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第4次産業革命クリエイティブ研究会(第1回)-議事要旨

日時:平成28年11月14日(月曜日)16時00分~18時30分 
場所:経済産業省別館11階1122会議室PEARCH OFFICE

出席者

鷲田委員(座長)、柴田委員、西村委員、山中委員、澤谷委員(第1回招聘委員)、土屋委員(第1回招聘委員)

議事概要

本調査と本研究会の趣旨について事務局から説明の後、クリエイティブを活かした企業成長の構造及びクリエイティブ指標の2テーマについて、4グループ(1テーマにつき2グループずつ)に分かれ、自由討議を行った。委員からの主な意見は以下のとおり。

(1)クリエイティブを活かした企業成長の構造について

グループ1

  • 企業の中でデザインやクリエイティブを理解している人があまりに少ないため、若手・中堅(幹部候補)・経営層の階層ごとに以下のような取り組みをすると良いのではないか。
    • 若手は実務経験が乏しいため、社内外でのクリエイティブを志向するプロジェクトやワークショップを通じて、クリエイティブの重要性を体感すべきである。
    • 自分なりのビジネススタイルが身についている中堅は、固定概念を外すと共に、他社でのインターンシップなどの体験を通じて、クリエイティブの重要性を認識する必要がある。
    • 経営層を指導できる立場である相談役や社外取締役がクリエイティブの必要性を認識し啓蒙すべきである。
  • 上記のような取り組みはプログラム化することができると考えられるため、経済産業省や外郭団体などの公的機関がサポートすべきではないか。
  • 従来クリエイティブを活用してこなかった業種(例えば素材メーカーや電力など社会インフラを担う企業)にもクリエイティブの重要性を訴求すべき。

グループ2

  • インダストリー4.0が進む中で、プロダクトのみではなく、ビジネスモデル及びエコシステムのデザインプロセスにおけるクリエイティビティ―が必要とされている。
  • デザイナーに求められる役割は、“格好良い製品を作ること“から”新しいビジネスモデルを創ること”に変わる。
  • 既存の各事業部門から1名ずつ社員を寄せ集めたような臨時的な組織では、部署を背負っているという意識から自分の部署の利益や確実性を優先した、保守的な議論に陥りがちなため、イノベーションは生じない。
  • 上記を踏まえ、新規事業部門のトップ(専従)として、CDO(Chief Design Officer)を据えるべきだと考える。上記新規事業の組織内には、エコシステムやビジネスモデル等も分かるデザイナー、エンジニア(AI、ディープラーニングなどの最先端の科学技術を理解している者)プロダクトマネジャーを外部から召集したり、既存事業の部署にとらわれずに必要な職種・人物という基準で招集する。
  • 上記の組織では既存事業と比較して、以下のようなことが起こり得る。
    • 組織文化、評価システム(例えば失敗数で評価する等)軸の変革が必要になる ※QuickWin等
    • 高速なリーン・スタートアップが可能になる
    • 外部ネットワークでインフォーマルな情報収集の積極実施が必須になる
  • 新規事業モデルでは、外部人材の活用により、プロダクトスタイルもオープン戦略となり、製品自体がオープンプラットフォーム化する。そのプラットフォームに、カスタマーがデータを持ち寄り、カスタマイズする。これがイノベーションにつながる。
  • エコシステムとビジネスモデルを設計できることが、今後のクリエイティブの本質になる。既存のデザイナーについては、次世代のクリエイティブを支えるための素養として、ビジネスモデル等を教育していく必要がある。

(2)クリエイティブ指標について

グループ3

  • 人に関するクリエイティブ指標には共感力・傾聴力がある・好奇心があるという要因が影響を与えるのではないか。
  • クリエイティブな人は、企業にとって前例にないことや突拍子のないことをするため、それを容認するような寛容な組織体があることが重要である。
  • 顧客の言う課題を解決する力だけではなく、そもそも課題は何なのかを発見する力がクリエイティビティには重要である。課題発見力を捉える指標としては、ユーザーを観察して発見した課題からどれほど解決策を取捨選択したか、指標化した方がわかりやすい。例えば、失敗の数をカウントした方が良い。
  • 経験則として、混沌の中からクリエーションが生まれている実感を多くの人が持っているため、理路整然とクリエイティブ指標として表現しようとすると、クリエーションは見えなくなってしまう。
  • 上司からの人事評価において、失敗の数等ではなく、良いか悪いかの評価軸で分類されてしまうことが、結果的にクリエイティブを阻害してしまっているのではないかと推察される。このようなクリエイティブを発揮できなくさせる要素を指標とする「ノン・クリエイティブ指標」のようなものをつくり、企業が自社環境を自覚する機会を作ることが重要である。

グループ4

  • クリエイティブを活かした企業については、まずは、経営陣の中にCCO(Chief Creative Officer=ビジネス全体の設計力を持ち、経営陣と研究開発、デザイナーの3つをつなげる役割)もしくはCCOに準じた担当役員のいること、そして、余裕・余白のある企業風土が必要である。
  • 上記の前提からクリエイティブ指標を考えると、組織体制の観点からはCCOがいるか否か、そしてデザイナーがいるか否か、デザイン組織が社長直轄であるか否かがクリエイティブ指標として考えられる。経営陣がクリエイティブの重要性をどこまで感じているかも重要である。
  • 社内の働き方や取組みとしてデザイナーの社内キャリアンプランができているか(例:営業職を2年間経験する)、プロダクト/サービスの構築プロセスに意思決定者が参加している度合い(ミーティングのみ、顧客ヒアリングに参加しているか等)、常にユーザーのことを念頭に「誰のために」「なぜこのサービスが必要なのか」というユーザーインサイトを大切にしている文化・スタイルか(どの程度、顧客を巻き込みながらプロダクト/サービスデザインを行っているか)も重要である。
  • 上記の指標を、あえて外部パートナーや競合、顧客側から評価してもらうことも考えた方がよい。
  • クリエイティブを活かしている企業のイメージは、サプライチェーンの上流にいる企業よりも、顧客に近い企業ではないか。
  • どのように社会にクリエイティブの必要性の啓蒙活動を行っていくかについては、「クリエイティブ人材が社内に一定以上いることを認証制度の評価項目として入れ込んでしまう(ISO等)(※ボトムアップを目標)」」、「クリエイティブ企業を表彰(※トップランナーの発掘)」、「クリエイティブ人材の認定(大学等から推薦をもらう等)」等が考えられる。

今後は4回の研究会を開催し、今年度中に報告会で本調査・研究会の成果を公表する予定。

エコシステム:一般的には生態系という意味であるが、ビジネス分野では、企業単体のビジネスモデルではなく業界全体でどのように収益を上げていくか、その仕組みをビジネス周辺(例:サプライヤーからエンドユーザー、弁護士や監督官庁などの周辺プレイヤーまで)のステイクホルダーも広く含めた意味で用いられる。

QuickWin:早期の改善を実現してその成果を早い段階で見せること。

以上

関連リンク

お問合せ先

商務情報政策局 生活文化創造産業課(クリエイティブ産業課)
電話:03-3501-1750
FAX:03-3501-6782

最終更新日:2017年1月13日
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