経済産業省
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産業競争力部会(第2回)-議事要旨

日時:3月26日18:00~20:15

議事概要

冒頭、直嶋大臣より挨拶。

  • 前回部会において、産業構造上の問題(自動車とエレクトロニクス産業に極度に依存)とビジネスモデルの問題についてご指摘をいただいた。今日は、インフラ/システム輸出、環境・エネルギー、次世代自動車がメインテーマである。日本企業はトップレベルの技術を有しながら、業績になかなか反映してこない。今後、日本産業の競争力をどう高めていくか、こういう問題も含めて、幅広くご議論を頂きたい。
  • 課題解決に向けて、政府だけでは何もできないし、企業努力だけでも十分ではない。官民がどう取り組んでいけば、日本経済の未来を切り開いていけるか。こういう視点で今後とりまとめを出来ればと良いと思っている。

委員からのご意見

将来ビジョンについて

  • 質的成長(国内中心)と量的成長(海外中心)のバランスが求められる経済成長戦略の構築が重要。
  • 国内については、質的成長にフォーカスすべき。直ちにリターンは期待できないが、労働人口、投下資本、イノベーションの強化は経済成長の基礎として、非常に重要である。まず、労働人口の維持・増加。この点に関しては、移民の議論は避けて通れない。カナダや欧州先進国のポイント制による選択的移民政策が参考になる。次に、対日直接投資を増やして、日本市場を魅力的にするために、税の直間比率の見直しやFTA/EPA提携の推進が重要。最後に、イノベーションだが、これを強化するには、やはり科学・技術人材の育成が重要である。日本人の優れた能力や技術を国内外で活用するために、小学校1年生からの英語教育の導入を提案したい。また、英語で教える国際的工科大学院の設立も考えて頂きたい。
  • 課題解決に向けて、欧米のやり方をそのまま取り込んでも、うまくいかないケースがあり、日本の風土にあった解決法が必要である。例えば、日本において、久しく「ドラッグラグ」という問題がある。米国においては、バイオベンチャーが「ドラッグラグ」解消の役割を果たしているが、日本については、バイオベンチャーが育っていないため、ベンチャーファンドが組成されない現状があり、日本製薬工業協会が、未承認薬等開発支援センターを設立して、ドラッグラグの解決に取り組んでいる。日本にあった課題解決方法としての業界団体の活用も考えていく必要がある。
  • 政府において、新成長戦略を策定しているが、供給側における視点がやや欠けているように思われる。産業構造から成長戦略にアプローチするという視点において、産業競争力部会が大変重要な意味合いを持つ。
  • 五つのキーワード
    1. 日本は今後、何を中心に成長し、何を持って展開していくか、重点を絞って資源(ヒト、モノ、カネ)を投入して行く必要がある。
    2. 垂直統合型から水平統合型へ転換。
    3. 分野としては、環境、エネルギー、安心・安全が中心。これらについて、研究開発、生産技術開発、販路戦略も含めて一貫してやるべき。
    4. 短期的視点ではなく、長期的な視点を持つこと。
    5. これらを支える社会システムづくりが重要。たとえば、エコタウンづくりや交通事故ゼロタウンづくり。技術を集約させ、まずモデルを構築してから、国内に展開しつつ、国際展開を産官学連携して、オールジャパンで取り組んでことが重要と考える。

議論の方向性

  • 社会インフラ系ビジネスの進め方については、事務局の考え方に大賛成で、強力に進めてほしい。今後、成功モデルケースを早急に作ることが何より大切と考える。
  • これまで苦手だった官民協調、政府がスピーディーかつ大胆にやってほしい。
  • インフラや次世代エネルギー分野は、日本にとって比較的に弱い部分なので、突破口を早く見つからないといけない。
  • 素材メーカーは、素材供給だけにとどまっていては、奴隷構造から脱却できない。ピラミット構造の底辺を支えていながらも、出口がしっかり作ってもらわないと、研究開発費を相当つぎ込んで、技術の高い製品を開発しても、結局、韓国や台湾などにやられてしまう。

オールジャパン体制の構築

  • オールジャパンとあるが、産官学での取り組みを意味していると理解しているが、日本企業だけによる連合体制にならないよう注意して頂きたい。特に、日本が不得意な分野については、強みのある海外企業と組んで、取り組んでいくべきと考える。
  • 海外インフラは、日本にとって新規ビジネスとして位置付けられるかと思っている。新規事業開拓において、官民一体での取り組み以外において、大事となってくるのは、リーダーシップや海外に出て行くために必要なグローバルなコミュニケーション能力(語学力、交渉力)ではないかと考える。長期的な視点において、世代交代が必要、これからの若者にこういう仕事を担わせるべき。短期において、日本の国際的なプレゼンスを高めるには、経産省の副大臣クラスに海外に向けてのスポークスマンのような役割を担うポストを設ける必要があると考える。政治家でも、民間人でも、官でも、有能な方を登用すれば良いと思います。
  • 世界各地のプロジェクトに対する長期資金の供給は、日本の金融機関が最も得意とするところであり、足許、米欧の金融機関はその機能を果たしていない。
  • インフラプロジェクトのファイナンスにおいて、JBICやNEXI、民間金融機関が連携して、長期的な資金を供給できることは、日本の最大の強みである。新興国のインフラプロジェクトは、事業会社(オペレーター、コントラクター)、金融機関、政府がコンソーシアムを組んでパッケージで提案していかないと獲得できない。案件情報を、個別企業や金融機関をつかんだときに、ジャパンコンソーシアムを組めるかどうかの判断をすぐにはできない。銀行はバンカブルかどうかしか見ないし、個別企業もファイナンスが果たして付くかは判断できない。個別情報を常時収集し即座にインテグレートする窓口の設立が非常に重要と考える。その窓口を中心にジャパンコンソーシアムを組めるかどうかをスピーディーに判断し、推進していくべきである。
  • 石炭火力については、日本で建設することは非常に難しいので、実証実験する場がない。政府には、この支援を御願いしたい。2015年~20年から商業化予定のCCSについては、インドネシアなどに於いて、石油採掘する際に、二酸化炭素を埋め込むことによる石油採掘量の増産を図る、といったインセンティブの訴求も行っていくべきである。今後、石炭火力発電所を作る際に、隣にCCSを作って、実証実験としてやってみるというような支援を是非政府にやっていただきたい。こういうことを積極的やっていかないと、石炭火力の海外展開に繋がっていかない。
  • 原子力については、ODAの対象にならないので、是非とも鳩山イニシアティブの対象に入れていただきたい。
  • 二国間原子力協定について、日本の動きが非常に遅い。プロジェクトが表面化して、実際の競争が始めてからでは遅い。

社会インフラ案件のリスク

  • インフラ案件、特に原子力はリスクが非常に大きいので、このリスクを政府がどの程度とれるのか、この部分をよく議論していく必要がある。
  • インフラビジネスは非常にハイリスクで、成功するためには、相当なインテグレーションの力が必要である。こういう案件は、まず提案があって、その後に、契約、企画・設計、建築、管理がある。これについて、一貫した方法論、リスク管理、そしてこれに基づいた人材教育がきちんとやっていかないと相当なリスクを伴う。政府としては、モデルを早急に作って、一貫した方法論や体制を確立すべき。

国際標準化

  • 国際規格の問題。現在、急速充電方式を世界標準にしようと思い、海外の専門家も雇って取り組んでいるが、欧米との競争の中、なかなか厳しいのが現状。
  • 下水道ビジネスにおいて、日本は技術的に相当的な潜在力を持つ。しかし、ビジネスを展開していく上で、知財と標準のマネジメントをきちんと図っていかないと、せっかくのビジネスが海外に技術を取られて終わってしまう。
  • 国際標準化については、日本は欧米に遅れている。問題解決のために、国際標準化に長期に係わる専門官を育成することは重要ではないか考える。
  • 国際標準化について、日本は欧米に相当遅れを取っている。状況認識と問題設定を見直すべき。スマートグリッドも次世代自動車についても、産業大転換の前触れが出ている。
  • まず、スマートグリッドだが、これは電力の効率化使用という表面的な問題だけではない。電力が全てタグ化され、電力網が情報網なり、これは、欧米による第2のインターネット覇権争いである。この中で、日本だけが、標準化争いからはじき出されている状況。
  • 次世代自動車についても、EV化が進むと、単体だった自動車が情報網と電力網によってネットワーク化され、自動車を巡るビジネスモデルが完全に転換される。携帯電話において、日本が欧米に負けたような状況に陥いかねない。例えば、ボッシュが提案している国際標準のスタイルは、日本が欧米連合軍に負けた、中国携帯市場での覇権争いの時と全くの同型である。日本の組織は縦割りの原因で、携帯で負けたことが、自動車業界が知らないのが非常に懸念している。
  • CHAdeMo協議会は、最近設立されたが、これは、日本が自らカラパゴス化しているようにしか見えない。

ビジネスモデル・事業モデルの転換

  • 海外インフラの案件の獲得において、3点申し上げたい。
    1. インフラストラクチャービジネスモデルの変化
      1. コンストラクションイニシアチブからコンストラクターイニシアチブ
      2. 官民協調から官民相乗
      3. セールスの段階からコラボレーションの段階
        →売り込むのではなく、売る側も買う側も得をする。
    2. 事業モデルの変化の観点から
      1. ビジネスモデル
        →プラントなどのものだけの提供ではなく、サービスとの融合、パッケージ(管理、人材支援)での提供が求められる。
      2. ビジネスフォーメーション
        →個別企業ではなく、オールジャパンがイニシアティブをとり、海外企業とも連携して、体制を組んでビジネスを取りに行くが重要。
      3. ビジネスインフラストラクチャー
        →人材のインフラ(長期に渡って、海外との人材ネットワーク形成)の構築が重要。
  • 蓄電池だけを強くしていいのか。上海万博において、公共バスは全てキャパシタで動くことになっている。町全体はキャパシタを中心としたシステム化が図られて、都市における交通モデルが中国に先行されてしまう。これで、本当にいいのか。日本のような密集地域において、500Km、1000Kmを走れる蓄電池を作るのと、30Kmのような限られた範囲で走れるキャパシタを作るのでは、モデルが全く異なってくる。世界は、キャパシタによって構築される交通モデルを要求される場合に、日本はそれに合わない高性能な蓄電池の開発にひたすら走るのはどうなのか。

コンサルタントなど人材の育成

  • 現在でも、海外でのコンサルを積極的に進めているが、日本企業のビジネスに繋げるという形には必ずしもなっていない。ただ、今後、途上国でのインフラ形成といった案件において、当該国の当事者側に入り込んでいくコンサルタントの役割が重要になってくるものと思われる。

企業集約

  • 韓国は、通貨危機において、徹底的に企業集約をして、競争力を上げてきた。
    日本において、現在、蓄電池部材は世界市場において非常に大きいシェアを誇っているのが、このまま続けば、体力を消耗して、最後は全部海外にやられてしまうのではないかと懸念している。早急に企業集約を進めて、競争力維持に努めるべきと考えている。

需要者ニーズ

  • 産業競争力を議論するに当たって、消費者視点を是非とも忘れないでほしい。
  • インフラ案件などの大型プロジェクトについても、需要側のニーズを早急に把握し、それに合ったビジネスモデルを構築し、そして、商品を提供することが重要と考える。

最後に松下副大臣よりご挨拶

  • イラクのマーリキー首相から、どうして日本は、決断と行動がこんなんに遅いのかと注文をつけられた。参入が遅くなればなるほど、コストが高くし、機会をすぐに逃げてしまう。これは、海外展開するに当たって、共通して注文されることである。高い技術力を持っていても、案件の受注に繋がらない。この問題がどこにあるのか。徹底的に議論し、そして具体的な実行計画を作っていくことが大切と考えている。
  • 成長戦略は6月に取りまとめする予定だが、どの分野においても、官民一体となった国内体制の構築が必要となる。民間については、国内消耗戦をやめて、協力してコンソーシアムを組むこと、そして、官については、競争力を阻害する規制を取り除くことが必要。税制の見直し、独禁法の問題、新事業化の手続の簡素化、人材育成など。
  • 大変重い課題ばかりであるが、6月に向けて、精力的に議論し、実行計画を作ること、行動することが大事と考える。

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最終更新日:2010年4月26日
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