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グローバルサービス創出研究会(第2回)-議事要旨
日時:平成28年10月18日(火曜日)14時00分~16時00分
場所:経済産業省本館7階 西1右 商務情報政策局1会議室
出席者
(50音順、敬称略)
大石委員、神谷委員、北尾委員(代理:井上氏)、北川委員(座長)、北野委員、清宮委員、鈴木委員、張委員、野沢委員、松﨑委員
議題
- サービス産業のグローバル化に向けて必要な機能・資源
- サービス産業のグローバル化に係る他国政策調査に向けて
議事概要
第1回研究会のレビュー、および上記4の議題の論点について事務局より説明、次いで鈴木委員・清宮委員による「ブランディング」に関するプレゼンテーションを実施した後、自由討議を行った。委員からの主な意見は以下のとおり。
ブランディングに関して
- 「ブランドは落下傘」と言われるが、イスラム圏の国であえて少数派の華僑にターゲットを絞って成功している事例もある。一方で、ニューヨークに店を出すのも戦略。かつてホンダも最初の海外進出先にアメリカを選んでいる。
- ブランドの最初の役割は「識別」で、そこから「信用・信頼」を生むものとなり、今は「納得・共感」創出が重要。製品の差別化が難しくなり、メーカーは「納得・共感」を得ようとしているが、サービス業も同じこと。
- ブランディングにおいてカテゴリージャンルの視点を付加すべき。K-Popのように「日本の分野」があれば、競合間でも海外進出で協調しやすくなり、価格競争も避けられる。
- 現地になじめば、どの国の企業かは必ずしも関係ない。無理に日本を背負わないという選択肢があってもいい。
サービス産業のグローバル化に向けて必要な機能・資源
- 海外に赴任者を送れば、日本では身につかない能力を身に付け、日本に帰ってから別格の力を発揮する。人材育成面でも海外進出には意味がある。また、掃除をする、時間を守る等、日本人・日本企業だからこそ現地に伝えられる本物もある。
- 初期に海外を切り拓いてきた人が定年を迎えている。後進もいるが、新規進出にあたってリスクを見抜く力などはどうしても劣り、海外のアドミニストレーションをできる人材の育成が急がれる。海外進出の支援のみならず、日本の本部から海外のアドミニストレーションを担当できる人材の育成や確保が課題になっている。
- サービス業こそローカライズが重要。マネジメントには進出先の国の人を立てるべき。そのために、たとえば日本に来ている留学生で、自分の国で日本のサービス・ブランドを展開したいと考える人とマッチングし、現地中核人材として育てるという発想があってもいい。
- 飲食業は海外での食材調達に困っているので、国として進出を後押ししたいなら政策支援すべき。特に欧州では支援が受けられない。
- 法規制は各国各様で、製品に対する規制も全く異なる。欧州の化粧品や食品添加物への規制は、日本に比べて厳しく、日本の基準の製品では展開できない。政府間で国際的な基準の調整を行い、円滑に展開できる環境を整えてほしい。
- 設備は「投資」なのにマーケティングは「費用」とみなされる。不況になると真っ先に削られるのは、ブランドにとって問題だが、社内稟議を通るには費用対効果を数値で示す必要がある。効果を可視化するプラットフォームを政府が作るというのも1つの考え方。
- 日本企業の海外展開が遅れている理由の一つは、資金が不足していることではないか。海外展開は予想外のコストが多くかかるが、一方で銀行は、運転資金は出しても海外展開に向けた投資資金は出さない傾向にある。
- 資金不足を理由に海外展開を断念する企業は多いことから、企業の海外進出へのハードルを下げるためにも、中小企業でも活用のしやすい資金調達の選択肢を明確になっていると良い。政府系も含めた各種金融機関の役割や融資形態を分かりやすくすることが必要。
- サービス業の規制は常に変わるので、タイムリーな情報が必要。JETROが取り組んでいるが、政府としても適切にカテゴリーを絞り、情報を提供すべき。
- 途上国ほど労働集約的で規制が厳しいので、進出先の国が目先の雇用喪失とせめぎあわないよう「日本が入るとこれだけ貢献できる」と言えるだけの発信も必要。
- 現地進出と輸出では規制が異なる場合がある。外資企業の現地進出における規制が厳しい国には、現地に法人を作ってサービス業を展開するよりも、関連製品の輸出や知的財産の移転という形で展開する方が合理的。たとえば中国に教育は正面から入れないので、e-learningや現地企業との提携の模索を選択する等。
- 教育分野で現地に浸透するには、教育システムの中にインフラとして組み込まなければならないが、民間の力では限界がある。イギリスでは、British Councilが各国の文科省に相当する部門に入り込み、イギリスの事業者が進出しやすい環境を整えている。政府として、日本の事業者のサービスによる効果を可視化する必要がある。
- 中小企業の最大の悩みはパートナー探し。対象国を絞ってでも政府として支援すべき。
- 他国には、クールジャパン機構とJETROを合わせたような機能を持つ機関が存在し、進出先政府との折衝や経営的支援、リスク管理まで面倒を見てくれる。進出先の現場で抱えるリスクを考えると、進出前から進出後まで、また融資からハンズオンまで一貫して行える機関が必要ではないか。
- 企業がやること、国がやること、協働することを整理した上で策を打つべき。整理が難しければ、まず産官学が顔を突き合わせることに意味がある。
サービス産業のグローバル化に係る他国政策調査に向けて
- 日本の高品質イメージは、国と企業とどちらの取組の結果か。アメリカは文化輸出が巧いと言われるが、それが政策の結果なのかMcDonaldやCoca Colaの努力の結果なのか。政策主導で日本のイメージを作ればいいというほど単純な話ではない。
- アメリカのフランチャイズシステムを研究しようにも、McDonaldやCoca Colaは規模が大きい。必ずしも大規模・多店舗の展開を学ぶことで知恵が出るとは限らない。ノウハウを入手してブラッシュアップし、簡素化されたパッケージとして小規模の展開に活かしている韓国のやり方もベンチマークすべき。政策が背景にあるはず。
- 中国や韓国の展開力の源泉は何なのか。McDonaldやCoca Colaがいかに大きくとも、本当に1社でそこまでできるものなのか。背景をきちんと研究すべき。
- イギリスとスイスは研究対象として良いのでは。企業の海外展開に対してどのような政策的資金援助を行っているのか、調査してはどうか。
- アメリカでは、良し悪しはともかく、企業は投資家の資金を活用し、積極的に投資して回転させる風土がある。資金問題を議論するなら、そのような活性化の仕組みを理解する価値もあるのではないか。
以上
関連リンク
お問合せ先
商務情報政策局 サービス政策課
最終更新日:2017年1月6日