてはご指摘のとおり修正する。経緯の説明については、我々も悩んだところではあるが、過去に再手続を行った事例に倣って作成した。しかし、やはり過去の経緯の説明についてはあった方が良いと思われるので検討したい。
顧問
以前は天然ガスとLNGの区別が意識されていたと思うが、今はどうなのか。
経済省
以前についてはよく分からないが、現状ではあまり意識されていない。
顧問
生ガスで使用される場合は天然ガス、輸送するために液化したものはLNGと区別をしているはずである。
経済省
そのとおりの区分であるが、現状ではあまり区別されていない。
顧問
先ほどの卵・稚仔については、方法書に記載されている。ただ、魚の名前の後に続いて単脂球形卵と書かれていたので、分かりにくいように思う。

2.君津共同火力(株)君津共同発電所6号機増設計画 環境影響評価準備書

住民意見の概要及び事業者の見解について

なし

準備書概要説明について

顧問
本計画の今後の顧問会の予定はどうなっているのか。現地調査は行われるのか。
経済省
何らかの形で現地調査を行い、その後に分科会を開催する予定としている。
顧問
準備書には事業の必要性が書かれていないようなので、項目をたてて必要性を書いた方が良いのではないか。高炉ガスの有効利用とそれによってCO2を減らすということなのか、電力供給なのかのどちらかは分からないが、はっきり記載してはどうか。
要約書P55のCO2評価の概要の中ほどにある部分、CO2を2社に按分することについて、2社の関係や数値などの記載はあるが分かりやすい表や図にしていただけないか。文章だけで分かりにくいので、補足をお願いしたい。
経済省
事業の必要性については事業の目的の部分に書いてあるが、もう少し環境に対するメリット、デメリットを踏まえて詳細な説明を考えたい。CO2についても具体的に分かりやすい説明を考えたい。
顧問
要約書の大気の予測結果について、P25の工事用資材の運搬の評価の概要は年平均ベースで記載してあり、P45の稼働時の評価の概要は日平均で書かれているが、なぜそのように記載されているのか、年平均と日平均の関係をどのように解釈しているのか教えていただきたい。
経済省
大気の評価では主に年平均で評価を行い、日平均を補足的に用いている。分かりやすく整理する。
顧問
準備書P8.1.2-90の温排水予測の拡散係数の木更津防波堤内側の値は、1×105ではなく1×104ではないか。また、取放水温度差は0.2℃ほど下がるが、熱量は増えるのにも関わらず拡散範囲が拡がらないことについて、分科会で理由を説明願いたい。
経済省
拡散係数の数値については確認し、修正が必要な場合は評価書の時点で反映していただく。拡散の考え方については整理する。
顧問
要約書P13の冷却水に関する表で、取放水温度差の( )内の9.0℃とはどのような状況なのか。
経済省
定検予備機として2号機があり、通常時は使わないが、3号機以降が検査で停止した場合などに副生ガスの余剰が発生するので、それを消費するために動かしている。2号機は古いので、これが稼働すると9℃となる。
顧問
準備書P8.1.3-90の総論の評価はわかるが、各論部でも今回評価する対象は何なのか明確にしたい。温排水は8.3℃を評価するのか、カッコ書きの8.7℃を評価するのか確認しておきたい。
要約書P64-65の拡散範囲と各生物の影響評価について、拡散範囲で評価するのか温度で評価するのか整理してもらいたい。
動物プランクトン、植物プランクトン、卵・稚仔についての評価に福島県温排水管理委員会の資料が引用されているが、試験結果に使われた種類(対象種)と環境水温に依存するものであるので、東京湾で一般化して使用するならば、少なくとも種類は確認すべきである。
経済省
2号機の運転時間は短いと思うが、それがどのように評価に反映されているのかということと、プランクトンの評価についての条件の考え方などについて、整理して説明したい。
顧問
評価の概要の最後の表現がどの項目も「影響は少ないものと考えられ、実行可能な範囲内で低減されていると評価する」と書かれているが、保安院の書き方のようだ。これではコピーペーストすれば審査書(案)になってしまうような気がする。この書き方で良いのか。事業者は「考えられる」までの記載とし、それに対し保安院が「実行可能な範囲で低減されていると評価する」と記載するのではないか。
経済省
アセスの判断基準が実行可能な範囲で低減されているか、ということであり、事業者側がこれに対して説明する必要があるということで、書いたものである。まずは事業者側が判断するものであり、我々はそれが妥当であるかを判断することとなっている。アセスの判断基準は同じものなので、結論も同じような書き方になる。
顧問
事業者が自分で評価を行うのであれば「影響は少ないものであると考えられる」となるのは当たり前である。その出されたものについて保安院が判断してこのような記載になるものではないかと考える。
経済省
実行可能なところまでやっている、ということについて事業者側から出してもらっているのが準備書であり、それに対して我々がこれから審査していく。その結果妥当であれば同じ結論になる。従来からこのようなスタイルで行わせていただいている。
顧問
評価は我々がすることであり、事業者が勝手に評価までして良いのかということだと思う。事業者が評価までやってしまうと、審査は準備書をコピーすればいいということになってしまう気がする。
経済省
現在のアセス法では、事業者がその事業の実施に当たりあらかじめ環境影響評価を行うことが環境の保全上極めて重要であるとして、環境影響評価は事業者の行う行為としており、我々は、事業者の評価が環境の保全について適正な配慮がなされているかを確認するという意味で審査している。
顧問
要約書P56-57の一般排水について、一般排水の予測結果が環境基準より少し高いところに設定されている。その理由として冷却水で希釈されるとのことであるが、文献調査の結果を見ると、冷却水の方がもともと環境基準を満たしていない場合がある。COD、燐は「ほぼ適合」となっているが、「ほぼ」という言葉はあいまいで主観が入る。「ほぼ」という言葉を適切な用語に代えてもらいたい。全窒素については、冷却水の方が高い場合があり、「寄与は小さいと考えられる」としているが、寄与の具体的な数字があった方が説得力は増すと思う。
経済省
拝承。
顧問
準備書P3.1-71、72の表と、P3.1-73、74の植生図の用語が合っていない。凡例のところ、アヅマネザサ-ススキ群集、群落の不一致、誤植など6箇所ほどあるので、確認されたい。
経済省
確認する。
顧問
要約書P55のCO2の「なお、一般電気事業者・・・」の段落に書かれていることの意味がよく分からない。電事連が対応してくれるので君津共火で原単位が上がっても達成できるということか。バックデータを示してもらいたい。この書き方では誰かが努力してくれれば良いと取れる。バックデータと、この意味合いについて教えてほしい。
経済省
東京電力が買い取る分については東京電力の原単位の中に入ってくるため、電気事業連合会の計画の中で対応していくものである。具体的な数字、考え方については補足説明をしたい。
顧問
全体に言えることだが、準備書が年々厚くなり、これでは意味がない。要約書を一般縦覧の主体にして、準備書はバックデータの資料編とするような位置づけに変えてはどうか。
経済省
法律では要約書を作成することが義務づけられている。パンフレットは事業者が自主的に作成しているものである。
顧問
準備書の分量が増えてきたので要約書が必要になったのではないかと思うが、もともとのアセスの主旨と結論が書いてあるのが要約書で、バックが準備書だと私は考えている。
顧問
要約書P51、53にある環境基準とは、1時間値はこの数字で正しいのか。
経済省
注に数字の説明がある。他の事例も同じと思うが確認する。
顧問
石炭火力ボイラーの場合は基準が比較的緩かったのではないかと思う。この数字を確認してもらいたい。
顧問
要約書P96の監視計画に「6号機増設後」とあるが、これは2~6号機を対象としているのか、それとも6号機だけのことを言っているのか。希望としては各煙道で測定してもらいたい。二酸化炭素は副生ガスの使用量だけではなく、重原油の使用量の扱いも確認願いたい。本来なら全体で書くべきであると思う。
経済省
基本的には6号機増設に係るアセスであるが、大気の連続測定は、現状で行われているので共通のものであると思う。温排水など共通する部分もある。その他については考え方を確認する。
顧問
副生ガスの場合、ガス中にふっ素など他の有害物質が含まれている可能性がある。他の案件では有害物質について項目として選んでいる場合もあるが、この計画での副生ガスの成分についてどのようなものか示してもらいたい。
経済省
製鐵所の石炭・コークス炉から供給される副生ガスであり、石炭由来の微量物質が入っているが、製鐵所側で処理されているため、微量であると思われる。君津共同火力はガスの供給を受ける立場なのでどこまで情報を入手できるかは分からないが、確認する。
顧問
昔は有害大気汚染物質という縛りはなかったが、今はそういったものもあるので、燃料に含まれている有害物質の内容を確認する必要があると思う。
顧問
要約書P8の燃料成分の表について、灰分・硫黄分の数字に関して、製鐵所内のBガスとCガスの処理系統図を大気分科会の参考資料として示してもらいたい。要約書P10を見ると、5、6号機に集じん装置、排煙脱硫装置がない。その根拠として製鐵内で脱じん、脱硫は処理するということかどうかを示されたい。
要約書P52-53にはNOxの低減対策しか書かれておらず、P52の記載だけでは環境保全措置としては多少不備があると思うので、その点でも製鉄所での処理系統説明が必要であると思う。
要約書P55のCO2の評価について、「発電効率に優れているコンバインドサイクルで受け入れることにより」とあるが、P54の表を見ると5号機よりも6号機の方が原単位が悪くなっている。改悪しているので、その原因と理由を補足資料で出してもらいたい。そうでないと、審査書(案)として「実行可能な範囲で低減されているか」という行政庁の判断はできないはずである。さらに、6号機に使用する燃料であるBガス、Cガスの発熱量はどのくらいか、J表示では分かりにくいのでkcalも併記して示してもらいたい。この場合、ガスタービン燃焼器の入口温度はいくらか。それが結果的に排出原単位や所内率が悪くなっていることに連動してくると思われるので、それらの関係を大気分科会での補足説明資料として出してもらいたい。5号機の出力は30万kWと大型で恵まれているが、6号機は発生したガスが増えた分ということで15万kWにとどまっている。そういったところで燃焼温度等による出力差のハンディキャップがあると思われる。
共同火力なので2社の共同出資による会社であるが、2社の電力の引き取り割合は電力の需要により変化していると思うので、電力引き取り量のおよその割合が分かるような、補足説明資料を用意されたい。ここでの表現は「負担し」と「分担し」とあるのでその辺りの関係が図示された資料を示してほしい。
経済省
ご指摘いただいた点については現地調査等で資料を示したい。

関連リンク

お問合せ先

原子力安全・保安院 電力安全課
電話:03-3501-1511(内4921)
FAX:03-3580-8486

 
最終更新日:2009年8月4日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.