- 政策について
- 審議会・研究会
- ものづくり/情報/流通・サービス
- 第4次産業革命クリエイティブ研究会(第2回)-議事要旨
第4次産業革命クリエイティブ研究会(第2回)-議事要旨
日時:平成28年12月13日(火曜日)10時00分~12時00分
場所:経済産業省本館1階西共用会議室
出席者
鷲田委員(座長)、柴田委員、西村委員、林委員、山中委員、有吉委員(第2回招聘委員)、熊野委員(第2回招聘委員代理)、澤谷委員(第2回招聘委員)、田中委員(第2回招聘委員代理)、土屋委員(第2回招聘委員)、平山招聘委員(第2回招聘委員)、山内招聘委員(第2回招聘委員)
議事概要
本調査と本研究会の趣旨について事務局から説明の後、5名の招聘委員から企業経営へのクリエイティブ導入をテーマとし事例紹介を実施した。委員からの主な意見は以下のとおり。
内田洋行の発表概要
- 当社のデザイナーは担当の仕事以外にも、自ら率先して多様な領域に手を出す気風があった。自律的に動くデザイナーと他部門(営業・システム)の社員の間で、シナジーが生まれるように適切にマネジメントすることが当社の長年の課題であった。
- 新事業領域を担うICTエンジニアの育成のため設立した次世代ソリューション開発センタやカスタマーブリーフィングセンターにデザイナーも関わることにより、デザイン部門とエンジニア、もしくは大学研究者や他企業の開発者と交流できる機会を生み出す契機となった。
- そのような動きが契機となって、デザイナーの考え方や行動様式が協業する営業やエンジニアのメンバーと共有できるようになった。このような協業の中から、イノベーターやアーリーアダプターが生まれた。
- (1)他部門のメンバーと協業し新しい価値を生みだせるデザイナーがまだ少数に留まること(2)デザインのプロフィット化が確立できていないこと、以上2点が今後の課題である。
質疑応答
- デザイナーの自発的な提案を受容する会社風土なのか。
- デザイナーの自発的な提案は、収益性が確保されていれば概ね社内で承認される。ただし、現場のデザイナーに過大にマネタイズに関するプレッシャーを与えないよう配慮している。
- デザイナーはデザイン部門に集約されているのか。
- デザイン部門として最大規模のチームは、100%出資の子会社として分社化した。子会社の出向者に対しては、ストレスが堪らないよう自由度を与えている。
- デザイナーに対する評価指標はどのように設定しているのか。
- デザイナーの評価指標は、(1)プロセスの評価(2)成果の評価の2通りある。(1)ではデザイナーが自身へ行うインプット、及び成果貢献へのプロセスを評価している。(2)ではプロジェクト貢献利益を評価している。
- 企業としてクリエイティビティを失えばビジネスが成立しえないことを、経営層は理解している。経営層は悩みつつクリエイティブと収益性のバランスをとっている。
日立製作所の発表概要
- 第4次産業革命に代表される社会変化を機に日立の経営・事業ポートフォリオの見直しが求められた。同時に、研究開発・デザイン部門も既存の体制から変わる必要が生じ研究開発グループを3つの部門に分類した。(1)社会イノベーション協創センタ(2)テクノロジーイノベーションセンタ(3)基礎研究センタである。
- 東京社会イノベーション協創センタは旧デザイン本部を主体に、横浜研究所にいたサービス工学の研究部門、中央研究所で顧客に近いところで協創研究をしていた部門のメンバーを集結して構成されている。
- 研究開発グループの役割は、事業部門がイノベーション事業を起こすため、顧客課題に基づいたソリューション提案とそれに必要な技術開発である。前者は社会イノベーション協創センタが、後者はテクノロジーイノベーションセンタが主に担っている。
質疑応答
- デザインプロセスの刷新において、大きな転換点となった出来事は何か。
- 25年ほど前からデザイン部門への美術系デザイナー以外の採用がはじまった。具体的には心理学・社会学などを学んだ人材で、彼らは顧客やユーザのニーズ探索を先導している。
- デザインと研究のシナジーを期待する上で人材育成はどういう方針なのか。専門化するのか、あるいは多能化するのか。
- デザインに特化した人材は、入社後も専門性を特化させる方針で育成している
- 社内で、研究開発の成果を測定する指標が存在するのか。あればどのような内容なのか。
- 研究開発グループ全体では事業収益に対する貢献度をKPIとしており、各研究所で異なるその他のKPIを設定している。
- クリエイティビティの導入の必要性や、クリエイティビティ導入への危機意識について社内で共有しているのか。
- 当社では「クリエイティブ」という言葉は使っていない。「イノベーション」が起きているかに重点を置いている。
ロフトワークの発表概要
- 当社では「新規事業を創る支援」を行っている。顧客の価値創造サイクルの回転率を上げることが、「新規事業を創る支援」では重要である。回転率を上げるためには、新規事業を創るプロセスにデザインの力を導入する必要がある。
- 自社技術を既存事業から転用し、新たな事業を創出したいという依頼が増加している。
- 新事業を探索している大企業の多くは、デザイン思考によるアイディアの量産には成功している。しかし、量産されたアイディアを元にした新事業の創出に辿りつかないという問題を抱えている。
- 新規事業探索では提案プロセス自体の順番、提案プロセスの重要なポイントを把握する必要がある。順番・ポイントを抑えなければ、最終的に事業創造は達成できない。新規事業探索における最適な提案プロセスを追求することが、当社の役割である。
- イノベーションを推進するにあたり、デザインリサーチは重要な手法となる。
- 従来の定性調査・定量調査は顕在ニーズに対して、調査の有効性がある。ニーズがまだ存在していない領域(=イノベーション領域)、そして無意識的に存在する隠れたニーズに対しては、デザインリサーチが有効である。
- 各部門に所属する社員によって異なる、多様な価値観を社内調査で掘り起こす。その価値観を元に、会社全体での統合プロセスを確立する。会社全体のシンセシスを構築することが、デザインリサーチでは重要である。
- より強度のある新規事業を提案するためには、提案プロセスの初期段階にまず着眼する必要がある。既存のものとは異なるフレームワークを検討し、従来のペルソナとは異なるニーズやアーキタイプを明らかにしていきたい。
今後はアンケート調査・ヒアリング調査を実施し、3回の研究会を開催する。今年度末に本調査・研究会の成果を公表する最終報告会を開催する。
以上
関連リンク
お問合せ先
商務情報政策局 生活文化創造産業課(クリエイティブ産業課)
電話:03-3501-1750
FAX:03-3501-6782
最終更新日:2017年2月17日