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「世界が驚く日本」研究会(第1回)‐議事要旨
日時:平成28年7月12日(火曜日)14時00分~16時00分
場所:経済産業省別館2階227会議室
出席者
桐山委員(座長)、イエンセン委員、井上委員、榎田委員、大西委員、垣貫委員、澤田委員、高橋委員、渡邉委員、塩川委員
議事概要
世界を驚かせられる日本人ならではの感性・価値観、およびその伝え方について、事務局からの説明の後、各委員からの発表を踏まえ、自由討議を行った。委員からの主な意見は以下のとおり。
- 日本では400年に及ぶものづくりの歴史があり完成度が高く、既に欧米のデザイン業界では高く評価されている。強みは、素材の豊富さとそれを活かせる技術力、そして伝統とモダンを融合させる「見立て」の価値観。
- 古民家を現代風にアレンジした宿泊体験に代表されるように、古いものと新しいものを融合させることで、日本人にとっても外国人にとっても新しい体験を提供している。
- 日本の良さを海外に伝える際、ターゲットの絞り込みと明確化が重要。「茅乃屋のだし」や「クックドゥ」のように、手間を省きつつ、多彩で美味しい料理を一般家庭でも作ろうとする、「利便性とホンモノとのバランスをとる」姿勢は面白い。
- 日本のキーコンセプトは「一(いち)」という考え方に集約される。日本の美意識は「一息で」、「一つにまとめる」など、「一」を目指してきた。戦後、西洋化の進展につれて、伝統的な身体感覚を補うべく高度に形成されてきた街並み、“床の文化”をはじめとする日本家屋の造り、日本食、服、器などの分野に西洋の生活様式が入り込んだことで失われてきている。もう一度、身体感覚のレベルから日本らしさを見直すことが必要。
- 日本をどうブランディングするかという視点で見ると、4つのキーワードが挙げられる。伝統と歴史だけではなく新しい価値を創造し続ける「伝承」という価値観、日本料理に代表される「素材を活かす姿勢」、「地域に根ざした多様性」、そして「おもてなしの心」。
- 海外から見た日本のイメージは、日本から発信する情報に左右されている。特に今、海外で和食が求められており、「オーガニック」というキーワードに結びつく。
- 海外に日本ブランドを伝えていく際には、海外視点で考えること、商品だけでなく産地を含む商材のストーリーを伝えること、特に日本ファンに対して影響力のある海外のバイヤー・メディアにしっかりと伝え拡散させていくこと、の3点を重視すべき。
- 「The Wonder 500」(※脚注参照)では、ものの裏にある背景・ストーリーをいかに伝えるかを重視してきた。日本の伝統工芸職人によるパリでのデモンストレーションで、観客が感動して泣き出したのを目の当たりにし驚いた。伝統の持つストーリーの力は、作り手の姿や歴史的な背景を正しく伝えてこそ、その価値をしっかり認識してもらえる。
- オープンイノベーションという言葉がアメリカ出自で、あたかも最近日本に上陸した概念のように語られるが、実は唐津では360年も前からユーザー参加型のオープンイノベーションが息づいてきたということに日本人は気付くべき。
- 日本のものづくりのキーワードは、豊かな自然観。高い実用性。作り手、担い手、手仕事といった「手」。日本のクラフトが50年先まで生き続けられるよう、手仕事を革新させ続けるために、「型を守る」ことと「型を破る」ことが混在する場をどのように作り続けていくかが鍵。
- 日本らしさを伝えるにあたっては、日本人の感性・価値観をどこまで深く掘り下げ、表現していくかが重要だが、海外のインフルエンサーにとって分かり易く、そして日本人にとって語り易い内容としていくことが重要。
- 例えば映画は、どの国で制作されたものでも、国を問わず観る人に伝わるストーリー性を持ち、よって、映画の舞台となった場所には外国人観光客も多く訪れている。マーケティングの感覚は大事だが、国を超えて誰もが共感できるストーリーを大事にするべき。
- 日本のものや技術の価値を、日本人の生活シーン、ライフスタイル、信念といった文脈で伝えていくことが重要。日本人にとっての「良いもの」とはどのような価値に基づいているのかをまとめ、ライフストーリーとして伝えるべき。
- 世界はもうすでに十分日本に驚かされていると思う。ただ、うまくビジネス化できていない。日本人が、海外にどう見られているか客観的に捉えることが大切。寿司がパリで流行った背景は中国系の人がフランス式に料理を提供したからであり、ローカライズの問題をどこまで許容するかを考える必要がある。
- また、富裕層だけをターゲットにしてもビジネス化は図れない。その先のマス層にいかに広げていくかということを念頭に置くべき
今後、年内に2回研究会を開催し、コンセプトブックとして公表する予定。
(※脚注:「The Wonder 500」とは・・・経済産業省の補助事業(平成26年度補正「ふるさと名物発掘・連携促進事業」)として実施した、世界にまだ知られていない優れた地方産品を発掘し海外販路展開を支援するプロジェクト。)
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最終更新日:2016年8月24日