経済産業省
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産業競争力部会(第4回)-議事要旨

日時:4月23日(金)18:00~20:15

議事概要

冒頭、直嶋大臣よりご挨拶。

  • これまで四つの戦略分野について議論をしていただいた。本日は、横断的施策の第一回として、アジア拠点化総合戦略とともに、製造業・エレクトロニクス・IT・エネルギー産業、さらに地域の多様な産業発展モデルを議論していきたい。近年、我が国はアジアの中核拠点としての競争力を急速になくしつつあり、大変な危機感を持っている。今後、日本国内に高付加価値拠点を維持・強化することは、日本の競争力を考える上でも大切なこと。そのため、思い切った大胆な議論をお願いしたい。
  • 一方で、経済状態の影響もあり、国内の地域経済が急速に弱くなっている。それぞれの地域には地域特有の資源もあり、その特色を生かしながら独自の発展をすることで、地域の活性化を達成していくことが重要だと考える。
  • 本日で、一通りの区切りがつき、次回からは、法人税や産業再編といった横断的な施策分野第二弾および論点整理に入っていく予定。本日は、活発な議論をお願いしたい。

委員からのご意見

全体論について

  • 今回挙げられた課題は、断片的には従来から認識されていたものの、なかなか改善が進んでいないものが多い。また、経済産業省が所管する事業も少ない中で、経済産業省として、本施策をどのように実行していくのか?
    • →具体的な横断政策は次回にまとめてきたいと考えている。成長戦略というコンテクストで、各省一緒になって政策を作っている。例えば、物流に関していえば、国土交通省と同時に検討しているところ。いずれにしても、経済産業省だけでは、本施策を実行することは難しいので、政府が一体となって施策を作成していく所存である。
  • 退職者が他国企業に再就職することによって技術が流れるというのは、技術流出の第一フェーズに過ぎず、今起こっていることはもっと深刻である。韓国及び中国の企業は、最新の技術を取るために技術を持った日本企業をまるごと買いに来ている。これについて、日本製鋼所のロシアによる買収を防いだように、外為法によって、ある程度守られているが、特に懸念しているのは、電気・電子・素材業界における買収リスクである。個別企業にとっては、コアでない事業をカーブアウトする際に、買収してくる企業がどこの国の企業であれ、高く買ってくれる所に売るのが合理的な判断である。しかし、その同一市場に他の日本企業がいる場合に、個別企業の合理的判断によって、その事業が韓国や中国にカーブアウトされ、他国企業が最新の技術を入手した結果、日本企業と競合する状態になってしまう。この問題をしっかりととらえなければならない。この対抗策として、買収する側にどのようなインセンティブを与えることができるのかという視点が必要であり、例えば、産業革新機構からの資金を買収する側に付与することも視野に入る。ただ、産業革新機構の資金がどのような場合にでるかは基準があるものの、一部にあいまいさが残っているために、より明確に最新技術とカーブアウトのケースを想定された場合にするべき。また、欠損金の繰越しについてだが、買収側の親会社が事業をまるごと吸収合併する場合に使えるが、カーブアウトされる事業あるいは企業を残したままだと、欠損金の繰り越しは使えない。また、産業革新機構の資金は、親会社が事業をまるごと買う際には出にくくなっている。この二つは、政策(既存の制度と仕組み)と現実的な企業行動との間にギャップがある事例である。このようなズレがあるために、そこをつかれているケースがでてきている。
  • また、海外の企業が日本企業をいったん買収して、そこを経由してより技術のある日本企業を買収するケースがある。そういった買収手法を外為法でどのくらい防ぐことができるのか、研究が必要である。まとめると、現実として技術が外に流出していることを認識しなければならないし、それが個別企業にとっては合理的判断によって行われているという事実に、非常に大きな問題があり、今後の研究課題とすべきであろう。
  • 次に、第一回、二回部会では、どうやったら海外で勝っていけるのかが議論の中心だったが、企業が安い労働力及び市場を求めて、外に出て行くことは、雇用・内需という観点では、雇用を失わせ、内需を疲弊させるが、世界の市場で勝っていくためには企業としてはそうせざるをえない。今後日本の産業は「海外で稼ぐ」と「内需・雇用」を今まで以上にリンケージしていかなければならない。例えば、スマートコミュニティーについて、二酸化炭素削減と新しい技術の育成がメインの目的である。一方で、これを内需の活性化と結びつけ、内需の拡大策としながらも、これをモデルケースとし、海外で勝って技術の蓄積に繋がっていくという脈絡を明確に示す必要がある。今後、既存大企業ばかりが収益をあげるという議論は受け入れられない中で、スマートコミュニティーを促進していく際に、税を優遇することによって建築物の立て替え需要が増え、満遍なく地域の建築需要が生まれ、雇用が創出されることも重要なポイントである。日本の技術開発により、広く国民が利益を享受することで、こうした取り組みを身近に正しく理解してもらいたい。
  • 地域、ロボット、ITS等様々な事業をしようとした時に、施策分野が重なる。地域であれば国と地方、ロボットであれば厚生労働省と経済産業省、交通であれば国土交通省と経済産業省。国と地方および省庁間には壁があり、それを突破しなければ、幅広い分野を跨ぐ施策は実現できない。その覚悟が政府にあるのかが一番の課題だと考えている。
  • スマートコミュニティーに関していえば、水・電気・ガス・自動車・住宅等の異業種が一体となって各々の役割をこなさないとうまくいかない。そのため、まずは政府が一体とならないと絶対にできないと思う。それをどう進めていくのかを問いたい。
  • 地方が発展するためには、国のレベルで官と民が手を携えるように、それぞれの地域においてもその地域の経済発展のために色々な分野を集積してやろうというような勢いやまとまりが必要だと思う。過去を見ると、地域が広域連合をつくり、独立国家と同じような意識でアジア市場に積極的に参入しようと考えている地域は発展し、都道府県など小さなまとまりしかつくれない地域は、発展が弱い印象を受ける。地方分権や道州制の議論を進めて、経済としてやりやすい行政単位を形成していくことも重要。
  • また、経済だけの視点で考えるのでなく、地域における社会保障・教育と一体となって進めていくことが重要。国が省庁の壁をなくすことと同じように、地域でも様々な壁をなくし、総合的に魅力ある地域を作っていく必要がある。自治体単位でも、同様な問題が存在する。例えば、介護の分野において、介護保険の先行きは、高齢者をできるだけ在宅で介護するような形を目指しているが、これをうまくやっていくには、高齢者介護を単に社会保障として提供するのでなく、介護という産業を地域でどう活かしていくかという視点があるかどうかで変わってくる。

人材について

  • 本部会で、アジアで活躍する人材を取り上げられたことは大変良いことである。今後、アジアは各国の市場の集合体、すなわち一つの市場として形成されていくと思われる。とりわけ、安定成長の欧米とは異なり、中産階級が増えていく有望市場である。こういった市場を日本の内需としてとらえないと、日本は今後成長できない。
  • 国際大学に在籍する生徒の90%は外国人である。彼らは、日本人以上に必死に勉強をしている。そういった留学生の採用をぜひ産業界にお願いしたい。アジアの優秀な人材は、欧米の人材以上に、今後伸びていくアジア市場の中で適応していくと思う。
  • サムスン、ユニチャーム、スズキなどハイパフォーマンス企業は開発途上国でのシェアが高く、かつ、社員教育にお金を使っている。教育に対して、もっと積極的に国が後押しするとともに、企業もグローバル人材の育成支援を行ってほしい。
  • ソウルの店にいる社員の優秀さに驚いている。日本語が堪能な上、日本人よりも流暢な英語を話し、さらに最近は中国語も勉強している。ある意味韓国は島国であり、グローバルに仕事をしないと、国としても個人にとっても非常に厳しいという危機意識を強く持っている。また、韓国人の社員は子供をアメリカ等に留学させている傾向が強い。政府は留学の支援を行っている。若い内から留学などで海外経験をする人材が多いため、グローバル人材が育ちやすい環境にある。最近は、中国でも優秀な人間が増えてきている。
  • 日本の将来を担う若い世代への不安がある。最近、ハーバードへの入学者及び受験者の日本人の数が少なくなっているために、ハーバードの教授も日本の将来を心配している。小学生・中学生の時代から外で頑張っていこうとする意欲が少ないように感じる。積極性を鍛えていかないといけない。例えば、我が社では、入社5年目までの社員を対象に、ハードシップの高い海外の店を経験させている。それを乗り越えた社員はたくましくなって帰ってきている。我が社の方式によらず、色々な教育の仕方があると思うが、今のまま放っておくと数年後には日本の競争力は無くなるのではないかと懸念している。解決案として、60歳以上の民間人が、学校教育の場で、仕事など「社会」について若者に教える機会を作ることも一つの手ではないかと思う。
  • グローバル人材を育成するとき、日本から海外に行かせるということが普通の感覚だが、海外から日本に来る人を日本のためのグローバル人材として育成するという感覚が欲しい。
  • 日本の文化産業がどれだけ魅力的になるかは、第一次大戦後のパリ、第二次大戦後のニューヨークのような都市機能と魅力を東京がもてるかどうかにかかっている。英国がこれほど国外において影響力をもっているのは、ブリティッシュカウンシルを通じて、各国にしっかりとハイカルチャーとサブカルチャーの両輪による文化インフラを作り上げ、自国に人を惹きつけたからである。日本も、こういったインフラ作りに努める必要がある。
  • 日本でグローバル人材を育成する際に、よく日本はハングリー精神がないことが原因とされるが、日本の若い人たちにワクワク感を喚起できないことにも原因がある。ワクワクしないから閉塞感がでる。人材育成を考える際に、「皆と同じことをいえるか」「他人と違うことがいえるか」という二つの点が大事であり、両方がバランスとれていないといけない。日本は前者を優遇しがちであり、後者のような人間は企業で受け入れられない。企業の方は、他人と違う発想をするイノベーティブな人材をうまく使いこなせるようになる必要があるように思う。
  • 東南アジアでは、英語と中国語を話せて当たり前である。そのような世界の中で日本は生きていかなければならない意識をもつべきである。
  • 文化産業の場合、圧倒的に人材が重要な位置を占める。アジアの中で、日本でファッション・料理の勉強をしたい人は非常に多い。しかし、滞在ビザがとれないから、来日して勉強するのが困難な状況にある。これは制度を変えればすむ話である。人を積極的に受け入れて文化産業を活性化させることが重要である。
  • シンガポールや香港ではインターナショナルスクールが一つの産業となっている。最近、日本の親もあえて子供をインターナショナルスクールに送っている。インターナショナルスクールにいく子供に対する支援を国が行うべき。
  • 若者にとって、昔に比べて英語に接する機会も留学するチャンスも大いに増えている。それにもかかわらず海外で働きたくない若者が増えている。その原因は、単に英語・外国人にあうチャンスがないこととは違う、もっと深い所に原因があるのではないかと思う。その原因は、日本の底力にも関係すると思われ、経済産業省と文部科学省が連携して研究していくべき。
  • 地域発展モデルの中で、人材は重要な位置を占める。高度人材、ネットワーク人材の育成の必要性が述べられている。これに加えて、地域経済のために、現場を支える人材の育成が必要。地域はものづくり拠点であり、中小企業の比率が高い。デジタル化したものづくり技術だけでなく暗黙知をもつ職人的な人たちが支えている企業もあり、技能を伝承していくことができなくなっているという課題がある。
  • 再生人材の育成が必要。地域には、有用な経営資源を有しているにもかかわらず、経営が行き詰まっている企業がたくさん存在している。再生人材を送り込んで、弱っている企業を診断して、再生のモデルを描けば、十分に再生できる。
  • 産官学ネットワークに加えて、地域金融、さらに産業を超えたネットワークそのものである労働組合を考慮していただきたい。若い人たちが、その地域で働きたいと思うような発信が必要であり、地域の魅力向上を地域活性化の中にどう入れていくかが課題。

立地競争力について

  • 法人税を下げないと、日本の企業が海外に出て行くし、国内に外国企業が入ってこない。法人税は極めて大きな課題。ただ、それに加えて、中期・長期で日本の将来を考える際には、人材育成をもっと真剣に考えるべき。
  • 対内投資促進案に関してだが、シンガポール及び韓国では、対内投資促進策を以前より行ってきている状況にある。日本がただ同じ施策をすることによって、すぐに海外から企業が進出してくることには疑問がある。日本は、日本の特色・日本人の価値観をいかした対応をもっと考えていくべき。何もしない状態であれば、5年先、10年先に、日本は完璧に世界で負けているのではないかという危機感を持っている。
  • 低炭素社会に貢献する設備立地支援は大変有効だった。ただ、現在まで49件270億円程度なので、規模としては小さい。しかし、その方向性は産業競争力強化及び雇用創出にとっても効果的である。思い切ってその総支援額を1千億円にあげ、10年で1兆円程度の長期計画にすれば、企業が国内に設備投資する相当なインセンティブになる。

製造業について

  • 化学産業において、企業の規模は国際的に大きくても六番、七番。相対的に追いかける立場であり、エレクトロニクスや自動車とは異なる状況にある。これまで、化学産業は世界的に競争力をもつ自動車やエレクトロニクスに素材を供給するだけで成長してきた。しかし、中国や中東に追い上げられる中で、このままではオーバーサプライになり、コスト競争でも戦うことができなくなる。
  • 中国、インドにも化学業界の企業があるが、日本企業はプロセス技術がまだ進んでいる状態にある。また近年は、海外に進出するとともに、環境、新エネルギー、健康など新分野にも力をいれており、他企業との差別化を図ることで他国企業と十分戦っていけると考えている。

インフラ関連産業について

  • 原子力とCCSに関してクレジット化をするということだが、さらにCDMの対象にすれば、これもまた各国の原子力への投資、既存設備へのCCSの導入への相当なインセンティブになる。その交渉を強力に進めてほしい。

地域・中小企業について

  • 北九州は環境関連産業が集積し、スマートコミュニティー、エコタウンなどの実証研究の先進地として機能している。さらに、産業集積、アジア展開、研究開発機能を持つ世界的な環境モデル拠点を形成するため、特区として支援していただきたい。
  • アジアの環境ニーズに、環境に強みを持つ地域発の企業連合の組織化や産学官一体の体制を構築し、交渉していくことは極めて重要です。そのために、金融支援やコーディネータ等の活動の支援をいただきたい。
  • 中小企業は海外展開に関わる情報、人材、資金が不足している。また、環境関連産業は設置からメンテナンスまで長期的な取引のためリスクが大きい。アジア進出に際し、経済産業局やJETROなどの情報に加え、専門コーディネーターや現地アドバイザー設置などの支援強化を提案したい。
  • 中小・中堅企業の海外展開は重要。しかし、中小・中堅企業には知財マネジメント能力は欠如している。このまま海外ミッションに出しても、外国に全て食われてしまうリスクがある。十分に対策を練り込んでおく必要がある。
  • 地域は政策の集中投下区域であると同時に政策実現のプラットフォームであると考えている。その際、地域には実証と普及の二つの役割が持つことが重要。開発した技術を地域において実証・展開し、その後、世界へ発信・普及することができるようなモデル地域作りが求められている。
  • テクノロジーとコンテンツをどのように融合させるか、また融合させる場所をどのように作っていくかが重要。世界中のクリエイターやテクノロジストが集まる場と機会を提供する拠点整備が施策としてあっても良い。その際、活躍するコーディネータの育成にも力をそそがなければならない。
  • 地方空港を中心としてその周辺地域に、アウトレットや医療施設を作る等大胆な発想が必要。

国際標準について

  • 標準化は諸刃の剣だということに注意しなければならない。社内標準をオープンにして市場形成と拡大をする効果もあるが、国際標準化することによって技術流出のリスクも生じる。例えば、安全基準であったとしても、その標準化をどのように設計し、どのように公開し、その結果としてどのように戦略的に競争力を確保するのかを考えていかなければならない。
  • 知財マネジメントは非常に難しい。これまでのように、国内予選に勝ち抜けば世界でメダルをとれるという考えがまだ残っている。国内でデファクトスタンダードを作れば、海外で通用すると考えてしまう。競争力モデルが変わった現在、この考え方はまったく通用しない。これからは当初からグローバルスタンダードを念頭に戦略を練らないと国際標準化の規格間競争で負けてしまう。
  • 経済の波及効果は変わってきている。例えば、従来の自動車が電気自動車にとって変われば、従来のピラミッド型産業構造における乗数効果を前提にした経済効果の波及先導は難しい。十分に気をつけて、議論の中に織り込んでいかないと危ない。
  • ロボットスーツは既に欧州に取り込まれるリスクが生じている。技術者だけでなく、先端的なベンチャーが外国にのみ込まれている現状がある。そういったベンチャー企業は、日本に魅力がないので外に出ていってしまう。十分に注意しておく必要がある。

文化産業について

  • 経済産業省がイニシアティブをとって、速やかに着手することが大事。
    文化産業を日本・東京で発信していくことに賛成である。日本のファッションは、センス的にも技術的にも優れている。パリやニューヨークからでなく、東京からそういったファッションを発信していくことが大事だと考える。また、外国人を日本に引き寄せて発信力を確かめることが大事だと思う。

最後に直嶋大臣、松下副大臣よりご挨拶

直嶋大臣
成長戦略を具体化する場合、太い横串を通すということは閣内で一致している。現在、事務方が上げてきた案を整理し、政務官以上レベルで協議をしているところ。規制をつき破れと常に発破をかけているところ。
システム輸出、例えば原発を輸出の際に、二国間原子力協定は非常に重要になってくる。しかし、あまり進んでいないのが現状。これについて、総理・外務省を交え協議し、これを前倒しでやっていこうということを確認した。また、租税条約など制度面のインフラを、ビジネスをやる前に作っていかないと実現は難しい。今後は、政策を思い切って実行して、実績を作っていきたい。
松下副大臣
外に向かっていく大きな志や根性を家庭・教育でどうやって作りあげていくのかが根底にあるような気がする。色々な課題を解決していくには、省庁の壁を破って、新しく省庁を再編してまで国家戦略としてやっていかないと、日本は本当にやっていけなくなるという危機感を持っている。大臣を交えて、しっかりと国家戦略として行動していくことがないとできない。色々な分野において、法整備やインフラ整備が必要であると考えている。報告書をまとめてから、速やかに政策を実行していきたい。

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最終更新日:2010年5月10日
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