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グローバルサービス創出研究会(第3回)-議事要旨

日時:平成28年11月7日(月曜日)14時00分~16時00分 
場所:経済産業省本館7階 西1右 商務情報政策局1会議室

出席者

(50音順、敬称略)

大石委員、神谷委員、北尾委員(代理:井上氏)、北川委員(座長)、北野委員(代理:松本氏)、清宮委員、鈴木委員、張委員、野沢委員、松﨑委員

議題

  • 生活関連サービス産業の海外展開支援に際して着目すべきインディケーター(指標)
  • 生活関連サービスにかかわらず、進出を検討すべき業種・産業

議事概要

第2回研究会のレビュー、および上記4の議題の論点について事務局より説明した後、自由討議を行った。委員からの主な意見は以下のとおり。

生活関連サービス産業の海外展開支援に際して着目すべきインディケーター

  • 人口密度や一人あたりGDP成長率などの過去からの推移データは、業界を問わず有益。
  • 経済産業省の「海外現地法人四半期調査」の売上や設備投資、雇用の先行き予測は、市場が楽観的か悲観的かを判断するのに有効。業種別、国・地域別に時系列データが取れる。この調査のサービス産業版が必要。
  • サービス産業は商圏がせまいので、国ではなく都市ごとに注目すべき。政府としては、メジャーな都市に対象を絞って最大公約数的な情報を提供する必要がある。欧米は比較的データがそろっているので、日本国政府としては、データを集めづらい国の情報収集に注力すべき。
  • 自社の業種の市場規模、上位5社程度の経営指標やコスト構造のデータが有効。税務登記が必要な国では、経営指標から営業経費率などを知ることが出来る。既に進出している外資企業の事業規模および経営指標から、同じ立場になった場合の問題・課題が想像でき、規制等の存在も推測できる。
  • 売上=客単価×客数。客単価は購買力平価、客数は駅の乗降客数や人口密度、マーケットサイズに着目すればよい。その上で、利益を上げるためには、インフラ、労働費、土地、賃料などのコストに関する情報の取得が必要。
  • 店舗出展可能なインフラが整っている駅の有無、その乗降客数、昼夜の人口比率、現地のショッピングセンターも含めた「商業施設」の面積やテナント数、駐車場の台数等は、事業継続性や集客力の観点で重要。
  • 学歴別の人口構成は所得構成と近く、行動パターンと相関がある。
  • モダントレードとトラディショナルトレードの比率で、流通の近代化度合を測れる。
  • マクドナルドとスターバックスの価格帯と進出状況は、潜在顧客の購買力を調べる手段として有効。小売であれば、ドラッグストアやファストファッションなどのグローバル小売業の展開状況(店舗数や人口あたりの進出率)が指標として重要。
  • 賃料や人件費、所得等の相場が分かると収支計算をしやすくなる。公開されている情報もあるので、その所在が明らかになると良い。賃料は交渉の余地があることを念頭に置くことも重要。
  • 有効求人倍率と失業率の業種別データが手に入りづらい。労働力の質、雇用慣行も重要で、国内とはリスクや規制も大きく異なるので、関連インディケーターの充実が求められる。
  • 世界的にフランチャイズ産業は未成熟な部分が多く、国別の独特な規制に関する情報が整理されていれば進出の際の大きな手助けとなる。
  • 海外進出の前提は、自社のビジネスコンセプトやビジネスモデルの強みを正しく認識すること、またその優位性を発揮できて価値が理解される、ある程度の規模の市場であること。
  • 進出しやすい業態は、安易に出店して失敗するケースが多い。ビジョンが無いまま海外進出すべきでないことや、失敗事例や商習慣等のリスクについて発信することも、後続企業のためになる。進出前と進出後でリスクが異なるので、それぞれについて情報を発信すべき。
  • サービス産業企業にとってはCompany、Customer、Collaboratorの3Cが重要だが、撤退する企業はCollaboratorとの連携がうまくいっていない。強いCollaboratorが市場にいることは、参入検討の重要な要素。
  • 経済が発展し消費者の感度が高い市場では、サイコグラフィックスが重要。デモグラフィックスで魅力が無くても、サイコグラフィックスで日本の強みを出せる業種もある。ただしサイコグラフィックスは指標で測りづらく、また業種ごとに異なる可能性が高い。

生活関連サービス以外で海外進出が検討されるべき業種

  • 医療を重点支援対象業種に入れるべき。日本で健康診断をや人間ドックを受ける外国人は多く、日本の医療サービスを輸出する価値がある。また将来的に他国で介護サービスの必要性が高まった時、日本のノウハウが役に立つ。
  • 学校で教えないもの(例えばインドネシアにおける音楽)は、学校外教育にとってチャンス。それを教える人材の育成もビジネスになり得る。
  • 学校運営産業も支援対象となるべき。世界中で私立学校の規模は拡大し、グローバル学校オペレーターという業態がある。海外には、教育インフラや教育システムを輸出し、それに付随してさまざまなコンテンツを展開している国もある。文部科学省による日本型教育の輸出事業などとの連携が必要。
  • スポーツがビジネスになる。海外はスポーツのスポンサーシップ金額の明文化を進めているが、日本ではできてない。MBLやNBAは外国人選手獲得の際、出身国への放映権の販売まで視野に入れている。
  • ドラマや映画はアニメとは異なり、見た人の生活に大きな影響を及ぼすので、配信元の国への親近感に関係してくる。

中長期的な観点で進出先として有望な国

  • 今後、ヨーロッパで個人情報などデータの取り扱いに対する法規制が進む可能性が高い。これまでに集めたデータが無効化される恐れもある。今後日本企業もデータへのアクセスのあり方を早めに考えておかねばならない。
  • ニューヨークやロンドンの来店者はアジア人が多い。アジアでのプレゼンスを高めると、欧米での成功に繋がる可能性が高い。ヨーロッパの各都市は規模が小さいので、ブランディングという意味では、ロンドンやパリには数店あればよい。
  • 中間層の所得の伸びを見ると、中国は10年くらいは安定的、アジア全体で見れば、もっと長く続く。アジアの中では、たとえばフィリピンが有望。また、ミャンマーは有望ながら情報が少なく、規制もあるからこそ状況を知りたい。
  • マレーシアには中東の客が多いため、マレーシアを足がかりとすれば中東に出る素地を作れる。スリランカに日系の外食企業が進出する狙いは、欧米の観光客へのブランディング。現代はインターネットで繋がっているので、先進国以外でもブランディングは可能。
  • 若年層の人口が多いインドは、日系企業も外資系企業も未だ進出が少ないので、将来性がある。インド系住民の多い東アフリカもセットで考えていくことが必要。また、ドバイもインドからの出稼ぎ労働者が多く、インドの高所得者層も買い物をしているので、インド・アフリカ市場進出の鍵になる可能性が高い。
  • アフリカも将来性はあるが、時期尚早。アジアにもブルーオーシャンはまだいくらでもあるので、当面はアジアをターゲットとし、進出先で勝つことが重要。アジアに来た人に日本のサービス業の良さを発信し、そこから他地域を攻めるという「飛び地効果」による市場開拓も視野に入れたい。

以上

関連リンク

お問合せ先

商務情報政策局 サービス政策課

最終更新日:2017年1月19日
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